2017年9月16日土曜日

成東石 (1/3) 庭石や石碑の礎石に用いられた石材

九十九里浜から少し内陸側にはいって段丘に至る境目に、少々巨大だが不均質な炭酸塩コンクリーション(ノジュール)とでも言いたい様な少々不思議な岩石で構成されている部分が有る。この付近を産総研のシームレス地質図でチェックすると「中期更新世(Q2)の海成または非海成堆積岩類= 約70万年前~15万年前に形成された地層」と書かれているのだが、主要産出地には「付近ではあまり見られない硬い岩石で、これは沖積世の縄文海進により、この丘が海岸線に面した時、石灰質の物質の浸透により固結した沖積世の凝灰質砂岩である」と千葉県教育委員会と山武市教育委員会名の説明版が建てられている。
図はその岩石を石碑の礎石として使用している例で、東金市松之郷に立地する八坂神社の境内に在る。石碑の部分は宮城県石巻市産出の「井内石」。碑は「八坂神社参宮道路改修記念碑」石碑部分の高さ: 218 cm, 幅:100 cm, 厚み: 15 cm。昭和五(1930)年の建立である。

礎石部分を位置を変えながら観察してみよう。先ずは背面。

左側面

背面の際立つ凹所

比較的滑らかな側面

次回に、この産地での性状をご紹介するが、この様に自然な状態で板状ではあるが、不均質なので、切石として切り出して礎石などに使用する事は難しいので、この用途は殆どこのような石碑の礎石や、庭石に限られているらしいが、使用例を見掛けるのは珍しいので取り上げてみた。

2017年9月14日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:9月6日⇒12日;21火山

今週から、日本火山の会の皆様への情報提供を少し簡略化したのでこのブログでも同一分を用いて簡略化しています。「衛星画像等のデータ解析から」とか、「噴煙は西側と南東側へ  km」、あるいは「カラーコード」等の説明を省いてしまっているので御注意を!尚、火山名と国名の後ろの6ケタの数字は国際的な火山番号なので、その火山のスミソニアン:GVPの火山情報(画像や噴火史)を英文で読みたければ下記のアドレスの6ケタをその火山の番号に入れ替えればアクセスが出来る。このアドレスはクリーブランド火山。
http://volcano.si.edu/volcano.cfm?vn=311240

Activity for the week of 6 September-12 September 2017 
New Activity/Unrest

Aoba  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
⇒ほぼ1年振りの再登場です。前回は警報レベルを0-4段階の2に引き上げとの情報でしたが続報は在りませんでした。
830日に活動状況が変化したことから、96日に噴火の危険性が高まったとの見解から警報レベルを“3”に引き上げました。半径 3 km 以内の立ち入りは禁止で、貿易風の風下には立ち入らない事が勧告されました。

Fernandina  | Ecuador  |353010 | Elevation 1476 m
941225時に噴火が始まり、カルデラの南側と南西側の割れ目火口から流れ出したが、海に達した兆候は見られない。少量の火山灰を含む火山ガスの噴煙が火口縁上空 4 km に達し、溶岩流も流れ続けたが夕方には勢いが弱まり、噴煙高さはおよそ 2.5 km に留まった。6日には活動は急激に収まった。

Nevados de Chillan  | Chile  | 357070 | Elevation 3212 m
溶岩ドームでの活動は減衰したが「イエロー」を維持。半径 3 km 以内は立ち入り禁止。

Villarrica  | Chile  | 357120 | Elevation 2847 m
8月は天候が悪く、火口付近を観測出来たのは9日間だけだった。92日に火口底で白熱する噴火口が観測された。8300924時の噴火では火山ガスと火山灰を含む噴煙が生じ、後日の調査で雪上に火山灰が観測された。
20164月以来の活動情報です。ウエブサイトに日付が示されていませんがかなり広範囲に火山灰が広がった衛星画像が有ります。画像右手がこの火山です。

Ongoing Activity

Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
94-11日の間に、昭和火口で30回の噴火が生じ、噴石を800mまで噴出。火山灰を含む噴煙は火口縁上空 2.2 km まで上昇。夜間にはほぼ火映が見られる状態。

