2017年5月20日土曜日

GVP 火山活動情報の概要:5月10日⇒16日;24火山

今週は24火山の情報が含まれています。カムチャツカのSheveluch火山は活動が活発な常連の火山ですが、一時的に活動が活発化した為にNew Activity/Unrestの領域に移動されました。現在はやや落ち着いて噴煙量も減少しています。

Activity for the week of 10 May-16 May 2017 New Activity/Unrest
Aira :桜島 | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
気象庁の「噴火に関する火山観測報」を参照下さい。今日も噴煙がたなびいています。

Fuego  | Guatemala  | 342090 | Elevation 3763 m
59-16日の間、連日爆発が発生し火山灰を含む噴煙は火口縁から950m上空まで上昇し様々な方角に7-12kmまで広がっています。降灰は9-12日に以下の各地から報告されています:San Pedro Yepocapa (8 km N), Morelia (9 km SW), Santa Sofí(12 km SW), and Panimache I and II (8 km SW)14日には高温のラハールが南南西と西の渓谷を下り、直径2mの岩塊や、木々の枝や樹幹等を流しました。ラハールからは水蒸気が上がり、により衝突する岩の音は1km以上離れていても聞こえました。514-16日には岩屑雪崩が渓谷を下り、渓谷を埋めた火砕流の堆積物からは火山ガスの放出が続きました。
  
Manam  | Papua New Guinea  | 251020 | Elevation 1807 m
511-14日の間、マナム火山の主火口は濃い水蒸気の噴気を流すだけで静謐でした。12日に南側火口から暗灰色の火山灰の噴煙を噴出し、13日には青白い火山ガスが噴出するのが観測されました。14日の0100-0400時に鳴動音と爆発音が“Bogia Station”まで聞こえ、白熱した溶岩粉砕物が火口から噴出するのが観測されました。地震活動はRSAM値が50以下と比較的静かでしたが、低周波地震が11-12日に発生しました。13日にはRSAM値が増加し、230時のピーク時には450単位を示し、0500時には110単位まで低下しました。RSAM値は1日の0800kには250単位まで増加しましたがその後はこの値を維持しました。警戒レベルはステージ2です。
  
Masaya  | Nicaragua  | 344100 | Elevation 635 m
513日、西側に広がる火山灰の噴煙が衛星画像と航空機のパイロットからの報告された事を公表しました。
  
Poas  | Costa Rica  | 345040 | Elevation 2708 m
510日に火山灰の噴煙が記録されました。ドローンに搭載された火山ガス濃度の計測機器により観測され、亜硫酸ガスの濃度が高く、炭酸ガス濃度が低い事が明らかにされました。510-11日には火山性微動が変動しつつも低い値でしたが火山性地震も観測されました。11-13日には火山性微動は一定の値で火山性地震と長周期地震が観測され、噴火に伴う地震も観測されました。地殻の変異は比較的大きく2月以降の垂直方向の変異は3cmに達しました。
 
Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
クベルトに拠れば、55-11日も溶岩ドームの成長は継続しています。連日、溶岩ドームの熱異常は、衛星画像から確認され火山灰を含む噴煙は8日と10日には北寄りの方角に90kmまで広がりました。12日に発生した強い爆発的噴火の際には衛星画像で火山灰を含む噴煙は高度9-10kmに達し、幅70kmで北西に115kmまで広がりました。数時間後、衛星画像では熱異常も火山灰の噴出も確認されずに、航空カラーコードはオレンジに引き下げられました。16日に発生した爆発てk噴火では火山灰を含む噴煙亜高度8-9kmまで上昇し、クベルトは再び航空カラーコードをレッドに引き上げました。火砕流は山腹を流れ下り、火山灰を含む噴は高度3.5-4kmに達し北西に広がりました。数時間後には熱異常も火山灰の噴出も認められなくなったので航空カラーコードはオレンジに引き下げられましたが、衛星画像では5143kmの広さの火山灰の噴煙が東に移動していく様子が確認されました。
Ongoing Activity
Bagana  | Bougainville (Papua New Guinea)  | 255020 | Elevation 1855 m
衛星画像の解析等から510-14日の間、火山灰を含む噴煙が高度2.1kmまで上昇し様々な方角に広がった事が報告されました。

