2019年5月25日土曜日

山上の湖周辺には残雪も:5月24日日帰り;岩石サンプルは2個だけ!


草津白根山
1.火山活動の状況
 白根山(湯釜付近)では、湯釜付近を震源とする火山性地震は、概ねやや多い状態が継続しています。本日(24日)15時までの前24時間に3回観測しています。 湯釜付近の火山性地震の発生回数(速報値含む)は以下のとおりです。
                火山性地震
  5月  17日         11回
      18日         24回
      19日          7回
      20日         11回
      21日          5回
      22日          5回
      23日          3回
      24日(15時まで)   2回



桜の開花、残雪有り



ダム堰堤から北を望む:この渓谷を右手の山から大回りしながら下って行くと、切明発電所付近で枕状溶岩の露頭を観察しながら秋山郷を経て津南町に行ける筈です!

国道はこの先で湖畔で途切れ、中津川沿いの切明発電所付近から再び現れて北上します。以前は、湖畔近くの週車上に「ここまで」と云う標識が有ったとも追うのだが今はこれが最後の標識。バスは一日3本。キャンプ場は5月25日から開場。でもダムカードは頂けた!

この岩脈が見えるのは確か「子持山」だったと思うが・・・



赤城山:当然の事ながら見る角度で印象が違う

西之島の地形図と海図を改版:5月31日発行

国土地理院と海上保安庁から表記の文書が公表されていますので御案内します。
「~我が国の管轄海域がさらに約 50km2 拡大~
国土地理院と海上保安庁は、平成29年4月以降の噴火活動により拡大した西之島の地形や同島周辺の水深の変化を反映するため、西之島の地形図と海図を改版し、5月31日に発行します。平成29年6月発行の地図と比較すると、西之島の面積は0.17km2の増加にとどまるものの、陸域が西側に広がることから、我が国の管轄海域(※1)の面積がさらに約50km2(領海:約4km2、EEZ:約46km2で東京ドーム約1,000個分)拡大することになります。」
以下順番は勝手に並びを変えていますが、全文を画像で御案内します。原文は下記に有ります。
https://www1.kaiho.mlit.go.jp/KIKAKU/press/2019/20190522.pdf









以上

2019年5月23日木曜日

GVP 週間火山活動情報の概要:5月15日 ⇒ 21日;26火山

New Activity / Unrest
吾妻山  | Honshu (Japan)  | 283180 | 1949 m
5日から火山性地震が増加し、9日には傾斜計の観測値では大鼻加工の南東 1 km の地点が隆起傾向を示し、警戒レベルが“5”段階の“2”に引き上げられました。7日と10日に行われた現地調査では噴気や火口周辺の地熱地域に変化は有りませんでした。10日には地震発生数がヘリはじめましたが、20日現在、変動しています。隆起は続いていますが速度は低下しています。

箱根山  | Honshu (Japan)  | 283020 | 1438 m
18-19日に地震発生数が増加し震央は芦ノ湖の西側と駒ヶ岳周辺に集中しています。大涌谷の高温温泉地帯の噴気は活発化しています。衛星データ(GNSS)では3月中旬から地殻の変状は始まっています。19日に、警戒レベルは“5”段階の“2”に引き上げられました。21日も地震活動が活発な状態が観測されています。





Pavlof  | United States  | 312030 | 2493 m
14-15日に低周波の微動が観測され、大量の水蒸気が山頂火口から噴出しているのが15日に観測されました。航空カラーコードは「イエロー」に引き上げられました。AVOに拠れば、水蒸気の噴気と比較的高い地表面温度はこの火山では一般的な事だと述べています。

