2016年8月5日金曜日

猿橋付近の地質観察 (3) 猿橋付近の猿橋溶岩

猿橋溶岩の流れた年代については、最近産総研から発行された「富士火山地質図」第二版の中で“BC8700”以前と言う値が示されていますが、「“F-Kat”の下位」と備考が有ります。“F-Kat”とは「桂溶岩流」の事ですが、この溶岩流の年代は“9470±40yBP”と有り整合が取れていません。
猿橋溶岩流は、この先ほんの少しで流れが停止しているので殆ど末端に当たる訳ですが、末端部と言う条件を考慮しても、その厚さには少々がっかりしてしまいます。
猿橋と郷土資料館の有る公園を結ぶ散策路の上に溶岩が顔を出しています。

柱状節理の厚みは場所により多少の差はありますがせいぜい2m程度です。
陸上熔岩の定式通り、地面との接触面は荒れています。

もう一枚、これは別の場所です。

熔岩そのものは、やや青木ヶ原溶岩に似ていて、斜長石の小さな斑晶が含まれています。

2016年8月4日木曜日

猿橋付近の地質観察 (2) 猿橋

表題に「猿橋」を歌ったのですから岩石には関係ないけれど猿橋も御紹介しておきましょう。猿橋は、此処で基盤岩の安山岩質火砕岩が露出し、桂川がその流路を非常に狭くされた為に掛ける事が出来た訳ですから満更地質に無関係という訳でもありません。右岸側に観察路が在り、側面から観察し易くなっています。

現在は猿橋も「永久橋」として建設されていますが、本来の猿橋は、材木の耐用年数が短く、殆ど20年を経ない内に架け替えを余儀なくされて来た歴史があります。構成部材に屋根掛けしているのは、材木の耐用年数を少しでも伸ばそうとするものです。

下の画像は、奈良の法隆寺五重塔の一部ですが、支点を前方に張り出そうとする思想は、屋根を張り出す為に採られているこの様な構造に似ているように思います。

此の張り出しの構造は右岸・左岸共に基盤岩を掘り込んで角材を差し込み、その上の石材の重量で支えているようです。橋が架かっている場所の地盤強度があるからこそ採用できる工法です。

橋の上の面はゆるく湾曲していますが、補強の桁材は途中で両方の傾斜を無視して平らに掛けられています。

昔はトラックが橋の上ですれ違う事の出来るほどに幅が広かった様ですが、現在は観光客用に特化されているので、幅は意外と狭くなっています。皆さんが歩く面だけは材料が木材なので時々消耗品として更新されます。

2016年8月3日水曜日

猿橋付近の地質観察 (1)

11月に開かれる博物館の地質観察会の下見に、猿橋とその周辺の地質を二日間でしたが観察してきました。興味深いものを見る事が出来ましたので御案内します。
最初は猿橋河床の基盤岩の観察です。基盤の火砕物の成層していない分部の風化した表面です。

やや判り難いですが、成層したように見える部分です。後日、別の露頭の成層した部分を見て頂きます。

フレッシュな部分は美しい青緑色を呈しています。

河床の攻撃面には、堆積した時の構造が見える部分があります。
この前に突き出た部分の極一部を次に紹介します。画像前面の木の葉での直ぐ上の部分の拡大です。望遠レンズを使って撮影しましたが手持ちなので少しぶれましたか?



私の手元の山梨県地質図では判り難いのですが御坂層群川口累層か小沼累層の主として石英安山岩質凝灰岩と言った処でしょうか?