2018年12月27日木曜日

異形の狛犬

元々想像上の生き物なのだろうから、想像を逞しくすればどのような御姿が正しいとも云えないのだろうが、やはり神社の威厳を保つためにはやや恐ろしげな方が良いと思うのは、単なる不信心ものの戯言だろうか?
今日は、公共交通機関ではアクセスに時間が掛り過ぎて行くのを諦めていた栃木県都賀郡の歴史の古い神社を訪ねたのだが、何とも不思議な御顔の狛犬が辺りを睥睨しておらしたので、序に、最近拝観させて頂いた狛犬のお顔をいくつか併せてご紹介。
石材調査の為に意識して訪ねた社寺の数は、今日で1,145となり、歩いた距離もやっと1,000 km に達した。

栃木市小野寺:村檜神社 花崗岩

栃木市小野寺:村檜神社 花崗岩

鋸南町大六:大六神社 安山岩

草加市瀬崎:浅間神社 安山岩

草加市高砂:氷川神社 安山岩

港区赤坂:氷川神社 安山岩

港区赤坂:氷川神社 安山岩

杉戸町 愛宕神社 細粒緑色凝灰岩

2018年12月22日土曜日

12月21日今年最後のフィールドワーク

12月21日今年最後のフィールドワークは22,426歩 年間合計995.2 km もう少しで1,000 kmだったのに残念!
因みに、この投稿は1,998件目。GVPの火山活動情報の概要の古い部分は削除しているので実際には2,000件を越えているのだが、よくまあ続いたものだ。
ブログは2009年11月15日に開始。
今日は内房の安房勝山を歩いた。石切り場跡から加工場までの道のりを歩いたり、路傍の石材をチェックしたり早朝7時に我が家を出て、帰りの電車の時間を間違えて、待合室で一時間半も待つ間、高村薫の「レディージョーカー」をみっちり再読。久し振りにまとめて読めた。今日のスナップをご紹介

鋸南町から観た鋸山。元々はこの山の南側、即ち安房の元名(画像の右手)で石材の採掘が始まったのだが、良好な港が無く積出に苦労して次第に勢いを亡くした。

勝山港の沖合の島は、漁船に頼めば有料で渡れるが、島の中を歩き回るのがかなり大変らしい。地質的には興味深い島

今回歩いた一番北側の海岸。島は私有地

至る所にこのような露頭があります。

巨大な鋸南中学」グランド脇の浅間山の崖。あんなに大きな學校を作って生徒は確保できるのだろうか?と思うぐらい広い

地名にもなって居る「大六神社」の境内に何故か?われた泥岩が落ちていた。生痕なのか、メランジェなのか?メランジェだろうね

現在のグリーンセンター付近の露頭。この付近はカルデラ地形の様に採掘されて土砂が三浦半島や京浜方面の埋め立て用に運ばれてしまった。

この一年間、良く歩いたものです。1,000 km には少し足りなかったけれど 995 km は立派な数字ですよね。

今回の鋸南町のGPSトレース。町の中心部は前回の調査トレースと重なっている。今回は北の端から南の端まで22,000歩程度。
明日からはしっかりデスクワークで、データの整理。」

GVP 火山活動情報の概要:12月12日⇒18日;16火山

New Activity / Unrest
Ambrym  | Vanuatu  | 257040 | 1334 m
地震活動の活発化で予想されていた通り、山頂火口付近の割れ目火口から12月15日の早朝に噴火が始まり Webcam で火山灰の噴出が観測され、報告では溶岩流の流出と溶岩噴泉も観測されました。ガイドの一人がこの活動の開始後筋看護にカルデラを訪れ、割れ目火口からの溶岩噴泉を観測しました。(やや遠方からですが彼の撮影した2分11秒のビデオが下記サイトで公開されています)溶岩噴泉は高さが大体 40 m 程度で、溶岩流はカルデラの東の方に広がっています。水蒸気主体の噴煙に部分的に隠されているものの、衛星画像では溶岩は“Lewlembwi”火口の 500 x 900 m の面積を満たし更に数百メートル以上に広がっています。警戒レベルは“3”に引き上げられましたが、一応小規模噴火として位置づけられています。噴火は16-17日も続いています。"Image courtesy of Mr.John Tasso"
http://vanuatuislandexperience.com/

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | 1730 m
12月8日に地震観測から小規模の噴火が観測され、引き続き12日にも噴火が観測されたので航空カラーコードは「オレンジ」に引き上げられました。天候が悪く、視界が遮られているので火山灰は観測されていない。衛星画像では地表面の温度異常が15日に観測されています。16日にも小規模の噴火が観測されました。

