2018年2月24日土曜日

今日は赤土の中の鉱物観察会

私が常々お世話になっている千葉県立中央博物館の地学研究科では、隔年で「赤土の中の鉱物観察」と「岩石薄片を造る」イベントが開催されるのだが、今年は赤土の中の鉱物観察会が開かれた。千葉県内だけでなく(千葉県内も結構交通不便で大変なのだけど)栃木県や東京都西部からも参加者がお見えになり、今年は定員20名の処、我が担当主任研究員殿は、くじ引きでふるい落とすのが嫌いで希望者27名全員に“OK”にされたのだが、三人が欠席されて24名が参加。主任研究員と我々ボランティアが8名で、作業台の雑巾がけから、鉱物の同定まで色々とお手伝い。
 博物館の有る公園内の赤土の「露頭」から、移植ごてを使って各自、赤土を採取して来て、大匙1~2杯程度の赤土を小さな器(椀掛け用の小さな奴)に移して清水で鉱物を洗い出して頂くのに30分から1時間。これを乾燥して、実体顕微鏡で観察して頂くと云う手順。
私は、カメラを取り付け易い偏光顕微鏡にカメラをセットし、皆さんが洗い出した鉱物をシャーレに少しお借りして火山ガラスなどの写真を撮らせて頂いた。作業の合間の撮影なので落ち着かないけど、時々、大きな広いものがあります。
 最初の写真は大匙2杯の赤土から洗い出した鉱物の乾燥状態。右手に丸くまとまったのは、磁石で少しだけ磁鉄鉱を移動させてみたもの。

2枚目と3枚目の画像の中の不定形の板状のものが火山ガラス。酸で洗っていないので少々汚れている。



細長い淡い緑色の結晶は輝石でしょう。

最後の画像は砂粒が折り重なった中の磁鉄鉱の結晶。結晶の稜が綺麗に尖っている。こんなに集まっていると観察出来ないが、たまたま大きな結晶を見付けたのでチョロット、お借りして撮影してみました。
尚、最初の画像を除いて全て画像の横幅が 2 mm に成る様にトリミングしている。
皆さん、楽しんで頂けたようだ。

GVP 火山活動情報の概要:2月14日⇒20日;14火山

New Activity/Unrest

Mayon | Luzon (Philippines) | 273030 | Elevation 2462 m
この期間中も山頂火口からの溶岩噴出、岩屑雪崩、溶岩噴泉、水蒸気の噴出、溶岩流の山腹での流下、火砕流等が継続しています。弱く、散発的な溶岩噴泉が、5分から239分間継続し、時には半径 10 km まで届くような鳴動音を伴います。14日の大雨はラハールを引き起こし、火砕流堆積物などを流下させました。16-17日の溶岩噴泉は 200-500m の高さにまで上がり、水蒸気の噴煙を伴いました。17日には溶岩噴泉は0103時に始まり12時間と18分間継続しました。溶岩流は夫々3.3 km, 4.5 km, and 900 m の距離を流れ下り、火砕流は4.2-4.6 km in the Mi-isi, Bonga, and Basud drainages。警戒レベルは0-5段階の“4”。半径 8 km 以内は立ち入り禁止です。

Sinabung | Indonesia | 261080 | Elevation 2460 m
(FB:既報)2月19日0853時に巨大な爆発的噴火が発生し、火山灰を大量に含む暗灰色の噴煙が 16.8 km まで上昇し、その後も継続して 13.7 kmの上空を漂い NNWに320 kmまで到達しました。低い高度の噴煙は様々な方角に拡散しました。少なくとも10の火砕流が観測されました。(traveling as far as 4.9 km SSE and 3.5 km E. )火山灰とややおおきな小石程の噴石が以下の風下に降り注ぎました。“Simpang Empat (7 km SE), the Namanteran district, Pqyung (5 km SSW), Tiganderket (7 km W), Munthe, Kutambaru (20 km NW), Perbaji (4 km SW), and Kutarayat.”風下の地域ではとても暗く視界はせいぜい 5 m 程度でした。避難区域の住民は夫々自力で避難しました。今回の噴火は2013年9月に始まったこの一連の火山活動中では最も大きなものでした。警戒レベルは1-4段階の“4”。立ち入り禁止区域は以下の通り“3 km and extensions of 7 km on the SSE sector, 6 km in the ESE sector, and 4 km in the NNE sector.”