Bezymianny  | Central Kamchatka (Russia)  | 300250 | Elevation 2882 m
クベルトに拠れば、55-12日の間火山ガスと水蒸気の噴気が続いた事が報告されました。衛星画像では熱異常が55日、8-9日に観測されています。航空カラーコードはオレンジを維持しています。

Bogoslof  | Fox Islands (USA)  |  | Elevation 150 m
16日の2232時から地震活動が活発化した事が島に近い観測所で検出され、噴火が始まった事を示唆していました。航空カラーコードはオレンジに引き上げられました。航空機のパイロットから火山灰を含む噴煙が高度10.4kmに達し、国際雷検出ネットワーク(正式日本語名称が判らないので仮に)では、噴煙に伴う雷を検出しました。航空カラーコードはレッドに引き上げられました。噴火は73分後に終息しました。
⇒今現在もカラーコードはオレンジです。 

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
513-14日にはウエブカメラで火山ガスの噴煙が見られたものの、地震観測、空振、衛星データ等から火山活動の兆候は見られません。航空カラーコードはオレンジを維持しています。 

Colima  | Mexico  | 341040 | Elevation 3850 m
512日の報告では前の週に、26回の高周波地震、21回の長周期地震、2.5時間継続した火山性微動、12回の地滑りと3回の弱い噴火が観測されています。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
衛星画像等のデータ解析から510-16日の間、火山灰を含む噴煙は高度1.8-2.4kmに達し様々な方角に最大150kmまで広がった事が報告されました。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | Elevation 1325 m
衛星画像等のデータ解析から、510-11日に火山灰を含む噴煙が高度1.8kmに達し東と南西に広がり、16日には高度1.5kmまで上昇した事が報告されました。

Karangetang  | Siau Island (Indonesia)  | 267020 | Elevation 1797 m
衛星画像等のデータ解析亜k510日に火山灰を含む火山ガスと水蒸気の噴煙が高度3.6kmに達し南東に35km以上まで広がった事が報告されました。

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
Kamokuna海岸での、三月以降の溶岩流のオーシャンエントリーによる溶岩三角州は成長を続けたが53日に崩壊しました。427日には二つの大きなクラックが海岸に平行して発生しているのが目撃され、不安定な状態で有る事が確認されていました。53日の0935時から0940時の間で巨大な水蒸気の噴気が溶岩三角州の中央付近の大きなクラック付近から現われました。弱い噴泉やふぱったーが最初に発生し、新しいテフラの堆積物が水蒸気の発生エリアで確認され活動は0940時に終わりました。その後25分間に得られた画像では弱い水蒸気の活動と静かな溶岩三角州が確認されました。57日に撮影された画像では複数の流れに分かれた溶岩流の流れ込みが確認されました(FB既報)510-16日の間も、溶岩湖の活動は何時もの様に上昇と降下等を繰り返しています。
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/multimedia_chronology.html
 Klyuchevskoy  | Central Kamchatka (Russia)  | 300260 | Elevation 4754 m
クベルトに拠れば55-6日と10-11日に衛星画像で火山灰を含む噴煙が確認されました。弱い熱異常が5日と10日に観測されています。航空カラーコードはオレンジを維持しています。
 
Langila  | New Britain (Papua New Guinea)  | 252010 | Elevation 1330 m
衛星画像等のデータ解析から510-14日の間、火山灰を含む噴煙が高度1.8-2.4kmで様々な方角に広がった事が報告されました。
  
Nevado del Ruiz  | Colombia  | 351020 | Elevation 5279 m
59-15日に地震活動から活動が活発な状態で有る事が推測されました。凄まじく大量の水蒸気が継続して放出されています。512日には火山灰を含む火山ガスと水蒸気の噴煙は火口縁の上空1.7kmまで上昇し北西から南西に広がりました。別の報告では13ひにも火山灰の噴出が有ったとされ警戒レベルはⅢを維持しています。
  