Planchon-Peteroa  | Central Chile-Argentina border  | 357040 | 3977 m
12月16日の早朝から活動が活発化している事が報じられました。地震観測から噴火が観測され、灰色の火山灰を含む噴煙が 800 m 程度上昇した模様。15-16日には夜間に火口部の火映が観測されている。警戒レベルは「イエロー」が維持されています。

Soputan  | Sulawesi (Indonesia)  | 266030 | 1785 m
12月15日の午後から地震活動が急激に高まり、翌16日の深夜から噴火が始まりましたが、天候が悪く噴出物は観測されないまま10分程度で噴火は終了しました。二時間後に天候が回復し濃密な火山灰の噴煙が山頂上空の 3 km まで上昇し南東に広がっていました。夜間には山頂部の火映が観測されました。早朝の噴火では濃密な灰色~黒色の火山灰の噴煙が山頂上空 7 km まで上昇し南東に広がりました。噴火は6分後に終わりました。警戒レベルは“1-4”段階の“3”

Ongoing Activity
桜島:Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | 1117 m
7回の噴火と5回の爆発が南岳火口で発生し、噴煙は火口縁の上空 2 km まで上昇しました。警戒レベルは“5”段階の“3”

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
14日と16-17日に噴煙が高度 1.5-2.1 km まで上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Ebeko  | Paramushir Island   | 290380 |  1103 m
噴煙が高度 3.5 km まで上昇する爆発が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Krakatau  | Indonesia  | 262000 |  813 m
14日1445時と18日1823時の噴火が観測され、噴煙は夫々山頂の 200 m と 300 m まで上昇しました。14日の噴火は48秒間続き、噴煙は濃密な黒色でした。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

口永良部島  | Ryukyu Islands (Japan)  | 282050 |  657 m
18日1637時に新岳火口で噴火が発生し噴煙は 2 km 上昇しました。噴出物は火口付近に落下し、火砕流が発生し西に 1 km 下りました。警戒レベルは“5”段階の“3”

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 |  2910 m
期間中、溶岩ドームは連日 2,200 立方メートルの速度で成長を続け、13日の観測で溶岩ドームの容積は 359,000 立方メートルに達しています。山頂から様々な濃度の白い噴気が 200 m 程度上昇しています。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Pacaya  | Guatemala  | 342110 | Elevation 2569 m
13日に、半径 8 km の範囲で鳴動音が聞こえ,“Mackenney”火口ではストロンボリ式噴火が発生し噴出物は火口縁の上空 50 m まで放出されました。溶岩流は 200-300 m の長さまで広がり北西側山腹を下理ながら、直径 1 m 程度の岩塊を含む岩屑雪崩を生じています。火口の火砕丘は、火口縁より 75 m 高く常に輝いています。15-16日も溶岩は流れ続け、ストロンボリ式噴火は火砕物を 5-25 m の高さまで放出しています。

Sabancaya  | Peru  |  354006 |  5960 m
連日18回の爆発が続いています。13日の観測では亜硫酸ガスの噴出量は日量で 3,100 トンです。

Sangay  | Ecuador  | 352090 |  5286 m
8月4日に噴火が始まり1、ほぼ四か月の活動を2月7日に終えました。活動は主として溶岩流の流出と火山ガスの噴出で噴煙は普段は 0.5-1.4 km (時折 2 km 以上)まで上昇しました。少量の降灰が9月18日に観測され、溶岩流は東南東の山腹を 1-2 km 流下りました。溶岩流の先端部からは岩屑雪崩が生じ、小規模の火砕流が最大 7 km 程度下りました。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  300270 |  3283 m
熱異常が7-8日と11-13日に観測され、12日の午後に小規模の爆発が発生し噴煙が高度 6.5-6.8 km に達しました。この日、少量の火山灰を含む火山ガスと水蒸気の噴煙が発生し北東に 150 km まで広がりました。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 |  3340 m
11-16日の間ほぼ活動は続いており、噴煙が火口縁の上空 500 m まで上昇し、降灰は西南西に 32 km 離れた地点からも報告されました。断続的な火山灰の噴出が13日には観測されました。14-16日の間は火山灰は拡散しています。

