2015年7月22日水曜日

岩槻の街中の伊豆石 (14) 愛宕神社脇の階段石

愛宕神社では拝殿が大構の上に築かれているので正面に階段がありますが、向って右手にもう一つの階段が有ります。階段石を積んだだけのもので中には少しぐらぐらするものも有りますが、その階段石の19段中の9段が石灰質砂岩で他は多分小松石だと思われます。なんせ、石材は永年踏み込まれていて、細かな隙間や凸凹の隅々に粘土がこびりついて生半可な清掃作業では除去できないのです。画像は下から見上げたもの(上)と上から見下ろしたもの(下)です。

 数枚をペットボトルのミネラルウオーターとブラシで洗ったのですがこんな雰囲気です。
 上の石材の左手のやや盛り上がった部分を拡大しています
 他の石材のやや貝殻化石細片が目立つ部分を狙って洗浄してみました。
 これなら拡大画像でも貝殻化石の細片が確認出来そうだと言うのを一つ、下の拡大図と見比べてサイズを読んで下さい。画面の一部をトリミングしています。

岩槻の伊豆石石材については一応これで終わりです。この地域の伊豆石礎石については40頁の報告書を纏める事が出来ました。
さて、今日はこれから稲田・真壁・笠間方面に地質観察会の下見に出掛けます。秋の観察会の準備で、採石業者殿の工場等に伺い、また適当な観察候補地を捜し歩きます。

2015年7月21日火曜日

石灰質砂岩の伊豆石 鳩ヶ谷宿の石蔵礎石

旧鳩ヶ谷宿の街並みは趣のある建物が建てられているが、県道の拡幅事業の為に、古い歴史を持った建物は順次姿を消してしまっている。先日、再調査がてら鳩ヶ谷を歩いた際に、一棟の石蔵がセットバックの為に曳家の準備をしておられた。主屋は新たに木造の建築が始まっている。その現場で礎石の廃材の一部を観察用サンプルとして頂いて来たのだが、この岩片の比較的平らな部分を更に研磨して小さな平坦部を造りデジカメで拡大して観察した。岩片にはこの様に貝殻化石の細片が含まれて居る。
 #400で平らな部分を造り更にサンドペーパーで滑らかにし、
歯ブラシで付着物を除去すればこの程度には綺麗になる。
 含まれる砂礫の形状はこの様に一応角ばっている
 希塩酸を数滴落とすと化学反応炭酸ガスの発生で発泡するのが観察される。
 何度も希塩酸を掛けては発泡させ数分間エッチングを行うとこの様に観察し易くなる。3枚目の画像の右端の部分をエッチング後に接写したものです。酸との反応で所々に小さな穴が開いた様に見えますね。

2015年7月20日月曜日

岩槻の街中の伊豆石 (13) 少し雰囲気が違う伊豆石 見沼区藤子八幡神社

伊豆石と言っても種類は大変に多くその商品名と産地と岩相を関連付ける事はかなり困難な作業であり、その分類を行う為の資料を持っておられる研究者は殆んど居ないと思います。
この岩槻では実に珍しい事に、非常に貝殻化石の細片が多い石材が殆どでしたが、中には貝殻片を殆ど含まず石灰岩の砂や石灰岩の微小礫が殆どと言う石材もあります。
此処で御紹介するのはその様な貝殻片がごく少なく目立たない石灰質砂岩が使われた例で、岩槻区の西隣の見沼区にある藤子八幡です。本殿もかなり期待値が高いのですが照明が暗く観察が出来ませんでした。下の画像の末社の礎石に注目です。
 拝殿の方にも実はこの様な別の種類の伊豆石が用いられていました。
 末社の背面の礎石の一部です。かなり肌理が細かい雰囲気です。
 デジカメの画像の部分を抽出したものです。スケール無しで恐縮ですが上の画像で斜めの筋状の部分を回転して水平にしています


うっかり「公開」じゃなくて「保存」キーを操作したらしい。下書きのままになっていた!残念!

2015年7月19日日曜日

岩槻の街中の伊豆石 (12) 久伊豆神社本殿礎石回り

埼玉県の東部には「久伊豆神社」が多く鎮座するが、岩槻市宮町の久伊豆神社はその中でも大きな神域を持つ神社と言える。拝殿,本殿は建替えられているがそのコンクリートの基礎のまわりに、石灰質砂岩の石材が並べられている。恐らくは基礎を造り変える以前はこの礎石を用いていたのだろうと思われる。他の神社に比べてもかなり量も多い。


 透かし塀が有るので中々撮影し難いのだが、望遠レンズごしに観察していくと下図の様に貝殻片が表面に観察出来る部分も存在した。画面左手に在るのがお判り頂けるだろうか?手持ち撮影なのでどうしてもピンボケ気味になってしまうが、対象は数mmのサイズなのでお許し下さい。