2014年12月29日月曜日

鵜原石・松部石 勝浦周辺の凝灰岩質石材 丁場 (3)


丁場を横から眺めた状態です。崖の高さはざっと20mはありそうです。この付近の鵜原石・松部石は、房総半島西岸、内房側の房州石とは実は大きな違いが有ります。それは。鵜原石や松部石は房州石と同様に後期中新世の堆積岩ですが、房州石ではこの様に堆積模様が並行ではありません。時には堆積模様は全く判らない程に様々な方向に筋目模様が走っています。房州石はダービダイトの様な海底混濁流の堆積物。こちらは静かな海の砂泥互層と言った雰囲気でしょうか?
泥分が多いので、勝浦の街中を観て回ると泥岩部分がひび割れて崩壊寸前の石垣等もあります。
鵜原石よりは松部石の方がやや強度が大きかった様です。

30日から1月1日までは静岡県を歩きますのでこのブログの更新はお休みします。

鵜原石・松部石 勝浦周辺の凝灰岩質石材 丁場 (2)

勝浦市鵜原海岸に千葉県立中央博物館の分館である「海の博物館」
があります。この海の博物館からトンネルを三か所ほど潜ってJR鵜原駅の方に南下した先を海の方に道をたどると、「鵜原理想郷」が有ります。付近はハイキングコースでもあり博物館で用意しているパンフレットに従って自然の風景を楽しみながら歩くとこの様な風景に辿り着きます。
この垂直に切り立つ崖は、かって鵜原の石材を切り出した後ですが、上総興津の付近から松部の海岸までの間に数か所の海岸で観察する事が出来ます。
丁場に下る路が無い訳ではありませんが、かなり切り立った場所を通るのでお勧め出来ません。
我々はガイドロープを降ろし下りましたのでその時の丁場の様子を数枚の画像でご案内しましょう。

2014年12月28日日曜日

松部石・鵜原石 勝浦周辺の凝灰岩質石材 石材 (1)

2012年に博物館の地学サークルの方々と勝浦の海岸線に残る松部石・鵜原石の丁場を歩く機会に恵まれた事が在った。以前から房州石を中心に、房総半島の歴史的石材につての丁場の探索から現存建築・構造物に使用された凝灰質石材を探索していたのでこれはこの地域の石材について学ぶ良い機会であった。ただ、当時は、古文献に記載された松部石の丁場が全て山側に在り、海岸線の丁場に関しては記述の確認が得られず、個人的には満足すべき調査結果を得られない状態でした。その後、様々な文献から、明治時代の現在の国道より山側の丁場については、この地域の大規模なリゾート開発により消滅してしまった事が具体的に確認出来ました。
その後、2014年に入り、2012年にその機会を造って下さった地学サークルの仲間からお誘いを頂いてその知人の鵜原海岸の砂の調査をお手伝いさせて頂いた折に、前回よりもう少し南の海岸の採石丁場をご案内頂く事が出来ました。この日の午後、小生は松部の周辺を歩き回り幾つかの新しい知見を得たので博物館への市民研究員としてのレポートをまとめる事が出来ました。
少し時間が経ってしまいましたが、暫くの間、この間の調査の内容をご案内してみようと考えました。第二回目の今日は鵜原石の石材の岩相を三種類ご覧に頂く事から始めます。




2014年12月24日水曜日

地質標本館 特別展:地質情報展2014かごしま -火山がおりなす自然の恵みー

つくばの産総研・地質標本館で、表記の展示が来年3月22日までの予定で開催中です。詳細は残念ながら公開されて居ませんが、ポスターだけは下記にあります。コピペでどうぞ!
https://www.gsj.jp/Muse/eve_care/2014/kagoshima/kagoshima2014.html

下の画像は産総研地質調査総合センターの今年の“Greetings of the Season”季節の御挨拶状です。例年美しい画像が使われていますが、今年は運よく手に入れる事が出来ましたのでご披露します。一番上が開いた処。下は背面の半分づつです。一番下の地質図は本来カラーですが、スキャナーが不調で旨く撮れませんでした。



