2018年8月4日土曜日

岩槻区釣上:神明社 下調べはキチントしないと酷い目に合う!

 一頃の酷暑とは異なり、今日は日陰に居ると涼しい風が吹いてくるので、午前中はバスを上手く利用して岩槻の二つの神社を巡り、昼前に越谷に移動する予定だったが、東川口と岩槻を結ぶバス便は毎時一本以上は有ると思ったのが、肝心の釣上に在る神明社の前を通るバスが昼間は全く無いのに現地で気付き予定より 3 km 以上余計に歩く羽目になってしまい午後の予定は次回に回す事とした。最初の神社はネットで調べた通り、私的(凝灰岩質石材)には見るものも無かったが、お隣の愛宕山勝軍寺から始まって神明社までの道中では色々と面白い岩石を観察する事が出来た。
 神明社は拝殿の基壇に伊豆の二種類の凝灰岩と溶岩を用いており、東側の側面の石材が風化の影響も有って石材の観察には適した状態で在った事や、享保十四年に奉納された手水鉢(水盤)の願主に江戸・小石川の所在が刻まれて居たり、その石工は江戸浅草俵町の「半右衛門」であるなど興味深い観察が出来た一日であった。

拝殿の西側側面:基壇の最上段には溶岩系の石材が使われ、地表に現れているその下四段の内、上二段は礫混りの基質が淡い緑~薄黄色のやや軟らかい石質の礫混り凝灰岩、下二段は比較的丈夫な細粒の緑色凝灰岩が使われている。基壇の外形は 5.4 m x 5.5 m x 1.1 m高。

石組の一部:最上段には溶岩系、上二段は礫混りの基質が淡い緑~薄黄色のやや軟らかい礫混り凝灰岩、下二段は比較的丈夫な細粒の緑色凝灰岩。石材は高さ18cm と 20cm 程度。

礫混り緑色凝灰岩の例:やや熱水変質の程度が軽微で硬さに不足しているので風化に拠り表面が剥離している。

礫混り緑色凝灰岩と下段の細粒の緑色凝灰岩の組み合わせ。左手斜めの石材は溶岩系。細粒の緑色凝灰岩の殆どは表面が初期の加工目を保持しているが数点は剥離している。

細粒の緑色凝灰岩で表面が剥離している例。部分的には未だ初期の加工目が残っている。

基壇の石工は「越谷〇本町 石工 長兵衛 同長治良」と読めると思うが自信が無い。文政九丙戌年八月吉日(1826)の銘も有る。

手水鉢:水盤はかなり立派な設えで、この側面には「神明宮、江戸小石川、施主 横山伝右衛門長矩、享保十四己酉年正月吉日(1729)」、相対する短面には「願主 當村住 中村次部左衛門英貞、江戸浅草俵町、石工 半右衛門」と刻まれている。

狛犬:狛犬は三対が参道を守る。これは最前面の見目麗しい江戸狛犬。資料に拠れば天保九(1837)年の建立と云う。参道の三対以外に狛犬を一対見落としたらしい!

燈籠:上部は昭和に改修された銅製の燈籠で珍しい。基壇には伊豆の凝灰岩三種が用いられている。「足立埼玉」の文字の在る段とその上が溶岩系。そのすぐ下は細粒の緑色凝灰岩。基壇の石組は角に石灰質凝灰岩が、その他は、細粒の緑色凝灰岩と本殿基壇に使われたものよりは硬質の礫混り緑色凝灰岩が使われている。他に安永二(1773)年の燈籠一対が参道に在る。

瓢箪池の八幡社:橋には「明神橋」とあり、御堂の額には「天〇上水」と読める。

境内社の階段:珍しくも無いと思われるかもしれないが、実は珍しい。伊豆の溶岩を使った階段はこれまでの観察では大部分が羊羹の様な六面体の石材の一部を重ねながら階段を造るものが多い。踏み板と蹴込み板が別のものは意外と少ないのです。

