2017年9月30日土曜日

高麗・巾着田の「矢颪層」凝灰岩の火山ガラスを観たかったのに!

高麗川河畔・矢颪凝灰岩層の火山ガラス観察は旨く行きませんでした!
 矢颪凝灰岩層には、火山ガラスが大量に含まれていると聞いていたので試しに観察を試みましたが、先日高麗川の「どれみふぁ橋」右岸で採取した少量の粘土の中にはいわゆる「バブルウオール」型の火山ガラスは殆ど含まれていませんでした。飯能礫層が矢颪凝灰岩層を一部削剥して分布している様に見えたのですが、どれみふぁ橋の付近では間に別の層が分布していた様で、粘土を洗い出して観察してみた範囲では、細かな岩片ばかりでそれらしいガラス片は殆ど含まれていませんでした。
最初の画像は、サンプルを洗浄したものをシャーレに置いた状態です。

下に目盛を置いたのでかなり細かな砂が主体である事がお判りになると思います。火山ガラスが「バブルウオール」型ならば形状だけで判別できると考えて鉄錆色を落とす「脱鉄処理」は行っていません。
下二枚の画像の中央のものは比較的透明ですが、ガラス質な薄く剥がれた「破片」で火山ガラスの「泡」の一部では無い様です。顕微鏡画像3枚の横幅は何れも 1.6 mm です。

下の細長い岩片はチャートの様な透明感があります。

最後の透明な鉱物はガラスの様にも見えるのですが、斜長石の破片と考えた方が良さそうです。

サンプリングの場所が悪かったのでしょう。次の機会があれば是非また挑戦してみようと思います。
撮影は、博物館に在る偏光顕微鏡を使って、一眼レフのレンズを外し、専用マウントで顕微鏡の上にカメラを固定し、試料には白色LEDで照明を誌ながら、カメラの可動モニターで焦点を見ながら顕微鏡の粗動・微動ダイヤルで合せての撮影です。カメラ側では、レンズが無いので、焦点を併せる事や、絞りを調整する事は出来ません。カメラではものたーの倍率を変えて焦点の合致状態を確認します。

2017年9月28日木曜日

GVP火山活動情報の概要:9月20日⇒26日;22火山

New Activity/Unrest
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 | Elevation 3142 m
9月22日1300時点で指定避難区域から9,421名が退避しました。地震活動は増加を続けており9月22日に警戒レベルは1-4段階の“4”に引き上げられ、立ち入り禁止区域は半径9kmと、南東・南・南西側に関しては半径12kmに広げられました。9月24には238ヶ所のシェルターに34,931名が避難しています。9月27日には430ヶ所のシェルターに96,086名に拡大しています。火口縁から50m上空まで白煙が立ち昇っています。

Aoba  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
火山の活動が活発化し9月23日に警戒レベルを0-5段階の“4”に引き上げました。24日には火山灰を含む噴煙が火口縁から立ち昇り降灰も島内で報告されています。9月26日から36の学校が閉鎖されました。ニュージーランド空軍の航空機からの観測ビデオでは火口から火山灰を含む噴煙と溶岩噴泉が記録されています。27日の報道に拠れば、35のシェルターに8,000名が避難しています。島の南北の住民が東西に避難している模様。

Lopevi  | Vanuatu  | 257050 | Elevation 1413 m
警戒レベルを0-4段階の“2”に引き上げ、火口付近への立ち入りを禁止しました。。

San Cristobal  | Nicaragua  | 344020 | Elevation 1745 m
9月9日の火山性微動は噴火と共に終息しました。

Telica  | Nicaragua  | 344040 | Elevation 1036 m
9月10日に噴火音が報告されました。火口から半径2km以内の立ち入りは禁止。

Ongoing Activity

Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
9月19-22日の間、29回の噴火が昭和火口で発生し、噴煙は1km上昇。警戒レベルは5段階の“3”

Bezymianny  | Central Kamchatka (Russia)  | 255020 | Elevation 2882 m
9月15-22日の間、溶岩ドームの西側山腹を溶岩流は流れ続け、夜間には溶岩ドームの火映が観測されています。15-19日の間は熱異常も観測されています。カラーコードは「オレンジ」

Bogoslof  | Fox Islands (USA)  | 311300 | Elevation 150 m
9月20-26日の間に特段の活動は観測されませんでした。⇒本報告ではカラーコードはオレンジでしたが、期間外の27日に「過去4週間活動が観測されなかった」事から、カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。
⇒8月26日に撮影された画像をご紹介します。Image courtesy of photographer“Withrow, Dave”and AVO.
https://www.avo.alaska.edu/images/image.php?id=112401

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
9月20-24日の間は地震や空振に関しても特段の活動は観測されませんでした。22-24日の間は少量の水蒸気が観測されました。25日1747時から3回の小さな噴火が発生し
火山灰を含む噴煙が高度 4.6 km に達しました。カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
9月20-26日の間、火山灰を含む噴煙が高度2.1 km に達しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380 | Elevation 1103 m
9月15-17日の間火山灰を含む噴煙が高度 3 km に達し、少量の降灰が観測されました。カラーコードは「オレンジ」

Karymsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  | 300130 | Elevation 1513 m
9月15-16日に熱異常が観測され、19日には火山灰を含む噴煙が高度 7 km に達しました。カラーコードは「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
活動に特段の変化は無く推移しています。23-24日に61G溶岩流でブレークアウトが生じ、短時間ながら溶岩が噴出した様です。
⇒9月22日に撮影されたパラダイスヘリの画像が下記にあります。
http://bigislandnow.com/2017/09/25/kilauea-volcano-overflight-picturesque-lava-outbreaks/

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka | 300260 | Elevation 4754 m
9月16-17日に弱い熱異常が観測されました。最後に火山灰が放出されたのは9月7日でしたから、カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。

Langila  | New Britain (Papua New Guinea)  | 252010 | Elevation 1330 m
9月22-23日に火山灰を含む噴煙が高度2.1 km まで上昇しました。

Nevados de Chillan  | Chile  | 357070 | Elevation 3212 m
9月21日に水蒸気爆発が“Arrau”溶岩ドームコンプレックスで観測されました。23日には火山ガスとテフラを噴出。警戒レベルは「イエロー」を維持しています。

Pacaya  | Guatemala  | 342110 | Elevation 2569 m
9月21-22日にストロンボリ式噴火が発生し火口縁から100mの高さまで岩塊を放出、23-24日には地震観測で同様なストロンボリ式噴火を記録しました。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
噴火活動は再び活発化し9月18-24日の間に連日平均45回の噴火を記録しました。火山ガスと火山灰の噴煙は火口縁上空3.5km まで上昇しました。

Sheveluch  | Central Kamchatka | 300270 | Elevation 3283 m
9月15-22日の間、熱異常が観測されており、カラーコードは「オレンジ」が維持されています。

Sinabung  | Indonesia  | 261080 | Elevation 2460 m
9月22-23日に火山灰を含む噴煙が高度 3.4-4 km まで、25日には 6.4 km まで上昇しました。

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
9月25日1112時と26日の0910時に噴煙が火口縁上空300mまで上昇しました。

Ulawun  | New Britain  | 252120 | Elevation 2334 m
9月25日に少量の火山灰を含む噴煙が高度 3 km まで上昇しました。
以上

2017年9月27日水曜日

竹中工務店での「千年の甍」展

 私自身は、千葉県内のある古い時代の瓦に使われた粘土に興味が有って瓦やその整形や焼成工程を調べ始めたのだが、色々あって現在は調査も中断している。少しヒントが欲しくて見学に行ったのだが、美しい造形に惹かれてしまったので、軒瓦の紋様を幾つか御案内。http://www.dougukan.jp/special_exhibition/iraka
法隆寺若草伽藍の軒瓦で勿論復元品。



薬師寺西塔裳階(もこし)の軒瓦の復元品。



唐招提寺金堂の軒瓦の同じく復元品



大きな「しび」は唐招提寺金堂の平成大修理の為に造られたもので高さ119cm、重量は200kgと記載されている。

この製作工程のビデオを拝見したが、これだけの大きさになると、全体を粘土で組み上げるのに時間を掛け過ぎると、自然乾燥の状態が変化してしまい歪が出て亀裂の原因になると云うから凄まじい。

以下の画像は以前に「少し古い瓦」の項で紹介しているものだが、寄贈を頂いた古い瓦(現在のものとは厚みが異なるの)を大体厚みが10-15mm程度に切断し、切断面を軽く研磨して観察した折のもの。



岩石と同様に薄片を作って観察する手も無い訳では無いが、焼成時に構成鉱物が変化し易いので元の粘土の組成を知る手だてが無い。この断面を見ると粘土の錬りや焼成による変質の範囲等が判って面白いが、その先に進めなくて困っている。

2017年9月24日日曜日

高麗 古民家園:チャート主体の石垣

機会を得て高麗の巾着田付近を歴史や地形に強い関心を持つ方々と歩く事が出来ました。
その中で、巾着田の傍に立地する古民家が公開されているので拝見させて頂いた。しっかりしたチャート岩塊を用いた石垣が私の興味を惹いたので少しご紹介したい。
チャート主体の石垣の一部分

最上段には大きな層状チャートの岩塊が並べられていた。

チャート以外には緑色岩も色々と、最初は綺麗な緑色岩。溶岩のぶぶんであろう。

これも緑色岩なのだが、石灰石の脈の部分が溶脱して隙間になって居る。こちらは昔の「輝緑凝灰岩」風。といっても、空中に飛散した「火山灰」では無く、「水冷破砕の灰阿ロクラスタイト」の方だと思われる。

一見、頁岩の様に見える部分もあるのだが、どうやらこれも、溶岩の小岩塊を交えた緑色凝灰岩らしい。前の画像と同様、石灰岩が溶脱している。

バス停に近い民家の石垣と比べると玉石の形状と岩質が明らかに異なる。古民家の方は「民家」といっても地元の有力者の住宅なので登録文化財になった時点で洗浄等も行われている可能性を加味しても、角ばった部分が多いチャートが殆どだが、左手の民家の方は、明らかに玉石が丸みを帯びている。チャートがこの高麗川程度の流れでこれだけ円摩される事も無いし、緑色岩が多いので、恐らく群馬県の渡良瀬川や利根川の河原で採掘された玉石が用いられているものだと思われる。

高麗川の河床では、チャートが優勢で、砂岩も見られるが、神社の礎石には圧倒的にチャートが多かった。

以上