2018年10月19日金曜日

GVP 火山活動情報の概要:10月10日⇒16日;20火山

スミソニアン博物館に拠るGVPの火山活動情報の概要を御案内します。
New Activity / Unrest
Cuicocha  | Ecuador  | 352003 |  3246 m
10月2-3日に62回の火山性群発地震が発生した後、4日には地震活動は通常レベルに戻りました。二酸化ガス濃度は正常値、地盤変異も異常無しです

Gamalama  | Halmahera (Indonesia)  | 268060 |  1715 m
10月10日の報告では、火山ガス(大部分は水蒸気)ばかりで航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。半径 1.5 km 以内は立ち入り禁止。

Piton de la Fournaise  | Reunion Island (France)  | 233020 | 2632 m
10月10日から16日までの期間も噴火活動は継続していますが、10月8日のウエブカメラの画像では溶岩流は殆ど前進していません。強い噴気が主噴火口から排出されています。
Sangeang Api  | Indonesia  | 264050 |  1949 m
15日1338時に噴煙が山頂火口の 250 m 上空まで上昇し西寄りの方角に広がりました。地震は火山ガスの噴出に伴うものが主体です。航空カラーコードは「オレンジ」に引き上げられました。

Sarychev Peak  | Matua Island (Russia)  | 290240 |  1496 m
10月10日、噴煙が高度 1.7-2 km まで上昇しました。15日には噴煙が高度 2.1 km まで上昇。航空カラーコードは「オレンジ」

Semisopochnoi  | United States  | 311060 |  1221 m
“ crater of Cerberus’s N cone”にある火砕丘の一部が浸食され、直径 90 m の湖水が火口を満たしています。10月1以降、噴火は発生していません。地震活動は性状レベルよりやや高い状態を保っています。航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。

Soputan  | Sulawesi (Indonesia)  | 266030 |  1785 m
白い噴気が上昇しているのみなので航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。

Ulawun  | New Britain (Papua New Guinea)  | 252120  | 2334 m
10月1-12日の間、水蒸気に時折灰色の噴気が上昇しているだけです。

Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 |  1117 m
9-15日の間は時折千沙な噴火が発生していた程度です。亜硫酸ガスの噴出量は、日量で4日が3,400 トン、10日には 600 トンでした。警戒レベルは“5”段階の“3”

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
10月10-12日の間は噴煙が高度 1.5-2.1 km まで上昇しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  |  1103 m
10月5-12日の間、噴煙が高度 4.5 km まで上昇しました。5日と8日には噴煙は南東に 125 km に達し8日には熱異常が観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Fuego  | Guatemala  | 342090 | Elevation 3763 m
10月12日に新しい活動期に入った事が確認され、溶岩噴泉が火口縁の上空 400 m まで吹き上げられています。白熱岩塊の岩屑雪崩が南南西と西側山腹に発生し、溶岩流は 1 km 流れ下り爆発は頻繁に発生し、噴煙は 850 m 上昇しました。13日には水蒸気を含んだラハールが直径 2 m もの岩塊や樹木の樹幹等を伴って流れ下りました。13-16日には毎時間 8-18 回もの爆発により噴煙がおよそ 1 km も上昇しました。白熱岩塊は150-200 m まで飛ばされ、火口内の岩屑雪崩を引き起こしていました。山腹を流れ下った岩屑雪崩は植生限界に達しました。
Kadovar  | Papua New Guinea  | 251002 | 365 m
10月10-12日に噴煙が高度 2.4 km に達しました。

Manam  | Papua New Guinea  | 251020 |  1807 m
2-12日の間暗色系の噴煙が南側火口の上空 1 km まで上昇しました。主火口では時折白い噴気がありましたが、2日には火山灰を含み灰褐色でした。3-4日には青味を帯びた噴気でした。

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 |  2910 m
山頂ドームはゆっくりと連日 3,100 cubic meters の容積が増え続けており、これは前の週よりも速度が増しています。11日には溶岩ドームの容積は160,000  cubic meters に達しました。噴気は様々な濃度で山頂より 75 m 上まで上昇しています。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Pacaya  | Guatemala  | 342110 |  2569 m
11-15日の間、ストロンボリ式噴火が続き、火口縁の上空 25 m まで噴石を、火山ガスの噴煙を 200-700 m 飛ばしています。溶岩流は11日に流れ始め、15日には 250 m の長さになりました。

Sabancaya  | Peru  |  354006 |  5960 m
8-14日の間は連日平均17回の爆発を生じ、火山ガスと火山灰を含む噴煙を火口縁の上空 2.5 km まで常用させました。14日の観測では亜硫酸ガスの噴出量は日量で3,132 トンに達しました


Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  300270 |  3283 m
8-10日に熱異常が観測されたが、その他の日には天候に遮られて観測出来ませんでした。5-12日までの間は天候に阻まれて観測出来ませんでした。
Turrialba  | Costa Rica  | 345070 |  3340 m
10-16日の間時折、明らかに火山ガス中心の噴煙が 1 km 上昇しました。14日の1712時には強い爆発がありましたが天候が悪くその規模は不明です。
Veniaminof  | United States  | 312070 |  2507 m
噴火は10-16日の間も継続しています。衛星画像では地表面温度の上昇が観測されており、南側山腹の東側の部分で溶岩流が活動を続けている事を示しています。
航空カラーコードは「オレンジ」