道標:恥ずかしい事に、この道標の直ぐ傍で神社の位置を訪ねてしまった。

以上

2018年8月3日金曜日

足立区舎人:見沼代親水公園駅傍の舎人氷川神社

この神社は地域では比較的歴史が古い存在で、大宮の氷川神社から勧請して正治二(1200)年に創建されたと伝えられ、現在の社殿は天保七(1836)年の建築になり、建築・彫刻が有名だが厳重な金網で囲まれて撮影には不便な対象であり、更には本殿基壇の石材が塗装されて石材の判別が出来ないと云う残念な存在である。
拝殿・本殿を囲む基壇は、碑銘によれば明治二(1869)年九月に地元「中谷塚邨」の石工である「吉田金作」により築かれている。石工吉田金作はこの神社では、明治十四年に据えられた手水鉢(水盤)の製作にも関わっている。
基壇は部分的に大谷石で補修されているが、要部には石灰質凝灰岩、湯ヶ島層群の変質を受けた含礫緑色凝灰岩や粒状の凝灰質からなる緑色凝灰岩や水場には珍しく細粒の緑色凝灰岩が使われているのでご紹介する。

明治十四(1881)年九月に寄進された、上から見ると正方形の手水鉢の脚には、細粒の緑色凝灰岩が使われている。この緑色凝灰岩の硬さは多様で、彫刻用途から雨水周りまで様々な場面で使用される。



手水鉢の足元には流石にほんの少しだが風化剥離が観察される。現在は使われていないが100年を経てこの程度の風化であればかなり上質と言えよう。

拝殿と本殿を囲む基壇は明治二年九月に「中谷塚邨 石工 (吉田)金作」により築かれている。寄進者は舎人村,入谷村,遊馬村(あすまちょう:現草加市遊馬町;毛長川の対岸に位置する)。世話人:田中藤八,吉岡太兵〇,平棚儀友〇)

基壇の石材;基質がこの色の含礫凝灰岩は熱水変質の程度が低く、やや耐候性に劣る。

基壇の石材:淡緑色~緑色の含礫凝灰岩は破面を観察してもかなり硬い事が理解出来る。

基壇の石材:基壇の笠石の一部や角石には、淡褐色を示すこの石灰質の凝灰岩が使われる事が多く、ここでも数多く観察される。

基壇の石材:石灰質凝灰岩の風化した表面を観察するとこのような石灰質の生物遺骸(化石細片)が露出している事が多い。薄板状に積み重なり側面から観察するとラミナが観察される。










拝殿の礎石:基本は細粒の緑色凝灰岩だが、やや粒状の凝灰質からなる凝灰岩で火成岩の小礫を交える事も有る。

基壇;大谷石が補修に用いられた状況。柵は本殿を囲むもの、本殿基壇は塗装で石質は観察出来ない。


さて、明日は何処を彷徨うかな?

2018年8月2日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:7月25日⇒ 31日;24火山

GVPの火山活動情報の概要を御案内します。
New Activity/Unrest
Ambae  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
713日と20日に実施した航空機からの観測に拠れば、Ambaes Lake Voui火山の火口から高温のテフラと共に火山灰を含む噴煙が噴出しています。活動の活発化を受けて、721日に警戒レベルは“0-5”段階の“3”に引き上げられ、火口から半径 3 km 以内への立ち入りは禁止されました。ました。現在の活動状態は3月に発生した状況に似ていますが、当時よりは火山灰の噴出量が大変多くなっています。262100時の爆発的噴火では火山灰を含む噴煙が高度 12 km まで上昇しています。報道に拠れば、噴火により、昼間にも拘らず暗くなり、10,000名もの避難を余儀なくされました。27日にも別の噴火が発生し、亜硫酸ガスと火山灰を含む噴煙が 2.4-4.6 km 上昇しました。航空機のパイロットからの報告に拠れば、降灰はフィジーの東部にまで及びました。この日は終日、火山灰と火山ガスを含む噴煙が排出され続けました。81日の報告では、膨大な量の火山灰は島の食糧事情と飲料水の供給や島民の健康に大きな影響が出ています。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | Elevation 1325 m
728日の1852時に噴火が発生し火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 5.5 km まで上昇しました。291612時の噴火では火山灰を含む噴煙が 4.8 km 上昇しました。地震観測では、噴火と岩屑雪崩の両方を捉えています。警戒レベルは“1-4”段階の“2”を維持しており、活動中の火口の北側 3.5 km と半径 2 km 以内は立ち入り禁止です。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | Elevation 813 m
725-26日に少量の火山灰を含む噴煙が高度 1.2 km まで上昇しました。27-30日の間は天候の悪化で観測出来ない状態で推移しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”であり、火口から半径 1 km 以内は立ち入り禁止です。

Rincon de la Vieja  | Costa Rica  | 345020 | Elevation 1916 m
728日の1828時に小規模の噴火が発生しました。

Semeru  | Eastern Java (Indonesia)  | 263300 | Elevation 3657 m
731日に火山灰を含む噴煙が高度 4.3 km まで上昇した事が観測されました。

