2019年4月27日土曜日

久し振りの偏光顕微鏡観察:斜長石にもいろいろあらーな!

 昨日26日は、房総半島の真ん中あたりの巨大な砂取り場に「円礫」を採集に行く予定だった。地質学会の表紙にもなった事の有る露頭のある場所だ。残念ながら集合時間に風雨が強くなり、天候の回復も望めそうに無かったのでフィールドは中止となった。当分地学行事が続くので、再挑戦は何時になるか判らない。
 帰るのももったいないし、雨では凝灰岩質石材の観察も、雨では凝灰岩の色も大きく変わるので、久し振りに真面目ぶって、偏光顕微鏡で薄片の観察をしながら写真を取る事にした。但し、薄片は自分が造ったものでは無く、岩石も私が採集したのは大磯町の西小磯海岸で採集したものが一個だけ。斜長石なら直ぐ判るさ!と写真を撮影したが色々と面白かったのでその一部をご紹介。尚、薄片は訳在って円礫を採取したものだから全て「転石」。画像の幅は 4.2 mm のものと、1.6 mm のものが有る。最後の一枚だけはオープンにコルだが、他は全てクロスニコル。
 源岩は何か?敢て書かない。と云うか、メモを採り損ねたのが在ったので全て省略。最後の三枚は同一の部分を見ているのだがステージ回転と共にぼんやり浮かんだり消えたりする太い黒筋の意味を理解するのにえらく時間が掛ってしまった。どうやら、累帯構造らしい。やはり、勉強し続ける事は大切ですね。
 千葉県立中央博物館では、5月4日は、主としてお子さん向けの「石割体験会」。千葉県産の「石」を岩石ハンマーで割って頂いて、破片を実体顕微鏡で観察して頂く。11日は野外地学観察会。千葉県内の不便になったJR線の影響で房総半島南部の「江見」に昼前に現地集合で、石蔵の石材や海岸の地質を観察。これは既に申し込みは締切。















以上

2019年4月26日金曜日

GVP 火山活動情報の概要:4月17日 ⇒ 23日;16火山

New Activity / Unrest
阿蘇山  | Kyushu (Japan)  | 282110 | 1592 m
17-19日の間、火口から白煙が火口縁の上空 1 km まで上昇し、19日に発生したごく小規模の噴火の際に噴煙は火口縁の上空 500 m まで噴出しました。この日の航空機からの観測では火口内に高温の熱水プールの存在と硫黄臭が観測されました。警戒レベルは“1-5”段階の“2”。

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka   | 300260 | 4754 m
22日に二回の噴火が有り噴煙が高度 5-5.5 km に達した事が観測されました。今回の噴火の際の火山灰の量は4月9日の噴火の際よりも大幅に増加しています。航空カラーコードは「オレンジ」
Tengger Caldera  | Eastern Java  | 263310 | 2329 m
17日にブロモ火砕丘から噴出した噴煙は高度 3 km に達し、21日には噴煙が終日上昇し続けた事も明らかにされました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 |  2997 m
21日に二回の爆発が発生しました。最初の噴火では灰色の噴煙が火口縁の上空 2 km まで上昇。降灰は風下の 7 km SW, 12 km NW,  40 km S, 20 km WSW, 17 km WNW, 51 km WSW, 60 km SW等の地域(地名は省略している)から報告されました。二回目の噴火では噴煙は 3 km まで上昇し、6 km SW, や12 km SSW の地域から少量の降灰が報告されました。白熱岩塊が二回の噴火時に半径 4 km 以内の山腹に飛散しました。警戒レベルは“1-4”段階の“3”。

桜島:Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | 1117 m
16日の観測では南岳火口からの亜硫酸ガスの放出量は日量で 1,600 トンと多目でした。17日の噴火では噴煙は火口縁の上空 2 km まで上昇し、岩塊が 900 m 余り飛散しました。19-22日の間には二回の噴火で噴煙が 1.4 km 以上まで上昇しました。警戒レベルは“5”段階の“3”。

Ambrym  | Vanuatu  | 257040 | 1334 m
24日地震活動が活発で水蒸気が噴出している事が報じられた“Benbow and Marum”火口の溶岩湖の活動は2018年12月16日以降静かな状態が続いている。警戒レベルは“0-5”段階の“2”。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
17-23日の間、噴煙が高度 2.1 km に達し様々な方角に拡散しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Ebeko  | Paramushir Island   | 290380 |  1103 m
火山から 7 km 離れた場所からの観測に拠れば12-15日の間に複数の爆発が観測され、噴煙が高度 3.2 km に達した。衛星画像では13日に熱異常が観測された。航空カラーコードは「オレンジ」

