2020年8月16日日曜日

岩石と地層の表情:097;房総半島:旧天神山村・不入斗丁場

 さて、天神山村の石丁場で最後にご紹介するのは「不入斗:いりやまず」です。当初は、あんな場所に丁場は無いよ!と全く情報が得られなかったのですが、保存会に新規に参加された方が実はその石丁場の有る尾根の入り口付近にその昔住んでいた頃があると云う話から、一挙に現地調査が実現しました。勿論、現在はその付近には全く何方も住んで居られないので、道も無い状態ですが、当時の石置き場(中間貯蔵所)までは車で行ける事が判り、二台の車に分乗して出発しました。


旧石材置き場の傍の尾根に開けられた車力用トンネル。車力(荷車)がやっと通れる幅と高さの細いトンネルが残っていました。石材を下すと空荷で多少高低差の有る尾根を迂回する道を通って石切場に戻ったようです。
途中に露頭がありましたので、岩相を確認しながら進みます。
現地は瀧の谷丁場と同じようにトンネル状の石丁場になっており、上下二ヵ所にトンネルが上下で交差する雰囲気の採掘が行われた跡がありました。

採掘跡には、幾つものひび割れが観察されます。被りが浅いのでひび割れが多いのは仕方がないのでしょう。

上のトンネル状石切場から外を見る事が出来ます。尾根状にやや硬い石材に用いる岩の脈が伸びているのを採掘したようです。
トンネル状石切場を出た処で崩落が在ります。
脇の崖を見上げると、かなり上の方まで剥離するように崩落が発生したのが判ります。
チョット面白い採掘跡がありました。縦の隙間の大きな溝を掘ってから水平に切り取ろうとしたのでしょうか?台形の右側の逃げが妙に大きく造られています珍しい切り方です。
帰りに、他も見て行こうか?等と言いながら雑木林を歩いていると、突然、視界が開けて深い石切跡の上部に出てしまい、足が竦んでしまいました。

切り出した石材を運ぶ道は、急な崖に、石垣を築いて道を作っていました。この付近はすれ違いが出来るように少し幅広になっています。石垣の状態を見るのに木の枝に腕を掛けて見下ろしています。私はその先のカーブから一行の姿を写しています。