Veniaminof  | United States  | 312070 | Elevation 2507 m
氷に包まれた山頂カルデラでの溶岩流の流出を伴う噴火活動は6日に停止しました。10日の衛星画像では溶岩の流出は停止していますが、弱い噴火活動は継続しています。
13日早朝には衛星画像とウエブカメラでは認められませんでした。然しながら午後早くに断続的な火山性微動が発生し徐々に連続し始め、衛星画像とウエブカメラで火山灰を含んだ噴煙と地表面温度の上昇が観測されました。
14-15日には強い熱異常が噴煙と共に連続して観測され、山頂火口での溶岩噴泉を伴っていました。16日には溶岩は火口から溢れ出しました。航空カラーコードは「オレンジ」
以上
雌阿寒岳_181222_085458

霧島山系新燃岳_181222_1041558

以上



2018年12月18日火曜日

鹿沼で出会った軽石角礫混じり緑色凝灰岩

昨日17日の柏地方は冷たい雨の降る日だったが、栃木方面の午後は晴天の予報を信じて鹿沼市まで足を伸ばしてみた。此処は、博物館の地質観察会で玄武岩の露頭と鹿沼土の採掘現場を見に来た事が有るが、付加体の奇妙な地質のある場所。
新栃木で途中下車して、前回見落とした神社とその周辺の鹿沼石の石蔵や岩舟石の石塀を観察後に新鹿沼に到着したのは11時少し過ぎ、午後三時まで12ヶ所の寺社を回った。
その石材に初めて気付いたのは、新鹿沼駅北方の山裾の寺院内に在る秋葉神社の束石。他は鹿沼石とコンクリートに代わって居たので、面白い石だな!程度の感覚だったが、神社境内の六地蔵を見ると同し石材に彫刻されている。その後次々に、神社の亀腹や礎石等に観察され、この付近では比較的大きな今宮神社では江戸時代に築かれた建築の一部の礎石に使われたり、本殿基壇の高い石垣にも使われている。鹿沼では重要な石材であったようだ。
栃木以南では見る事が無く、鹿沼では江戸時代から使われていた石材は何処の産出か?石屋さんに聞いてみたいと思いながら街を歩いたが残念ながら一軒も石屋さんに出合わず仕舞い。さてどう調べるか?新しい建築には見られないので既に忘れられた存在なのだろうか?、

西鹿沼町光太寺境内の秋葉神社礎石に使われていた石材

光太寺境内の六地蔵。これも同じ石材で、やや風化に拠り剥離・脱落が見られる。

法衣の裾の辺りの凝灰岩の様子。添付のスケールは 17 cm

礫を拡大してみるとやや発泡度の低い軽石らしい。四角い空洞もあるので気泡と云うより何らかの結晶や岩片の脱落跡かもしれない。

礫の表面が剥がれた場所では、軽石は既に緑泥石か或いは緑簾石が生じている様で、見た目とは異なる緑色凝灰岩だと判明。

お地蔵様の一つの顔の部分が風化で脱落して内部の石材が見えているものが有ったので、襟の辺りにスケールを置かせて頂いて剥離部の近接撮影。鹿沼石と同じような小岩片も混じる。

薄く剥がれた部分の近接撮影。焦点の合うギリギリの多分レンズ前20mm程度の位置での接写。四角い白い結晶は斜長石だろう位は判る

捕獲岩。泥岩?結晶片岩? 画面の横幅は 100 mm 画面下の目盛は 1mm 単位。

今宮神社本殿基壇に使われたこの石材。今宮神社の現在の本殿は墨書等から延宝九(1681)年の改築。弘化から嘉永(1845-1849)期に建設された唐門の一部未改修の部分にも使われている。

2018年12月16日日曜日

凝灰岩で試行錯誤中:伊豆軟石の石蔵

所有者とのお約束で所在地と全景はお見せ出来ないが、全体が凝灰岩質石材では有るのだけれど、二階部分が鋸山の南側の「元名石」、一階部分が、鋸山の「房州石」に似ているけれど伊豆の下田付近の凝灰岩、礎石が「大谷石」と云う蔵が房総半島のある場所に現存する。どうやら夫々の石材を用いた石蔵が元々三棟有ったのを、都合で解体して一棟にやや小さくまとめて残したと云う事らしい。伊豆の凝灰岩と思われる石材中に、緑色岩が含まれていれば事は簡単なのだが、この日もこの一棟だけで66枚も写真を写してあーでもない、こーでもない!と分類作業中の画像の一部をご紹介。いろんな岩片が入っている。









スケール入りの画像を少し整理しておけば、似た様な石材に出会った時に、含まれている岩片や白い凝灰質の比較もし易いだろうと考えている。こんな画像入りのファイルを長年貯めて来たのが800ヶ所余り、4,000頁を越えてしまっているが、長年やって来たので説明に使った用語が不統一になってしまった事に気付いて、8月から改定作業中。現在進捗度約70%で、来年二月末の博物館への年間活動報告書提出までに間に合わせたいと孤軍奮闘中。

