2011年9月10日土曜日

桜みかげ・万成石:D-3;蓬莱橋

右岸側から蓬莱橋の歩道を見通してみました。雨が降っていましたので通行人は誰にも会わずにいましたので、御影石の上に荷物を置いてゆっくりと撮影する事が出来ました。歩道でも車道に近い「艶消し」の部分がどんな仕上げなのか?良く見なかったのですが、恐らく自転車に乗る人々の為に滑り止めを施しているのでしょう。

旭川上流の地質に少しだけ戻りましょう。先日ご案内した国土交通省の河川整備基本方針のHPにこの旭川も109河川中の76番目に取り上げられています。
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/asahi_index.html
この中の「旭川流域及び河川の概要」に、流域の地質や河川勾配などが本当に概要ですが記されていますので、大まかな状況をチェックするには便利です。
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/pdf/asahikawa76-5.pdf
15頁には県北で「たたら製鉄」に使われた砂鉄をマサから採掘していた事も書かれています。

2011年9月8日木曜日

桜みかげ・万成石:D-2;蓬莱橋

歩道の床面(踏面)です。これはバーナー仕上げなのでしょうか?仕上げ方法による表面の違いは何れ、画像で比較しながらご紹介しようと思っていますが、
花崗岩を構成する石英や長石等の熱膨張の違いや熱伝導と膨張速度の違いを上手く利用した「バーナー仕上げ」と言う加工法が在る事は今回初めて意識しました。
尤も、今回の見学を終えて帰宅後に、調べている内に、2008年の茨城県立自然博物館の第44回企画展「ザ・ストーンワールド:人と石の自然史」の解説書にこの加工法が掲載されているのを見て、なんだ、博物館の展示をきちんと見ていなかったのだな!とがっかりした次第ですが・・・
石のブロックの脇にスケールを置きました。平らな床面や取り敢えずスケールを置ける場合は良いのですが、垂直に立った柱などの石材のはスケールを置く事が出来ないので苦労しますね。
私は、このような時の為に、エクセルで碁盤の目の模様を書かせ、ラベル用紙に印刷したものを使っています。1mm間隔には目盛を作る事は出来ませんが2.5mm以上ならばこれまでのパソコンで作れました。“Windows 7”ではまだ試していません。
数人での巡検なら誰かにスケールを押さえて頂く事も出来ますが、一人巡検では意外と有効な道具になります。
金曜日に桐生から黒保根付近を歩く事にしたので、早朝にUPする事が出来ません。例外的に前日UPとしました。
今日は、博物館で改めて万成石のサンプルを三脚を使って撮影しました。また、木曽川で採集していた円礫の中にピンク色のカリ長石を見つけたので、これも撮影してみました。何れご紹介しようと思います。万成石は実体顕微鏡で最大倍率の40倍で、小型カメラを使用し、コリメート法で撮影しました。この撮影にもやっと慣れてきました。カリ長石の板状の結晶が良く見えました。

桜みかげ・万成石:D-1;蓬莱橋

竹久夢二の詩碑から直ぐ傍の橋です。歩道面に万成石を敷き詰めています。図は右岸上流側の部分欄干部分の御影石と歩道部分の桜みかげ:万成石とのバランスが絶妙です。橋の入口は懐を広く取っていますゆったりと散歩をするのにも良さそうです。

大きな川を見るとその上流の地質の事をつい考えてしまいます。
旭川はまだ上流を歩いた事がありませんが、倉敷の西を流れる高梁川は上流の地質に興味があって歩いています。「美袋:みなぎ」と言う小さな文化財の指定を受ける様な無人駅が在って、美人猫の駅長がいました。(6月15日を参照下さい)美袋の駅の対岸は鶴の飼育の為に立ち入り禁止ですが、もう一つ上流の青い鉄橋を渡ったあたりは右岸に広い礫浜が広がっており、石灰岩の円礫を含む不思議な礫が在ったりして興味深い場所です。
上流の地質を見る時は、国土交通省の河川整備に関するこのHPをチェックします。
http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/index.html
目的の河川をチェックすると、河川勾配や流域の地質等が要約されてデータが入手出来ます。後は、地質図や画像の地図を見ながら、河川敷を歩く場所を探します。岡山方面を訪ねる機会が在ったら旭川の上流を歩いてみたいと考えています。

昨日7日、出勤時に何時もと少しだけ通勤経路を変えて、地下鉄半蔵門線の住吉駅から江東区大島にある「ティアラ江東:公会堂」を経由してみました。横十間川のほとりに立つこの建物には万成石に似た淡いピンク系の花崗岩が外壁や外回りの階段等に使われています。カリ長石の色合いがやや淡く透明感が高いのですが、植え込みの囲み等には角閃石や黒雲母の量が多く全体にやや黒い感じがするものが主に使われている様です。関係者(?)の銅像の台座の大きな(ざっと1.5m角程度の立方体)は万成石の様です。外壁は雲母の量がやや少ない明るめの壁材でした。
植え込みの石材にはとても薄いのですが、10cm角以上のカリ長石の形が浮き出しているものもありました。都内の万成石のご紹介の折に画像をご紹介する積りです。石材の観察に夢中になってもう少しで遅刻する処でした。北千住駅の階段は、何時も急いで駆け上り、駆け下るのでよく観察する事が出来ませんが、砕石を使用した合成板(コンクリート?)かもしれません。

