2015年11月28日土曜日

興味深い岩相の一致

この処少々体調を崩した為に更新が出来ない日が続いています。少しずつですが復帰に向けて努力中です。
今日は房総半島の鋸山の麓の「浜金谷」で第7回金谷 石のまちシンポジューム「房州石の歴史を探る」が開催されたので聴講に参りました。シンポは午後だったので、午前中に高宕石との関係で少し気になっていた上総湊の神社で使われている房州石の再確認に行って来ました。
上総湊には湊川沿い(右岸)に「岩井堂」や「鶴峯八幡神社」等の直登の旧階段が有り、房州石が使われています。この階段に使われた石材と、高宕山の石材を比較したかったのと、一ヶ所、御影石の石垣の上の「笠石」に貝砂が含まれた砂岩が使われているので、その材質も再確認したいと考えての事でした。上の画像がその石垣と笠石のものです。丁度境内の清掃に氏子の方が来られたので、少しお話を伺って居ましたら、石垣の上の草むらに笠石とは別にポツンとあった石材を指して、これを割って御持ちなさいと言って下さり、片手ハンマーまで貸して下さいました。サンプリング用の岩石ハンマーとタガネは持って居ましたが意外と堅く何とか割って小片を持ち帰らせて頂きました。
午後に、シンポジュームの会場で展示物を観ていると東京都内の発掘で出てきた石材の一つに貝砂が多量に含まれているものが有りましたので、両方をルーペで観察してみると、下の画像ではそこまで判らないでしょうが、小さな、1mm以下の赤色のスコリアが両方とも殆ど同じ様な粒度と分布で入っているではありませんか!貝砂の量は都内のものの方が多いのですが、貝砂は比重が小さいので濃集する事は良く在る事ですが、スコリアの状態が余りにも似ているのです。
都内で発掘されたものは、場所柄で伊豆産の可能性が高いのですが、伊豆の白浜層群の貝砂を含む石灰質砂岩が天神山石や海良等の房州石産地の目の前のこの神社に供せられる事は考え難い事なので、都内のものも、房州石である可能姓を検討する必要がありそうです。
湊川左岸の売津には「貝殻目」と言う石材名称がありました。現存の石丁場では貝殻はあまり目立たないのですが、実際にはたまたま貝砂の多い部分が目に止まらなかっただけかも知れないと思い始めています。少々厄介な発見ですがこれから頑張って比較検討をしてみようと考えています。下の画像がその石材の表面の一部です。
常用のカメラを修理に出しているのでポケットサイズのカメラでの撮影です。週末に博物館で実体顕微鏡を用いて細部の撮影をしてみたいと考えています。