2019年8月14日水曜日

石材になれなかった白色凝灰岩

先日の岩舟山周辺の地質観察会の下見の際に、これまで観たものとは雰囲気が異なる白色凝灰岩がある神社の階段部分に成形されないまま使われているのに気付いた。境内には不定形の岩塊ばかりで、成形されたものは全く見当たらなかったが、かなり堅い雰囲気だった。地元の方から少し奥に入れば石切の跡が見える筈だよと教えて頂き、今日の作業はこれで終わろうと思っていたのだが、再度、藪の中を歩いてみる事にした。1/20 万シームレスでは「新生代第三紀、安山岩, 玄武岩質安山岩, 溶岩, 火砕岩」とある。情報は全く見当外れで、行けどもいけども益々藪蚊の集中攻撃が強まるばかりなので引き返そうとした時に進路の右手に大きく人為的に削られた跡が見えてきた。その傍で、安山岩の露頭を確認し結構新鮮なサンプルを取得。また数メートル離れた処に、折り畳まれた様な形状の白色凝灰岩が見つかった。
そこそこ、硬そうな露頭だったので、一部を打ち欠いてサンプルを取得。今日博物館で洗浄と切断を試みたのだが、内部が5~10mm程度の粒状の組織の為、その粒界で割れ易くなっていた。粒状の組織を持つ凝灰岩は珍しくないが、代表的な伊豆の上賀茂付近の緑色凝灰岩に比べると、やや固結度に掛けたので石材にならなかったらしい。但し、階段の石材とは別物かもしれない。何処かに残材でもあれば良いのだが・・・・

神社の階段最上部に使われていた白色凝灰岩の岩塊。

表面には定方向の筋目が有るが粒状であるとは見えなかった。

露頭の状況。5~6cmの厚みの凝灰岩層が折り畳まれている様な雰囲気。奥行きは不詳。周辺には類似岩片は見当たらない。

採取した岩片

採取した岩片:軸直角断面

表面のやや風化した層を取り除くと、内部の凝灰質は粒状の凝灰質の集合体だった。

小型カッターで、10 mm 程度の厚さで平行に切断したサンプル。

前図の一部拡大、画面の横幅は 20 mm 。粒状の組織の境界が所々に観察される。表面の研磨は他の作業との競合で出来なかったが、取り敢えず顕微鏡で拡大して観た画像。多数の斜長石や、その他の鉱物がかなり多く、千葉県内で観察される白色凝灰岩の石材とは全く異なる。