Reventador  | Ecuador  | 352010 | Elevation 3562 m
地震活動は爆発を示唆するもの、長周期地震、火山性微動、鳴動或いは水蒸気や火山ガスの噴出或いは火口縁上空700m程度の火山灰を含む噴煙の上昇が10-12日に発生した事を示しています。11-12日は火口の火映が記録されました。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5967 m
58-14日の活動は前の週に比べるとやや低下し、一日当たり38回の噴火が観測されています。長周期地震の数は増加し続けており、ハイブリッドな活動は突発的で、火山灰を伴う火山ガスの噴煙は火口縁上空4.2kmに達し東寄りの方角に40kmまで広がっています。
  
Sinabung  | Indonesia  | 261080 | Elevation 2460 m
衛星画像等の観測データから、510-16日に火山灰を含む噴煙ンは高度3-4.9kmに達し北東に広がった事が報告されました。

Suwanosejima  | Ryukyu Islands (Japan)  | 261080 | Elevation 796 m
気象庁の「噴火に関する火山観測報」を参照下さい。
  
Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
510日の爆発に引き続き、10-11日に火山灰を含む噴煙が発生しました。長周期地震も観測され隆起が続いています。火山ガスの観測では亜硫酸ガスが日量1,000トンで、高い炭酸ガス比率を示しています。1209時の噴火では視界が悪く到達高度の推定は出来ませんでした。140730時の噴火では火口縁上空500mまで上昇し北に広がりました。弱い火山性微動が15-16日に観測され、断続的な噴煙が火口縁の500m以内まで上昇し北寄りに拡散しました。


活動状態は報告されていませんが、霧島連峰の硫黄山の噴気の状態を示す画像です。噴気は周囲の温度などに拠っても変化する為に神経質になる必要はありません。
以上

2017年5月16日火曜日

鬼怒川と旧阿久津河岸 (1)

一体誰が鬼を怒らせたのか、それとも鬼が怒った様に荒れるからなのか?不思議な名前の川だが、上流の地質が興味深く野岩鉄道沿いの河川を歩くのが好きだ。
 埼玉スリバチ学会と日本火山の会の両方の良き師である秦野氏からのサジェッションを頂いて、奥州からの陸路から鬼怒川舟運への転換点である鬼怒川左岸中流の旧阿久津河岸付近とそのやや上流の勝山城跡や、五十里湖を越えて野岩鉄道の三依駅近くの男鹿川等をのんびり歩いてみた。旧跡を全て見た訳では無いが古い画像を交えながら少しご報告をさせて頂く事とした。
 旧阿久津河岸附近の河川縦断勾配は未だ結構な値を示し、川の流れは激しく河原には大きな礫がゴロゴロしている。意外に速い流れは水量も豊か

目をやや北に向けると高原山が右手に広く学校平の溶岩流を伸ばした姿が見える

東に目を転ずると、鉄塔の向こうに③男体山や赤なぎを擁する日光連山が望まれる位置に阿久津は在る

上流の佐貫付近には白色の流紋岩質凝灰岩が分布し急崖が残り、河床は洗濯板の様に凹凸が激しいので、舟運は阿久津付近まで遡上するのが限界だったのだろうと思う。
やや上流の男体山を望む佐貫の観音橋附近④~⑥では、大谷石の仲間の白色の凝灰岩が河床や岩山を覆う。





 旧奥州街道沿いの一角には船魂神社⑦が建立されており、境内の燈籠の基台には「此方河岸道」と別の面には「左江戸道」と刻まれている。

拝殿の覆屋の中には杉皮で屋根を葺き彫刻が美しい拝殿⑨が鎮座し、旧阿久津河岸の街並みを描いた絵馬が奉納されている。


2017年5月15日月曜日

京都疎水の煉瓦 (2:完)

「水路閣」は、南禅寺境内に茂る樹木の為に湿度が高いのか黴だらけでどうも食指が動かなかった様で遠景ばかり撮影している。なんせ1,400万枚もの煉瓦を疎水関連で製造していると云うのだから、手作りの煉瓦のような個々の味わいは薄い。自分の撮影ながら面白くないので大きな画像から色々とトリミングしてみました。5枚が水路閣のものです。