Bagana  | Bougainville (Papua New Guinea)  |  | Elevation 1855 m
911-12日に、火山灰を含む噴煙が高度2.1 km に達する噴火が発生。

Bezymianny  | Central Kamchatka (Russia)  | 255020 | Elevation 2882 m
91-8日に熱異常を観測。溶岩流はドームの西側山腹を流れ続け、夜間にはドームに火映が見られる。「オレンジ」

Bogoslof  | Fox Islands (USA)  | 311300 | Elevation 150 m
96-12日の間特段の火山活動は観測されていない。98日の報告では、火口湖が狭い陸地で二分されていると報告されましたがまだ画像は公開されていません。地表面温度は上昇したまま。「オレンジ」。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
910-11日に少量の噴気が観測された。「オレンジ」。
 
Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
96-10日と12日に噴火により生じた火山灰を含む噴煙が高度 2.1 km に達しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380 | Elevation 1103 m
92日の噴火では火山灰を含む噴煙が高度 4 km に達しました。3日と6-7日の噴火では高度2.1 km に到達。「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
特段の活動状況の変化は無いが、溶岩湖のレベルが大きく低下した際に火口湖の側壁が崩壊する事態が生じたが、このような事態はこれまで観測されていませんでした。61G溶岩流にも変化有りません。溶岩三角州の亀裂は広がり崩壊の危険性は変わりありません。
98日の画像が公開されています。溶岩表面の亀裂が細かく細分化された様子が熱画像に示されています。
 
Klyuchevskoy  | Central Kamchatka (Russia)  | 300260 | Elevation 4754 m
97日の噴火では火山灰を含む噴煙が高度 6 km まで上昇。「オレンジ」
 
Langila  | New Britain (Papua New Guinea)  | 252010 | Elevation 1330 m
97-8日と10-12日に、噴火により生じた火山灰を含む噴煙が高度 1.8-2.4 km に達しました。

Poas  | Costa Rica  | 34040 | Elevation 2708 m
9130820時の噴火で生じた噴煙は火口縁の上空 300 m に達しました。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
前の週よりは幾分活動は低下したが、94-10日の間、日平均噴火回数は38回でした。火山灰を含む噴煙は火口縁の上空3.5 km まで上昇。火口から半径12 km は立ち入り禁止。

Sangay  | Ecuador  | 352090 | Elevation 5286 m
96日に噴煙が高度 7.3 km まで上昇しました。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
92-3日と6-7日には連日熱異常を観測。7日の二回の爆発的噴火では、火山灰を含む噴煙が高度8-10 km に達しました。「オレンジ」
 
Sinabung  | Indonesia  | 261080 | Elevation 2460 m
96-8日と12日の噴火の際に生じた火山灰を含む噴煙は高度3-5.5 km に達しました。

Suwanosejima  | Ryukyu Islands (Japan)  | 282030 | Elevation 796 m
96日の爆発で生じた噴煙は高度1.5-1.8 km に達しました。
 
Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
9110730時の噴火で生じた噴煙は、火口縁の上空 500 m に達し、130820時の噴火で生じた噴煙は 100 m 上昇しました。
以上

2017年9月11日月曜日

木下貝層の石材利用(9)  参考:古墳時代

千葉県内の印旛郡栄村に千葉県立「房総の村」と云う文か施設が有る。房総の古い民家などを移築保存している施設だが、この地域は「龍角寺古墳群」としても有名な場所であり、古墳の保存もされており、「房総風土記の丘資料館」が併設され専門の研究員も配置されている様だ。残念ながら小生が此処を「古民家」の礎石調査で訪問したのは10年以上前で、どうやら殆ど画像記録が残っていないのだが、此処に行けば木下貝層の固結部(此処では「貝殻石」と称しているが)が古墳に使われた例や、前出の木下街角宿の吉岡家の石塀がこの貝殻石を用いていた事が判る。勿論、吉岡家では既に石塀は改修して居られて現在は花崗岩製の石塀である。資料館の解説パネルの一枚と古墳に使われた貝殻石の画像を御案内する。





取り敢えず、今回を持って木下貝層固結部の石材利用に関しては終わりとします。