2011年9月7日水曜日

桜みかげ・万成石:C-2;後楽園の周り

前の画像と大体同じ場所だと思うのですが、あるいは後楽園に向かって左側だったかもしれません。雨が降っていましたので石の表面がテカラないのでしっとりしています。
上側の黒い部分はやはり苔や黴の様なものでしょうか?でも、決して汚れているとは思えません。夫々に風情を醸し出していると思います。
下の画像はその一部分を接写で拡大したものです。カリ長石が美しいですね。
最近、歩いている時に「万成石」或いは「万成もどき」に良く出会います。月に10日ばかり、JR常磐線の北千住で私は乗り換えをするのですが、この階段と床に少し汚れてはいるけれど万成石の様に見えてしまいます。
但し、少しばかり結晶粒径が小さい様に思えるので違うかもしれません。
緑ばかりではなく、黒にもマッチングが良さそうです。

2011年9月6日火曜日

桜みかげ・万成石:C-1;後楽園の周り

旭川に架かる「鶴見橋」を渡って後楽園の入口付近には万成石が使われています。この石柱は幅30cm程度だったでしょうか?緑色の苔/蘚苔類(正直良く判りません!)が万成石のピンクとよく調和しているように思えてカメラを向けてみました。
画像の順番から考えると後楽園の入口の右側だったように記憶します。所々にカリ長石の破断面が見えます。カリ長石の硬度をズルしてネットで検索すると「正長石」として解説されている事が多いですね。硬度は“6”。
石英が“7”ですからかなり堅い方ですね。
武田石材さんの工場や事務所付近には「マサ」が敷き詰めている様でしたが、このピンクの「カリ長石」が目立っていました。勿論、石英も多いのでしょうが、粒径は石英よりもカリ長石の方が多いので色合いと相まって目立つのでしょう。

2011年9月5日月曜日

桜みかげ・万成石:B-2;竹久夢二詩碑

自然石の一面を切断研磨して詩の一部を刻んでいます。文章の無い部分の「余白」と周囲の鉄錆部分の色合いが素晴らしいですね。
此処のカリ長石には「ヘマタイト」と言う鉱物の極く微小なものが含まれていてその為にこの優しいピンク色が在るのだそうです。(産総研・地質情報展おかやま ポスター「万成石を観察しよう」)
2008年に茨城県立自然史博物館で開催された「ザ・ストーンワールド-人と石の自然史」の資料を拝見していると、スペインの「ジェニート・モンチーク」と言う石材は、カリ長石の部分がピンクには思えません。
また、フィンランドの「バルチックブラウン」と言う花崗岩は直径 1~5cmの卵のようなカリ長石が目立ちその周囲を灰曹長石が囲んでいます。美しい花崗岩です。花崗岩と一つの言葉で括られていながら、実に岩相が異なるものが多く、岩石を学ぶ者にとっては結構手ごわい相手です。
私は万成石を知るまではノルウエーのブルーパールが花崗岩の中では一番好きでした。先日千鳥ヶ淵の戦没者墓苑を訪ねる途中で半蔵門からの途中にこのブルーパールやバルチック・ブラウンを外壁に使った建物に出会いました。

2011年9月4日日曜日

桜みかげ・万成石:B-1;竹久夢二詩碑

後楽園から岡山駅に向かうバス停の道路を隔てた反対側にあります。背後にあるのは青桐でしょうか?特徴のある実の形ですね。
詩碑は万成石の「自然石」と言うのでしょうか?切り出したのでは無い、自然のままの外形を生かした石材で出来ています。詩碑の周りを四角く取り囲む部分も万成石で出来ています。万成石は緑の風景と良く調和しますね。
岡山理科大学に“Naturalistae”と言う研究報告書がありますが、2008年版に「岡山市の花崗岩の岩相と丘陵地形の関係」と言う論文が掲載されており、インターネットで表題を入力し検索すると閲覧できます。
http://www.ous.ac.jp/garden/kenkyuhoukoku/12/Naturalistae12-1-8.pdf
3-4頁にこの万成山(矢板山)から京山にかけての地質分布と地域を縦断する地質断面図が掲載されています。
山の上部に広く分布している細粒花崗岩が、下部の粗粒花崗岩を守って「マサ」化するのを防ぎこの丘陵地形が残ったのだそうです。
また、応用地質学会のこれは学術大会の講演予稿集だと思うのですが、下記をコピペして頂くと論文(予稿?)「岡山市西部に分布する白亜紀花崗岩のテクトニック・ノンテクトニック節理群」を閲覧する事が出来ます。
http://www.jseg-chushi.jp/ronnbunn/PDF/PDF18/p1802.pdf
武田石材さんの丁場で観察される節理群の構造が理解し易くなります。
少々長くなりましたが、節理で切り取られ、たまねぎ状風化に似た風化が進行し形成されたいわゆる「自然石」の造形と外周を取り巻く鉄錆様の濃色部は興味深いですね。地域によってはこの濃色部が内部深くまで入り込んでいるものもあるようで、倉敷市内駅前の道路に据えられた万成石製のベンチの一つには半分程度この鉄錆色が入り込んでいました。この画像はこのシリーズの最後の方でご覧頂きます。