先日、芦野町の「石の美術館」で購入したばかりの芦野石等のプレート(コースター)3枚を、夫々4等分し、その一片ずつの表面を研磨してみました。8cm角のプレート全体を研磨する事も考えましたが、もし凹凸が大きければ研磨量が多くなるので、磨きやすい 4 cm 角にして、残りは博物館の例会に参加された仲間に引き取って頂きました。
夫々4等分するのは段取りを含めて数分。水洗いをした後なので少し色が変わっています
研磨したサンプルの接写です。灰色がやや濃い部分が軽石成分が降灰時の厚み(上部重量)と火山灰の熱で圧密された火山ガラスの部分です
芦野石の岩片を裏表両方ともに#1500の砥粒で磨きました。#1500の砥粒の中間粒径は12.6μmです。画像の横幅は 2 mm です。筋状の灰色の濃い部分の周りを白い雲の様な部分が取り巻いているのがお分かり頂けると思います
画像の横幅を 4 mm にして少し広い部分を観察した画像です。灰色が濃い筋状の部分の外側にはかなり広く白い部分が見えます。接眼レンズをx7からx5に変更しています。カメラのレンズは使えないので外していますので、画像の明るさは成り行きです。今回は白色光LED電球の照明を使っています、
白河石のサンプル外形図です。これも同じ砥粒で研磨しています
中央の白いのは斜長石、その左上の透明感があるものは石英と思われます。細く黒いひものようなものが多く見えます。その隙間はやはり白い雲のようなものが埋めていますが、これも火山ガラスです。画像の横幅はこの画像も後の画像も 2 mm です。黒い筋は、温度と荷重で再溶融してほぼ黒曜石と同じ状態になって居る事を示しています
やや厚い黒曜石の層が構成されています。黒曜石の仲間でやや水分が多い場合の「真珠岩」の構造に似ています。上の方に斜長石らしい結晶がいくつか見えます
これも細い黒い線状の部分が多いですね。降り積もった軽石が荷重で圧密されているので、平らには成らずに複雑に曲げられているのが面白いですね。
白河~芦野の西側には沢山のカルデラ火山が有りました。会津田島付近や塔のへつり付近がこの火砕流の起源ではないかと考えられています。阿蘇の溶結凝灰岩とは溶結度が異なるので、比較してみるのも面白いですね。
今回は160枚ほど撮影した中から10枚程度をご紹介しました。
2018年7月14日土曜日
GVP 火山活動情報の概要:7月4日⇒10日;17火山+国内3火山の火山活動解説資料の御案内
GVPの火山活動情報の概要と,気象庁が7月13日に公表した西之島,十勝岳,霧島山系硫黄山の火山活動解説資料の御案内です。
New Activity/Unrest
Agung
| Bali (Indonesia) | 264020 |
Elevation 2997 m
この間も“Agung”火山での活動は継続しており、亜硫酸ガスの噴出量は7月3日には日量:1,400-2,400トン、4日には 400-1,500トンで推移しています。4日に得られた衛星画像では火口からの溶岩流出は続いており、これまでに 4-5 百万立方メートルに達している模様です。1220時には火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km に達しました。2216時にも噴火が観測されましたが視界不良の為、噴煙は確認出来ませんでした。5日の0047時には火山灰を含む噴煙が少なくとも 1 km 上昇し、1633時の噴火では同様に火山灰を含む噴煙が 2.8 km 上昇しました。6日には小規模な噴火が観測され、8日の0522時には三度目のストロンボリ式噴火が観測され、火山灰を含む噴煙が 2 km 上昇しました。54ヶ所の避難所に4,415名が避難しています。9日1120時に火口から火山灰を含む噴煙が上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“3”で、半径 4 km 以内には立ち入り禁止です。
Ambae
| Vanuatu | 257030 | Elevation
1496 m
“Ambae’s Lake Voui”火山の最近の噴火は三期に分析されています。“Phase 1”:2017年の9月から11月末。“Phase 2”:2017年の11月末から2018年2月上旬。そして“Phase 3”:2018年の2月から4月までです。“Phase 4”は6月20日に始まり、火山ガスと水蒸気に時折火山灰を交えながら噴火し、7月1日には島の西部等に降灰をもたらしました。警戒レベルは“0-5”段階の“2”で、火口から半径 2 km 以内には立ち入り禁止です。
Ibu
| Halmahera (Indonesia) | 268030
