船橋からすこしづつ、鉄道とバスの便を考えながら東に移動して神社や古い寺院を中心に、古い石造物を観察している。この付近は、何故か神社の鳥居に架かる「神社額」には白い大理石(石灰岩)の装飾の無い板状のものがやたらに多い。また、他の地域では安山岩系の溶岩を使う事の多い「手水鉢」に関しては何故か凝灰岩が多い。
この日は東葉高速鉄道の八千代中央駅から少し南下して所謂「成田街道」を東葉勝田台迄を歩いてみた。およそ 10,000 歩程度の距離に。11ヵ所の社寺が有り、一ヵ所は勘違いで見落としてしまったが10ヵ所中9か所で凝灰岩質石材を観察する事が出来た。今回は、先日の顕微鏡で見た凝灰岩質石材の画像を受けて、その石材がどのような形で使われていたかをご紹介したい。粒度分布の差こそあるが、石工から彫刻に適した石材として好まれた凝灰岩類です。
側面に刻まれた寄付金を納めた方々の名前の一部を拡大したもので、粒状の組織がお判り頂けるものと思う。
お寺さんの脇に、公園風に設えられた一角に子安・安産講の方々が奉納された子安観音が安置されていたが、10体中の七体が凝灰岩製。左から二番目と右端の像は粒状組織が目立つもので、それ以外は細粒の緑色凝灰岩で、何れも彫刻等にはよく使われている。
凝灰岩質石材の中でも特に傷みの少ないものを選んでみた。台座は細粒の緑色凝灰岩だと判る。この程度の距離から見ると、光背部分にやや不均質な部分が有るのでこの凝灰岩だと判り易いと思うのですが・・・子供を抱えている辺りに焦点を合わせて拡大して見ました。粒子の大きなものが集まっています