2014年12月23日火曜日

本宿:岩脈の中の杏仁構造の配列

岩脈の表面を剥がすと、内部に方解石或は沸石に満たされた杏仁構造が現れる。杏仁構造は、溶岩(この場合はまだ地上に出る前の貫入状態なのでマグマと呼んだ方が良いかもしれない)が流動する最中も発泡が継続しているので、熔岩・マグマの流れの方向に細長く引き伸ばされており、これがそのまま冷却固結し、更に熱水等の作用でその気泡を様々な物質が満たしてできるものなので、杏仁構造の分布は形状を観ると流動性を失う前にどの方向に流れていたのか保存されている。ここでも杏仁構造は一定の方向に引き伸ばされているのが観察された。
クリノメーターで、岩脈の方向を調べて居る処。

この処、真鶴半島や三浦半島を歩く機会が多く、中々、フィールドの記録を残す事が疎かになっていたので、年内は外出をしないでレポート作成を頑張りながら、この後のブログの構成を考えて行こうと思っています。

2014年12月20日土曜日

アイスランドの溶岩原の広がりとその流れ:12月18日画像

画像はアイスランド気象庁のウエブサイトからコピーさせて頂いた12月18日現在の溶岩の広がりを示す画像。既に79.8平方kmの広さに広がっている明るい色は高温の部分なので途中は熔岩トンネルを通りながら末端で流れ出している様子が判るスケールは右下にあります。12km以上流れているのが判ります。
http://en.vedur.is/earthquakes-and-volcanism/articles/nr/2947

ハワイのキラウエア火山、アフリカ大陸の西のケープベルデのFogo火山でも、国内では西ノ島でも溶岩が流れ出して止まらぬ勢いです。

2014年12月14日日曜日

鐙摺層:立石凝灰岩部層の露頭 横須賀市秋谷の前田川園地


最近、三浦半島の凝灰岩露頭と凝灰岩質石材の産出地を集中的に歩いています。これは佐島石の産出地が佐島隧道付近だけでは無い様なので少し範囲を広げて前田川を歩いた時に河床で出会った鐙摺層の中の立石凝灰岩部層“At”の安山岩質-玄武岩質凝灰岩,火山礫凝灰岩,凝灰角礫岩の露頭です。前田川の上流側は途中の倒木などで通行不能ですが、前田団地から下流側の河床は歩けるようになっています。海岸線の立石公園にある露頭と同じはずですが真っ黒でチョット面白い露頭でした。多分秋谷不動尊の奥の瀧を形作っているのがこの地層なのでしょう。
内部に割目があるらしく、不動尊の在る谷の水道水源に成っていた地層の様です。

本宿も、もう少し続ける予定ですが、「三浦半島」もここ暫く小生のフィールドとして接近する事になりそうです。

2014年12月9日火曜日

アイスランドの熔岩は衰えを知らず

アイスランド気象庁のウエブサイトに12月4日にUPされた噴火口付近の様子。もう3ヶ月になるが、国内の西ノ島の方は既に1年を経ても相変わらず熔岩を流し続けている。凄いね!

本宿:底瀬川右岸岩脈の分岐

 右岸の岩脈が上の画像の様に石垣に阻まれた場所が、どうやら岩脈の終点で、此処で幾つかの方向に分岐しているらしい。そんな訳で、地層がぐしゃぐしゃで石垣・護岸が必要になったらしい。
突然方向が変わって現れた岩脈と、その少し上流の河床で観察されるチルドマージンです。

2014年12月7日日曜日

GVP 週間海外火山活動情報 11月26日 ⇒ 12月2日

国内火山の活動については省略しています。気象庁のウエブサイトを産種下さい。

Chirinkotan  | Kuril Islands (Russia)  | Elevation 724 m  | 0900-26 : 290260
衛星画像で1121日に火山ガスと水蒸気の噴出が強まり、熱異常も観測された。熱異常は1125日にも観測され、水蒸気と火山ガスの噴気は27日には南東に40kmまで広がった。水蒸気と火山ガスの噴出は28日と30日にも観測された。航空カラーコードはイエローに引き上げられた。
  
Fogo  | Cape Verde  | Elevation 2829 m  | 1804-01 :384010
報道に拠れば、“Cha”カルデラ内の“Fogo's Pico cone”火砕丘からの噴火は1126日から122日の間も継続している。30日の朝には噴火は強まり、溶岩は毎時20mの速度で流れ続け、カルデラ内の主要都市である“Portela”と国立公園を結ぶ道路を閉鎖した。
行政はカルデラ内の全ての住民に避難を呼びかけた。溶岩流は25軒の家屋、広域の農場、国立公園博物館(?)やその他のインフラを破壊している。122日には溶岩流は二つに分岐し、24時間後にはその速度を速め、更に数軒の家屋と学校とホテルを飲み込んだ。
  
