2018年3月22日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:3月14日⇒20日;18火山

この火山情報はGVPの火山情報を簡略に整理し、日本火山の会MLとFBに投稿したものをここで改めて紹介しています。画像は各火山のライブカメラからキャプチャーしたもの。
New Activity/Unrest
Ambae  | Vanuatu  | 257030 | Elevation 1496 m
2月から3月に掛けての活動状況は2017年の10月末に観測された状況と似ていますが、噴煙に含まれる火山灰の量が増えています。現在の噴火活動は周辺地域に打撃を与えており警戒レベルを0-5段階の“3”に引き上げざるを得ない状況であり、活動的な“Lake Voui”の火口から半径 3 km 以内の立ち入りは禁止されています。報道に拠れば、島の北西、西、南西及び南側で降灰が観測されています。

Kick 'em Jenny  | North of Grenada  | 360160 | Elevation -185 m
3月12-15日に地震活動は劇的に減少しました。警戒レベルはオレンジを維持しており半径 5 km 以内は立ち入り禁止です。

Kikai 薩摩硫黄島 | Japan  | 282060 | Elevation 704 m
3月16日に観測された地震活動は翌日には減少しましたが警戒レベルは5段階の“2”を維持しています。火映は時折観測されています。

Kirishimayama 新燃岳 | Kyushu (Japan)  | 282090 | Elevation 1700 m
⇒気象庁・防災科研・産総研等のサイトを参照下さい。
産総研のこの火山のサイトでは3月14日までの現地調査報告も掲載されています。
https://www.gsj.jp/hazards/volcano/kirishima/2018/index.html

Stromboli  | Aeolian Islands (Italy)  | 211040 | Elevation 924 m
3月12-17日の間の活動は通常レベルでした。“N1”火口からはラピリ(火山礫)、火山弾や時折火山灰を高さ120mまで噴出し、“N2”火口では活動がやや弱く最大 80 m エイドです。“N”火口での噴火の周期は大体時間当たり 3-8回です。“C”火口からは連続的に火山ガスが噴出しています。“S2”火口からは時間当たり2-5回程度の噴火で高々80mまでの上昇です。“C”火口での爆発的な活動は3月19日2027時に始まり40秒間継続しました。最初の噴火では白熱岩塊を火口周辺に飛散させました。その後の2回の噴火では白熱岩塊が80m上昇し、テフラが島の北西側に降りました。2028時の“N2”火口の噴火ではラピリが100-120mの高さに達しました。

Ongoing Activity
Aira  桜島 | Kyushu (Japan)  | 282080 | Elevation 1117 m
⇒気象庁の情報サイトを参照下さい。

Ambrym  | Vanuatu  | 257040 | Elevation 1334 m
2月から3月に掛けての画像による観測では、溶岩湖は相変わらず活動的で火山ガスと水蒸気を放出しています。観光客からは時折火山ガスの周期や爆発音が聞こえた事が報告されます。警戒レベルは0-5段階の“2”を維持しています。“Benbow Crater”火口からは半径1km以内、“Marum Crater”火口からは半径2.7km以内は立ち入り禁止です。

Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
3月14日2219時に地震計と空振計は小さな噴火を観測しました。天候に阻まれて火山灰を含む噴煙は観測出来ませんでした。航空カラーコードは「オレンジ」です。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
3月14-20日の間、火山灰を含む噴煙は高度 1.8-2.7 km まで上昇し様々な方角に広がった事が報告されました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380 | Elevation 1103 m
3月12-13日の噴火では火山灰を含む噴煙が高度 2.7 km まで上昇しました。航空カラーコードは「オレンジ」を維持しています。

Kadovar  | Papua New Guinea  | 251002 | Elevation 365 m
南東側火口内の溶岩ドームは相変わらず輝いていますが、3月10-20日の間に僅かに1mだけ成長しています。3月13日には主火口で弱い火映が観測されました。
14日には主火口と南東側海岸火口の両方で明るい火映が観測され、同時に暗灰色の火山灰が両火口から噴出し19日まで続きました。

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
⇒特段の活動変化は認められない様です。
3月19日はこの山頂噴火口の噴火10年記念日でした。
山頂火口(Overlook crater)は当所35mの大きさでしたが、現在は 280 x 200 m に成長しています。下記を開いて上段の火口の画像をクリックするとこの間の火口の大きさの変化が判るライムラプス画像が表示されます。
https://volcanoes.usgs.gov/volcanoes/kilauea/multimedia_chronology.html
また、下記アドレスのFBでは3月20日の投稿を観て頂くとこの日に撮影された火口の状況を示す7分程度の動画が英語の解説付きでご覧になれます。
https://www.facebook.com/USGSVolcanoes/

草津白根山 | Honshu (Japan)  | 283120 | Elevation 2165 m
火山性地震が徐々に弱まっているので警戒レベルを5段階の“2”に引き下げました。