2018年12月15日土曜日

栃木市平柳町:星宮神社に来た伊豆軟石の狛犬

前回と併せて20ヶ所程の社寺を巡って使われている凝灰岩質石材の種類を調べて見た。予想外に、今は同じ栃木市内になってしまったが「岩舟石」が善戦しており、神社や歴史的建築の礎石類はほぼ独占している雰囲気だし、巴波川(うずまがわ)の護岸に関しても新しいものは別にして殆どが岩舟石で、想像通り大谷石は新しい建築以外は殆ど受け入れられていない様だ。(全数調査した訳では無いが)
伊豆の軟石が殆ど栃木には入っていないのと、観察する事の出来た殆どがほぼ同じ種類の伊豆軟石だったのに興味を惹かれた。
この神社の狛犬は、砂質緑色凝灰岩を掘り込んだもので、残念ながら造立年代が確認出来なかったのだけれど美しい御姿なのでご紹介したい。



左右共に多少は風化しているが余り目立たない

向かって右側のお顔の付近を拡大すると少しだけ疲れが見える。(緑色の部分)

尻尾の付近は健全です。

鋭い爪も、しっかりと尖っています。

台座には、手工具の跡もしっかり残っています。

台座の一部を接写して拡大してみた画像です。粗さが目立ちますが、実は石灰質に囲まれた砂粒が脱落した跡が観察されます。今日は、何故かスケールが一つもリュックに入って居なかったので、全てスケール無です。

慣れないと判り難いのですが、風化で剥離した部分の接写画像です。(左右に少し見易い場所がありますが)砂粒が緑色凝灰質に包まれているのがお判りでしょうか?

台座の石材は、大谷石と思われるかもしれませんが、これは鹿沼石です。大谷石よりは武骨に見えますが意外と「ミソ」が無くて筋状の模様を見せる軽い石もしっかりしています。珪質の礫が時々含まれているので、これが在れば直ぐに特定出来ます。

右側の台座の外側に目印の岩片がありました。これで完璧です。もっともこれが見付からなくても慣れると判り易いですよ。

草刈から古市場へ  凝灰岩質石材調査

昨日(12月14日)は博物館に行く前に、市原市で風変わりな石蔵が在る御¥と云う情報で石材を調査にいったが、それだけでは勿体ないので周辺を 5 km 程歩き回って、水路の護岸や五か所の神社を回って伊豆の凝灰岩質石材の存在確認。四か所で伊豆の凝灰岩を確認。
この「古市場」と云う地名の場所に在る天満宮は治承年間(1177-1181)に建立されたという古い由緒の神社だが、勿論、記録に残らない何時かに改修され、現在は更にコンクリートの基礎になって居るのだが、念の為に行ってみた。コンクリートの礎石の間に、伊豆の加納丁場のものらしい、房州石に似た粒状の凝灰質が大きな凝灰岩と、発泡した茶褐色の岩塊の周りを淡緑色の凝灰質で隙間なく囲んだこれも伊豆の凝灰岩が所々に残されていた。天神様に付物の「撫で牛の狛犬」(牛でも「狛犬」と云うのはこれまで知らなかった)は、やや石灰質を帯びた河津の青石ではないかと思うのだが、風化で剥がれた部分が無いのでやや決め手に欠けてしまった。今も使っているのか知らないが、10年かそれ以上前に流行った「繊維入りコンクリート」の破片が神社の片隅のガラ置場にあったので参考写真を撮影。こんなの本当に効果が在ったのだろうか?

下賀茂の加納丁場(有料公開施設)の石材に似た凝灰質石材が礎石に使われている

やや発泡した茶褐色の岩塊の隙間を淡緑色の凝灰質が隙間なく埋めている。時々、岩塊がぽっくりと外れるので細工物には向かない。庚申塔や建物の礎石に使われる事が多い

少し拡大してみたが却って判り難いかな?画像の上下方向は 50 mm

こんな雰囲気で、コンクリートブロックの間に収まっている。グーグルの画像では此処までは判らないので、怪しいと感じたら自分を信じて兎に角歩いて其処まで行くしかない!

伊豆の河津の砂質緑色凝灰岩だと思うのだが今一つ納得できない石材だった!

神社額は残念ながら木製

昔流行った繊維強化コンクリートの破片。この繊維を適度に分散させるのが結構難しかった。ファイバーグラスや、鋼製ファイバー等も有ったが、今でも使っているのだろうか?