2017年10月12日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:10月4日⇒10日;19火山

Activity for the week of 4 October-10 October 2017
New Activity/Unrest
Agung | Bali (Indonesia) | 264020 | Elevation 3142 m
 10月5日の報告では過去12日間は地震活動に変化はありませんが高いレベルのまま変動しています。観測される地震の数は平均毎分1-3回で、日量では600回を越えます。浅い震源を持つ火山性地震は9月24日から10月5日の間では連日200回を越え、マグマが浅い位置で活動している事を示しています。火山の南南西12.5kmの観測所で感じる地震の数は9月27日がピークでその後は減少しています。 火山ガスの噴煙は火口縁の上空50-200 m まで上昇しています。衛星画像では火口内の硫気地帯から水蒸気の噴出が止んでおり、明らかに上昇してきたマグマが水文系に影響を与えていると見られます。
 10月5日現在で避難住民は、対象者が避難地域に存在する28集落の70,000名に対し、146,797名に及び427のシェルターに収容されていいます。また、10,000の家畜も避難しています。 10月7日にほぼ水蒸気と思われる噴煙が火口上空1.5 km まで上昇しました。10月8-10日の間は、噴気は火口縁の上空50-200 m まで上昇しています。警戒レベルは最高レベルの“4”で、半径 9 km 以内と、南東、南、南西側の半径12 km は立ち入り禁止。

Aoba | Vanuatu | 257030 | Elevation 1496 m
9月30日から10月5日までの航空機による撮影により、噴火活動は継続している事が確認されました。活動は湖の中に新たに形成された小さな火山島から岩塊を噴出し、小さな溶岩流が噴火口から湖に流れ込んでいます。10月6日に、噴火活動が活発化していないと判断され、警戒レベルは0-5段階の“3”に引き下げられましたが、10月10-11日には噴煙は高度3.7 km まで上昇し、非常事態宣言は10月24日まで延長され、避難中の11,000人の住民の帰還は遅れる模様。

Lewotolo | Lomblen Island (Indonesia)  | 264230 | Elevation 1423 m
最近、浅い震源の火山性地震の数が増え、10月7日に警戒レベルを1-4スケールの2に引き上げました。火口から半径 2 km 以内は立ち入り禁止です。8月1日から10月6日までの噴気の高さは 50-600 m でしたが、10月9日には噴気は火口縁の上空 500 m まで上昇しました。10月10日に観測されたM 3.9-4.9 の5回の地震は、火山の地下10-30 km に位置しています。地震を感じた住民723名が避難しました。地震を引き金に発生した岩屑雪崩で5軒の家屋が被害を受けた推定されます。

Ongoing Activity
Aira:桜島 | Kyushu (Japan) | 282080 | Elevation 1117 m
10月2-10日の間、19回の爆発的噴火が昭和火口で発生し、噴煙は火口縁の上空 1.6 km まで上昇しました。5日の爆発的噴火では噴出物は800 m まで到達しました。
⇒今朝の画像有
Bezymianny | Central Kamchatka | 255020 | Elevation 2882 m
10月1-2日と4-5日の衛星画像で溶岩ドームの西側山腹への溶岩流は継続していると報告されましたがカラーコードは「イエロー」に引き下げられました。画像有:但し、右側の噴煙。真ん中は恐らく
“Kamen”,左端は“Klychevskoy”

Cleveland | Chuginadak Island | 311240 | Elevation 1730 m
10月6日の衛星画像で山頂火口の輝点は継続しているので溶岩ドームの成長は継続しているものと思われ、カラーコードは「オレンジ」。

Dukono | Halmahera (Indonesia) | 268010 | Elevation 1229 m
10月4-10日の間、火山灰を含む噴煙が高度 1.8-2.1 km に達した事が観測されました。
Ebeko | Paramushir Island | 290380 | Elevation 1103 m
この間、火山灰を含む噴煙は高度1.5 km に達しました。「オレンジ」