| Elevation 1325 m
7月6日に火山灰を含む噴煙が高度 2.1 km まで上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”で、北側の 3.5 km 以内と半径
2 km 以内には立ち入り禁止です。
Karangetang | Siau Island (Indonesia) | 267020 | Elevation 1797 m
7月4日に火山灰を含む噴煙が高度 3 km に達しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”
Krakatau
| Indonesia | 262000 | Elevation
813 m
7月4-5日に、4回の火山灰を含む噴火活動が在り、少なくとも30秒から41秒継続しました。天候が悪く、4日の0522時の噴煙の到達高さは不明ですが、5日の1409,1425,1651時の噴火では火口縁から 300-500 m 上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”で、火口から半径 1
km 以内には立ち入り禁止です。
Saunders
| South Sandwich Islands (UK) |
390090 | Elevation 843 m
1月1日から7月9日までの間、“Saunders
Island”の“Michael”火山から月に数回の頻度で噴煙が上昇しました熱異常が観測されたのは4月3日が最後です。⇒GVPのこの火山に関するサイトは下記ですが、画像は殆ど有りません。前回は2015年10月に噴火が記録されています。
Sierra Negra | Isla Isabela (Ecuador) | 353050 | Elevation 1124 m
7月4日の1830時に発生した M5.2 の地震とその後の M1.1からM3.9 の68回の地震により新しいマグマの貫入が観測され、7月7日1700時からカルデラの北東側で火山性微動が観測され始めました。同時に衛星画像により北西側山腹での熱異常が強まりました。海岸に近い場所で強い火映が観測されている事を国立公園のスタッフが確認しました。弱い水蒸気と火山灰を含む噴煙が高度 33 km に達しました。7月8日まで火山性微動が観測されその後、強さが徐々に低下しました。水蒸気に火山灰の混じる噴煙が高度 2 km に達し、熱異常は強いままに変化していません。報道に拠れば今回の噴火は6月26日に始まり観光客の立入が禁止され地元民の50名が避難思案した。
Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu
(Japan) | 280080 | Elevation 1117 m
7月2-9日の間に2回の噴火と3回の爆発が南岳火口で生じ、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 1.3 km まで上昇し、噴石は 1.1 km まで飛散しました。夜間には火映が観測されました。
Cleveland | Chuginadak Island (USA) | 311240 | Elevation 1730 m
特段の活動は観測されていませんが、噴火の懸念は消えていません。火口付近はしばしば気象条件により遠望出来ません。衛星画像では7月7日、9-10日に弱い熱異常が観測されています。7日には小規模の水蒸気の噴煙が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」
Dukono
| Halmahera (Indonesia) | 268010
| Elevation 1229 m
7月4-10日の間火山灰を含む噴煙が高度 1.5-2.1 km に達しました。
Ebeko
| Paramushir Island (Russia) |
290380 | Elevation 1103 m
6月30日から7月1日の間、複数回の噴火により火山灰を含む噴煙が高度 3.2 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」
Fuego
| Guatemala | 342090 | Elevation
3763 m
7月4-9日の間は、主に火山ガスの噴出と山腹での岩屑雪崩が発生していました。7-8日には2時間に1回の頻度で爆発が発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 500 m まで上昇しました。岩屑雪崩は“ Seca (W), Cenizas
