2011年9月17日土曜日

桜みかげ・万成石:E-7;美術館

壁面の仕上げの一例です。細い帯状の浮き出し部分を作り、その浮き出した部分の仕上げを粗くする事で、平面的なべったりとした壁面になる事を避けて不思議な空間を作り上げています。
帯状の浮き出した部分は画面右手のスケールのもう少し左手で消えています。さてこおれが美術館のどの部分の壁面だったか?いくら“GPS”付きのカメラでも建物内なので効果がありません。
余談ながら、カメラにGPSが組み込まれて、位置情報をデータとして取り出せるので、最近は露頭位置のマッピングが本当に楽になりました。

2011年9月16日金曜日

産総研:地質標本館外壁

9月15日 久し振りに産総研・地質調査総合センターの1階に在る「地質図ライブラリー」と3階の図書室で、地質図と地質文献の閲覧と複写をしました。此処は昼休みの時間帯は館内に留まれないので、何時も講堂傍の食堂棟にあるコンビニでおにぎり二つを買って、池の畔で食事し、地質標本館の中で岩石標本の撮影等をして時間を過ごします。上の画像は地質標本館の外観で、下は入口の部分の柱(左側研磨部)と外壁(右側)です。標本館で石材の産地をお聞きしたら韓国産の御影石だそうで、国産石材を使用しなかった理由はこれだけ大量の石材は国内では入手し難いからだとの事でした。残念な話です。
17日は早朝から房総半島中央部の君津市の砂取場で万田野礫層の露頭を観察する事が出来ないか?走り回る予定で何時もは午前中の早い時間に出発するので更新が出来ないので取り敢えずこの画像で場繋ぎをさせて頂きます。
標本館では25日までの会期で特別展「世界石紀行」を開催していましたので、今日の博物館での地質の勉強会様に展示用パンフレットを20部頂きました。標本館の展示解説パンフレットはとても参考になる良い資料です。今日の勉強会ではみなさん大喜びでした。有り難う御座いました!

桜みかげ・万成石:E-6;美術館

さて、ここに使われている万成石の顔を拡大して拝見しましょう。上の画像は磨き仕上げ、下はバーナー仕上げでしょう。今朝からブログの表示がこれまでと少し変わってしまい、全画面での表示が出来なくなって居ますが、上下の画像を大体同じ大きさになるよう調整しています。横幅が約50㎜ですから皆さんのパソコン画面上では4倍ご覧になれると思います。(なんで全画面での表示が無くなってしまったのか!残念。)
上の画像で、桜色は勿論この花崗岩の一番の特徴である「カリ長石」。白い色の部分は大体「長石」です。透明の部分が少しだけ厄介で、劈開と言う名の割れ目が見えるのは白い部分と同様に「長石」です。
長石といっても斜長石もあれば正長石もあり、その分類は薄片を作って偏光顕微鏡で観察しなければ判りません。白い結晶でもツルンとしてなんだか奥が見える様な小さな劈開が無いのが「石英」です。黒いのは大部分が「黒雲母」。小さな黒い点は角閃石かもしれませんがこの画像から判断する事は出来ません。仕上げによって表面がこれほど異なる事をお分かり頂けますでしょうか?
処で 毎年、5月の連休に私の出入りしている博物館では「石を割ってみよう」と言う体験会を開きます。どんな事をやるのかは下記の産総研での例をご覧になって下さい。割る岩石の種類は少ないですが、ほぼ同じような手順で体験会が開かれています。下記をコピペして2009年に岡山で開かれた地質情報展 おかやま でのスナップ写真集のインデックスを開き左手三段目の「石を割ってみよう!!」をクリックしてください。
http://www.gsj.jp/Info/event/2009/johoten_2009/snapphoto/snap_index.html
子供たちは目を輝かせて石を割り、実体顕微鏡での美しい観察画像に息を止めて見入ります。私は博物館のこの様なイベントの時に、観察のお手伝いやハンマーの振り方や叩くポイントのアドバイス等のお手伝いをさせて頂いています。産総研と異なり、コネも予算もない博物館では、ボランティアの皆さんが手弁当で「石無県の千葉県」で石割用の岩石を採集に出掛けます。割ってみて興味深い石を探すのは大変でもあり、割ってみて自分でも見た事が無いようなものが出て来るとつい欲しく成りますがそんな時は小さなお子さんから気配を察してか睨まれてしまいます。こんな美しい花崗岩を叩かせてあげたいものです。来年にでも少し大きめの岩屑を頂きに参上しようかしら!