Fuego | Guatemala | 342090 | Elevation 3763 m
10月4-6日は活動が活発化し、毎時8-12回の爆発が発生し、火山灰を含む噴煙が火口上空1.3 km まで上昇し降灰が発生しました。また、白熱岩塊が火口上空300mまで放出され、岩屑雪崩を引き起こしました。7-8日には毎時4-6回の爆発が発生し、噴煙は1km上昇し、同様に噴石により岩屑雪崩が引き起こされました。8-9日の噴火では噴煙が 1 km 上昇し、風下側に降灰をもたらし、岩屑雪崩が山腹を2km余り下りました。

Karymsky | Eastern Kamchatka  | 300130 | Elevation 1513 m
衛星画像で10月3日に火山灰を含む噴煙が観測されたのでカラーコードは「オレンジ」に引き上げ。

Kilauea | Hawaiian Islands | 332010 | Elevation 1222 m
活動状態に特段の変化は無い模様です。

Langila | New Britain | 252010 | Elevation 1330 m

10月4日に少量の火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km まで上昇

Reventador | Ecuador | 352010 | Elevation 3562 m
相変わらず強い地震活動が観測され爆発的噴火は継続し、噴煙は火口縁の上空1.1 km に達していると思われます。時折、天候により目視観測は阻まれますが、夜間には白熱岩塊が山腹を800 m 下るのが観測されます。

Rincon de la Vieja | Costa Rica | 345020 | Elevation 1916 m
10月9日1048時に噴煙が火口縁の上空700 m まで上昇した事が観測されました。

Sabancaya | Peru | 354006 | Elevation 5960 m:画像有
噴火活動はやや収まっていますが10月2-8日の間は連日平均42回の噴火が発生し

Sangay | Ecuador | 352090 | Elevation 5286 m
7月20日に始まった今回の噴火活動は未だに継続しておりこの二か月間特段の変化はありません。この一週間に日平均65回の爆発が発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁から1km上空まで上昇し周辺に降灰をもたらしています。

Sheveluch | Central Kamchatka   | 300270 | Elevation 3283 m
10月2日と5日に熱異常が観測されており、カラーコードは「オレンジ」を維持。
⇒10月10日に噴煙が高度10 km を越える大爆発を起しています。
Image courtesy of KVERT

Sinabung | Indonesia | 261080 | Elevation 2460 m
10月4-5日と7-9日に火山灰を含む噴煙が 3-5.5 km まで上昇しました。

Turrialba | Costa Rica | 345070 | Elevation 3340 m
10月6日0815時の噴火で噴煙が火口縁の上空50mまで上昇し、9日1040時の噴火では200m上昇しました。

Bogoslof の項目が40週で消えましたので、最新画像をUP。
Image courtesy of AVO/USGS.  Photographer/Creator: waythomas, chris


新燃岳の今朝の火山カメラ画像を添付しています。




以上

2017年10月10日火曜日

緑色岩の沓脱石:千葉県の神社に群馬の枕状溶岩!

千葉県北部の歴史の古い神社に、群馬や埼玉の凝灰岩質石材(大谷石は対象外)が礎石等の用途として入って来ていない事を確認する為に、この処国道16号以北の埼玉と茨城に囲まれた部分を徘徊している。栗橋までは群馬の凝灰岩が南下して入って来ている事は確認したので、念の為、市内96ヶ所中11ヶ所を歩いて調査を終える算段だったのに困った事が起きてしまった。
 小さな神社の「沓脱石」になんと「緑色岩」が使われているのを発見!。しかも、拝殿の礎石はこれまで見た事も無い岩相!の凝灰岩が使われている。



 緑色岩化した枕状溶岩は庭石として使われる事は多いが、加工して枕状溶岩の痕跡が見える状態と云うのは、これまで群馬県の上野村や群馬県立自然史博物館の庭他の数例を観察した程度でそれ以外は心当たりがない。



勿論、こんな綺麗な緑色岩は山北町の玄倉川の奥等でも観察出来るが、石材として切り出していたとの話は寡聞にして知らない。房総でも無い筈だ!