(SSW), and Las Lajas (SE) drainages”峡谷を下り、ラハールは今の処、“ El
Jute (SE), Las Lajas, Cenizas, Taniluyá (SW),
Seca, Mineral, and Pantaleón (W) drainages”峡谷を下っています。10日に地震活動が活発化し、爆発により生じた火山灰を含む噴煙が 2.3 km 上昇し“Morelia (9 km SW) and Panimaché (8 km SW)”に降灰をもたらしました。7月4日の報告ではこれまでに犠牲となった方々は113名、行方不明者が332名です。
Kilauea
| Hawaiian Islands (USA) | 332010
| Elevation 1222 m
⇒活動に大きな変化は無く相変わらず海岸線を変え続けています。“Fissure 8”からの溶岩噴泉とスパッターの発生は続き、“Fissure 22”でのスパッターの発生継続により、火砕丘の上空 5080 m まで噴き上げ、短い溶岩流も流れ続けています。山頂火口での内部への地すべり陥没はほぼ連日発生しており、その度に火山ガスに少量の火山灰が混じる噴煙を上げています。“Fissure 8”からの溶岩噴泉は高さ 55 m まで成長した火砕丘よりも高く吹き上げています。ペレーの毛髪やその他の火山ガラスが“ Leilani Estates”に降り積もっています。溶岩噴泉からは変わらず溶岩流を流し続けており、時折、流域に溢れ出す事も有りますが、大きな流れとなる事はありません。7月6日に公表された熱画像では、溶岩流の主要部は海洋に流れ込むことなく、内陸側 2 km 付近の開かれた流路に流れており、海洋へは北側に広がった先端部分から海に流れ込んでいます。
⇒連日大量の画像や動画がUPされていますので下記をご覧ください。
Pacaya
| Guatemala | 342110 | Elevation
2569 m
7月5-10日の間ストロンボリ式噴火が続き、噴石は火口縁の上空 30 m に達しています。“Mackenney”火口からの溶岩流は7月7-8日に北側山腹を 500 m 下りました。
Sabancaya | Peru
| 354006 | Elevation 5960 m
7月2-8日の間、連日平均22回の爆発的噴火が発生しました。ハイブリッド地震は小規模なものが稀に発生しています。火山ガスと火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km に達しました。また、熱異常も7月3日に9回観測されました。亜硫酸ガスの噴出量は日量で 4,715 トンで、火口から半径 12 km 以内は立ち入り禁止です。
⇒ペルーでは、“Misti”火山も噴火を始めましたので、次週には情報が掲載されると思われます。
Santa Maria | Guatemala
| 342030 | Elevation 3745 m
7月5-10日の間溶岩ドーム複合体で爆発が起こり、火山灰を含む噴煙が 200-700 m 上昇し、溶岩ドームの南東側と西側山腹で岩屑雪崩が発生しました。
Sheveluch | Central Kamchatka (Russia) | 300270 | Elevation 3283 m
7月4-5日に弱い熱異常が観測されており航空カラーコードは「オレンジ」が維持されています。
以下の4件の火山の火山活動解説資料が7月13日に相次いで公表されていますので併せて御案内します。西之島についてはこれまでに7月12日公表分までは御案内済です。
西之島:13日2300時公表
西ノ島:13日1000時公表
霧島山系硫黄山:13日1630時公表
十勝岳:13日1600時公表
気象庁の火山監視カメラと諸外国のライブカメラの画像の一部
“Turrialba”:7月7日1921時
“Maskushin”の6月12日画像;AVOのサイトから
諏訪之瀬島7月13日の噴煙
霧島山系新燃岳
霧島山系硫黄山
大雪山
以上
2018年7月12日木曜日
見沼低地東縁巡検の復習(補遺編):熊野神社
埼玉スリバチ学会の巡検コースからは少し外れるが、見沼公園内の周辺案内地図に直ぐ近くの雰囲気で「熊野神社」の案内が有ったので、通りかかった女子高生に教えて頂いてその熊野神社に足を伸ばしてみた。
境内の燈籠の軸の部分の一面で、芦野の石の美術館で購入した三枚のコースターの中の一枚:「白河石黒目」(下の画像)に似ていると思われませんか?
