2018年4月21日土曜日

草加の石工 (12) 良い事が重なる日もあるものだ。

昨日、4月20日は幸運に恵まれ実り多い一日でした!多くの方々に運を頂いた
 越谷・草加での石材調査。今日は地元の郷土研究会の重要なメンバーで、火山仲間でもあるHさんに貴重なお昼休みの時間を使って、越谷のディープな社寺を御案内頂いた。私一人では、気付かない場所、地図にも神社として記載されていない神社で、草加の石工青木宗義の作品を観察させて頂いた。
石工の歴史を探るこの調査は、石造物の美しい形も学ぶ良い機会となって居る。
画像は越谷市大聖寺の青面金剛像。勿論、草加の石工:青木宗義の作品。この寺院には「四代 青木宗義彫」と刻まれた石碑が存在し、青木宗義調査の重要な資料を得る事が出来た。

同じく大聖寺脇山門の両側には50体ずつ、安山岩質の庚申塔と、凝灰岩質の庚申塔が並ぶ。これは凝灰岩質関座の側だがやはり溶岩よりは風化にやや弱い傾向はある。

地図にない神社の境内の「八幡大神」と「手間天神」石祠は両方とも青木宗義によるもの。伊豆半島産緑色斑石

この手の粒状の緑色凝灰岩が大変に多く使われている。上賀茂付近のこの種の凝灰岩には小豆色の火山岩片が混じるのが特徴。結構硬いが細工には手頃。

これも青木宗義の作品。別の神社だが、鳥居を潜り境内に入ったら直ぐに目に飛び込んできた。

草加の東福寺で、ある方から「これは手が良いね」と紹介して下さった塔。もう少し下から写せばよかった!獅子の顔がりりしい!

その「手が良いね」の石塔の上部。鍵が逆さまなのは、

「決して開けてはいけない!」と云う願主の想いが込められている様だ

2018年4月19日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:4月11日⇒17日;16火山

GVPの火山活動情報の概要を御案内します。
New Activity/Unrest
Ambae  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
4月11-14日の間、高度 1.8-4.9 km まで火山灰を含む噴煙が上昇していました。12日の報道に拠れば、降灰が島の北部に被害をもたらしている様で、画像では暑い降灰が家屋や農耕地に堆積し、飲料水への汚染にも言及しています。15日には、噴火が収まったとVAACが報告しましたが警戒レベルは0-5段階の“3”。
⇒“ABC NEWS”に今回の被害の状況を示す画像が少しですが掲載されているので参考用に御案内します。
http://www.abc.net.au/news/2018-04-16/vanuatu-volcano-eruption-intensifies-covers-ambae-island-in-ash/9664192

Langila  | New Britain (Papua New Guinea)  | 252010 | Elevation 1330 m
4月15日に低レベルの火山灰を含む噴煙が高度 3.7 km に達しました。

Sinabung  | Indonesia  | 261080 | Elevation 2460 m
4月12日の0640時に噴火が発生し火山灰を含む噴煙が 200 m 上昇しました。1655時には火砕流が火山灰を含む噴煙を巻き起こし西南西に広がりました。15日の0827時の噴火では火山灰を含む噴煙が 1 km 上昇しました。警戒レベルは1-4段階の“4”。

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 | Elevation 2997 m
4月11日に噴火が発生し、火山灰を含む噴煙が高度 3.7 km に達しました。

Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
4月9-16日の間、南岳火口で4回の噴火が発生しました。テフラは火口上空 1.3 km まで、火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 2.5 km に達しました。
夜間にはほぼ連日火映が観測されます警戒レベルは5段階スケールの“3”

Bagana  | Bougainville (Papua New Guinea)  | 255020 | Elevation 1855 m
4月14-15日に火山灰を含む噴煙が高度 2.1-2.4 km まで上昇し南西に 110 km まで広がりました。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
4月13日の0759時に小規模の爆発が、地震計と空振計で観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
4月11-16日の間、火山灰を含む噴煙は高度 2.1 km に達していました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380 | Elevation 1103 m
4月7日と11-12日の間、火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達していました、航空カラーコードは「オレンジ」

