2015年6月6日土曜日

少し古い瓦 (2) 岡山県高梁市 旧藩校「有終館」の塀

 岡山県高梁市は古い歴史を持つ城下町で市内には旧藩校の「有終館」の跡地が現在は市立幼稚園に使われている。この藩校の塀は古い瓦を用いた「瓦塀」が美しい。勿論、塀は比較的最近に補修を受けている事が瓦の破面に出た加工痕から判るが、瓦そのものはどうやら現代の量産品では無い事が判る。
 意外と鉱物の形状が保たれたものや気泡が多いのに驚く。



2015年6月5日金曜日

少し古い瓦:銚子黒生瓦の断面 (1)

銚子の砂岩を調べて居る時に黒生地域に瓦屋さんが妙に多く存在する事に気付いた。調べていく内に、この付近に分布したメランジェ地質の中の粘土が瓦の原料として優れていた事が判った。残念ながら現在はその粘土を得る事が無いので瓦を調べてみようと思い立った。瓦は焼成によりガラス質に変化しており、偏光顕微鏡では真暗に見える事が多いので切断して破面を観察する事から始めた。調べは全く進んで居ないが関連画像が随分溜まったので少しご紹介する。

現在の瓦と大きく異なるのは鉱物粒子が多い事、空洞が多く存在する事である。


2015年6月4日木曜日

下田市内の伊豆石 補遺 (2)

下田市内でも稲生沢川を少し遡った「お吉ヶ淵」に近い場所にこの蔵が在ります。類似した石材が商家に使われた例は下田三丁目のものを既にご紹介していますが、此方の蔵の場合は表面が少し風化しているので、白い部分との硬軟の差が風化に現れて小さな凹凸を形作っているのが特徴で、不思議な美しさを見せています。





2015年6月3日水曜日

さくら御影・万成石 北千住河原稲荷神社の常夜灯 一対

東京都足立区の千住河原町の日光街道沿いにに古い歴史を誇る河原稲荷神社が鎮座されています。この境内にやや風変わりな常夜灯が一対あるのですが、片方は明治39年(1906)年、片方は昭和50年(1975)の銘があります。上の画像が昭和、下の画像が明治のものです。
 

 
昭和50年の常夜灯の一部を拡大しています。例大祭の際に恐らくさいけんされたものでしょう。
 此方は明治39年に建立されたもので日露戦争に関連したもののようです。
この稲荷様の鳥居は銅で葺かれています。境内には同じ明治39年に建立された「千住市場創立三百三十年碑」が宮城県石巻産の「井内石(稲井石)で建てられておりその高さは3.6mもあります。関東地方にはこの井内石の石碑が大変多く存在します。何れこの石碑の画像も紹介してみたいとは考えていますが巨大なものは6mにも達します。石碑の高さを測定する為に私はレーザー測距器を購入してしまいました。井内石の石碑は私の知る限りでは西は岡山県まで存在しています。

2015年6月2日火曜日

下田市内の伊豆石:補遺 (1) 森斧薬局

下田市内他の伊豆石建築物の画像がまだ未紹介で残っているのに気付いたので、重複しない様に注意しながら暫く続けます。

森斧薬局は市内でも最も歴史のある薬局。隣家との間に伊豆石の壁がほんの少しだけれど観察が出来る。残念ながら少し斜めにしか見えないので画像が傾いている。白色の軽石部分が多い。



2015年6月1日月曜日

鎌倉石 (22) 長後街道

藤沢市内のJR線の南北に広がった丘陵地帯から採掘された鎌倉石は馬の背に括られて当時は大山詣でで賑わった長後まで運ばれたと資料に記されている。都市化が進んだ地域でどれだけ鎌倉石が残っているか疑問も在ったが機会を得て長後の引地川に沿った丘陵の裾野付近を中心に歩いてみた。果樹の栽培が盛んな様で「豪農」と言えるのではないかと思える蔵を持つ大きな屋敷が多数あったが、大部分は塀も新しく鎌倉石を見い出す事は容易では無かったが、一軒の矢張り果樹園を営むお宅の塀の礎石に鎌倉石が使われていた。長さは50から90cm程度でまちまちだが間違い無く鎌倉石である。

 蔵は数多く在るのだが皆波板で囲まれていて土蔵なのか石蔵なのか見定める事は出来なかったが、この置き屋根の例では興味深い事に下図で赤線で囲んだ部分にやや色調が淡いが鎌倉石らしい石材が見える。
置き屋根を凝灰岩質石材を介して土蔵の上に置く事で、火災の際の蔵の傷みは最小限に抑える事が出来るはずだ。あるいは、この蔵は鎌倉石で築かれているのかもしれない。
 望遠レンズで観た屋根を支える石材
 同じく屋根を支える石材。凝灰岩は花崗岩等に比べて高温に強いのでもし屋根が火災で炎上しても蔵の内部には燃え移らない事を期待しての事と思う。良く火災の際には屋根を落とすと書かれた説明があるがこれは無理ではないだろうか?二つに簡単に割れるなら別だがその様な構造は伺えない。下の画像の右手にリボンの様にねじれた鉄金具(名称をしらないのだが)が見えるがこれは屋根と蔵本体を結合している金具である。チェーンを使った例もある。羽目板は簡単に外せる仕組みがあるが置き屋根は無理だろうとおもう。石材の話が蔵の話になってしまった。