Heard  | Kerguelen Plateau  |  Elevation 2745 m  | 0304-01 : 234010
1年半振りの再登場でしょうか?
112-30日の"NOAA"衛星画像で火山の東側山腹に熱異常が観測されている。121-2日は厚い雲に阻まれて観測出来なかった。この火山の熱異常は"MODIS"衛星では2014年の9月と2014721日(日にちの並びが変ですが原文は“from September 2014 to 21 July 2014”)と更に1116日にも観測されており、溶岩湖の存在と溶岩が流れ出している事を示唆している。
  
Moyorodake [Medvezhia]  | Iturup (Etorofu) Island (Japan/Russia)  | Elevation 1124 m  | 0900-10 : 290100
SVERT”に拠れば、この10日間余り、熱異常と強い水蒸気と火山ガスの活動が“Medvezhia”火山地帯の“Kudriavy”成層火山で観測されている、1127日には熱異常の検出領域とその強度が強まった。航空カラーコードはイエローに引き上げられ、水蒸気と火山ガスの噴出は29日にも観測された。
  
Sinarka  | Shiashkotan Island (Russia)  |  Elevation 934 m | 0900-29290290
1127日、衛星画像で水蒸気と火山ガスの噴気が南東に50kmまで広がっているのが観測された。雲に阻まれて1124日から121日の間は観測出来なかった。航空カラーコードはイエローを維持。
  
Zhupanovsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  |  Elevation 2899 m  | 1000-12 : 300120
クベルトに拠れば、1123日の026時と、25日の1214時に強い爆発が発生した。22日には火山灰を含む噴煙は高度7-8kmに達し東に350kmへ、25-27日には南東に広がった。衛星画像では22,25,27日に熱異常が観測されており他の比には雲に阻まれて観測出来なかった。
航空カラーコードはオレンジを維持。

Ongoing Activity

Bardarbunga  | Iceland  | Elevation 2009 m  | 1703-03 : 37303
アイスランド気象庁は“Bárdarbungas Holuhraun eruptive fissure”噴火割目の活動を根拠に、航空カラーコードをオレンジで維持している。フィールドレポートを基に、1125-26日の活動は溶岩噴出孔上部の膨張に起因すると思われる5-10分間隔に2-3分間溶岩流が急増する脈動現象で特徴づけられている。“Bárdarbunga”カルデラの1126日に行われた航空機からの陥没量調査では50mの値が得られその容積は1.4立方キロメートルと想定されている。噴火開始当初に比べるとカルデラ中心部の沈下率はやや減少している。熔岩噴出孔の北東に位置する“Dyngjusandur”の観測者からの撮影画像では、271441時の噴煙最上部の高度は3.1km、噴煙のエアロゾルを含む下部は平原の1.4kmと見積もられた。121日に撮影された熱画像では溶岩平原に幾つかの変化が観測されている。⇒多分この二つの画像を見比べているのだと思うので見比べて下さい
熔岩は121日には75平方キロメートルを覆い尽くしている。
  
Chirpoi  | Kuril Islands (Russia)  |  Elevation 742 m  | 0900-15 : 290150
雪に覆われた“Chirpoi”火山を27日に撮影した画像で熱異常が確認された。25日から121日の間の他の日には雲で覆われて観測出来なかった。航空カラーコードはイエローを維持。

Colima  | Mexico  |  Elevation 3850 m | 1401-04 : 341040
衛星画像の解析からワシントンVAAC1130日に火山灰の噴煙が発生し北東に広がり、その日遅くには火山ガスと火山灰と思われる噴煙が東に広がり高度4.9kmに達した。


Copahue  | Central Chile-Argentina border  |  Elevation 2953 m  | 1507-09 : 357090
ブエノスアイレスVAACに拠れば、1126日に少量の火山灰を含むと思われる水蒸気と火山ガスの噴煙が噴出した事が衛星画像とウエブカメラに記録された。噴煙は高度3.4-3.7kmまで上昇し東に65kmまで広がった。30日、パイロットの観察とウエブカメラの記録から噴出が山頂近くから始まっている事が確認された。121-2日には広がった噴煙が衛星画像でも捉えられ、ウエブカメラでは火山灰の連続した噴出も確認された。