Fuego  | Guatemala  | 342090 | 3763 m
18日に水蒸気による高温のラハールが南南西と南西の峡谷を下った。直径 2 m 以下の岩塊をも流し下り、ラハールの深さは 1 m 、幅 15 m の規模で硫黄臭を伴った。
20-23日の間は毎時 17-22 回の爆発が発生し白熱岩塊は 300-450 m の高さまで噴出し、岩屑雪崩を引き起こした。溶岩流は 600 m の幅で流れている。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | 1325 m
18日に噴煙が高度 2.1 km まで上昇し多胡とが衛星画像で確認された。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Karymsky  | Eastern Kamchatka   | 300130 | 1513 m
13-14日の両日、弱い熱異常が観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | 813 m
15-22日の間に4回の噴火が発生し、23日にも複数の噴火が地震観測から確認されたが、噴煙等は確認されていない。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Merapi  | Central Java  | 263250 |  2910 m
溶岩ドームは相変わらずゆっくりと成長を続け、押し出された溶岩は山腹を落下しています。21日には水蒸気は 70 m 余り上昇し、岩屑雪崩は1.5 km 下りました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Semeru  | Eastern Java  | 263300 |  3657 m
19日に噴煙が高度 4 km まで上昇した事が確認されました。

Sheveluch  | Central Kamchatka |  300270 |  3283 m
この間も熱異常が継続して観測されています。噴煙は13日と15日に観測され、航空カラーコードは「オレンジ」

Stromboli  | Aeolian Islands (Italy)  | 211040 |  924 m

15-21日の間、複数の火口からストロンボリ式噴火と脱ガスが続き、19日には特に活動が活発でした。爆発は主に北側の N1 と N2 火口と、 C, S1, and S2を含む“C-S”(中央南)領域の四か所から毎時 3-16 回の頻度で発生しました。“N1”火口からは噴石と火山弾が 150 m 程度放出され、“N2”火口からは弱い噴火で火山灰を 80 m 程度まで噴出。“C”火口からは火山ガス。“S1”火口からは白熱岩塊を火口上空 150 m 程度。“S2”の二つの火口からは火山灰を 150 m の高さまで噴出しました。以上
火山画像この一週間に取り込んだ火山画像だが報文とは無関係のものも含まれている。
安達太良山_19042_3152326_ADTTTZvsm

アトサヌプリ_190423_071300_ATSHTSvsm

アトサヌプリ_190423_0702560_ATSIOKvsm

霧島山系硫黄山_190421_061252_KIRIOMvsm

岩手山_190423_073458_IWTKKYvsm

口永良部島_190422_063300_KERHONvsm

Nevado del Ruiz 190419_074618

Planchón-Peteroa_190419

Popocatepetl_190423_081432

Sabancaya_190421_061100

霧島山系新燃岳_190419_151300_KIRKKVvsm

Yasur_190425_200008

大雪山_190421_072059_TAIAS2vsm
以上

2019年4月24日水曜日

鷲と鷺:不思議な神社を訪ねた

先日、杉戸町の「鷲神社」を訪ねた時に、2017年に杉戸町を歩いた時に探し出せなかったもう一つの「鷲神社」の事を思いだし、杉戸町の編纂した神社名鑑のコピーのファイルを探し出した。様々に検索をし直してその神社が春日部市の中の杉戸町の飛地に在る事が判ったので、今日は午後からの出勤だったのを良い事に午前中に訪ねてみた。

最初の画像は国土地理院地図で、中央がその神社。北春日部から「大落古利根川」を亘って少し北に鎮座している。本来、杉戸町の飛地に掛っている筈なのに、地図にはその事は何も記されていない。

しかし、神社に入ると神社額に似た様な文字の二つの神社名が掛れている。ここまでは珍しくは無い。三社大神と云うのも結構多い。

三枚目の画像を見て頂くと賽銭箱の位置が普通は中央に在る筈なのに、何故か中央より左手に置かれている。

更に近付くと、四枚目の画像の通り中央より左手に「小渕 鷺神社」の額が掲げられている。中央と右手には何もない。

当然の事ながら、本殿も同じ建物だけれど、扉は別々に在り、当然建物内には間仕切りが在る。更に、境内の右手には「鷲神社拝殿改修記念碑」が平成二十九年一月吉日」の日付で建てられている。左手には「鷺神社拝殿修復記念碑」が実は同じ日付で建てられている。