Sierra Negra  | Isla Isabela (Ecuador)  | 353050 | Elevation 1124 m
725-31日の間噴火が続き、ありゅうさんがすの排出量は28日の観測では日量で 1,400 トンに昇り、毎日の火山性地震発生数は 24-65 回、長周期地震は 3-32 回に上りました。夜間には溶岩流の先端部で火映が観測されます。火山ガスと火山灰を含む噴煙は火口の上空 1.8 km に達しています。

Villarrica  | Chile  | 357020 | Elevation 2847 m
724日に山頂火口は直径 10-15 m で、火口縁から火口底までは 90-100 m で、小規模の爆発と噴気活動が観察されていました。29日に雲が切れて火口部には、その数日前までより遥かに強い白熱状態が観測され、30日の2015時にはこれまでに最大の熱異常が観測されました。30日に、火口の東側に火山灰とラピリが堆積しているのが観測されました。

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 | Elevation 2997 m
725日の0041時に噴火が発生し、濃密な火山灰と火山ガスの噴煙が 700 m 上昇し、地震観測では215秒の噴火活動が記録されました。271406時には、132秒継続する噴火が発生し、濃密な火山灰と火山ガスの噴煙が 2 km 上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“3”を維持しており半径 4 km 以内は立ち入り禁止です。

Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 | Elevation 1117 m
723-30日の間に、南岳火口で11回の爆発s的噴火が記録され、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km まで上昇し、砕屑物が最大 1.3 km まで飛散しました。火口部の火映がしばしば夜間に観測されました。26日の観測では亜硫酸ガスの排出量は日量で 2,100 トンでした。警戒レベルは“54”段階の“3

Bagana  | Bougainville (Papua New Guinea)  | 255020 | Elevation 1855 m
729-30日に火山灰を含む噴煙が高度  1.8-2.1 km に達し、29日には熱異常が観測されました。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
この間も噴火の脅威は継続していますが特段の現象は地震計や空振計には記録されていません。気象条件により大部分の日に観測が阻まれていますが、火口での噴気が衛星画像やウエブカメラで捉えられています。航空カラーコードは「オレンジ」
 
Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
725-31日の間、火山灰を含む噴煙が高度 1.8-3.4 km に達しています。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  | Elevation 1103 m
720-21日と25-26日に、火山灰を含む噴煙が高度 4 km まで上昇しています。航空カラーコードは「オレンジ」

Fuego  | Guatemala  | 342090 | Elevation 3763 m
729-30日に岩屑雪崩が南南西側山腹を下りました。30日には豪雨により高温のラハールが以下の峡谷を下り( Taniluyá (SW), Las Lajas (SE), El Jute (SE), and Cenizas drainages直径 2-3 m の岩塊を運び、硫黄臭が漂いました。

Karymsky  | Eastern Kamchatka (Russia)  | 300130 | Elevation 1513 m
720日に火山灰を含む噴煙が観測され、25日と27日に熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
⇒相変わらず“割れ目火口 8 ”空の溶岩流出と山頂火口での陥没が続いています。文字で見るより画像でご覧頂けた方が理解が早いと考えます。HVO Photo & Video Chronology をご覧頂く様推奨します。山頂火口の陥没の推移を示す動画風データも更新されています。
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/multimedia_chronology.html

Kirishimayama :霧島山系硫黄山 | Kyushu (Japan)  | 282091 | Elevation 1700 m
723-30日に、白色の噴気が噴気孔の上空 300-500 m まで上昇し、噴気孔の南側に高温水の溜りが観測されました。
 
Piton de la Fournaise  | Reunion Island (France)  | 233020 | Elevation 2632 m
713日に噴火が終わって以来、火山の隆起が再開しました。26日には地震活動の活発化が観測され、 0400-1600には32回の火山性地震が少なくとも地下 2 km で発生した事が観測され、23回の地震が 1200-1300時の間に観測されました。

Popocatepetl  | Mexico  | 341090 | Elevation 5393 m
水蒸気と火山灰の噴煙を伴う噴火活動が連日 24-42 回発生し夜間には火口部の火映が観測されました。ほぼ連日爆発的噴火が観測され、特に726日には5回、27日には9回、30日には3階が観測されました。連続した火山灰と火山ガスの噴出が731日の0307から始まり215分間継続しました。排出された白熱したテフラが山腹に堆積しました。火山ガスと火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2 km まで上昇し、以下の地域に降灰をもたらしています:Tetela del Volcán, Yecapixtla, Tlalnepantla, and Totolapan (Morelos state), and in Amecameca, Acuautla, Ecatzingo, Ozumba, and Tepetlixpa (Mexico state).警戒レベルは「イエロー」