Fuego  | Guatemala  |  Elevation 3763 m  | 1402-09 : 34209
1128-30日に掛けて、フエゴ火山の爆発により火山灰の噴煙が火口上空1.2kmまで上昇し、南、南西、西等の方向に25km広がった。爆発時の衝撃波は火山周辺の家屋を振動させた。29-30日には、白熱岩塊が火口から100-150mの高さまで放出された。降灰はPanimaché I and II (8 km SW), Morelia (9 km SW), Santa Sofía (12 km SW),や周辺の地域から報告された。
INSIVUMEH”からの特別報告に拠れば噴火活動の強さはここ数週間と変わりなく、最も活動的な時期には、一時間当たり6-8回程度の爆発が発生する。濃い灰色の火山灰の噴煙が1.3km程度上昇し西あるいは南西の方向に20km程度広がる。降灰はMorelia, Santa Sofía, Panimaché, and Yepocapa.等から報告漁れた。爆発音の幾つかは30km離れた場所でも聞こえる程だった。衝撃波南側と南西側の山腹の建物を振動させた。白熱岩塊が山襞を下った。121-2日の爆発で発生した噴煙は850m上昇し南あるいは南西方向に15kmまで広がった。
  
Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  |  Elevation 1222 m | 1302-01 : 332010
細かい地名は判らないし、地図や画像でご覧頂いた方が良さそうなので記事の翻訳は辞めます。
⇒火口カメラをご覧下さい。
HVOの最新画像やアーカイブは
121日の画像があります。
⇒最新の地図と溶岩が流れて行きそうな勾配の急な地形は下記に(地図は10MBのサイズなので御注意を)
*水色の破線は傾斜が急な溶岩が流れやすいと想定されている道(steepest descent path

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | Elevation 3283 m  | 1000-27 : 300270
クベルトに拠れば、1121-27日に掛けて、北側の斜面での溶岩ドームの成長が続き、火映現象と高温岩塊の崩落や噴気活動が認められた。23日の1021時には強い爆発が、26日の0328時の爆発では火山灰の噴煙を高度8-9kmまで上昇させ北東に400km、南東に200kmまで広がった。衛星画像に拠れば、22-23日と26-27日には熱異常が観測された。他の日には雲に阻まれて観測出来なかった。航空カラーコードはオレンジを維持。
  
Shishaldin  | Fox Islands (USA)  |  Elevation 2857 m | 1101-36 : 311360
地震活動は高い状態が継続していたが1126日から122日の間は幾分減少している。衛星画像では1126-28日の快晴の際に火口部の温度上昇が確認された。低レベルの溶岩噴出が山頂火口で発生し続けているものと思われる。航空カラーコードはオレンジを維持
  
Sinabung  | Indonesia  | Elevation 2460 m | 0601-08 : 261080

ウエブカメラの画像から122-3日に噴煙が高度3kmまで上がったと報告視された。

2014年12月6日土曜日

本宿:上底瀬付近岩脈に規制された底瀬川

自分ではその光景をきちんとカメラに収めた心算でも、何故か帰宅後にチェックするとその画像が入っていない事が在りがっかりします。一番下の「上底瀬」の文字の右手に不器用に囲んだ川の流れがありますが、この部分が実に直線で流れていて、その右岸が岩脈だと言う画像を撮影した積りだったのに絵が有りません。上の画像がその下流側の、真ん中の画像がその上流側の岩脈の画像です。この岩脈は円で囲んだ一番下流側で流れを変えてしまって興味深い顔を見せてくれます。もしここに行く機会が在ったら是非長靴を履いて水量が多い時は勧められませんが普段は画像の様な流れなので河床を観察しながら歩く事をお勧めします。