灯篭の軸部の二つの面を一度に見た画像です。隣り合った二つの面が全く違う顔付ですね。
念の為隣の面を拡大してみました。凝灰岩質の石材の面白い所です。
狛犬は花崗岩が用いられていました
風化の為に表面がかなり粗い雰囲気で磨き出しのコンクリートのような肌をしています。
風化していない「顔」の一部を観察すると普通の花崗岩だと判ります。
本殿の回廊の礎石には伊豆の粒状の構造を示す緑色凝灰岩が使われています。本殿は木製の玉垣に囲まれており、以下の三枚はその狭い隙間から望遠レンズで撮影した画像です。
基壇の石材は少し観察し難いのですがやはり伊豆の緑色凝灰岩の様です
狛犬の基壇には石工として「飯山粂吉」、鳶「鈴木常吉」の名が彫られていました。昭和十二年に木曽御嶽山、出雲大社、金毘羅宮、伊勢皇大神宮を巡った記念として建立されていました。創建年代や由緒は明らかでは有りませんが、手水鉢には天保十三年の日付がありました。
明日は、博物館に行って、画像②のコースターを四分割程度に切断し、圧密レンズ部分の顕微鏡観察をしようと考えています。面白い画像が得られましたらご案内します。
境内の燈籠の軸の部分の一面で、芦野の石の美術館で購入した三枚のコースターの中の一枚:「白河石黒目」(下の画像)に似ていると思われませんか?
灯篭の軸部の二つの面を一度に見た画像です。隣り合った二つの面が全く違う顔付ですね。
念の為隣の面を拡大してみました。凝灰岩質の石材の面白い所です。
狛犬は花崗岩が用いられていました
風化の為に表面がかなり粗い雰囲気で磨き出しのコンクリートのような肌をしています。
風化していない「顔」の一部を観察すると普通の花崗岩だと判ります。
本殿の回廊の礎石には伊豆の粒状の構造を示す緑色凝灰岩が使われています。本殿は木製の玉垣に囲まれており、以下の三枚はその狭い隙間から望遠レンズで撮影した画像です。
基壇の石材は少し観察し難いのですがやはり伊豆の緑色凝灰岩の様です
狛犬の基壇には石工として「飯山粂吉」、鳶「鈴木常吉」の名が彫られていました。昭和十二年に木曽御嶽山、出雲大社、金毘羅宮、伊勢皇大神宮を巡った記念として建立されていました。創建年代や由緒は明らかでは有りませんが、手水鉢には天保十三年の日付がありました。
明日は、博物館に行って、画像②のコースターを四分割程度に切断し、圧密レンズ部分の顕微鏡観察をしようと考えています。面白い画像が得られましたらご案内します。
2018年7月10日火曜日
見沼低地東縁巡検の復習:鷺神社
鷺神社本殿の基壇は、石材に似せたモルタル仕上げで、恐らく基壇に使われていた石材はそのままに表を化粧したものと推定するが、改修は昭和三十五年五月に行われた事が記録されている。様々な石材が使われていて、古い石材としては安山岩の切石が今尚用いられているが、拝殿の礎石には大谷石と思われる石材も有り、判断ミスを誘い易い神社である。拝殿の脇に小さな岩片が転がっていた。見慣れた下田付近の石灰質凝灰岩とは少し顔付が違うように思えたが拾い上げて、希塩酸を垂らすと見事に発泡する
改めて見直すと、直ぐ傍の木製の階段の下にも、石灰質の凝灰岩が在る
今日は別棟の境内社の基壇の石材の画像データが欲しかったのだが、見直してみるとその基壇の階段石の前にも石灰質凝灰岩の切石が置かれている。敷石に花崗岩が使われていると、時に汚れた花崗岩がこの石灰質凝灰岩に似て見える事が有るのだが、どうやらミスを割ける防御反応が正しい識別を妨害していたらしい