Rinjani  | Lombok Island (Indonesia)  | 264030 | Elevation 3726 m
FBでは画像等既報  7290547に発生したM6.4 の地震ではロンボク島,バリ島等が揺さぶられ、建物や道路、或いは地割れや人々の不詳など甚大な被害をもたらしました。ロンボク島では17名が犠牲になり、震央は深さ 24 km Mataram Cityの北東 47 km でした。余震は大変な数にのぼり、最大M5.7 の規模でした。地震により火山の堆積した火山灰の再流動が主として地滑りの形で引き起こされました。リンジャニ火山と国立公園内には 1,226 名が来訪しており、その内690名が登山中で救助されました。落石により国立公園内で一名が犠牲になりました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”を維持しており、火口から半径 1.5 km 以内は立ち入り禁止。(画像中央に△がありますが動画から採った静止画です)
 
Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
723-29日の間、連日平均19回の爆発が発生しています。ハイブリッドな地震が時折低エネルギーながら発生しています。火山ガスと火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 3 km まで上昇しています。726日の観測に拠れば、亜硫酸ガスの排出量は日量で 4,195 トンでした。火口から半径 12 km 以内は立ち入り禁止です。
 
Santa Maria  | Guatemala  | 342030 | Elevation 3745 m
728-30日に爆発的噴火が発生し白い噴煙が  600-800 m 上昇し、岩屑雪崩が溶岩ドームの様々な方角に発生しました。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
719日と21-22日に弱い熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | Elevation 3340 m
この間ほぼ毎日、突発的な火山ガスと火山灰からなる噴煙が観測されています。噴煙は火口縁の上空 300 m まで上昇しています。
降灰は周辺地域から報告されており、24日には“ Coronado, Tibás (35 km WSW), Goicoechea (28 km WSW), and Moravia (31 km WSW)”から、31日には“Tres Ríos (27 km SW)から報告され、時折硫黄臭も報告されています。
以上
カムチャツカ半島の“Avachinsky”火山。カムチャツカのライブカメラが閲覧出来るようになりました


カムチャツカのBezimiany, Kamen, Klychevskoy 火山


ストロンボリ火山の昼間の噴火時の噴煙。昼間は中々見えないのです!

以上

新宿花園神社~歌舞伎町・鬼王神社付近

水曜日は午前中と限られた時間の制約の中で、新宿付近で確認しておく場所として、新宿内藤町で石塀を観察した事だし、十二三年前に地下鉄工事を行っていた新宿三丁目駅近くの花園神社から東新宿駅付近を徘徊してみた。この付近には花園神社ばかりでは無く、東新宿(シールド工事時点の仮称は「新宿七丁目」)付近には鬼の水盤で有名な鬼王神社や、早稲田方面には「西向天神」や「抜け弁天」等が在る。
2006年のシールド工事中の花園神社前。道路上に門型クレーンを設置してセグメントの搬入を行っていた

泥水シールド掘進機の後方部。シールド掘進機外径はφ6,760。単線シールドで、短い掘削距離の往復を行った。

花園神社の銅製唐獅子は文政四(1821)年造立、鋳工「村田整民」により鋳造され、注連縄をあしらった台座は石工「本橋兵衛」の手になるもの



鬼王神社の伝説の水鉢は文政年間と伝えられるが残念ながら全景を捉える事が出来なかったので鬼の部分をご紹介頭上は水盤の一部

鬼王神社の江戸狛犬は台座に子が刻まれている。狛犬の方は、割れ方等から凝灰を疑っているがイマイチヒントに乏しい



西向天神には、これは青面金剛だろうか、凝灰岩製の座像がおわしたが細かく分類するにはヒントが足りなかったので敗退

この付近の神社等は石垣はほぼ大谷石。大きな軽石を観察。玉垣は花崗岩で築かれている。大谷石には大きな繊維状の軽石が観察される

i以上

2018年7月31日火曜日

立区東伊興:渕の宮 氷川神社の伊豆産出凝灰岩

神社の創建時期や由緒については詳らかではないが、氏子の皆様の信仰も篤い様で境内は清潔に掃き清められていた。足立区内の数多くの「氷川神社」同様に現在は花崗岩が多用されているが、伊豆半島産出の凝灰岩や安山岩質のいわゆる旧の小松石が境内に数多く使われている。神社の北側には草加市と足立区の境をなす「毛長川」が流れ、付近一帯は古代遺跡が数多く分布する古くから栄えた場所と云える。
江戸狛犬の作者は不詳だが勢いのある姿が美しい