2014年12月4日木曜日

本宿:底瀬川・黒滝山登山口駐車場付近 (2) 水冷破砕岩

似たような画像をさらに積み重ねるがこれも同じく水冷破砕岩の例である。私は素人だし、様々なガイドブックや巡検案内書を観ながら学んできて、何処までが同じ岩質で、何処から別の岩質に分類すべきか?何時も判りにくいと思いながらこの道を15年近く歩んで来ているのです。「枕状溶岩」の露頭調査をやって来たのは分析装置を持たない素人に何が何処まで出来るかを知りたかったから出も在るのですが、これは色々と観る内に、段々とこの岩石の大塊がどんな成り立ちなのか?理解出来始めた次第。下の画像は大塊が割れた時に間に成長していた石英脈が見えているのだし、上の画像は同様に脈の近くの狭い隙間に石英脈が構成されているのが前の画像と突き合わせて理解できてくる。

水冷破砕岩と言うと、ハイアロクラスタイトの類もあるけれどあそこまでは破砕されていないので、あるいは水分の多い、例えば湖成層等に貫入して来て急冷されてその隙間に水が入り込み割目がどんどん広がり、後に熱水活動で石英脈が生長したのかもしれない等と考えている。
低い場所には露頭が無く、峰の上にしかないのだと言う事が興味深い。

2014年12月3日水曜日

本宿:底瀬川・黒滝山登山口駐車場付近 (1)

幕岩と底瀬側が交差する地点からほんの少し上流側に路を辿ると「黒滝山登山口駐車場」と案内看板の在る広場が有る。有り難い駐車場である。この付近は見所が多いので、この前の岩脈の観察もここに車を置いて少し下れば良い。
駐車場の奥から実は簡単に底瀬川の河床に降りる事が出来る。但し、前の岩脈の方には降りる事が出来ない。でも実に沢山の見所が有る。
凝灰岩の河床に下ると周囲に目立つのは水冷破砕岩の巨大な岩塊である。
日本火山の会のoff会ではこの下流のチャートの滝付近で一個だけその岩塊を観て、正体が良く判らなかったのだがここでは、それが枕状溶岩に成り損ねた水冷破砕岩である事が良く判る。
下の画像はその河床。画像の右手が駐車場の奥になる。何の造作もなく降りる事が出来る。

岩の表面は下流で以前見たものと同じで大きな割目を石英脈が埋めている状態。
 中にはばらけてしまったこの様なものもある。枕状溶岩では無く、どちらかと言えば「偽枕状溶岩」と言われてしまいそうな奴である。但し、露頭はこの付近には無い。集落から見上げる山のその奥から来るのだと土地の方に伺った。

本宿:底瀬川上流・九十九谷登山道のやや下流

幕岩がやや斜めに眺められる底瀬川河畔に近付くと、底瀬川がこの岩脈をぶった切っている様に幕岩が急激に高度を下げ始める。真ん中の画像は底瀬川に落ちる部分だ。

 ここでは、丁度岩脈の端にあたるらしいのだが、岩脈を良く見ると何枚もの溶岩が重なった様に見えてしまうがこれは節理を良く追ってみないと判らない。堅い岩石の露頭は川を越えて右岸にまでつながるが、河床を観ると小さな岩脈が川を横断しているのが観察出来る。河床には降りなかったが、右岸側の露頭は意外と新鮮で、斜長石も透明だし、輝石も良く見える。硬い。

2014年12月1日月曜日

本宿:底瀬川・九十九谷橋上流の角礫凝灰岩

下底瀬の集落を外れて更に上流に向かうと、集落の外れに九十九谷橋が架かっている。この橋の上流側で道路脇に空き地が有るので車を止めて河底を覗くと、分厚い巨大な礫を含む凝灰岩が露出している。直ぐ上の砂防堰堤の手前は下図に示す通りこの付近の河床に広く見る事の出来る小礫を含む凝灰岩の滑床になっているので、土砂崩れなどで部分的に流れて来たものがそのまま固結し河床を形成しているものらしい。スケールは道路脇から撮影する私の影です。
下の画像は、上の画像の直ぐ上流に存在する凝灰岩層。この付近から上流はこの様な滑床状態の河床が広く分布する。所々に変化が有り興味深い。

2014年11月30日日曜日

本宿:幕岩の部分拡大

下底瀬の集落付近から見上げる幕岩は壮観である。幕岩の全景は10月23日にご案内しているのだが、細かな所はあの画像では見えないので今日はその中の二ヶ所をご案内しよう。望遠レンズで撮影した幕岩の画像は、4912x3264ピクセルなのだが、私のこのブログは原則として横が1280ピクセルなので、データをこのサイズで二ヶ所から切り出してみた。下の画像の平らに見える部分は凝灰岩が貫入した幕岩に焼かれて凝結したものだと言う。



