2010年12月25日土曜日

宇都宮市大谷石(5)

前の画像の駐車場から見える風景の一部を望遠レンズで撮影してみました。
採石された空洞部の上に斜めに流れる柱状節理の様な姿が見えます。
南九州のシラス台地では厚く堆積したシラスのかなり下の方が溶結凝灰岩となっています。これだけ厚い層の上部に柱状節理の様な姿が見えるのが不思議でなりません。この上空にかっては厚い火砕流堆積物が積もっていたのが侵食により失われ硬い部分だけが残ったのでしょうか?
条件は異なるので比較する事自体がおかしな事なのですが、横山勝三氏の「シラス学」43頁の図表に拠れば、溶結凝灰岩の場合は溶結部の厚みの半分に相当する厚さが溶結により減少しています。更にその上に溶結部の倍以上の「非溶結部」が存在していたようですから、もともとのこの火砕流堆積物の厚さの凄さに圧倒されてしまいます。

2010年12月24日金曜日

宇都宮市大谷石(4)

大谷石資料館と言うかっての地下での大谷石の地下採掘場が公開されています。その資料館の駐車場です。崖の途中に掘り込んでいるのはその部分に良質な大谷石があり採掘された為のようです。車のサイズから採掘されてきた大谷石の厚さがご理解頂けると思います。
大谷石の露頭観察にはこの資料館と大きな公営駐車場のある大谷石公園周辺が一番便利でしょう。

2010年12月23日木曜日

宇都宮市大谷石 (3) カメラで軽石を接写

「ミソ」は特に多孔質と言うか間隙率が大きな軽石部分なのですが、これは見事に細長い気孔が見える軽石部分が在りました。
この後、採石場で見た「ミソ」の部分は触るととても柔らかく真っ黒でした。
大谷石の中に含まれる「気孔」はこの様に、材木が腐食したような細長い気孔が多い様に思います。加藤祐三氏の「軽石 海底火山からのメッセージ」をご存知でしょうか?この書籍の第10章に「漂流出来なかった変り種 材木状軽石」があります。209頁のモノクロの画像しか見た事は有りませんが、きっとこの様な細い気孔が並んでいるのだろうと想像しています。
ミソの部分はこの様な多孔質である為に保水性が高く、他の部分よりも含水率が高いと言う研究論文が有ります。この為に採掘後は乾燥でミソの内部が収縮し脱落しやすくなる様ですね。

2010年12月22日水曜日

宇都宮市大谷石 (2)

一般的なイメージの中の「大谷石」は新しい時にはこの様な雰囲気ですね。これはある建物の外壁に使われていたものです。スケールは有りませんが、縦が丁度ブロックの1枚分ですね。これは「ミソ」が殆ど無いかなり上質の部分が使われています。「ミソ」の部分は軽石質が特に強い場所で大体黒色を呈しています。表面が茶色に汚れているのはその「ミソ」の部分です。
下の画像は同じ画面の一部分をほぼ倍に拡大したものです。細い繊維状の軽石が沢山在ります。これでもまだ余りハッキリしないかも知れませんので、手元に在る大谷石のコースターの画像をスケールを入れて後日もう少し大きな倍率で見て頂く事にしたいと考えています。

2010年12月21日火曜日

宇都宮市大谷石 (1)

久し振りに大谷石の故郷を訪れた日は残念な事に雨でした。処が雨が幸いして思いがけない発見をする事になりました。普段見る大谷石はこの画面の左下側の色合いが多いと思うのですが、雨に濡れた敷石は見事に青い色を呈しているものが在る事が判りました。
採掘場の画像を見て頂くと判りますが、採掘された当初はかなり青い色をしています。学術的にはこの様な用語はない様ですが「酸欠粘土」とか「青粘土」と呼ばれる群青色(?)の粘土層は似たような色合いです。採石場から木片や貝殻が出ることも有るようなので、景観は大きく異なりますが、房州石」と同じく「海成」の火砕流堆積物であるようです。
採掘後、乾燥すると直ぐにこの青色は失せていきます。青い色を長時間保つ為には「CCレモン」なる清涼飲料を岩の表面に塗ると良いのだそうです。本当です!実際採石場にこの清涼飲料が山と積まれていて実際にその作業を見せて頂きました。
今回の「大谷石」については、最初に大谷石の風景を幾つか見て頂き、次に現在も採石を行っている「露天掘り」の作業所の画像を、そして最後に「大谷石資料館」の内部を見て頂く予定です。画像の数が多く40枚程度になるようです。
尚、大谷石の画像のご案内が終れば、同じ海成の火砕流堆積物である。「房州石」の話題に戻る予定です。古墳に使われている「房州石」(富津磯石)にも触れます。

2010年12月20日月曜日

下田市三穂ヶ崎 板見漁港(15)

海水浴客が沢山遊んでいる白浜海岸が直ぐ傍に見えます。手前に三穂ヶ崎の「蜂の巣状風化」面が少し見えていますが、その狭い範囲だけでも随分風化の形状が異なる事がお判り頂けると思います。少し凹んだ部分はかなり硬い表情をしています。
画面左側の半島の様に丘が突き出した部分の海面近くに岩場が見えます。確か其処には貝化石が出ている白浜層群だったと記憶しています。40年ぐらい以前の冬のある日にこの附近を歩いてその岩場に座ってのんびり空を見上げていた記憶が在ります。その時はこの附近の地質景観を再度観察に来る事が出来るとは考えていませんでした。明日からは栃木県の大谷石の景観をご案内する予定です。

2010年12月19日日曜日

下田市三穂ヶ崎 板見漁港(14)

この画像は比較的岬の入口附近で撮影した画像です。ナンジャコリャ!と驚いたので今でもはっきりとその時の事は記憶に在ります。風食にしては大きな3個の岩塊の筋目の方向が異なりますので説明出来ません。蜂の巣状風化の類型なのでしょうがこの分野は難解です。