琵琶湖疏水記念館の地階の疎水分水路出口の煉瓦と、北垣国道(知事:明治十四年着任)が遺した「楽百年之夢」(琵琶湖疏水は100年先の京都のためを思って作ったという意味か?)の扁額。

蹴上発電所の後から作った建物の一部を道路から撮影したもの。南禅寺の境内に置かれた周辺案内図が「南上」で書かれていて古い時代の私には見難く(カーナビも北上で読む)道を間違えて後のスケジュールが押せ押せになり焦っていたのか別の建物は撮影していない。


  携帯電話等が普及する前は、出張の度にスケジュールを調整して京都を隅々まで歩き回った筈なのに、20年以上御無沙汰すると交通手段が変わって異郷の地になっている。尤も、地下鉄のトンネルや水路トンネルの工事現場にも随分出入りしたものです
  疏水記念館に展示されていたペルトン水車。これに放水銃から高圧水を吹き付けて回転させる!確か、水量が小さくて落差が稼げるときに効率が良かった筈。

蹴上の発電所は、現代の発電所と異なり需要者側の要求に応じて、電圧も周波数も様々で、撚糸用では高速回転用途の為か周波数が125~133Hzが使われたし、交流も単相から三相まで、直流も有りで発電機は沢山並んでいた。

宮城県石巻産の井内石を用いた「九条山浄水場」の銘板。南禅寺境内にも「駒ヶ瀧 最勝院」の石碑が井内石だった。この石材は強かった

2017年5月14日日曜日

京都疎水の煉瓦 (1) ねじりマンポ

京都疎水は明治二十一(1888)年に完成した水路橋で、煉瓦は疎水用に造られたので、展示サンプルには「疎」の文字が見えます。(刻印は複数有る様です)煉瓦の製造工場は、現在の地下鉄「御陵:みささぎ」駅付近に建設されたのですが現在は全く遺構は無いようです。(標柱が建てられて居た様に記憶します)
疎水の下を潜る歩道トンネルには「雄観奇想」の扁額が掛っています。

トンネル内の煉瓦積みは一般的なフランス積やイギリス積とも異なる「ねじりマンポ」と呼ばれる積み方で、当時は、これがアーチの荷重を支えるには効果的だと考えられていたのだそうですが、如何なものでしょう?「







マンポ」は石炭山や鉱山の「間府:まぶ=(短い)坑道」から来たと云う説が一番正しい様に思われますが、少々音感の変化が大きすぎる様な気もします。

360年間風雪に耐えた安山岩の表面:久喜市栗橋,深廣寺の六角名号塔

埼玉スリバチ学会のフィールドワークに味を占め、小雨降る今日は成田線沿線の粘土質の段丘崖を諦めて久喜市栗橋まで足を伸ばしてみた。ネット検索で栗橋宿の建築物等をチェックして余り成果は期待できないけれど、一応、この宿場町までは押さえておかねば・・・等と云う多少半端な気持ちだったが、これがまた興味深い事!!!おいおい出会った石材の事をご報告させて頂こうと思う気持ちをぐっと抑えて、少々マイナーな、物好きな画像から御案内。

栗橋の国道4号線が利根川を渡る近くの深廣寺の境内に詳細は二枚目の画像の文化財指定資料をご覧頂きたいのだが、総高さ3.6m、一面の幅50cmの六面の石塔が21基建立されており、その説明には「この塔は・・・が伊豆より大石を船で持ち帰り」と記されしかもそれが1654年と記されているのです。360年前にこれだけ大量の石材を船で栗橋宿まで運んできた人が居られたのですね!

21本の中で2本だけが折損ヶ所を補修した跡が見られるが、地衣類の着生も少なく表面が意外とよく観察されるので小松石の表面を接写してみたのが後半の5枚の画像。画像の横幅は何れも約20mm。溶岩の流れた方向と溶岩流の中での上下関係などの差は在るだろうが面白い観察が出来たと一人にんまりと喜んでいる変人からの報告です。