アイスランド “Bárðarbunga caldera”カルデラの陥没量 アイスランド気象庁11月26日観測結果


 アイスランド気象庁のウエブサイトで26日に航空機からの観測を行ったカルデラの陥没量に関するデータが公表されました。上のグラフは縦方向を120倍に誇張しているので注意。
11月6日の測定値からの進行状況はマグマが毎秒130立方メートルの流量で流れ出しているのに相当するのだそうです。下の画像は今朝8時54分現在のライブカメラの画像です。

2014年11月29日土曜日

アイスランド“Bardarbunga”カルデラの陥没

アイスランドの地球科学研究所“Institute of Earth Sciences”の今朝の情報では、カルデラの陥没量は8月中旬の地震活動活発化以降、既に50m、その容積は1.4立方kmに達すると言う。
GPSデータはどうやらGPSそのものが雪にうずもれてしまった為かここ数日データを送信しなくなってしまったので、26日に航空機からの観測を行った結果である。

画像は26日に撮影されて地球科学研究所のサイトに掲示された“Photo taken on flight with ISAVIA on 26. November - Tobias Dürig

下図は日本時間29日16時過ぎのライブカメラの画像


本宿:下底瀬の露頭 (2) 集落内の露頭

余りの晴天はカメラの敵で、少し明るさとコントラストを補正させて頂いたが、ほんの少し離れた露頭ではチャートの礫がこんなに小さくなってしまっている。此処は集落の中なのでサンプリングは出来る状況にはなかったので周囲の岩片の詳細を見る事は出来なかった。

2014年11月28日金曜日

本宿:下底瀬の露頭 (1) 陥没の露頭 チャート角礫の堆積

下底瀬の陥没の露頭は少々判り難い。2009年にガイドブックが発行されてから5年経過した訳だが、現地の状況がかなり変わってしまって居て、探し出すのに苦労した。一つにはガイドブックに沢筋が1本だけ書かれていたので、この集落の一番大きな沢を歩いたのが間違いの始まりだった。
駐車スペースも程よく在り、画像を再確認すれば判ったのだが、諦めて帰途に就こうとした時に、念の為に集落の南に在る墓地の傍の小さな澤に足を踏み入れたのが正解だった。
残念ながら、ガイドブックに記載された露頭には、猪避けの柵の為に辿り着けないが、この澤には画像に示すように、チャートや頁岩らしい大きな角礫を含んだ層が露出していた。少量の水流があるので反射で撮影し難くかったのだが、上の画像の左上のチャート礫が下の画像のものと同一。
この澤に入る前に立ち寄った集落内の小さな露頭ではチャートの小さな礫が在ったが、此処は全く異なる。

駐車スペースは集落に入る手前の道路が少しカーブしてい広くなった部分。右手にチャートの大きな岩塊が有り、その上に小さな祠が乗っているのが目印。露頭は山側の少し下った墓地の脇の小さな流れ。足元が良くないので注意。
「本宿陥没地周辺 (32)」のチャートの滝からもう少し上流に昇った場所です。 (32)はまだ秩父帯の地層です。

2014年11月27日木曜日

本宿 馬居澤の露頭 (6) 杣道の石垣と柱状節理

既にかなりの部分が破損しているが、右岸側の杣道に築かれた石垣とその上の柱状節理。
林道が出来てからは此の杣道を使う必要が無くなったので荒れるに任せているのだと思えるがかなり古い時代のものだろう。
柱状節理は貫入岩脈や熔岩流の末端部らしく様々な方向に傾いている。
馬居澤の上流部には放射状節理が彼方に見える場所があると聞いていたのでその場所まで行ってみたが、私にその情報をご教示下さった方もうろ覚えで在った為か、その場所では周囲が杉の林で遠くを見通す事も出来ず残念ながら観察する事が出来なかった。
最後にこの付近を杉木立に邪魔されながらも見渡した画像を紹介して次の露頭に移動しましょう。右手がこの上の画像~瀧に続きます。

次回は底瀬の露頭をご案内します。

2014年11月25日火曜日

西ノ島 噴火開始からほぼ1年

西ノ島の噴火が観測されたのが2013年の11月20日。画像は何れも海上保安庁海洋情報部の「日本の海域火山データーベース」から引用させて頂いたものだが、上の画像は10月17日現在の火口配置図、下は海底噴火の初期の画像である。
上の画像の複雑な熔岩流が、溶岩の粘性の低さを物語っている様に思える

詳細は、海上保安庁海洋情報部の海域火山データベースでどうぞ、海上保安庁のHPを開くと判ります。11月20日に最新画像のお知らせがあったのだが10月の画像しか見つからなかった。残念!