Ongoing Activity

Agung | Bali (Indonesia) | 264020 | Elevation 2997 m
2月13日1149t気に噴火し、火山灰を含む噴煙は高度 4.5 km に達しました。警戒レベルは1-4段階の“4”。

Aira 桜島 | Kyushu (Japan) | 282080 | Elevation 1117 m
⇒気象庁のサイトを参照下さい。

Ambae | Vanuatu | 257030 | Elevation 1496 m
2月17-19日に火山灰を含む噴煙が高度 3-5.5 km に達し様々な方角に拡散しました。

Cleveland | Chuginadak Island (USA) | 311240 | Elevation 1730 m
2月15-16日と17日に、衛星画像で熱異常が観測されていますが、不穏な状態は続いており、航空カラーコードは「イエロー」を維持しています。

Dukono | Halmahera (Indonesia) | 268010 | Elevation 1229 m
2月15-20日の間火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達しました。

Ebeko | Paramushir Island (Russia) | 290380 | Elevation 1103 m
2月9-10と14日に噴火で生じた火山灰を含む噴煙は高度 2.2 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Karymsky | Eastern Kamchatka (Russia) | 300130 | Elevation 1513 m
2月9日に熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Kilauea | Hawaiian Islands (USA) | 332010 | Elevation 1222 m
⇒活動状況に特段の変化は無いようです。HVOのサイトでは20日付けの陸上溶岩の画像が掲載されています。
https://volcanoes.usgs.gov/…/kil…/multimedia_chronology.html

Klyuchevskoy | Central Kamchatka (Russia) | 300260 | Elevation 4754 m
18日に火山灰を含む噴煙が高度 5.2 km まで上昇しました。
⇒ライブカメラではこの火山の周辺は殆ど見えない状況が多いですね!

Sabancaya | Peru | 354006 | Elevation 5960 m
相変わらずの激しい噴火活動が継続しています。連日平均19回の爆発が観測されています。(ライブカメラでは比較的頻繁に噴煙が観測されます)亜硫酸ガスの噴出量は2月15日の観測値:日量 9,270 トンが最大値です。

San Miguel | El Salvador | 343100 | Elevation 2130 m
2月19日0800-1100に火山ガスと火山灰を含む噴煙が火口上空 350 m まで上昇し、山腹に降灰が観測されました。

Sheveluch | Central Kamchatka (Russia) | 300270 | Elevation 3283 m
2月9-11日と15日に熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

今日の火山画像は“Avachinsky”

“Bezymianny”,

“Fournaise”,

“Kizimen”,

“霧島山系新燃岳”,

“霧島山系硫黄山”です。


2018年2月22日木曜日

青柳文蔵墓と石工青木宗義

石工の青木宗義は、伝えに拠れば元々小田原城の煙硝蔵の石組の見事さに家康が着目して取り立て「関八州石屋棟梁」として遇されたのが始祖と思われます。
 この為、石工でも、安山岩系の硬石を取り扱い、素晴らしい浮彫などを残しています。実は、有名な石工だが、私の調べている凝灰岩の世界とは無関係だと思っていました。今回、草加市神明町の「三社大神」神社の扁額に「青木」の銘が在るのに気付いた時には、当然これが硬石と思い込み、その緑色が本来の小松石(青)とは大きく異なるのに本小松石だと一瞬思い込んでしまった程でした。従って、扁額を詳細に検討して、これが伊豆の凝灰岩の中でも上賀茂付近に産出するものに近いのに気付いた時には石工青木宗義が凝灰岩も扱っている事に驚いた次第です。
 今日は、雪の中を出掛けた序に、豊島区高田にあります「慈眼寺金乗院(目白不動)」を訪ねました。此処には「青木宗義」の名が刻まれた「青柳文蔵」(天保十年没)の墓碑があります。