Sangay  | Ecuador  | 352090 | 5286 m
7日に新しい噴火活動が始まり21日まで継続しました。活動は中央火口と“Ñuñurcu dome (主火口の南南東 190 m に位置する)”の二ヶ所に集中し、爆発的噴火は主火口で火口縁の上空  1 km に達し、噴石は南東側山腹を 2.5 km 下りました。“Ñuñurcu dome”からは溶岩流が最大幅 17 m で南東側山腹を 470 m 流れ下りました。溶岩流の先端部での崩壊は小規模の火砕流を生じ、火砕流の大きなものは 340 m 流れ下りました。

Sarychev Peak  | Matua Island (Russia)  | 290240 | 1496 m
10.12日と17日に弱い熱異常が観測され、16日の早朝に噴煙が高度 2.5 km で南東に 50 km まで広がっているのが観測されました。航空カラーコードは16日に「イエロー」に引き上げられました。

Sinabung  | Indonesia  | 261080 | 2460 m
13-21日の間白い噴煙が火口縁の上空 700 m まで上昇していました。20日、警戒レベルが“1-4”段階の“3”に引き下げられました。

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 |  2997 m
18日午後、爆発が有り、白熱岩塊が火口から 2.5 km 以内の山腹に飛散しました。濃密な灰白色の噴煙が 2 km 上昇し、風下の地域に降灰がありました。弱い鳴動音が火山から南西に 8 km の地点にある観測所で聞き取れました。警戒レベルは“1-4”段階の“3”。

桜島:Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | 1117 m
13日に南岳加工で二回の爆発が有り、噴煙が火口縁の上空 1.8 km に達し、噴石は火口から 1.3 km 地点まで飛散しました。火口での火映も観測されました。
小噴火が17-20日の間地震計に記録されています。警戒レベルが“5”段階の“3”

阿蘇山  | Kyushu (Japan)  | 282110 | 1592 m
15-20日の間、亜硫酸ガスの噴出量は比較的多い状態でした。15日午前の噴火では噴煙が火口縁の上空 700 m まで上昇し、17-20日の間は白い噴煙が 200 m 上昇しています。
警戒レベルが“1-5”段階の“2”

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
15-21日の間、噴煙が高度 2.1-3 km に達し様々な方角に拡散しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Ebeko  | Paramushir Island   | 290380 |  1103 m
12-13日に熱異常が観測され、13-15日の間の複数の爆発では噴煙が高度 2.5 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060  |  3295 m
14日と17-19日の間、山頂火口から、様々な濃度での火山ガスの噴出が観測されましたが、天候に阻まれて 13-19 日の間は観測出来ませんでした。
時折、火山灰の噴出がが“NSEC”加工の南と東側から発生しました。17-18日には、ストロンボリ式噴火が複数回発生し、白熱物質を火口縁の上空数十 m 吹き上げました。


Fuego  | Guatemala  | 342090 | 3763 m
16-17日と19-20日の間、毎時 15-20 回の爆発が観測され、噴煙が火口縁の上空 1.1 km まで上昇しました。爆発はしばしば衝撃波を伴い周辺の家屋を揺るがせました。白熱岩塊が 300-400 m 吹き上げられ、岩屑雪崩が発生して長距離を下り、しばしば植生区域に達しました。降灰が風下の、12 km SW, 9 km SW, 8 km SW, 8 km ENE の地域から報告されました。西側山腹の溶岩流は 300 m 流れ下りました。16日にはラハールが発生し様々なサイズの岩塊や木々の破片を押し流しました。20日には、硫黄臭の有る高温のラハールが 1.3 m  ものサイズの岩塊を押し流し流れ下りました。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | 1325 m
14-16日と18-19日に噴煙が高度 2.1- km まで上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Karymsky  | Eastern Kamchatka | 300130 | 1513 m
10-14日に熱異常が観測され、航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka   | 300260 | 4754 m
10日と15日に熱異常が観測され、航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | 813 m
地震観測ネットワークが13-19日の間に22回の噴火を観測しました。天候の良い時期には白い噴煙が山頂の上空 200 m まで上昇していました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 261140 | 2910 m
11日には溶岩ドームの容積が 458,000 m^3と見積もられています。ドームの形状などは前の週と変化は無く、噴出した溶岩は大部分が南東側山腹に崩落しています。ブロックアンドアッシュフローが二回、1.2 km 流れ下り、警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Popocatepetl  | Mexico  | 34100 | 5393 m
15-21日の間、連日 22-72回の水蒸気と火山ガスの噴出が観測され、19-21日の噴煙の一部には火山灰が含まれていました。16日には2回の爆発が有り、噴煙が火口縁の上空 1.6 km と 1 km 上昇しました。20-21日には火映が観測されました。警戒レベルは「イエロー」で21日現在も継続中。