Mayon  | Luzon (Philippines)  | 273030 | Elevation 2462 m
13-20日の間の活動は溶岩流の流下、火山ガスと水蒸気の噴出、岩屑雪崩等の活動が続きました。溶岩流は夫々“3.3 km, 4.5 km, and 1.9 km long in the Mi-isi (S), Bonga (SE), and Basud (E) drainages”流れ下っています。亜硫酸ガスの噴出量は日量で969~2,077トンの間です。3月14日0831-0832には溶岩噴泉が発生し明るい灰色の火山灰が火口上空200mまで上昇しました。また、16日1347時には火砕流が 4-5 km 流れ下りました。警戒レベルは0-5段階の“3”であり、半径6kmの全域と南南西及び東北東の半径7kmは立ち入り禁止です。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
前の週に比べると噴火活動はやや強まり、12-18日の間は連日17回程度の噴火が発生しています。亜硫酸ガスの噴出量は14日の観測で3,110トンでした。半径12km以内は立ち入り禁止です。⇒最近はライブカメラを観ていても、風向きの関係もありますが中々噴煙画像を見る事が出来なくなりました。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
3月11-14日の間、衛星画像で熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

諏訪之瀬島  | Ryukyu Islands (Japan)  | 282030 | Elevation 796 m
3月17日に噴火が観測され噴煙が高度 1.8 km に達しました。

Yasur  | Vanuatu  | 257100 | Elevation 361 m
3月19日も衛星画像での観測では噴火活動は活発です(ライブカメラは故障したままです)。警戒レベルは0-4段階の“2”。半径 395 m 以内は立ち入り禁止であり、風下側では火山ガスに注意するよう呼びかけています。

“Fuego”,

“Klychevskoy”,

“Popocatepetl”,



以上

2018年3月19日月曜日

ぶらタモリ」の舌に吸い付く黄色い石:山川石:鹿児島編

 今回の鹿児島後編で「舌に吸い付く」山川石の紹介があった。良質のものはほぼ独占的に島津家で墓石に用いられていて、勿論他にもこの石材を用いた墓石等が在り、山川では幾つか露頭も有るらしいのだが、島津公の墓石に使われた様な均質なものは余り無いのでネット等で見るとあまり芳しくない。
そこで、島津家墓所の旧福昌寺跡の山川石を用いた墓石の加工の精密さ、微細な彫刻が見事に保たれている状況をご紹介。
先ずは石造とは思えないほどの細かな細工を観て頂きたい。
これが舌に吸い付く程に細粒の隙間が多い凝灰岩の表面とは思えないですね。

この黄色が本来のこの「山川石」の色合いです。

島津家の墓所では、ご夫妻が隣り合って二つの墓石:宝篋印塔の下に眠ります。
右側の「斉彬」の戒名が僅かに崩れています。

ご婦人、御三方の墓石

福昌寺は廃寺となっていますが、境内にはこれだけの墓石が安置されています。

 大木さんは例えで「風化しないのですよ」と話されたが、軟らかくて細かな細工を施し易くて、しかも長い年月に亘ってその姿を保ち続ける島津家の墓石は、山川石の中でも最高級の石質です。舌に吸い付くほどに細かな隙間が有り、細工し易いほどの堅さなのに、風化が進行しないのは、この石材の表面に薄い堅いシリカの層が形成されるのでは無いかと想像する。

2018年3月18日日曜日

奥州街道入口の街の凝灰岩質石材

現在の足立区六月・島根・栗原付近は旧奥州街道の入り口付近に当たり、色々と歴史的な興味引かれるものが点在している。半径400m程度のごく狭い範囲で、房州石に良く似た伊豆の凝灰岩を観察する事が出来たので御案内。
 地名の「六月」は、この地域の「炎天寺」と云う風変わりな名前のお寺に伝わる話しでは「平安時代後期の天喜四年(1056)に、岩手に向かう源頼義と八幡太郎義家の軍がこの付近で野武士の一隊に遭遇し、京都からの長旅で疲れ切った源氏は戦況厳しき折に、遥か京都の石清水八幡宮に戦勝を祈願。兵士らの心を引き締めて勝利に至ったという。これを喜んで、寺の隣に八幡神社を建立。村の名を闘いの有った六月から「六月」に、更に寺の名を源氏の白幡が勝ったので「幡勝山」、祈願が適ったので「成就院」炎天の最中だったので「炎天寺」と名付けたという。
 画像は
天下長久山国土安穏寺の唯一昭和以前の建築である鐘楼基壇に用いられた房州石に似た伊豆の凝灰岩

その刷毛目の様な美しい石材表面の例



石材の一部を拡大したもの。緑色凝灰岩の塊が混ざっている

「天下長久山」扁額が掛る山門

地元の歴史的な有力者旧「石鍋徳蔵家」正門脇の石材例

炎天寺正門脇の石塀の石材例

炎天寺石塀に嵌めこまれた寄付者芳名を刻んだ標石は伊豆の凝灰岩。

以上