画像は省くが、鳥居も左の柱には「平成十三年十月吉日 小渕氏子一同」と、右には「西暦二〇〇位置年十月吉日 本郷氏子中」と書かれている。
杉戸町の飛地に(あるいはその境目かもしれないが地図に記銘されていないので判然としないが)在る神社なのだから「鷲神社」にあとから「鷺神社」が合祀されるようになったものだろうが、歴史の在る神社なので石材も興味深く、中々に味のある石材が使われていた。石屋が在庫を持っていたのだろうか?と思う程、程度が良い。この石材は時々、不思議なほどに保存状態が良いものに出会う。伊豆の軟石の中でも、一~二を争う程に良く使われている。

以上

2019年4月23日火曜日

Ash and Snow at Shiveluch:4月10日噴火後の降灰画像;NASA Earth Observatory

NASA Earth Observatoryから配信されたカムチャツカ半島 Shieveluch  火山の4月10日の噴火後の降灰分布図を御案内します。以下画像に着いていた解説です。
「2019年4月10日の約30分間、カムチャツカ半島の Shiveluch 火山が火山灰を含む噴煙をシベリアの凍てつく空に高度約 8 km まで噴き上げました。噴煙は約13時間にわたって南に漂い続けました。空中に火山灰が漂ったのは短い時間でしたが、噴火により周辺に火山灰が降り、幾つかの衛星が南に 220 km も広がる火山灰の痕跡を捉えました。この画像は NASA Aquq 衛星に搭載の中解像度の MODIS が4月19日に捉えたものです。カムチャツカは29もの活火山が存在する世界でも最も活動的な地域の一つであり、このような灰色の大地は良く観察されますが、通常は数日の内に新しい降雪により火山灰を覆い隠します。」
 1枚目と3枚目は原画のサイズが大きいので圧縮或いはトリミングしています。オリジナル(3~5MB)は下記に有ります。1枚目にもスケールが有りましたがDLにより消えています。





以下の画像は、KVERT の火山ライブカメラ画像を抜粋したものです。10日(二枚)と12日の画像です。





以上

2019年4月22日月曜日

オガタマの薫る春と伊豆の凝灰岩

「オガタマ」の花の香りを御存知だろうか?漢字で書くと「招霊の木」になる。神霊を招く為に神前に供える事から来ているらしい。由緒ある神社等ではちょうど今頃にとても良い香りが風に乗って来る事が在るのだが、これがオガタマの木の香りである。完熟バナナの様な、甘い香りで、昭和生まれの私はむしろ有機溶剤系の セメダインの香と言った方が身近な気がする。今日は、杉戸町と春日部の境目の神社を中心に10カ所を巡ったのだが、その内の三か所で見掛けた。



杉戸町鷲巣の鷲神社では、未だホンの数個の花が開いている程度で、香りは余りしなかったが、蕾が大量に膨らんでいたので、間も無く良い香りを振りまくのだろう。15,000歩程歩いた今日の最後は、同じく杉戸町大塚の豊明神社では、かなり遠くまでその香りが広がっていた。
豊明神社には沢山の伊豆の石材が、石垣や玉垣に使われていて素敵な香りが漂う中で凝灰岩質石材を調べる事が出来た。

昭和三十年代には伊豆の凝灰岩質石材の生産はほぼ終焉を迎えている。玉垣に使われた細粒の緑色凝灰岩。

これも、伊豆の凝灰岩。石垣の一部。スケールは木製で目盛や数値は、実はレーザーで彫っている。この20cmのスケールは税別で2,000円なのです。

おそらく大仁付近で採掘されていた「小室石」と思われる。石灰異質で火山岩片を包んでいる。不定形の凹所は、石灰質が少し溶けて砂礫が抜けた跡。真っ赤なのは確かムシです。

茶褐色の岩片の隙間に細粒の緑色凝灰質がびっしりと詰まった石材は礎石や庚申塔に良く使われている

凝灰癌と云うよりは石灰岩と云いたくなるような、生物遺骸の石灰質が中心に堆積した凝灰岩。斜めの、一方向のラミナが特徴。クロスラミナの観察例が無い。
帰途は二時間に一本の杉戸町の巡回バスで鷲巣に戻り、関宿行のバスに乗り換えて暑かった一日のフィールをワークを終える事が出来た。
私の知る限りでは、鎌倉の長谷寺のものが手入れも良く花も大きい。都内でも水道橋付近の何処かに街路樹として植えられている場所が有った筈だが思い出せないので、水曜日に仕事に行く前にあの辺を少し歩いてみようと思う。