2016年1月9日土曜日

貝砂混じりの石灰質砂岩の拡大画像

緑色凝灰岩と共に、関東地方で多く使われている石材との比較用に小さなサンプルを採集してきました。














風化した面にはウニの棘の様なものが見えます。風化しても常に波浪等でアタックを受けていると硬いものが残るので観察しやすいですが、破断面ではそれ程目立ちません。波浪などを受けない神社や石蔵や店蔵の礎石では貝砂は本当に芽出しません。

上の画像の三角形の破断面が比較的平に割れていましたので、この面を最終的に#1000の研磨材で磨き、丁寧に超音波洗浄を掛けてみました。撮影時に平行になっていなかった様で画像の下の方が少しピンボケなのが残念ですがかなり細かな貝砂まで観察できます。

画像を横幅20mmでトリミングしてみみました。



デジカメを上手く使うとこの程度まで無理なく拡大画像を観察出来ます。小さな有孔虫らしいものも観察出来ますね。


この手の凝灰岩質石材の資料には何度も書いた様に「貝砂」の文字が殆ど出て来ません。でもこれは他の砂岩と比較する大きな手段だと思っています。但し、房総の「石射太郎」の丁場で採掘されていた石材と伊豆半島南部で最写された同種の石材との相違点はまだ調査の入口に入ったばかりです。
来週にはカメラとサンプルの設定を調整してナントカ、もっと高精細な画像を取りたいと考えています。

2016年1月8日金曜日

南伊豆の淡緑色凝灰質砂岩 二種

先日伊豆比較的南の方の石丁場跡で四個の岩石を採集して来ました。
一種類は下田市内で地質的には凝灰質砂岩、地質図的には白浜層群で、すぐそばには流紋岩類が分布している場所です。もう一つは、同様に地質図的には湯ヶ島層群の凝灰質砂岩と軽石凝灰岩の分布の丁度境目付近で採集して来たものです。まずその採集して来た状態の画像をご覧頂きましょう。





ハンマーで割った状態では少し色合いが異なりますが、似たようなものなので、うっかりすると取り違えてしまいそうな雰囲気です。このままでは観察し難いので、私の場合は出来るだけ平らな面を探して少なくとも1面だけを平に研磨します。最終的には#1000くらいの研磨材が、あとの観察の際に楽なようです。
一応研磨後には超音波洗浄を丁寧にして実施しています。
スケールを入れなかったのですが取り敢えずその画像を見て頂きましょう。画像の順番は上と同じです。




意外と、その違いがはっきりと出てしまいました。
念の為に、この二枚の画像の中から同じ比率で画面を切り取ってみました。意外と違いが良く判るものですね。但し、し板の画像でも左の方に砂質の部分が見えます。凝灰岩ですからね。




薄片を造って偏光顕微鏡で観察すれば鉱物組成も判る事がありますが、これほど小さな粒子では、偏光顕微鏡でも難しいでしょう。まあぞの前に薄片を造るのに、しっかり樹脂で固めても脱落が激しくて造るのが難しいでしょうね。
平らな面を造って、サンプルとデジカメの距離をしっかり押さえて三脚を使用して写すだけでも結構その違いを見分ける事が出来ると言うサンプルです。但し何時も同じように違いが判るとも言えません。

尚、最初の凝灰岩の採集地では転石に流紋岩がありました。平に削ろうとしたら、まずグラインダーの作業で火花が出て簡単に削れません。やっと平らな面を造って#1000まで研磨し、サンプルを歯ブラシで細かなところまで洗浄し、実態顕微鏡で観察すると、沢山の隙間に剣牙状の小さな水晶だらけでした。

2016年1月6日水曜日

下田・上賀茂の石丁場と石材

下田から西に向かったう場所に「上賀茂」と言う温泉が有ります。この近くではかって伊豆軟石が採掘されており、現在では一か所、やや南の加納丁場が入域料(整備費)が必要ですが公開されています。加納丁場の石材は、少し房州石に似た雰囲気が有ります。
上賀茂の石丁場は殆どが個人の所有地で有り、その敷地内を通らないと丁場に入れないので、地権者と良く話をして入れて頂く事が必要です。
この付近には、地元で産出した石材を用いたであろう石蔵や家屋が良く残されていますので、これらを観察するだけでも、岩相の良い勉強になります。
岩相は一定ではなく、一つの建築物でも三種類の岩相の石材を用いている場所もあります。但し、苔や黴に覆われている事も多く観察は容易ではありません。
例えば、この場所の坑道の入り口はかなり狭いものでした。すこししゃがまないと頭を手ひどくブッツケテしまいます。


中には蝙蝠が生息しています。最近はかなり減ったのだそうですが、冬場なのでフラッシュを焚いても飛び回る事が無く楽でした。房総ではフラッシュを焚くと大騒ぎになってしまいます。

坑道に入るとまっすぐの方向は崩落で進めず、直ぐに左手に曲がります。天井の高さは腰をかがめて歩く程度ですが、直ぐに天盤の崩落が有りこの上か下を潜り抜ける事になります。(私は上を通りました)

通り抜けると直ぐに落盤によるズリの為に床が高く、リュックをおいて這いずってこれを通り抜ける事になります。狭い坑道には慣れていないので、懐中電灯が小さい事も有りかなり心細い状態となります。
この後は、坑道がまた左に折れて急激に下に向かいます。水気が多くなりますが、ここから広い丁場に繋がります。丁場からは橇を使って石材を搬出していたそうです。坑道の外はこの様に石垣が積まれ石材置き場と搬出用の橇の通路になっています。


この処、新しいデータベースを造るために大車輪で作業を進めているので、ブログの更新にまでは手が回らない状態です。のんびりお付き合い下さい。