三面に細かに青柳文蔵の生涯を記録していますが画像は左側の記載を示しています。

今回確認したかった石工の署名の詳細です。左側の緑色はスケール替わりのフィールドノート:165 mmです。

金乗院の山門と石段です。実はこの石段と境内の墓地に続く緩い傾斜の階段は、似た様な凝灰岩で敷かれ、坂道の最上部には天保十一年の標柱が建てられています。

以下使用されている石材の画像です。まさかの雨でしたので何れ再挑戦の予定です。





「三社大神」の扁額が造られたのが何時頃のものなのか?を知る為に、出来れば同じ署名の石造物を探し出したい事。草加の「青木宗義」関係の文献に記載された名前(青木庄左衛門)と扁額の「荘左衛門」の関係。あるいは「三社大神」を護持しておられる久野(ひさの)家:大津屋殿の御商売の歴史と、神社の創建時期や移転時期との関係などを調べてみたいと考えている。

2018年2月21日水曜日

北鎌倉:東慶寺の鎌倉石製宝篋印塔

数年前にこの鎌倉石を確認し撮影していたが、たまたま、スケールに成ってくれる参詣者は居られたが、スケール無の画像が欲しかったのに途切れる事が無く諦めていた。
 旧千代ヶ崎砲台遺構の見学の後に、観音崎砲台の第三砲台を撮影する予定だったのだが、バスの便が悪かったり、少々ミスが重なり諦めて帰途に就いたが東慶寺の事を思い出して立ち寄ってみた。程よい参詣者の数で、ゆっくりと撮影させて頂いた。
 この宝篋印塔は明治四十(1907)年二月の建立で、勿論、鎌倉石。梅も咲き始めていたが福寿草も美しかった。








2018年2月20日火曜日

草加市神明町の大六天:三社大神

三社大神の御神体の一つ「木造弁天様」は「宇賀神」様との習合された不思議な御姿。
 今日は草加市北部の八幡町の氷川神社からスタートして最後は取りこぼしていた市街地の谷古宇稲荷まで五社を巡った。神明町の神明宮から川沿いに西に少し歩くと、神明宮と殆ど同じ時期の創建と思われるこじんまりとした「三社大神」が祀られている。久野家八代目様に拠れば、元々は表通りに面して居たのが何らかの事情で川沿いに移転されたのだとお聞きした。三社大神とは、元々の「大六天」と、伊勢屋甚左衛門家から合祀された稲荷神社と、弁才天が祀られている事に由来すると云う。
 江戸から明治に多く使われた石材の調査をしている事をお話した処、社殿の扉を開いて一部が破損してしまった鳥居に掛ける扁額を拝見する事が出来た。

石材は伊豆半島は下田市上賀茂に産出する凝灰岩であったが、綺麗に磨かれて艶が有る。

割れているのはもったいないが、拝見すると扁額の裏の署名は「二代目 石工 青木荘左衛門」と在るが、表の「印」は二つに分かれて「青木」と「宗義」と読める。勿論、小さな「印形」なので「義」の文字は簡略にされている。珍しいものを拝見させて頂いた。
「青木宗義」の署名は、小田原出身の石工の系で、東照宮の造営に参加し、その後この草加に住み着いた方の名前で、「宗義」の名は次いでおられないが、現在も石材業を営まれている家系。尚、文献により下図の「荘」が「庄」と書かれたものが有る。



 また、三社の内の弁才天様の御神体が、これがまた珍しいと思うのだが、宇賀神信仰と習合して丁髷を結い、伸ばした髭が大蛇の尻尾に繋がった形をしている。



大蛇のとぐろの外径は95~100 mm 程度。良いお顔をしておられる。越谷の河川史研究会の1月FWに参加させて頂いた折のにわか仕込みの知識が凄い経験を呼び込んでくれた。