2013年12月7日土曜日

法隆寺の凝灰岩質石材 (5)

画像の高さはおよそ70cm。屯鶴峯等の凝灰岩石材は、採石跡の発掘記録を拝見していて、伊豆半島や房総半島の大部分の凝灰岩石材の採掘方法と異なり、堆積した層を引き剥がす様な採掘方法だと思っていた。大谷石を含めて「模様」としての堆積構造は見えるものの、強度的には層状の堆積模様は余り影響が無いので、房州石等のでは普通に水平に切り出せば斜めの縞模様が美しいのだが、屯鶴峯付近の凝灰岩露頭では層の厚みが限られているし、強度的にも方向性が強そうだし、採掘跡もかなり広い面積で板状に地層を引っ剥がす様な採石だと想像される。
でも、此の石材の左右の板は明らかに堆積構造が斜めに見える。
 先日、山形市内で国指定重要文化財の二つの凝灰岩石材を用いた鳥居を観て来たのだが、およそ900年程度を経ているらしい。それだけ古い凝灰岩質石材の文化が有るのに、房州石や伊豆石の様な建築にそのまま石材表面を晒した蔵等を探し出す事は出来なかった。土蔵と表面に漆喰を塗り上げた蔵ばかり(中味を見る事が出来ないのが残念)だった。

2013年12月3日火曜日

法隆寺の凝灰岩質石材 (4)

この部分は堆積した火山灰層をぶち破って噴出したがその火山灰層がゴロゴロと崩れたのを巻き込んでしまった。と言う雰囲気です。
房州石等の凝灰岩質石材と、この付近の石材の採掘の仕方はかなり異なる様で、屯鶴峯付近の採石跡地の発掘資料を拝見していると興味深い。似たような採掘の仕方は、鋸山付近では「土丹」の採掘の仕方と良く似て居る様に思います。

2013年12月2日月曜日

法隆寺の凝灰岩質石材 (3)

成層した火山灰のブロックや、ややピンクを帯びた岩片も屯鶴峯の露頭と照合すると、この様な構成も無理なく想像が出来る様に思えるが、出来る事ならこの石材を生み出した採石場の露頭を観察してみたいものだ。

2013年12月1日日曜日

法隆寺の凝灰岩質石材 (2)

図の高さは約170mm。基壇の上の縁を彩る石材です。黒曜石と言うよりは真珠岩の様な小岩片が多数含まれて居ます。屯鶴峯や二上山周辺では、サヌカイトから黒曜石、真珠岩、流紋岩の流紋が標本の様に美しいものや、酸化によるピンクのやや円磨された様な礫、更には流紋岩質と思われるが薄灰色の流紋の無い岩片など様々な小岩片を含む層が観察出来ます。