2016年8月13日土曜日

長浜砂礫層の海岸露頭

干潮時に上総湊の海岸を少しばかり北に向かうと、小さな河口に出る。その河口の手前側一帯は「長浜砂礫層」の海岸露頭で、やや小粒ながら、実に多種多様な岩石の円礫を採集することが出来る場所です。礫の起源は、千葉県内に限らず関東の様々な場所のものが含まれています。
潮が引いた渚の方がやや大きな岩石が分布していますが、これは潮だまりだったりするので、岩石採集には、渚の砂の上に寄せられたものの中から探すのが一番です。
今日はその崖の礫層の画像を数枚。真ん中に17cmのスケールを置いています。偽礫に挟まれた基質部分に小礫が分布しています。


スケールの辺りを切り取ってみました。以下の3枚は同じピクセル数で切り取っているのでスケールは全く同じです。







ホントに希ですが、小さな蛇紋岩礫が取れる事もあります。蛇紋岩礫は嶺岡から来ます。

2016年8月10日水曜日

猿橋付近の地質観察 (7) 脱線・余談-2  「扇の山」熔岩

鳥取県に在る「扇ノ山」(おうぎのせん)は一般的には「単成火山」と言われていますが、実は神鍋単成火山群と横田単成火山群に挟まれた「扇ノ山単成火山群」と言った性格を持ち、この付近の「若桜」地質図には扇ノ山火山岩類として「広留野溶岩:紫蘇輝石角閃石安山岩」,「扇ノ山上部熔岩:紫蘇輝石普通輝石橄欖石玄武岩」と更に「扇ノ山下部熔岩:石英含有普通輝石橄欖石安山岩」に分類されている。
この広留野溶岩はかなり大量に流れていて、末端部でも実に凄まじい柱状節理を見せている。


図は国道29号線の山崎橋バス停から眺めた旧採石場にみられる柱状節理群。国道の標高が地理院地図で154m,山頂の標高が351mだから、標高差はざっと200mもの熔岩の厚さに成る。

2010年に撮影した画像なので解像度が悪いのが残念。現在の鉱山法ではこんなに垂直な壁が残る様な採掘法は認められていない。水平方向の縞模様はどうやら採掘時のものらしい。






扇ノ山の溶岩は全部玄武岩質だと思っていたが、安山岩質の方が多い様だ。しかし、安山岩質にしてもかなり粘性が小さくて此処まで流れ込んで滞留しゆっくり冷えたのだろう。

実は、猿橋熔岩もこんな風景を期待していたのでチョット気が抜けた次第。でも、面白い地質が観察できる場所ですよ。、

2016年8月9日火曜日

猿橋付近の地質観察 (6) 脱線・余談-1

猿橋熔岩の末端に近い場所で富士山から流れ出した玄武岩熔岩を観察したのだが、これまで写真では観ていたものの、末端部分での規模が小さいのに少々がっかりした。
大きな溶岩だまりの様なものが出来て流れが止まってしまったのだが、観察できる部分は小さいだけだとと思っていたからだ
そこで、山口県と鳥取県で観た単成火山から流れ出した玄武岩溶岩の柱状節理の画像を見て頂こうと考えた。最初は、島根県との県境に近い現在は萩市と合併した旧須佐町の「畳ヶ渕」は「伊良尾火山」から流れ出した溶岩が川沿いに流れ深い淵に滞留した際に大きな柱状節理が出来たものとされていますが、山口県立山口博物館のサイトでは別々(No.28, No.29)の単成火山とされています。近くの「龍鱗峡」も見事ですが、残念ながら道を間違えて見に行く事が出来ませんでした。

スケール代わりに茶色の防水カバー月のフィールドノートを置いています。



やや上流(鈴野川-田万川支流)の河床風景です。

2016年8月8日月曜日

猿橋付近の地質観察 (5) 基盤岩と猿橋溶岩の不整合

基盤岩が桂川に削られた処へ猿橋溶岩が流れてきて、傾斜不整合が出来ている。大月市内の平地と現在の河床との高低差がおおよそ40m。これに対して、この部分の猿橋溶岩は複雑に厚く堆積して居て10m程度。とすると、8,800~10,000年程度の年月で桂川の河床が30m余り下刻された事になる。結構下刻速度は早いものですね。
場所は大月市の市民会館近く。高月橋のやや上流で、橋からは河床付近の駐車出来る広場が見える。本来は鮎釣り客用のものらしいので空いた時期を狙っていくしかない。対岸ながら露頭の規模が大き過ぎて一発では収まらない。
まずは上部の猿橋溶岩との不整合面付近。猿橋付近と異なり、この付近は熔岩の厚みも有り、その積み重なった様子も良く観察出来る。


傾斜した基盤岩の成層部分と、火砕物の無層理の部分が下に出ている。
次は、下部に焦点を当てた画像

傾斜した基盤岩は、観察場所の左岸側の広場の直ぐ下流側で観察可能。

成層した層の下には無層理の部分が見えていたが、これは広場からトコトコ護岸の上を歩いて上流に行くと滑床になっているので水量が余程多くなければゆっくり観察可能だ。

無層理の部分には所々に断層でぐしゃぐしゃの部分が有って、こんな風に脈が飛び出している。

勿論、基盤岩の部分は成層した部分もこの様に美しい色を示す。でも多分、この色はいずれ退色してしまう筈だ。

尚、成層部では時にこのように漣痕が観察される事が有る。

ではもう一度熔岩部分に焦点を当てて一枚

2016年8月7日日曜日

猿橋付近の地質観察 (4) 小沢川沿いの枕状溶岩

中央線が山梨に入ると地形的な制約で結構な山の上に住宅団地が造成され、居住者の為の巨大なエスカレーターなどが設置されて居て、平地にしか住めない私にはかなり脅威なのだが、そんな一つに大月の「桂台」と言う団地が有る。
国土地理院の地形図で猿橋駅前の標高が 325.7m, 団地の南側で 429.5mだから約100mの高台に位置している。台風の時は厳しそうだ。この造成された団地の東側に小沢川が流れている。
途中の水路が狭まっている部分にはかなり堅い火砕岩の露頭が在ったりするのだが、道路沿いに枕状溶岩の露頭が有ったので御紹介する。但し、かなり風化でぐずぐずになっている。
露頭の状態のままではとても枕状溶岩とは思えないだろうから、見易い角度に回転している。

表面を細かく観察していると、本来の外皮の部分とそれ以外の断面が判断できるが、とても偏光顕微鏡で観察する為の試料を採取出来る様なものでは無い。決め手は杏仁構造である。
枕状溶岩は外側に近い部分が発泡して居る事が多く、此処に方解石や沸石が詰まっている。
この断面では細長い形状の杏仁構造。



フレッシュな露頭を探したが、この付近では薄片が出来そうな堅い枕状溶岩の露頭は無く、結局火砕岩の露頭だけを見付けた。参考までに掲示します。勿論、これは基盤癌では無い。直ぐ脇には輝石が少量含まれている安山岩の露頭も。