Fuego  | Guatemala  | 342090 | Elevation 3763 m
4月9日にラハールが西側の山腹を下りました。幅:10 m 深さ:1.5 m のラハールは、セメントの混練物に似ています。12-13日には爆発に伴う火山灰を含む噴煙が 1 km 上昇し、白熱岩塊が火口縁の上空 300 m まで放出され、岩屑雪崩を引き起こしました。降灰は風下側の“Santa Sofía (12 km SW), Morelia (9 km SW), Panimaché (8 km SW), (SSW), Las Lajas (SE), and Honda (E) ravines.”で確認されました。
14日には活動が活発化し17日までその状態が続き、中規模の爆発が毎時 6-9 回観測され、時に、家屋を揺るがすほどの衝撃波を生じました。濃密な火山灰を含む噴煙が 1.1 km 上昇しました。白熱岩塊が火口縁の上空 300 m まで放出され、火口周辺で岩屑雪崩が発生しました。噴火の頻度は16日には更に高まり、毎時 7-10回の頻度になりました。爆発の衝撃波はしばしば東北東に 8 km の町の建物までも揺らすほどです。溶岩流は 1.3 km 流れ下りました。⇒ライブカメラはしばしば、“off-line”になったり、画像が更新されない状態になってしまいます。

Karymsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  |  | Elevation 1513 m
4月11日に弱い熱異常が観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
11日に山頂直下 7-9 km に震源を持つ200回の群発地震が発生し、最大の者はM2.4 でしたが、0230には平常に戻りました。他には特段の変化は無いようです。⇒国立公園のサイトからFBに火口湖内のスパッターの動画が紹介されていましたので参考までにご案内します。
https://www.facebook.com/hawaiivolcanoesnps/videos/1987566441270682/

Mayon  | Luzon (Philippines)  | 273030 | Elevation 2462 m
4月11-17日の間、水蒸気の噴煙が上昇し様々な方角に広がりました。夜間には火口部に火映が観測されています。亜硫酸ガスの噴出量は日量で 2,800, 1,918, 1,621, and 1,617 tonnes/day on 11, 12, 13, and 16 April でした。警戒レベルは0-5段階の“2”。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
活動の激しさは前の週と変化無く、4月9-15日の間は連日15回の噴火が発生しています。地震活動は噴火を示すものだけで、火山灰を含む火山ガスの
噴煙は火口縁の上空 2.2 km まで上昇しています。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  | Elevation 3283 m
4月6日と10-12日に、衛星画像で熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」⇒最近はライブカメラ(30分毎に更新?)では、晴天時には噴煙の影響が無くクリアな画像が観察される事が多くなりました。

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
4月11日に火山灰の噴出が観測されました。
以上
今日のライブカメラの画像は、“Klychevskoy”,

“Popocateptl”,

“Stromboli”,

“御嶽山”,

“諏訪之瀬島”,

“新燃岳”,

“硫黄山”

です。

2018年4月17日火曜日

草加の石工:青木宗義 (11) 草加市中根 女體神社

一時間に多くて二本の運行の「パリポリくんバス」に、

今日はこれで何回目の乗車に成るのだろうと思いながら、中根二丁目でバスを降り、食品会社の駐車場を突っ切って鳥居に向かうと此処が、埼玉に妙に多く感じる「女體神社」。

こじんまりとした神社だが、珍しく本殿は大谷石造りの耐火構造。

燈籠がなんだか変な形だと思ったら、火袋や笠が無くて棹石は在るのだが、異様さを演出しているのは、本来地下に隠れている筈の土台石二段がコンクリート基礎の上に載っているのである。

伊豆の下田付近を主産地とする石灰質生物遺骸(コケムシ・紅藻類その他)の化石細片と凝灰岩が混じって斜層理を明瞭に示す石材だ。



圧縮には強いが引張には弱いこの石材らしく、斜層理の下側が層理に沿ってはがれて不思議な切石の形状を示している。

燈籠の建立は天保三壬辰十二月吉日だから1832年。石工は勿論、青木宗義だが、この時期は署名に使う文字数が何故か一番少なく、「石工 宗義」だけである。
 ここ暫くの草加通いで、文化十年(1813)年から明治四十年(1907)までの、ざっと百年ほどの間の「石工 青木」の関わった石造物39点中の30点は金曜日で観察完了となりそうだ。追っかけはそろそろ卒業してデータを整理し、今回の追っかけの不思議な体験の切っ掛けを造って下さった、神明町の三社大神神社の氏子総代様ご挨拶に行こうかな?等と考えている。

草加市柳島:旧大日堂跡の六地蔵

草加の石工:青木宗義氏の事は別にして、大日堂跡には建立時期は不詳だが六地蔵と馬頭観音が安置されていた。馬頭観音は色白の安山岩だと思われるが、



六地蔵は見た目に二種類の石材が使われて、左から①,③,⑥は、実は良く吟味しなかったので、今日画像を観ながら「おや、怪しいな!」と思って、安山岩かもしれない等と思いながら、同時期に造られたものだろうから、恐らく細粒の緑色凝灰岩が使われていて、表面は風化で淡褐色を示していると考えている。