神社には元冶元年(1864)と明治三年(1870)の二つの手水鉢が在るが、明治三年のものには[かわうそ」と思われる動物の彫刻が施されている。石工:彫刻者は不明だが、堤防等に穴を開けてしまう「害獣」と思われる動物像が興味を惹く
本堂の右手に位置する境内社の基壇と礎石には、階段石の安山岩を除いて観察できる範囲で少なくとも四種類の石材が用いられている。階段石の手前の一本の切石と礎石部分の石灰質凝灰岩・基壇の主要石材である火山岩質の角礫が目立つやや強度の高い緑色凝灰岩・
基壇の笠石にはやや発泡した茶褐色の岩塊を含む緑色凝灰岩、そして残念ながら石質が良く判らない笠石以外の以外の敷石である
基壇の積み石に使われている角礫凝灰岩のやや小粒の石材を含む部分。画像の範囲には見えないが他の部分には斜長石の斑晶が目立つ安山岩が含まれているものもある
基壇の一番上の飾り石としての笠石には、発泡した茶褐色の岩塊が周りを細粒の凝灰質で鳥かもまれている。房総には、文字庚申塔がほぼ全てこの石材で造られた百庚申が在る(青面金剛は緑色凝灰岩)
埼玉の神社には、房総半島と比べるとややコンクリート製の石碑や構造物が多い。これは幟旗の支柱の例だが残念ながら鉄筋がむき出しになって居る。昭和35年(1960)の建立である。残念ながらこの時期のものは薄肉では耐久力が不足しているものが多い
本殿背後の境内社には緑色凝灰岩の石材を用いた大六天様や水神宮等が祀られていたがその中に一点、表面の文字が全く読めないものが鎮座していた。これも伊豆の凝灰岩の様だ。
改めて見直すと、直ぐ傍の木製の階段の下にも、石灰質の凝灰岩が在る
今日は別棟の境内社の基壇の石材の画像データが欲しかったのだが、見直してみるとその基壇の階段石の前にも石灰質凝灰岩の切石が置かれている。敷石に花崗岩が使われていると、時に汚れた花崗岩がこの石灰質凝灰岩に似て見える事が有るのだが、どうやらミスを割ける防御反応が正しい識別を妨害していたらしい
神社には元冶元年(1864)と明治三年(1870)の二つの手水鉢が在るが、明治三年のものには[かわうそ」と思われる動物の彫刻が施されている。石工:彫刻者は不明だが、堤防等に穴を開けてしまう「害獣」と思われる動物像が興味を惹く
本堂の右手に位置する境内社の基壇と礎石には、階段石の安山岩を除いて観察できる範囲で少なくとも四種類の石材が用いられている。階段石の手前の一本の切石と礎石部分の石灰質凝灰岩・基壇の主要石材である火山岩質の角礫が目立つやや強度の高い緑色凝灰岩・
基壇の笠石にはやや発泡した茶褐色の岩塊を含む緑色凝灰岩、そして残念ながら石質が良く判らない笠石以外の以外の敷石である
基壇の積み石に使われている角礫凝灰岩のやや小粒の石材を含む部分。画像の範囲には見えないが他の部分には斜長石の斑晶が目立つ安山岩が含まれているものもある
基壇の一番上の飾り石としての笠石には、発泡した茶褐色の岩塊が周りを細粒の凝灰質で鳥かもまれている。房総には、文字庚申塔がほぼ全てこの石材で造られた百庚申が在る(青面金剛は緑色凝灰岩)
埼玉の神社には、房総半島と比べるとややコンクリート製の石碑や構造物が多い。これは幟旗の支柱の例だが残念ながら鉄筋がむき出しになって居る。昭和35年(1960)の建立である。残念ながらこの時期のものは薄肉では耐久力が不足しているものが多い
本殿背後の境内社には緑色凝灰岩の石材を用いた大六天様や水神宮等が祀られていたがその中に一点、表面の文字が全く読めないものが鎮座していた。これも伊豆の凝灰岩の様だ。
2018年7月9日月曜日
見沼低地東縁巡検の復習:三崎稲荷大明神