2011年9月15日木曜日

原色図鑑「岡山の地学」について

地学教育が衰退してしまっている現状では、ある意味仕方のない事なのかもしれませんが、これまでご案内した様な書籍が絶版になってしまうことはとても残念な事です。
今日は所要でつくばの産総研・地質調査センターの地質図ライブラリーと3階の図書室を利用させて頂いたので、空いた時間に原色図鑑「岡山の地学」を閲覧しました。B6版のビニール表装のしっかりした製本で、中の画像もいまでもそのまま通用する様な美しいものです。8頁の索引を含めて337頁のこの図鑑には火成岩が158頁から185頁まで、また、「地下資源と鉱物」と言う章は229頁から280頁までを割いています。
火成岩の項目は、岡山市天神町の「岡山県総合文化センター」の花崗岩の露頭と万成石の石塔と豪渓の垂直にそそり立った美しい絶壁の風景から始まっています。高梁川の美袋の河原を歩いた時に、途中の「豪渓」と言うのはどんな所だろうかと興味が湧いたのですが、つい河原の礫に惹かれて豪渓には行っていないのですが、この画像を見て次回は行きたいな!と思いました。
勿論、出版された年代を反映してプレートテクトニクスよりも地向斜の考え方が根強い雰囲気の説明などもありますが、(113頁など)小生が探しあぐねて居た枕状溶岩の情報も含まれていて大変参考になりました。
6億円の宝くじでも当選したら、1億円位は重版予定の無い貴重な地学系書籍を増し刷りして、各地の図書館に無償配布をしたいものだと思いました。お金には縁の無い小生の夢ですね!

桜みかげ・万成石:E-5;美術館

桜みかげの波板状の仕上げ面を接写したものです。現尺よりやや大き目かもしれません。スケールを充てた画像を一枚も撮影していなかったのは失敗でした。粗い仕上げなので、ピンクのカリ長石の板状劈開が良く観察出来ます。
昔々の話ですが、シールド掘削工法の末端に連なる仕事をしていた時に、東京都内の軟弱地盤でのシールド発進作業で、発進部にファイバーコンクリートを使用しこれを掘削しながら発進する現場が在りました。画像データが何処かに在る筈だと思って探したのですが見付かりません。(まだフイルムカメラの時代です)
途中で切削状況を見る為にマンホールから切羽に出るというので私も着いて行ったのですが、シールド掘削機の前に出て、カッターチャンバー内からカッターとファイバーコンクリートの切削面を見学させて頂いたのですが、この画像の波の間隔をぐっと大きくしたような雰囲気だったのを記憶しています。勿論、シールドの場合は同心円です。
ハンマーで直線的に送りながら叩くのでしょうか?それとも算盤玉の様な工具で力を加えながら転がすのでしょうか?光の反射がとても面白い効果を与えてくれます。
下の画像は接写により拡大したものです。明るさが足りないので絞り切れずどうしてもピンボケの部分が出てしまいます。残念ながらスケールを充てた画像が無いので、波状のピッチや深さは判りません。
昨日ご案内した壁面上部の様に、光の当たり方で面白いアクセントになって居る様に思います。

2011年9月14日水曜日

書籍「岡山の岩石」と「岡山の石」について

万成石の故郷、岡山の地元の出版社に「日本文教出版㈱」があります。教科書を発行している東京に本社を置く同名の企業とは異なり、出身母体が岡山県教職員組合なので郷土愛に溢れる出版活動を支えています。看板の「岡山文庫」は既に260冊を超えるシリーズもので、この中に表記の2冊の書籍が有ります。最近、関東の大手書籍店で見掛けましたのでまだまだ入手可能の様です。
「岡山の岩石」は岡山の大学で教授を務められたお二人の方が書かれた巡検ガイドを兼ねた岩石の解説書で、花崗岩を含む火成岩類については23頁から76頁までを割いています。別に「凝灰岩」の項目で99頁から108頁が割かれています。全部で173頁の書籍です。
体裁は普通の文庫サイズ、価格は800円ですからカラー画像は有りませんが様々な岩石画像と露頭地図もあるので、巡検ガイドとしても優れたものです。顕微鏡画像も含まれている大変丁寧に作られた岩石の参考書です。
万成石は岡山県の主な火成岩類の最初の項目で紹介されています。

もう一つの「岡山の石」は、実は「岡山の岩石よりも16年も前に発行されたものです。専門分野にも触れていますが、どちらかと言うと「石にまつわる物語」的な書籍だと理解しています。石屋さんとの対談に始まり、石器、古墳、石垣、築庭から水石に至るまで非常に守備範囲の広いです。こちらの書籍でも、石屋さんとの対談はまず万成石の話題から始まっています。

岡山文庫にはこの他に「岡山の鉱物」と言う書籍も有るようです。これは小生は手にしていないのでどんな書籍か存じませんが、「岡山の岩石」の著者のお一人が著者なので、興味深い書籍です。
尚、岡山文庫については下記に目録が有りますのでご参照ください。
http://www.nihonbunkyo.co.jp/okayamabunko/bunkomokuroku01.html

