2009年12月5日土曜日

栃木県塩原温泉の湖成層(1)

湖生層か湖成層か何れが正しいのか知らない。ここでは自分の習慣に従って「湖成層」と書かせて頂く。スケールが無いのは申し訳ないが、後でスケール入りの画像を紹介するのでお許し頂きたい。有名な塩原の湖成層も中々観察する場所には恵まれないが、ここ「要害公園」では余人に邪魔される事なく堪能出来る。下部に灰色の成層があるのは火山灰なのだろうか?と思ったが「年縞」を跨いでいるので珪藻以外の藻類が繁茂したものが炭化したものかもしれない。小生は素人なので単なる推察。このような地層の観察にはやはりネジリ鎌が威力を振るう。

2009年12月4日金曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(6)川向こう

この都内某所附近でも幾つかのトンネル工事に係ったのですが、何故か全く画像が残っていません。この画像は、川向こうの粘土分が殆ど無い細砂層を掘削したのですが、その時掘削した土砂をトロッコの台車に積み込んでいる時のものです。直径250mmほどのパイプから流れ出した土砂が台車に下りた途端にこんな風に流動性を失って山になってしまいます。ホンノ少しの含水比の差や、砂の粒子の振動によって、配管の中をするすると土砂が流れたり、積み重なってしまったりします。
スコップで掘った土砂を、特殊な装置を使って、配管に通してやると、中はポッコリと折れるほどの状態なのですが、配管と接した土砂はまるで水が浮いたみたいに表面に水が浮き出して光ります。その状態では、配管の抵抗は驚くほど少なくなって容易にトンネルを掘った土砂を地上まで送り出してしまいます。細かな粘土・シルトから細砂については実にその流動特性が不思議で面白い事があります。

2009年12月3日木曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(5)

この高層ビルの位置を「某所」とする必要は無いかな?とも思ったのですが、何処の誰がこの画像を見るかもしれないし、それをどう理解するかも判らないので敢えてここは正確な場所を示さなかったのは、この画像が有るからです。
私は江東区の南端から葛飾区の北端までの地下に広がる沖積シルト粘土層の固さを良く「羊羹」に例えます。ここの4枚の画像を見て頂きました。人間が普通にその上を歩けるし、斜めにカットした斜面も安定しています。この画像はその斜面を指でチョット引っ掻いてみた状態です。しかも、画面の左上には乾燥による収縮が発生した証拠の亀裂が見えます。これでも自然状態の含水比ではないのです。軍手の網目模様が乾燥しているように見える土の表面に簡単に着いてしまいますし、粘土細工の様にクシャクシャに変形した土の様子が判ると思います。静的な荷重には比較的耐える層も、有る限界を超える力を加えると瞬時に部分的な液性化が起こり容易に塑性変形が起こってしまいます。
江東区の同様な土質のシールドトンネルの現場で、私達は止めたのですがそこの工事長が止せばいいのにセグメントに取り付けられて居る2インチのプラグを、外の地山は安定しているのだと言い張って外した事が有りました。途端に地山の土が直径50mmほどの太さで、練り歯磨きの様に凄まじい勢いでトンネルの中に噴出して来た事が有りました。水と異なり噴出してくる土砂は簡単に抑える事が出来ません。暫く、その工事長が悪戦苦闘をしているのを知らん顔して観ていた後で、チョットした方法で私達はそれを止めました。
地震の時の「液状化」と言う言葉をお聞きになっていると思いますが、東京東部の沖積シルト粘土層は結構怖い動きをする事が有ると言うお話です。

2009年12月2日水曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(4)

残念ながら小生は貝の名前を殆ど知りません。この場所で記憶に残っているのはもう少し上の部分で「マテ貝」。同じ深さで赤貝。これは実にでかいのを15cmくらいのを見ました。アカニシやカキは見掛けませんでした。
東京湾の横断道路のシールド工事では部分的に30cmを越えるしかも厚いカキの貝殻がものすごい量出て来て驚きました。掘削土を地上まで排出する配管が閉塞するのではないかと心配な程でした。
この地域の地質文献は比較的少ないように思いますが、ネットで閲覧出来るものとしては産総研の「地質調査研究報告 第57巻 第9/10号 261-282頁 2006年に「東京都葛飾区における沖積層の堆積層と堆積物物性:奥東京湾口の砂嘴堆積物の時空間分布」が参考になるかもしれません。産総研のHPから DL 出来ます。勿論、同じ場所ではありません。

2009年12月1日火曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(3)

スケールになりそうなネジリ鎌が入っている画像がありましたので、少しトリミングしてご紹介します。大体この手のネジリ鎌は柄の長さが30cmと考えて間違いないでしょう。まるで液状化で噴砂が通った後に貝化石が濃集して居る様にも見えます。貝化石が有る為かもしれませんが、この部分は少し柔らかい雰囲気ですね。このような濃集部が最初の画像の斜面に、10mに1箇所程度見えましたから、もし、これを平面的にみれば濃集部の分布頻度はかなり高いと思われます。残念ながら少し上には細砂層が在るので工事中の平面ではそれを確認する事は出来ませんでした。

2009年11月30日月曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(2)

理由は判りませんが、このような沖積層には所々に貝化石の濃集部分がポケットの様に分布している所が有ります。スケールが無くて申し訳在りませんが、こんな風に縦穴風に貝殻が妙に多い部分がある訳です。
30年前に都内江戸川区の葛西附近でブラインドシールドの現場に通った事があります。大部分はやる事が無くて只、じっと機械の運転状況を監視しているだけなので、退屈でシールド掘削機の一番前の「切羽」で「羊羹」の様に坑内に流れ込んでベルトコンベアで後方に運ばれる、やはりシルト粘土を見ていました。
今回の様には実際に地中に在る時の状況は判りませんでしたが、やはり、所々に貝化石の濃集部が存在していて土砂をスムースにベルトコンベアに搭載するようにスコップで切り込んでいると、その濃集部が判りました。その部分には、葛西の場合は「ほら貝」に似た「アカニシ」の大型の化石が時々見付かりました。その1個を職場に持ち帰った処、妙に沢山の同僚・先輩からリクエストがあり、その後も良く探したものでした。
勿論、1個だけ今でも大切に持っていますが、なるほど、こんな様子で濃集していたのか!とやっと理解出来ましたが、何故こんな風に集まるのかは理解出来ていません。

2009年11月29日日曜日

東京都某所沖積シルト粘土層(1)

今日ご紹介するのは都内某所。もうこの上に高層ビルが完成してしまいましたが、沖積の柔らかい海成層の貝化石が出現した場所の見学記録です。
数年前、都内某所の居酒屋で酒を飲んでいましたら、当時仲良くなって居た建築設計者から「今の現場で面白い貝が出るのだけれど、名前が判るかな?」と聞かれました。
結局、その貝は二枚貝で蓋がきちんと閉まらない、今の「ミル貝」らしいと判ったのですが、面白そうなので見学させて頂く事になりました。貝類素人の私だけでは面白くないので、何時も色々とご教示頂いているある博物館の地学の先生に声を掛けさせて頂き、当日はそのT先生と貝化石に詳しいK氏に私の3名で現場を訪ねました。画像はK氏が丁寧に貝化石を掘り出している処です。足元が大体地表面から15m程度でしょうか?
斜面はシルト粘土の地層そのものです。
高層ビルは勿論、N値が50以上の礫層に深く基礎を打ち込んでいますが、地表から少し掘り進むと貝化石の詰まった沖積層が広がっています。東京都の東部は大体似たような地質環境です。