Reventador  | Ecuador  | 352010  | 3562 m
14-21日の間比較的活発な地震活動が捉えられており、爆発、長周期地震、火山性微動、噴気を示す地震等が含まれています。天候が悪く山頂付近はしばしば見通せない状態が続き、17-18日或いは20-21日の様に視界良好の日には、火山灰の含まれた噴煙が、火口縁の上空 1 km に達しているのが観測されます。火口の火映はしばしば夕方や早朝にも観測されます。19日には 500 m の長さの火砕流堆積物が北側山腹で観測されました。21日には岩塊が 800 m も転がり落ちました。

Rincon de la Vieja  | Costa Rica  | 345020 | 1916 m
14日と17日に水蒸気爆発が発生しましたが、濃霧の為に爆発をカメラで捉える事が出来ませんでした。15日に水蒸気と火山ガスが火口から立ち昇っており、乳白色の堆積物が火口縁に堆積しているのが撮影されました。

Sabancaya  | Peru  | 354006 |  5960 m
13-19日の間中規模の爆発が連日平均 33 回発生し、火山ガスと火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km に達しました。衛星画像では10回の熱異常が捉えられています。

Santa Maria  | Guatemala  | 342030 | 3745 m
16-17日に毎時2回の爆発が観測され、火山灰を含む噴煙は 700 m 上昇しました。19-20日には8回のやや弱い爆発が観測され同様に噴煙が 700 m 上昇しました。岩屑雪崩が南東側山腹を下りました。

Sheveluch  | Central Kamchatka |  300270 |  3283 m
10-17日の間溶岩ドームで熱異常を観測しています。堆積した火山灰の再飛散が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
前の週に突発的な火山灰の噴出が短い周期で発生しました。19-20日には微量の火山灰を含む長時間継続する断続的な噴出が観測されました。

Villarrica  | Chile  | 357120 | 2847 m
5-6日にストロンボリ式噴火が発生し、火口縁の上空 50 m まで噴出しました。14日には 24 m 幅の溶岩噴泉が 70 m 上昇するのが捉えられました。
深夜の噴火では、マッシュルーム型の噴泉が 70 m 上昇しました。この噴火は 2015 年以来最大のものだと報告されました。
以上   以下は掲載されなかった火山のカメラ画像です。

Bezymianny_Kamen_Klychevskoi_190522_092901

霧島山系新燃岳_190522_06190000_KIRKKVvsm

霧島山系硫黄山_190521_10485800_KIRIOMvsm

Masaya - NICARAGUA_190521_014758

Mount Etna - Summit Craters_190520_1244

Nevados de Chillán_190520_042317

御嶽山_190519_11250000_ONTMTKvsm

Poas_190520_172148

Stromboli_190522_0536      

2019年5月22日水曜日

不思議な石灰質「石材」:何処から来て何に使われたの?