桜みかげ・万成石:E-4;美術館

前の画像の一人掛けのベンチが在ったスペースの西側壁面。少し斜めに写してしまいましたが一番上の部分は他の部分と異なる波板上の仕上げになっています。他の部分はバーナー仕上げなのだろうと思います。
波板状の仕上げは岩石に興味を持つ小生には特に興味を惹かれました。でも、接写をする明るさには少々足りない照度の中で、山と谷の両方に焦点を合わせるのは至難の業でしたので、何時か明るく晴れた日に再訪したいものです。
しかし、鉱物の熱膨張を利用してバーナーで焙って新鮮な岩石の表面を作り出すなんていったい誰がどのようにして考え出したのでしょうか?
加工方法による仕上げ面の違いは武田石材さんのHPでも「万成石仕上げ見本」に紹介されていますが、このブログでも別途ご紹介させて頂く予定で様々な画像を準備中です。

2011年9月13日火曜日

山口県の岩石図鑑 のこと

先日、共に岩石を学ぶ知人が勉強会の折に「山口県の岩石図鑑」を御持参されたので、無理をお願いして一週間お借りする事が出来ました。1991年に山口地学会の編集で第一学習社から定価4800円で出版され現在では殆ど手に入らない書籍なのですが、花崗岩の為にも多くの頁(深成岩:P19-47/224)を割いて沢山の画像を掲載している大変すばらしい書籍です。
機会が在りましたら是非手に取ってご一読されることをお勧めします。
著者のお一人である永尾隆志氏は「山口の火山」HPを主宰し、子供たちへの地学教育に大変熱心に活動して居られる方です。
以前から欲しいと思っていた書籍なので、一生懸命画像を拝見しています。
花崗岩については万成石の故郷「岡山」でも素晴らしい書籍が発行されていますので、近い内にご案内したいと考えます。(探したのですが、何処に行ったのか書棚に見当たりません。書棚も半年前の大地震の際にも良く崩れなかったものだと感心するほどいろんなものが積み込まれていますので、捜索は大事業なのです)

桜みかげ・万成石:E-3;美術館

館内に入って右手のやや高い位置に在るトイレに通じる休息スペースに在るベンチの上面。左右両側に斜めの線が見えるのは床面の敷石でこれも勿論万成石。内部は全てガラスと万成石の館である。美しく丁寧に研磨された上面は結晶の形状がくっきり浮かび上がって素晴らしい。画面左下にスケールを置かせて頂いた。画面右側に壁面一杯のガラス窓が在り、中庭の景色が心に優しい。画面が少し斜めに見えるのは、真上から撮影すると自分の影が映るのでやや手前側から斜めに撮影してみたものです。
館内には勿論「ミュージアムカフェ」が在り、小生もコーヒーなどを相席で頂いたのだが、テーブルは美しく磨きこまれた蛇紋岩でした。流石に小生もテーブル表面の撮影は出来ませんでした。

2011年9月12日月曜日

桜みかげ・万成石:E-2;美術館

正面の玄関前広場の階段がチョット面白そうなのでどう写そうか迷っていたら、丁度女性が階段を昇って下さったので後姿をスケール替わりに頂いた。階段部分は建物内部に比べるとやや桜色が淡い様に感じたのは外装部分には類似品が使われていると聞いたからか?
この時は雨が降っていなかったがやはりやや暗いので、外装壁の色合いは正しく表現出来ていないかもしれませんが、恐らく淡い桜色のカリ長石があるので、稲田石の色合いの様な冷たい様な色合いになにか安心感をおぼえるのは不思議です。
さて、武田石材さんの丁場を見学させて頂いた時の作業服のまま館内に入り撮影許可を頂く、着替えようかと思ったがリュックに詰め込んだシャツがくしゃくしゃだったので、美しく着飾った善男善女の間をカメラ片手の作業服+リュック姿のおっさんがうろつく事になってしまったが、以下撮影した「万成石」の表情をご覧頂きましょう。ナニ、いろんな場所で岩石や建物の外装などを撮影していて奇異の目で見られる事には慣れていて、却って作業服姿の方が周囲の方々が避けて下さるので好都合なのです。

2011年9月11日日曜日

桜みかげ・万成石:E-1;美術館

産総研の地質ニュースに掲載された「万成石」によればこの建物の内装は本物の「万成石」なのだが、外装には他産地の類似のものも使われているらしい・・・。この美術館の正面玄関付近の画像は結構多く紹介されているので省略し、これは県立美術館西側の壁。この画像の少し右手には大型美術品の搬入口と思われる大きな構造物が在ってこの造形も興味深かったのだが、此処は万成石に焦点をあててこちらの画像を選択しました。あいにく時々小雨が落ちる天候で背景が青空ではないのが残念だが、石垣と共に表面加工を幾つか組み合わせしかも単純な壁面に終わらせていない処が気に入って採用!
美術館のHPは http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/kenbi/