2018年8月9日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:8月1日⇒7日;15火山 

本資料はスミソニアン博物館による“GVP”により毎週木曜日早朝に公開されるデータを抄訳してご紹介するものです。
New Activity / Unrest
Ambae  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
報道に拠ればこの間の凄まじい降灰による生活の支障から逃れる為に島民は避難しました。8月8日現在“Espiritu Santo (W) and Maewo (NE)”島に 3,000 名が避難しています。ビデオによる観測では“Ambae”南部では道路がラハールで通行出来なくなっています。

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060 | Elevation 3295 m
7月30日から8月5日の間、山頂火口からのストロンボリ式噴火と火山ガスの放出が続いています。“ Bocca Nuova crater”火口の三か所の火口は活動的で、二ヶ所からは火山ガスの放出が続き、三番目の火口では突発的なストロンボリ式噴火が発生しています。“Northeast Crater (NEC)”の三か所の火口も活動的で、一ヶ所からは火山灰が、他の一ヶ所からは水蒸気が、三番目の火口からはストロンボリ式噴火で白熱岩塊を火口縁より上空まで放出しています。静謐な数か月の期間を経過後、東側山腹の東部火口の中の“ New Southeast Crater (NSEC)”から爆発的噴火が再開しました。活動は8月1日0608時に山頂火口よりも高く灰褐色の火山灰の噴出して始まりました。噴火はより多くの火山灰の噴出から夕方にはストロンボリ式噴火に移りました。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | Elevation 813 m
8月2日“ Anak Krakatau ”から一度に複数の噴火現象が始まりました。濃い火山灰の噴煙は山頂より 300 m 上空まで立ち昇り、濃い黒色の火山灰は1757時に 200 m 上昇しました。8月5-7日の間は濃い灰色の火山灰が山頂より 200-600 m まで上昇し、夜間には火映現象が観測されました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。火口から半径 1 km 以内は立ち入り禁止です。

Nevados de Chillan  | Chile  | 357070 | Elevation 3180 m
“Nicanor Crater”火口内の“Gil-Cruz lava dome”溶岩ドームの成長を伴いながら活動は継続しています。地震活動は中規模で長周期地震と火山性微動が中心です。警戒レベルは「オレンジ」。半径 3 km 以内は立ち入り禁止です。

Sierra Negra  | Isla Isabela (Ecuador)  | 353050 | Elevation 1124 m
この期間も活動は継続しています。連日活動中の溶岩流の白熱状態が観測されます。8月3日2220時から火山性微動が強まった状態が2時間続き、その後に波状の活動が北側山腹で始まりました。4日には少量の火山ガスの噴出が観測され、6日には水蒸気と火山ガスの噴出が観測されました。

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 | Elevation 2997 m
白い噴煙が火口縁の上空 100-300 m まで上昇しています。警戒レベルは“1-4”段階の“3”。半径 4 km 以内は立ち入り禁止。

Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 | Elevation 1117 m
7月30日から8月6日までの間に、8回の噴火が南岳火口で発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km まで上昇し、噴石を 700 m まで分湯津しました。ました。火映は時折観測されました。亜硫酸ガスの噴出量は8月2日の観測では日量 3,200 トンでした。警戒レベルは“5”段階の“3”

Copahue  | Central Chile-Argentina border  | 357090 | Elevation 2953 m
7月16-31日の間、107回の噴火と永代の流動を示す266回の地震が発生しました。ウエブカメラでは火山ガスと火山灰を含む噴煙が“El Agrio crate”火口から 1.5 km 以上上昇し、夜間には火映が観測されました。警戒レベルは「イエロー」火口から半径 1 km 以内は立ち入り禁止。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
8月1人3-7日の間火山灰を含む噴煙が高度 1.8-2.1 km に達しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  | Elevation 1103 m
7月29-31日と8月1日に噴火により火山灰を含む噴煙が高度 6 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」

Karymsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  | 300130 | Elevation 1513 m
7月27-29、31日に熱異常が観測され、火山灰を含む噴煙が 200 km まで広がりました。航空カラーコードは「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
8月1-2日まではキラウエア火山の“LERZ”における溶岩流出とオーシャンエントリーは変わりなく続いていました。8月3日に溶岩の流速が低下し、4日には割れ目火口“8”からの溶岩流出は停止しました。6日には溶岩の流路は完全に固結し、割れ目火口“8”は泡立つ程度でした。オーシャンエントリー部分での“laze plumes”は激減しました。割れ目火口“8”の溶岩湖のレベルは溶岩流が溢れ出した流路から 5-10 m 下がった位置に在ります。海岸線での小さな溶岩流出は観測されています。山頂火口での崩壊は2日の1155時に観測されました。7日には崩壊地形はほぼ進行を停止ししました。Image courtesy of HVO/USGS



Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
7月30日から8月5日の期間には平均19回の爆発的噴火が連日発生していました。ハイブリッド地震は発生頻度も低く小さな規模のものだけでした。火山ガスと火山灰の噴煙は火口上空 2.6 km まで上昇しました。8月2日の観測では亜硫酸ガスの噴出量は日量で 5,000 トンでした。火口から半径 12 km 以内は立ち入り禁止です。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
7月27-29日と8月1-2日に熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
8月2-4日の間、突発的な火山ガスと火山灰の噴出が続いていました。2日の0023時と0700時の噴火では火山灰を含む噴煙を夫々 1 km と 300 m 上昇させました。4日の1600時の噴火では火山灰を含む噴煙を 300 m 上昇させました。
以上
以下は“Vanuatsu”の火山


2018年8月8日水曜日

10 years since the August 7, 2008 eruption of Kasatochi.

昨日はアリューシャン列島の中の直径 3 km 程の小さな火山島“Kasatochi”が、巨大な火砕流により島の海岸線が沖に 400 m も先に広がる程の噴火を起して10年目に当たる日でした。島は“Alaska Maritime National Wildlife Refuge”として、特に許可を得た科学者のみが入域出来る火山における植生や生物の再生研究の場として有名です。この火山に関しては多くの研究がなされている様ですが、“AVO/USGS”から2017年に発行された専門家向けの “GEOLOGY OF KASATOCHI VOLCANO ALEUTIAN ISLANDS, ALASKA” と云う表紙共137頁の研究書と関連資料が公開されています。
文献は専門所の領域に有るので、ここでは幾つかの画像を抜粋してご紹介します。
Image courtesy of AVO/USGS,
“GEOLOGY OF KASATOCHI VOLCANO< ALEUTIANISLANDS,ALASKA”











以上

2018年8月6日月曜日

岩槻区南部の三つの「久伊豆神社」

この付近には四か所の「久伊豆神社」が存在する。一昨年にその中の一つと地域では比較的大きな神社で石材の調査を行ったが目ぼしいものにぶつからなかったのでつい他の三か所の「久伊豆神社」を訊ねないままに時が過ぎていた。8月6日は猛暑の予想にしては早朝から日陰では涼しい風が吹いていたので、およそ 6 km 程のコースを歩いて残りの久伊豆神社を訪ねる事とした。何れも、伊豆の凝灰岩石材の使用が確認出来たので、夫々の扁額(「みどり」と呼ばれる彫刻に適した凝灰岩質石材が使われている)、本殿亀腹に彫られた建造時期、本殿礎石をご紹介する。

真福寺久伊豆神社扁額:縁取りの龍の彫刻にご注目頂きたい。尚、現在の淡褐色は緑色凝灰岩の風化色。この例のように屋根を掛けて頂くと非常に保存常態が良い。

同本殿亀腹に刻まれた奉納者氏名と左端に建造時期:明治四十一(1908)年六月。望遠レンズ( 200-300mm )で撮影している。

礎石の一例:次の岩崎の久伊豆神社の小丘上に建造された祠の礎石(七枚目の画像)と実は同じ石材で、彫刻用には適しないが「庚申塔」程度の文字は刻めるので百庚申の塔身等には良く使われている石材です。

岩崎久伊豆神社扁額:これも縁取りの龍の彫刻が繊細で素晴らしい。

同本殿亀腹に刻まれた奉納者氏名と建造時期:一部の文字が欠けてしまったが明治二十六(1893)年一月吉日と読める。

礎石の一例:風化に拠り表面が剥離しているが細粒の緑色凝灰岩で比較的水に強いようだ。

鳥居傍に小丘が築かれて、木造の祠が置かれている。祭神は不詳だがこの祠の礎石に使われた石材。風化の程度が大きく異なるので見た目は異なるが三枚目の画像と同じ石材。

岩崎久伊豆神社は低い段丘の上に鎮座するのだがその南側の未舗装の狭い道筋で邪悪の民の進入を阻む青面金剛像。天保十一庚子(1840)年正月の建立だが石工名は不詳。

下新井久伊豆神社扁額(本殿裏に置かれていたもの)二面共に、緑色凝灰岩だが、縁に龍の彫ものが有る方は他の久伊豆神社の例と同じ。手前のやや明るい方は粒状の凝灰質からなる緑色凝灰岩製。

