2021年1月23日土曜日

ガラス質玄武岩礫が混じる北関東の凝灰岩質石材

 

やっと、今年初めて、車で片道100km 程度の遠出をする事が出来た。週の半ばに二日間の勤務が入ってしまった為に少し生活のリズムが変わってしまい、今の処フィールドワークに出掛ける余裕がない。毎日が妙に眠い。

栃木県まで出掛け少し時間が空いたので真岡と茂木の間の芳賀郡西小沼という場所に天神様が有ると云うので立ち寄ると、良い香りの蠟梅が咲いていた。神社の参道階段は花崗岩で全く新しくなっていたので、凝灰岩の石材は期待できないと思っていたのだが、風化が進んでいるのではっきりとは判断できないが、なんとこの付近の「茂木石」や「芦沼石」の仲間らしい凝灰岩が拝殿礎石や、境内の井戸石に使われていた。

北関東の鹿沼石や大谷石と異なり、栃木市の「岩舟石」や真岡市の「磯山石」、焼き物で有名な益子の北に連なる「芦沼」や「茂木」方面には、急冷を受けたらしい、黒いガラス質の玄武岩礫が混じる事が多い。この芳賀神社に使われている石材は中でも黒い玄武岩礫のサイズがかなり大きい。さて何処で採掘されたものだろうか?

磯山石等は典型的な「地石」であり、真岡付近以外には中々これを使った石材は観察する機会が無いが、岩舟石は千葉県の関宿の利根川・江戸川分流部の堰等に使われた他、明治維新の東京市大開発に数多く使われた事が判っている。茂木石とその仲間は、現在の真岡鉄道が開通してからは土浦辺りまで運ばれたらしく、土浦との縁が深い銚子にも、一棟だけよく似た石材が使われた蔵が現存している。

拝殿礎石の一部。本殿は改修されてしまっている。
含まれている礫の例
井戸石は崩壊防止の為に鋼線で巻かれている
黒色礫に焦点を置いて撮影。スケールは 1円硬貨

以上