大正時代に現在地に遷座されたという千葉県内の大きな名前を名乗る神社での事。境内の玉垣の脇に布団を敷いて寝ているオジサンがいるので、本殿の礎石に使われている石材の調査が出来なくて困っていた。
鳥居近くの石積みを観ていたら幾つかに割れた比較的薄い千葉県内で云うと利根川沿いの木下付近で石材として利用されてきた「木下貝層」に似たものが出て来た。しかし、妙に薄く、断片だけが出て来たのでどの様な用途に使われたのか全く見当が付かない。肉厚の貝殻に見えるのだが、合わせの部分が見えないし、縞模様も無い。





段丘崖の斜面に造られた神社の石積みの脇を、目立たない様にほじくり返していたら、木の葉の葉脈が転写された化石が出て来た。なんという事は無い、葉の裏の舟状の部分に石灰質泥が溜まって厚みを見せていたらしい。





新旧入り混じった岩石が使用されてはいるが、このような薄い岩片を一体何に使ったのか、またその産地は何処なのか疑問が解けない。伊豆の下田の石灰質凝灰岩の露頭で木の葉の化石が溜まっていたのを観たという証言もあるのだが、今の処は謎です。

2019年5月21日火曜日

斑レイ岩の中の大きな蛇紋岩の角礫

江見海岸の地質観察会の際に、時間が無くて皆さんを御案内できなかった東江見の神明神社は同名の神社社殿が二棟並んでいる少し変わった神社である。波太層砂岩の小丘を整地して石垣を築き、社殿を造立している。

 この社殿の前に二つの蛇紋岩を用いた手水鉢が有るのだが、やや大きな方の手水鉢は切出したというよりは何処阿で手頃な岩塊を見付けたのでその形状を活かしつつ池を掘り込んだ雰囲気で、

天保十一年子卯月とあるので、1840年の造立。この手水鉢の礎石が面白い。これも殆ど加工をしていない様な形状だが、まだこんな組み合わせの露頭は観た事が無い。
 斑レイ岩の大きな岩塊の中に、蛇紋岩のこれも一辺が 20 cm 程度の角礫を始めとして幾つかの礫が含まれている。





保田層群の蛇紋岩や玄武岩、斑レイ岩の露頭は結構観察してきた心算だが、まだまだ観察が足りないと神様がお叱りなのかもしれない。

2019年5月20日月曜日

これはこれは!!こんな山の中でまくら状溶岩ではありませんか! (3/3)

 露頭を訪ねる切っ掛けとなった「持方の岩石」の露頭にも触れておきましょう。この付近は基本的には袋田の滝周辺で観察される「火山角礫岩」と同じです。袋田の滝からこの集落や男体山・白木山或いは武生山方面へとほぼ北北西から南南東方向に、これだけ広く分布している事に驚きます。ちなみに2011年に行われた地質学会巡検の「棚倉断層の新第三紀テクトニクスと火山活動・堆積作用」の巡検の“Stop 6” も、「男体山火山角礫岩層のハイアロクラスタイト・偽枕状溶岩」も「武生林道」沿いなので、少なくともここまで続いている事になります。袋田の滝から“Stop 6”まで直線距離にして 8 km です。
 私はこの後、馬頭町方面に向かったのですが、国道461号線の於古槌(おこづち)付近の押川が相川と二つに分かれる付近の河床で最後の画像の露頭を見ました。ハンマーも持参していなかったので河床に下りる事はしませんでしたが、これは恐らく「北田気層大沢口凝灰岩部層」だと思うので、巡検案内書の、“Stop 1A”の北田気層大沢口凝灰岩部層模式地も気になるポイントです。巡検案内書のアドレスを再度記しておきます。
棚倉断層の新第三紀テクトニクスと火山活動。堆積作用:地質学会巡検案内書(2011)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosoc/117/Supplement/117_117.S69/_pdf



持方集落付近の位置関係図を作ってみました。袋田の滝で河床に下りて調査しようとすると観光客に声を掛けられて面倒で!等と云う場合には、この場所は便利かもしれません。

上流側の河床の状態です。

礫岩も様々です



河床礫の状態

下流側の河床の状態。長靴が有ればこの下流の橋の向こう側に抜けられそうです。

下流側の河床と河岸の状態です。

押川と相川の合流点の露頭。北側にから流れ下ってくる押川側が大沢口凝灰岩部層の様です。