拝殿の礎石は石灰質の生物遺骸(化石細片)を豊富に含む、伊豆下田付近の石灰質凝灰岩が用いられている



石灰質凝灰岩は基壇の笠石や角石に使われる事が多いが、此処では燈籠の基壇笠石に用いられている。基壇を構成する石材は地衣類などに覆われて使用石材の詳細は不詳



石灰質凝灰岩の側面にはラミナが観察されるが上面にはラミナに拠る模様が放物線の様な模様を造る事が有る。また、所々にやや大きめの石灰質の断片が顔を出す事も有る



本殿の礎石には細粒の緑色凝灰岩が用いられている。河津桜で有名な河津のやや上流の沢田付近の石材と思われる。一部分が風化に拠り剥離しているがオリジナルの整形面も残る。台風の通過後で石材は湿気を含み普段とはやや色調が異なる。尚、風化色は淡褐色を呈す



本殿前の石燈籠の一対は前記の通り、伊豆の凝灰岩と溶岩が用いられているが、奉献者名の欄の先頭に「海道三ノ輪」の文字が見える。毛長川での舟運も盛んな頃のものであろうか?建立は「文政五年牛九月吉日」とある。西暦1822年である。

以上。本件の記録作成完了(9頁,画像数:17枚,3.85MB)で、凝灰岩質石材の観察資料は775件,4569頁に達した。訪問地も神社のみで1,000 ヶ所を越えた。さて何処まで行けるか?

2018年7月30日月曜日

毛長川右岸で「氷川神社」三昧のFW

酷暑の隙間を縫って以前から気になって居た「毛長川」右岸に数多く鎮座する「氷川神社」を歩く事にした。朝の内に、東武竹ノ塚駅 ⇒ 竹塚神社 ⇒ 渕江(保木間) 氷川神社 ⇒ 境内社の「榛名神社」⇒ 竹ノ塚駅 ⇒  午後から 古千谷 氷川神社 ⇒ 伊興 氷川神社  ⇒ 毛長川右岸 ⇒ 毛長橋 ⇒ 舎人 氷川神社 ⇒ 入谷 氷川神社 ⇒  入谷三丁目BS付近 ⇒ 入谷四丁目BS傍の市川酒店 ⇒ 竹ノ塚駅    約400枚の画像の整理は未だ終わっていないが、そのエッセンスを御案内。殆ど、「氷川神社」なので、段々記憶がカクテルになる。
竹塚神社:江戸狛犬は花崗岩製。親子共々中々の顔付

渕江小隣の保木間 氷川神社:天宇須女尊(あめのうずめのみこと)は細粒の緑色凝灰岩製で勿論伊豆半島産

同じく保木間 氷川神社:手水鉢:水盤の「奉納」の文字が面白い!! 独鈷だろうか

伊興 氷川神社:ここの江戸狛犬も中々に雄々しい!

毛長川に架かる毛長橋のカリ長石:勿論、外国産だが美しい。画面下の最小目盛は 0.5 mm

舎人 氷川神社:上から見ると正方形の手水鉢:水盤の脚は細粒の緑色凝灰岩で勿論伊豆半島産。水場に使われるのは珍しい。明治十四年。石工は中谷塚邨の吉田金作と〇〇次郎。残念、メモを取っていない。

舎人 氷川神社:基壇の角礫緑色凝灰岩に良く見られる火山岩の杏仁構造。白いのは瑪瑙だと思われる。画像の横幅はざっとだが 10 mm 程度

入谷 氷川神社:拝殿の木彫江戸狛犬も良い顔付である。

この画像を撮るのに、バス停三か所分を歩いて時間調整。画像の右下の赤色とガラス光沢部分は常用車の車体の一部だからかなり大きい。看板屋さんだろうか?

市川酒店は元々は醸造元だったのだろうか?、古い建物は大きく、屋根のこの龍の飾りが素晴らしい。少しピンボケなので望遠レンズを持って再度写しに行く予定。瓦の並びも美しい。屋敷の中に浅間塚が有る様で、バス通りから溶岩を積んだ小山が塀の中に眺められる。敷地はかなり広そうだ。
画像が整理出来たら順次御案内の予定。