2015年12月16日水曜日

ロウソク石に用いられた緑色岩

前の画像とは別の発掘現場で拝見したのは「ローソク石」です。これは縦長の石材を松杭のように建てたものです。このように土中に埋まっています。ここでは緑色の凝灰岩質砂岩がローソク石として使われていました。清掃前で色合いが見にくいかもしれませんがローム層の中で緑色は結構目立ちます。
杭の上面が見えていた例です。通常はこの上に平らな石材をおきます。
少し、絞りをミスったのですが、このローソク石も緑色の凝灰質砂岩でした。
石材の表面です。緑色であることが良く判ります。この手の石材は原則として伊豆です。以前は「湯ヶ島層群」と呼ばれていた時期もありますが、現在では「白浜層群」の岩石が熱水による編成を受けていると理解されているようです。

2015年12月13日日曜日

伊豆半島産の緑色岩化した砂岩石材

先日、機会を得て都内二か所の遺跡発掘現場の見学をさせて頂いた。その内の午後に回った新橋に近い発掘現場ではどうやら伊豆石と考えられる砂質凝灰岩の石材が建物の初期建設部分に大量に用いられていました。その中で、特に注意を引いたのが子供のこぶし程度の大きさに砕いた採石が緑色を示していた事でした。房総半島や三浦半島ではこのような緑色岩化した砂岩はありませんので、伊豆産と判るのですが、このような砕石まで伊豆から運んでいたことに驚きました。勿論、成形された石材も、泥のついたままの観察なので見落とすことが無いとは言えないのですが、成形された石材では同類の石材は非常に少ないのでおそらく石丁場からの出荷の際に舟で同時に運んできたものだと思われました。
普段は礎石と言えども、人目に付く場所に使われている石材ばかりを観察していましたが、今日は両方ともに「人目につかない」石材だけを観察する事が出来ましたので大変参考になりました。
これらの石材も泥を取れば中央の一本を除けば緑色かもしれません。建物の礎石です。下の画像は、はっきりした緑色岩の例です。雨どいの受けなのでしょう。かなり堅そうです。
砕石を撒いたた部分です。既にやや薄暗くなっていました。スケールはルーペです。
小さな砕石を一個頂き、一つの面を#800で磨いて平面を造りデジカメで拡大してみました。
参考用に上総湊で神社の境界石の笠石に使われていた貝砂入りの砂質凝灰岩です。スケールは同じものを使っています。淡い茶色の部分は研磨で平面まで至らなかった凹みの部分です。
下の石材の表面に希塩酸を掛けると、炭酸ガスの泡が出るので石灰質(白い物は貝の破片が殆どなので)と判るのですが、上の緑色岩の場合は、同じように希塩酸を掛けても極く限られた場所のルーペで見なければ判らない程度の発泡なので発泡量は全く異なります。