本宿:馬居澤の露頭 (5) 熔岩流


全景は木々の繁茂で中々見通せないのだが、この上の方は分厚い溶岩が存在している。
下の画像は、やや右手に移動して溶岩の下から見上げたものだが、上の分厚い溶岩も視野に入っている。この画像の中央部分の溶岩は、貫入岩よりは陸上を流れた溶岩の雰囲気が強い。第四紀の陸上熔岩は、上下にクリンカー状の発泡部が存在するので直ぐ分るのだが、第三紀の溶岩はこの発泡部分がガラス質なので風化に耐え切れずに残存していないらしい。
上下ともに溶岩の断面が存在する中で、この部分だけは側面と底面を観察出来る事が興味深い。
上の画像では下の熔岩流は薄いものが数層重なっているので貫入岩脈の底部とも見えない訳では無いが画像の範囲の外側になるが右手に存在する柱状節理の冷却方向から見て熔岩流なのだろう。

2014年11月24日月曜日

本宿 馬居澤の露頭 (4) 岩脈に架かる滝

前の露頭の裾を巻いて上流の完全に埋まってしまっている堰堤から河床を少し歩くとこの滝が有ります。林道からもこの堰堤の手前から入る事が出来ますが、場所を見積もり難いかもしれません。
国土地理院の十進法座標系では、右岸から砂岩に渡る橋のやや上流の
 [ 36.223342,138.705851 ] 付近から渡れたと思います。

右岸側には崩れた石垣の杣道が有り、魚は恐らくこの滝で上流への道を閉ざされるのでしょう。
右岸砂岩共に柱状節理が発達しています。
そうそう、この少し下流にもう一か所面白い熔岩流の構造を観察出来る場所が有ります。
杉林のために露頭全体を中々画像に捉えにくいのですが興味深い場所です。これはまた次回に。

2014年11月23日日曜日

アイスランド カルデラの陥没


黒煙を噴き上げる爆発的噴火では無いので日本では殆ど報じられることが無いが、アイスランドの噴火が続いている。上の画像はアイスランド気象庁のhpから引用させて頂いた11月18日の“Holuhraun (north of Vatnajökull)”火口からの溶岩流出の状況。最近“RUV”から2分32秒の動画が公表されたが凄まじい勢いだ。
下のグラフは、“Bárðarbunga ”カルデラの陥没の進行を示すグラフ。GPSを設置してからのデーターなので実際はこれに約0Mを加える事になる。陥没の範囲も広がっている。
陥没の発生場所と溶岩の溢れ出す場所が40km以上も異なるのが、ここで連載し始めている本宿カルデラとからまって興味深い現象だ。

2014年11月22日土曜日

本宿・馬居澤の露頭 (3) 岩脈


馬居澤の前に紹介した二つの露頭の間には、実は岩脈の露頭が沢山ある。勿論,湖成層の傾いた地層の傍にも見上げると驚くほど近くに岩脈が有るのだが、画像はその中でもやや小さい方かな?岩脈の下を巻いて伸びる細い道らしきものが有り、これを超えるとまた大きな岩脈や熔岩と瀧があるのだが、その瀧の手前をこの細い道は巻いてなんと石垣を築いて居る。
勿論、その石垣は既に部分的に崩壊しているのでかなり以前のものらしい。対岸に車の通れる道が出来る以前にこの場所は植林の人々が通った場所なのだろうか?

話がずれたが、この岩脈の岩石もこれまたかなり硬いのです。
この処少々忙しく、あっという間に10日以上の日々が過ぎてしまった。もう少しこのブログも続けなくてはと思いつつも最近少々フィールド歩きで疲れ気味。