この緑色岩:枕状溶岩は、神奈川県博のボランティアの皆さんが磨き上げたので観察し易いが、普段は苔・地衣類と汚れでこんなに綺麗には見え難い。
 この神社の大谷石を用いた本殿基壇は、昭和14(1939)年四月に建築された事は記録から明らかだが、拝殿は屋根を大正十二年に修繕した事が判るだけで建設時期が判らない。石材の風化も進んでいる。もし、群馬の凝灰岩がこの付近にまで使われているとすれば、他にも存在する可能性を疑う必要がある。



この地域の「しらみつぶし」を徒歩でやるのはかなり辛そう!廃墟に近い神社や廃道も多い。車ではとても行けない。

2017年10月8日日曜日

第9回 石のまちシンポジューム の御案内

11月25日に、金谷ストーンコミュニティ主催の「第9回 石のまちシンポジューム」が開催されますので参考用にご案内します。詳細は下図を参照下さい。



当日はこれまでのシンポジュームのレジメ集(各1,000円~ )や「図録 房州石」等も販売されます。尚、私も聴講の予定ですが、主催者側のメンバーではありません。

似ている様でも何処かに違いがある房州石と伊豆軟石

伊豆半島の南で採掘されてきた凝灰岩質の石材の中に房州石と良く似た石材が在る。さてこれが、房州石なのか、伊豆軟石の一つなのか?外観だけで判断に困った時にはまず最初に周囲を見回して同じ構造物の中に異種石材が使われていないか?探してみる。伊豆軟石の場合は殆どの例で同じ伊豆産の他の岩相を示す石材が使われているが、房州石の場合はどうしても、多少の粗粒と細粒とかの差はあるもののほぼ同一岩種で構成されている。



最初の二枚の画像は関宿町の「白山神社」で拝殿礎石に使われていた石材。この神社では伊豆の岩相が全く異なる石材が数種類、大量に使われていたので特に細かく観察する必要を感じていなかった。例えば、二枚目の画像の下の半ば埋設されている石材は伊豆の緑色凝灰岩が使われている。
この神社は千葉県神社名鑑では創建が慶雲二(705)年とされているのだけれど、その後の改修記録などが判らず、異常に新鮮な使用石材との整合が測れないので歴史を調査中。
 最近千葉県最北部の関宿付近で、数か所で房州石に似た石材の使用例を観察する機会を得た。三枚目の画像は、同じ日に元々は同じ地域だったのに、江戸川の改修で埼玉県に編入されてしまった「宝珠花神社」の本殿の礎石。

ここでも、拝殿の礎石等に数種類の伊豆産の凝灰岩質石材が使われている。例えば





これだけ伊豆の石材が揃っていれば、白黒の美しいラミナを示す石材は伊豆の石材だと思うのだが、この地域では殆ど目にしない房州石似の石材に一日に二度も出会うと少し疑ってみる必要も感じる。時代は特定出来ないが、房州石が江戸で使われ始めた頃には、その見た目の類似性に着目して江戸の問屋が「伊豆石」の名で房州石の発注書を出していた例も在るらしい。
 念の為に観察し易い細粒部分と粗粒部分が同一切石に現われている切石を詳細に観察しておくことにした。下の画像は、三枚目の画像の一部にスケールを入れて接写したもの。

更に下の二枚は私の手造りの接写補助装置を用いて、粗粒部と細粒部の境目付近と粗粒部を撮影したもの。三脚を建てられない場所で、手持ちではぶれやすい接写を安定して画像の横幅をほぼ一定のサイズで撮影出来る。このケースでは画像幅を約40mmに設定している。両者共に緑色の凝灰岩粒を含んでいるので房州石では無いと云える。



房州石が普及する前に、既に伊豆の凝灰岩が江戸とその周辺の舟運が発達した地域で使われてきたので、歴史的に古い神社では礎石などに意外とこの伊豆石が残されている。