②,④,⑤は、緑色凝灰岩が団子になった粒状の集合体で、所々に、小豆色の火山岩片が入っている。伊豆の凝灰岩としては大変に多く使われている岩種。

但し、下図に示す様に、この斑の石材と細粒緻密な石材は実は同じ石切り場に共存している。同じ石屋が手に持つものが違っても、似た様な御姿の地蔵菩薩を彫るのに敢て、安山岩と凝灰岩を使い分ける事も無いだろうと思う。6枚目の画像は、同じ草加市内吉町の日枝神社の玉垣に使われている石材の画像。

お地蔵様の蓮華座には、夫々の「種子」が刻まれているのだが、これが中々難しくてネットで調べても半分くらいしか判らないので説明は省略させて頂く。

ノートを整理していたら、地蔵堂脇のコンクリートの破片が目に入った。骨材がほぼ全てチャートなのである。

一つだけ、真っ黒なガラス片のようなものが有る。気泡の辺りと割れ目の形状から黒曜石よりも水冷玄武岩かもしれない。

この骨材は一体何処から来たのだろうか?群馬方面だろうが、石が在れば興味は尽きない。

2018年4月16日月曜日

草加の石工:青木宗義 (10) 草加市柳島 旧大日堂跡

「石工:青木宗義」の追っかけは未だ継続中。そろそろ終わろうとは思っているのだが、34件中21件を観察したので、あと一歩を進めたい。参考にしている文献には31件のリストが掲載されているが、その後、草加市内で一件、市外で二件を追加している。
今日は、以前にこの直ぐ近くまで来ていながら、この場所には気付かなかったのだが、石工・青木宗義が手掛けた「名号塔」が一基と、出羽三山の三山講碑が一基存在した。
石塔は、三基が並んでいて、その中央が三山講の、右側が名号塔で、左側の青面金剛は石工名は不詳。

ご覧に頂いてお判りの様に、中台と上台は夫々に同じ石材なのだが、棹石の石材が両方ともに下とは異なるので、少々違和感を覚えたのだが、よくよく見ていると両方ともに背面に明治三十六(1903)年十一月の修復が殆ど判らない程度に淡く彫られていた。

名号塔の下台右側面の講中の構成村名

文政十二己丑年(1829)の名号塔と天保十二辛丑(1841)の三山講碑が、

恐らく台石と同じ安山岩が用いられていたに違いないのに、二基とも同時に僅か70年後に、自然風化で棹石を新たにする事は考えられないので何らかの災害で棹石が破損したか紛失したとしか考えられない。明治時代の埼玉県の災害史を調べてみると、明治二十三(1890)年に大洪水の記録が在り、流失家屋720戸とある。どうやらこの洪水がこの二つを破壊したらしい。
青木宗義の署名は下台の左側に刻まれていて、これが隣接する台石との間隔が狭く、マクロレンズでも正面から画角に入らないので少し斜めに撮影して記載文字を確認。斜めに撮影したためか、石材の質でそうなったのかは判断出来ないが、どうも二つの署名の文字が異なる様に思えてならない。



さて、どう思いますか?特に「義」の「我」の偏の運びが大きく違いますね。

草加の石工:青木宗義(9) 越谷市金明町 氷川神社

4月5日は草加市金明町の氷川神社に伺いました。此処に月山信仰の石碑が有り、やはり青木宗義の作だとお聞きしたからです。
実は、此処は二度目で、以前伺った時にはその石碑には気付きませんでした。今回は「有る」と云う情報が有りましたのでやっと探し出しました。









お名前の一部が蘚苔類に覆われて苗字の方が全く読めない状態で、余程、常備のスクレーパーで蘚苔類を剥がそうかとも思いましたが、兎に角、石造物には手を掛けない原則を曲げる訳にはいかないので我慢。石材がやや粗いのが残念ですが、すっきりとした整った文字だと思いました。

氷川神社の扁額が気になり望遠で撮影したのですが、どうやら最近の製作の様でした。

この日は清蔵院側の川沿いの「久伊豆神社」でも彫りの素敵な扁額を拝見しました。

久伊豆神社の石材は目視では凝灰岩かと思ったのですが、望遠レンズで撮影してみると安山岩の様ですね。残念!
(少々訳在りで、⑧回目はブログから削除しています)