ここ数日諏訪之瀬島の火映が続いていますので、今日の気象庁火山監視カメラの画像を御案内します。
以上

坂の多い「赤坂」辺りで迷子になった;旧高橋是清邸を囲む凝灰岩質石材

昨日は午前中だけの仕事になり、リュックにカメラとGPSは有るので、都会の坂道を歩いてみようと無謀にも地図も無いのに赤坂を歩いた。都会に美しいビルが立ち並んでも、坂の多い場所は意外と古い石垣が残っているものなのです。12,000歩程歩いて7か所で古い石垣を観察出来たのだが、一番大きかった石垣が「赤坂7丁目」の「高橋是清翁公園」の一角。道路を隔てた富山県会館の石垣も房州石で築かれていた。半日、まがりくねった赤坂の坂を上り下りしていたら飲み会の時間が迫っているのに自分が何処にいるのか判らなくなって、見付けた交番に入り、思わず口から出た「大人の迷子ですが何処でも良いから地下鉄の駅を教えて下さい」に居合わせた人まで大笑いしてしまった。

高橋翁公園の南側のカナダ大使館公邸の南東隅辺りが、この一角では一番低い(石垣は高くなる)のと風向きで一番観察に適した場所だった

斜めの刷毛で線を引いた様な模様が、房州石や伊豆下田付近の凝灰岩の特徴で、見分けが一番難しい岩相なのです。

酸化で淡いピンク色になった軽石の塊は房総では「桜目」と云い風化にも強いので珍重されるのだが、三浦半島にも、伊豆の下田市内にも似たものが有る。

これは、房州石の胎胚層である黒滝層の下の萩生層で良く観察される軽石の状態。

細砂からシルトサイズの泥の層はやはり黒滝層の最下部辺りに良く見られる地層

礫の中に、やや伊豆半島側を示唆する様な礫が見られるけれどイマイチしっとり来ない礫層

採掘者の目印の一つ、房州石ならば最後の石切り職人と言われた金谷の鈴木翁(最近亡くなられた)の芳家石材さんを示している。

これは二本線。伊豆でもかなり沢山の記号が記録されている。ここの石垣は横須賀辺りで「ブラフ積」と呼ばれている細長い切石を積む際の工法の原形の様なもので、千葉県内では伊豆の軟石にも使われている手法なので、時折、木口に記すこのような記号が観察出来る。

南東隅の角の部分は芦野石の切石で改修されている。この画像の右隣は富山県会館だがその石垣も同じ石材で積まれているが、大部分は塀に囲まれて観察出来ない。江戸時代の藩邸等の区割りに際して築かれたかもしれない。

芦野石のレンズが潰されて平らになった部分が旨く撮れた

2018年10月17日水曜日

千葉県立中央博物館 秋のトピックス展「房総丘陵はすごい」の勝手な御案内


0月27日から「房総丘陵はすごい」‐調べてびっくり発見の数々‐調査道具や調査の様子も紹介します‐展が始まります。詳しくは千葉県立中央博物館のサイトで御確認下さい。
勝浦の海岸の石切り場観察会(11月11日のイベントを参照下さい)も開催されます。

二枚目の画像は一回の噴火輪廻で堆積したらしい地層から採取された凝灰岩の切石です。一個は無理なので、大人が二人掛かりでやっと運び出せた切石も展示されます。地学だけでは無く幅広い展示です。どうぞ、遥々千葉までおいでください。因みに私は観察会のお手伝いを予定しています。
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/NATURAL/contents/1521934167480/index.html

騙されそうでも騙されないぞ!今日は千駄木辺り

昼からの出勤だけど早朝に家を出て千駄木で途中下車。坂のある街は古い石材の狙い目なので歩いてみた。のっけから手は入れているが古そうな公園に突き当たって、案内には回遊式大名庭園とある。おや、タフォニーの出た石灰質の礫岩を庭に使うとは何処から来たのか思いながら回遊しているとこれがまた真っ赤な偽物だと判った。大体古い庭園にこんなに緑色岩を使う筈が無い。
公園を抜けて大谷石の石塀に囲まれた公園の名と同じ苗字のお屋敷傍を通りかかると、大谷石に礫岩がチョコチョコ入って居る様に見える。そんな筈が在る物か!と近付いたら、これも先程と同じミソの抜けた跡に砂モルタルを詰め込んだもの。なんて奴だと愚痴りながら坂を登ろうとすると房州石の小さな石垣が目に入った。
泥質の余り質の良くないものだが、しっかりと石灰質の生物遺骸で固められているので長持ちがしそうだと、石垣を記録して駒込病院辺りから「夜店通り」を抜けて千駄木に戻り、勤務先の有る市ヶ谷に向った。
この付近は土日の二日間「根津・千駄木下町まつり」が開催されるらしい。詳しくは
https://www.enjoytokyo.jp/amuse/event/363371/

タフォニーによる風化浸食を受けた様に見える庭石

緑色岩の礫かとおもいきや、砂モルタルで固められた「擬岩」でした。

大谷石に色の違う礫の様なものが見えたが

近寄ってみると砂モルタルが詰めてある。紛らわしい。本当に礫だったら、珍しい観察例として記録したのに(小礫は珍しくは無いが)

房州石の石垣を発見。露出しているのはごく限られた狭い範囲。

縞模様も有るけれど泥質の部分が多い。房州石でもかなり下の方の萩生層に近いのだろう。

幸い蘚苔類の着生していない面が見えている。泥質だけれど石灰質で固められている様だ。切石の幅は約 15 cm

石灰質の生物遺骸(化石細片)の見える部分。画像の幅は 40mm

千駄木の「須藤公園」の案内板。
以上