2019年5月10日金曜日

5月11日:地質の日記念:房総半島鴨川市江見付近の地質見学

 明日は鴨川市の南部、江見の海岸で博物館の地質見学会が開催予定。凝灰質の砂岩主体の波太(なぶと)層と、その上位の砂岩・泥岩・頁岩等の江見層と、潮位が下がった時間帯にその下の砂勝砂岩頁岩層の高鶴(たかずる)層を観察予定。
 私は凝灰質石材の担当だから、駅前の大きな石造りの倉庫や、排水路、家屋の礎石に使われている石材のご紹介を予定。砂岩は蜘蛛の巣状構造が顕著な波太層のものが
礎石類に使われているが、神社等では蜘蛛の巣状が観察し難い細粒砂岩・泥岩、房州石に似た斜層理のスコリアを含む粗粒凝灰岩等をご紹介予定。
 房総半島は、鉄道路線が非常に不便になってしまったので、現地集合の時間が設定し辛い状態。しかも、ボランティアも公用車便乗禁止になりましたので、私もJRを乗り継いでの参加なので、朝は5時起きで、最南端の館山を経由して外房の江見に向かいます。

江見駅前の石造りの倉庫。凝灰岩質石材の切石一段が 30 cm なので高さが少なくとも 5.4 m 有る様です。鉄道が開通してからの建設だと思われるので、大正十(1921)年以降のものと思われます。房総半島の内房線と外房線が繋がったのは昭和四(1929)年の事です。



この石材は、鯨漁で有名な隣り町の和田で採掘された「中三原層」の凝灰岩と我々は想定しています。和田から江見を通り太海更に鴨川に繋がる鉄道は山の無い千葉にしては切り立った断崖のギリギリの所を通ります。外房海岸は意外と平地が少ないので、和田では斜面の石を切って石垣を組んで畑を作って居たほどで
今でも川沿いの本当に狭い石切り場跡の平地にまでも公孫樹を植えて「銀杏」を収穫している処が有る程です。この石材は、鋸山の「房州石」に成分は良く似ていますが、堆積状態が異なるので区別できます。

波太層の泥質の部分ですがこれも通常の堆積層とは異なり様々なブロックに分かれています。

砂層には蜘蛛の巣状構造と言われる、付加体に良く観られる“Vein”が観察されます。

鉄道開通前の大正三年に造られた石垣です。黒い部分が隣り町の和田の産出。明るい部分は、石切り場は特定出来ていませんが、この街の海岸で採掘されたものでは無いかと考えています。

蛇紋岩です。上は新鮮な岩塊を用いた手水鉢。その礎石も蛇紋岩ですが、灰色の風化した蛇紋岩の中に、ブロック状の、新鮮な斜方輝石を含む蛇紋岩のブロックが含まれています。これは私も露頭では観た事が有りません。

神社の狛犬ですが、子犬が二匹もじゃれているのが楽しいですね。
以上

GVP 週間火山活動情報の概要:5月1日 ⇒ 7日;18火山

New Activity / Unrest
阿蘇山  | Kyushu (Japan)  | 282110 | 1592 m
5月2日の亜硫酸ガス排出量は日量で 3,200 トン。2-3日の夜間には火口で火映が観測されました。3日1540時にごく小規模の噴火でオフホワイトの噴煙が火口縁の上空 600 m まで上昇。この日遅く 1948 時に噴煙は 2 km まで上昇しました。噴火は5日0620時まで継続し噴煙は 50 m 上昇していました。7日までは白い噴煙が高度 1.1 km まで上昇しました。火口の火映は引き続き観測されました。4日に行われたフィールド調査では、風下の南南東に 7 km の高森、南西に 8 km の南阿蘇村、南西に 24 km の山都町で降灰が確認されました。亜硫酸ガスの排出量は 6 日の観測では日量で 3,100 トンでした。警戒レベルは“1-5”段階の“2”。


Colima  | Mexico  | 341040 | 3850 m
4月20-26日に高い周波数の地震と火山性地震が増加した為に、26日に関係者が協議し噴火警戒レベルを「イエロー」に引き上げる事に合意しました。地震活動は 5 月 3 日も引き続き増加した状態が継続しており、最大の“M 2.4-3”は火山の北~北東の負荷さ 0.5-3 km に震源が位置しています。

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka   | 300260 | 4754 m
弱い熱異常が4月26日から5月5日まで観測され、航空カラーコードが「オレンジ」に引き上げられました。




Sinabung  | Indonesia  | 261080 | 2460 m
5月7日0641時に爆発が起こり、噴煙が火口縁の上空 2 km まで上昇し、周辺地域の空を暗くしました。噴火は地震観測データから判断して42分49秒継続しました。
降灰は広い地域から報告されました。警戒レベルは“1-4”段階の“4”。


Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 |  2997 m
3日1859時に地震データが噴火を感知し、噴煙が 8 km 南西に位置する観測所から遠望できました。30分後に噴煙は 4.3 km に達し、熱異常も引き続き観測されました。

桜島:Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | 1117 m
南岳火口の火映は時折、夜間に観測されました。5回の爆発で噴煙は火口縁の上空 1.6 km に達しました。警戒レベルは“5”段階の“3”


Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
1-7日の間噴煙が高度 1.5-2.1 km まで上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Ebeko  | Paramushir Island   | 290380 |  1103 m
4月26日から5月3日の間、噴煙が高度 3 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060 | 3295 m
4月22-28日の間、火山灰が“Etna’s Bocca Nuova Crater, Northeast Crater (NEC), the E vent in New Southeast Crater (NSEC)”から放出され、“NSEC’s E”では夜間に火映が観測されました。4月30日に新しい火口が“Voragine Crater”の内壁に確認されました。ストロンボリ式噴火が、28日に“BN-1 crater deep within the Bocca Nuova Crater”で5日まで引き続き観測されました。30日の野外調査では、“BN-1”内の二つの火口が明らかになり、2-3 秒に一回の噴火が発生していました。火山弾と噴石が火口縁を越えましたが、ほぼ火口周辺に留まりました。ストロンボリ式噴火は4月29日から5月5日まで“NSEC”火口でも観測されました。2日0131時に始まった爆発は、断続的に東の火口から火山灰を噴出し、火口縁の上空 1 km まで上昇し速やかに拡散しました。5月5-6日の間、火山性微動の僅かな増加と連動してごく短時間の爆発が観測されました。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | 1325 m
7日に噴煙が高度 2.4 km に達しましたが、警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Karymsky  | Eastern Kamchatka   | 300130 | 1513 m
弱い熱異常が4月27、30日と5月1日に観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Kerinci  | Indonesia  | 261170 | 3800 m
報道に拠れば5月2日午後に少なくとも五か所の集落で降灰が有り、3日には褐色の噴煙が火口縁の上空 800 m まで上昇しました。地震活動は連続した火山性微動で火山ガスの噴出を示しています。翌日夕方には再び褐色の噴煙が 300 m 上昇しました。5日早朝には噴煙は高度 6.7 km に達しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | 813 m
6日0519時に地震が観測されましたが噴煙は確認出来ませんでした。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Merapi  | Central Java  | 263250 |  2910 m
4月22-28日の間、溶岩ドームはゆっくりと成長を続けましたが、押し出された溶岩は主に南東側山腹に崩落し、白煙が 70 m 上昇していました。4月24日には5回のブロックアンドアッシュフローが発生しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Nyamuragira  | DR Congo  | 223020 | 3058 m
2018年の4月に復活しながらも、ほぼ静かな活動状態で経過した溶岩湖が、4月12日に地震活動と溶岩湖のレベルが共に低下し始め、上旬までは放射熱量は中規模でしたが、中・下旬には低いレベルに低下しました。
⇒残念ながら情報源の“Observatoire Volcanologique de Goma”のサイトを久し振りにチェックしてみましたが、2014年の噴火以降の画像は無いようです。

Nyiragongo  | DR Congo  | 223030 | 3470 m
報告に拠れば溶岩湖は17年間の活動期間を延長し続けています。二番目の火砕丘は2016年2月29日に周辺の火口より活動的でした。亜硫酸ガスの排出量は3月の日量 2,900 トンより多い 5,000 トンですが、警報レベルには達していません。

Poas  | Costa Rica  | 345040 |  2708 m
4月30日から5月1日の間、噴煙が火口縁の上空 300 m まで噴出していました。30日には数時間にわたって火山灰の噴出も認められました。夜間には火映が観測されています。

Sheveluch  | Central Kamchatka |  300270 |  3283 m
4月26日から5月3日の間も熱異常が観測されています。堆積していた火山灰の再飛散が 200 km 南東側まで広がるのが4月30日から5月2日に掛けて観測されました。
航空カラーコードは「オレンジ」

以上

今日5月10日の諏訪之瀬島

Nevado del Ruiz_190506_065259

以上

2019年5月8日水曜日

外房・鵜原海岸の砂浜で

 土曜日の地質観察会に向けて、外房海岸の地産地消(凝灰質)石材の顔を確認していたら、以前に博物館の地質の仲間のお手伝いで、勝浦の南の鵜原にある海岸に何度か通った事が在る。午前中は広い砂浜の一部に 170 m 程の基線を設定し、凄まじい数のポイント設定とサンプリングのお手伝い、午後は自分の凝灰岩のフィールド調査をやっていた。
 彼は国内外の砂を収集していて、鉱物の種類や粒度などを調べていた。
ここの砂浜は表層は比較的細かな砂なのだが、数 cm 下にはかなり粗い貝殻片主体の層が在って不思議だった。あるブログで倉橋島の桂ヶ浜海岸の動画を拝見すると、汀線付近の傾斜が全く異なっていて鵜原海岸の方がかなり緩い傾斜らしく波の移動距離が全く違う様だ。波が造った汀線の芸術を拾ってみた。拝見したブログは「岡目八目火山」
https://blogs.yahoo.co.jp/hsato47

砂浜の風景。湾岸流れはゆるく、砂浜はかなりの遠浅らしい。サンプリングは干潮の時にやっていた。

砂浜の波の移動距離。右端が 20 cm のスケール。左側の白い細砂の部分は微高地。

微高地から砂浜を見た図。スケールは同じ

主要な砂の異動が行われる部分。表層の細砂の下に粗粒部が在るので、粗粒部からの戻り水流が多く、砂の異動をコントロールしている。

粗粒部の水道付近は貝殻の破片が多い

流れの末端部には粗粒部が先行し、後から細粒部が堆積する。

やや細砂層が厚いと段差が出来ずに河川の蛇行を見ている様な雰囲気が造られる。上が陸側。

火山灰中の磁鉄鉱や輝石が表層を流れて杉林を遠くから見ている様な模様を造りだした部分。

不思議な事に、横から見ると海岸に平行な細かな筋目が観察される。 以上

阿蘇山;5月7日夕刻の火映

まだ明るい時間から火映が気象庁の監視カメラで観察出来た!





以上