同本殿亀腹に刻まれた奉納者氏名と左端に建造時期:明治四二十八(1895)年一月

本殿基壇に用いられた伊豆の刷毛目の凝灰岩。似たものが房州石にも見られるが、縞模様の構成から伊豆産と特定。

以上

2018年8月5日日曜日

岩槻区尾ヶ崎:勝軍寺と八幡神社等

8月4日に岩槻の落穂拾いFWの際に立ち寄った尾ケ崎の八幡神社は本殿を取り囲む覆屋の為に基壇に角礫緑色凝灰岩が使われているらしいのだが旨く確認出来なかった。屋根に瓦材の鳩が在るのは珍しい。隣接する勝軍寺の境内は美しく整備されている。境内の宝篋印塔二基(種子の刻まれた塔身:水輪が球形なので五輪塔とするべきか?)の内やや小振りの方の種子の刻まれた部分のみが石材が異なるのに気付いた。岩石は南伊豆の田牛海岸の天窓洞や須崎の恵比須島付近で普通に見られるものだが、石材として仏塔などに使われているものは始めて観た様に思う。
まだまだ暑さの盛りだが一頃の様な「酷暑」とは異なり、日陰に居ると涼しい風が通るので有り難い。稲も穂が出て花が咲き始めている。そうそう、造園業を営んでいる御宅だろうか?庭石用に運んで来たらしい石灰岩はどうやら葛生付近のものらしく、玄武岩質凝灰岩が層状に挟まれしかもチャート片らしいものも観察された。3 km 余り想定外に歩く羽目になったのは自分の手抜き事前調査の結果でしかないが、色々な石材を観察する事が出来た良い一日であった。
尾ケ崎八幡神社の狛犬は凛々しい御姿であった。

屋根瓦に「鳩」が居る。なんでもこの付近では鳩は大切に守られているらしい

隣接する愛宕山勝軍寺の住職の墓石であろうか、宝篋印塔と五輪塔を合わせた様な形状だが、何故か種子を刻んだ塔身だけが補修されたのか材質が異なる。

種子部分の拡大図。画像ではそれ程ではないが黄色味を帯びた基質に白い斜長石の斑晶が目立つ小豆色の安山岩塊が包まれている。石材として用いられるのは珍しい。



同じ種類の岩石は岩石は南伊豆の田牛海岸の天窓洞や須崎の恵比須島付近で普通に見られる海底火山の噴火に起因するもので、画像は二枚とも恵比須島付近。



青面金剛像は明和三年六月の銘が刻まれていた。岩質は安山岩だが産地などの詳細不詳。

緑色の稲に穂が顔を出し、緑の色がやや穏やかな色合いに変わる。FW時は三脚を持たないので、稲の花を写すのはこの程度が限界か?

造園業者殿の畑の中に置かれていた石灰岩。脈状に玄武岩質凝灰岩が挟まれている。佐野付近の石灰石山の山麓付近では良く目にする。でもチャートまで一緒なのは私には珍しい。尤も、葛生の石灰石鉱山にもチャートの露頭が在ったので不思議では無い。

石灰岩の参考用画像で栃木市鹿沼の出流山万願寺の北東側を走る観音入林道と云っただろうか?満願寺の奥ノ院を眺め降ろす付近の層状石灰岩の露頭

以上

ストロンボリ火山の噴火:8月5日9時過ぎの画像

パソコンで作業をしながら第二画面にストロンボリ火山のライブカメラを表示していると時折大小様々な噴火の様子が見られる。大体は画像をキャプチャー出来ずに消えていくが、珍しく旨く取りこめた。

8月5日午前9時過ぎの噴火画像をキャプチャーした。噴火のタイミングは一定じゃないので、この画面だけを見ていてキャプチャー使用とするのはまず我慢できない

昼間の火口付近。7月27日の噴火直後の画像。現地が昼間の場合はあまり面白い画像にならない。参考用に昼間の火口の位置

以上