埼玉スリバチ学会さんの巡検歩いたコース中の社寺に使われている凝灰岩質石材の調査の為の復習は今日の三回目でやっと全体を巡る事が出来た。今日は小さな御社が残る「三崎稲荷大明神」をご紹介。ここは、社殿も小さいし由緒も不明で“Yahoo Map”では記載されていないくらいに小さいのだが、石造物に残る銘からどうやら文政十二年から十三年(129-1830)年頃に再建されたらしい事が判るのと、伊豆の凝灰岩が多く使われているので少し時間を掛けて調べて見た。
鳥居に掛る扁額だがこの付近でも類似例が多い伊豆の彫刻し易い凝灰岩が使われている。同じ石材は崩壊してしまった御神灯や狛犬にも使われている。
その扁額が架かる鳥居と参道の階段。鳥居は後に画像を用意しているが文政十三年に建立させている。別にもう一組、鳥居の礎石が残っているので少なくとも二代目の鳥居だろう。階段の石材はこの先の階段と同じく、伊豆の石灰質凝灰岩が使われている。
階段の手前左側の標石には文政十二年の年号が記されていた。標石は安山岩。
石灰質凝灰岩の表面の石灰質生物遺骸(化石細片)の接写。白いのは紅藻類(石灰藻)のものだろうか?
燈籠の石材は粒状の凝灰質の集合体。小豆色の岩片が観察される。勿論、これも伊豆の産出。
崩壊してしまった小さな狛犬の座に使われているのも石灰質の凝灰岩で、薄めて手についても問題ない程度の希塩酸を滴下すると勢いよく炭酸ガスが発泡する。
文政十二年の銘が有る手水鉢の直ぐ前に以前に使われていたものらしい礎石が三個置かれたままになって居る。この左右の石材が斜層理が明瞭な石灰質凝灰岩製である。
鳥居を潜ってその先を右手に曲がるとこの三段の階段が在る。これも石灰質凝灰岩の石材で斜層理が表面にも観察される。
素材は安山岩なので私の調査範囲ではないが、前記の通り、文政十三年の年号が刻まれている。
年号が刻まれた側の反対側に石工の名が見える。「武陽八丁住」と有るので、江戸の石工と云う事だろうか?石工は兄弟か、親子らしい。
鳥居に掛る扁額だがこの付近でも類似例が多い伊豆の彫刻し易い凝灰岩が使われている。同じ石材は崩壊してしまった御神灯や狛犬にも使われている。
その扁額が架かる鳥居と参道の階段。鳥居は後に画像を用意しているが文政十三年に建立させている。別にもう一組、鳥居の礎石が残っているので少なくとも二代目の鳥居だろう。階段の石材はこの先の階段と同じく、伊豆の石灰質凝灰岩が使われている。
階段の手前左側の標石には文政十二年の年号が記されていた。標石は安山岩。
石灰質凝灰岩の表面の石灰質生物遺骸(化石細片)の接写。白いのは紅藻類(石灰藻)のものだろうか?
燈籠の石材は粒状の凝灰質の集合体。小豆色の岩片が観察される。勿論、これも伊豆の産出。
崩壊してしまった小さな狛犬の座に使われているのも石灰質の凝灰岩で、薄めて手についても問題ない程度の希塩酸を滴下すると勢いよく炭酸ガスが発泡する。
文政十二年の銘が有る手水鉢の直ぐ前に以前に使われていたものらしい礎石が三個置かれたままになって居る。この左右の石材が斜層理が明瞭な石灰質凝灰岩製である。
鳥居を潜ってその先を右手に曲がるとこの三段の階段が在る。これも石灰質凝灰岩の石材で斜層理が表面にも観察される。
素材は安山岩なので私の調査範囲ではないが、前記の通り、文政十三年の年号が刻まれている。
年号が刻まれた側の反対側に石工の名が見える。「武陽八丁住」と有るので、江戸の石工と云う事だろうか?石工は兄弟か、親子らしい。
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