2019年5月4日土曜日

阿蘇山の火山活動解説資料:5月4日1850時公表:の御案内

凄まじい勢いに見えた噴煙を噴出する噴火は、5月3日15時40分に始まり、この御案内をメモしている4日21時現在も継続中の様で、21時に公表された「噴火に関する火山観測報」でも、「現象:現  象:連続噴火継続, 有色噴煙:火口上400m(海抜5600FT), 15時以降の最高噴煙高度:火口上600m(海抜6300FT),火口:中岳第一火口,03日15時40分に発生した噴火が現在も継続」と記されています。
最初の画像は、その21時直後の火山カメラの画像です。火映が見えています。

二枚目の画像は阿蘇火山の噴火警戒レベルの一覧表の一部を抜粋したものです。宜しければ下記からそのリーフレットをDLしてご覧頂ければと思います。
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/funka/funka_2.jpg

4日の1630時に公表された「阿蘇山 火山の状況に関する解説情報 第58号」には、火山活動の状況の項に「 中岳第一火口では、昨日15時40分に噴火が発生し、灰白色の噴煙が火口縁上600mまで上がりました。同日19時48分には灰白色の噴煙が火口縁上2000mまで達するなど、噴煙量が一時的に増加しましたが、その後は500m程度に減少し、本日16時現在まで噴火が継続しています。 この噴火に伴う大きな噴石や火砕流、空振は観測されていません。」と記載されています。
噴火警戒レベルの黄色い“2”の項には「小噴火が発生し火口から概ね 1 km 以内に噴石飛散」した場合が相当します。今回は噴石の飛散が観測されていないのでこの範囲が適用されています。
三枚目以降は、例によって、解説資料の数か所を勝手に抜粋したものをご紹介しています。概ね、この資料でどんな噴火だった(まだ現在進行形でどう変化するか判りませんが)かを御理解頂けるかと思います。正確には下記から全文をDLして御一読下さい。














噴火の画像は様々な報道の場で紹介されていますが、参考までに私が見る事が出来た噴火一時間後以降の画像を数枚ご紹介します。









以上

2019年5月2日木曜日

GVP 週間火山活動情報の概要;4月24日 ⇒ 30日;17火山

New Activity / Unrest
阿蘇山  | Kyushu (Japan)  | 282110 | 1592 m
24-29日の間、白煙が中岳火口から火口縁の上空 200-800 m まで上昇。低いレベルの火山性微動と地震が観測されました。亜硫酸ガスの放出量は比較的多い火山ではありますが、日量 3,300 トンを越える事が無いのですが25日には 4,000 tons/dayと大変多い良が観測されました。27-28日の夜間には弱い火映が中岳火口で観測されました。警戒レベルは“ 1-5 ”段階の“ 2 ”

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka   | 300260 | 4754 m
クベルトに拠れば、21-22日に弱い熱異常と噴煙に火山灰が混じっている事が衛星画像で観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Tengger Caldera  | Eastern Java  | 263310 | 2329 m
24-26日の間カルデラ内のブロモ火砕丘から白煙が 300-500 m 上昇しているのが観測されました。27日には白から黒い噴煙が 500 m、29日には 600 m 上空まで達しました。警戒レベルは“ 1-4 ”段階の“ 2 ”

Ongoing Activity
Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 |  2997 m
30日早朝に火口縁の上空 1 km まで濃密な灰色の噴煙が上昇しました。警戒レベルは“ 1-4 ”段階の“ 3 ”

桜島:Aira  | Kyushu (Japan)  | 282080 | 1117 m
22-29日の間、時折南岳火口で火映が観測されました。22-26日の間に3回の噴火と、1回の爆発が発生し噴煙が火口縁の上空 1.4 km まで上昇しました。27日にも小さな噴火が観測されました。警戒レベルは“ 5 ”段階の“ 3 ”

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
24-27日と29-30日に噴煙が高度 1.5-2.1 km に達しました。警戒レベルは“ 1-4 ”段階の“ 2 ”

Ebeko  | Paramushir Island   | 290380 |  1103 m
21-22日と24日に噴煙が高度 2.5 km まで上昇しました。航空カラーコードは「オレンジ」

Karymsky  | Eastern Kamchatka   | 300130 | 1513 m
クベルトに拠れば、18-21日の間、弱い熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | 813 m
22-28日の間に19回の噴火が地震観測から判明しましたが、天候に阻まれて噴煙は目視確認されていません。警戒レベルは“ 1-4 ”段階の“ 2 ”

Merapi  | Central Java  | 263250 |  2910 m
22-28日の間溶岩ドームはゆっくりと成長を続けていますが、押し出された溶岩は南東側山腹に崩れ落ちています。白煙が 70 m 程度上昇しています。24日には山腹を 1.2 km 流れ下る「ブロックアンドアッシュフロー」が5回観測されました。警戒レベルは“ 1-4 ”段階の“ 2 ”

Nevados de Chillan  | Chile  | 357070 |  3180 m
溶岩ドームの“Nicanor”は、ゆっくりとした成長と崩壊のサイクルを繰り返しています。普段は白い噴煙が時に灰色に変化しますが、火口縁の上空 900 m を越える事はありません。夜間には火口付近に火映を観測する事も有ります。警戒令ベルは「オレンジ」。

Poas  | Costa Rica  | 345040 |  2708 m
24日に大量の火山灰の放出が観測され、24、27-28日には“vent A (Boca Roja) ”で火映が観測されました。

Reventador  | Ecuador  | 352010 |  3562 m
23-30日の間、爆発や噴火を示す活発な地震活動を観測しました。時に火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 1 km を越える高さまで上昇し、白熱岩塊が山腹を 500-800 m 転がり落ちるのが観測されました。

Ruapehu  | North Island (New Zealand)  | 241110 |  2797 m
山頂火口の水温が高い状態が終わりました。火山性微動は16日から下がり始め、29日には「微弱」なレベルまで低下しました。湖水温度は19日の最高時には44℃を示し低下し始めました。火山の警戒レベルは“1”。航空カラーコードは「グリーン」

Sheveluch  | Central Kamchatka |  300270 |  3283 m
18-26日の間、溶岩ドームに熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 | 3340 m
24日に火山灰の噴出が、26日には少量の火山灰の噴出が観測されました。27日早朝に短時間の噴火が発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 100 m まで上昇しました。

Veniaminof  | United States  | 312070 |  2507 m
4月30日に航空カラーコードを「グリーン」に引き下げました。1月初めに噴火が終わって以来四か月余り噴火の兆候は見られていません。低レベルの火山性微動や地表面温度がやや上昇しているのは観測されますが、噴火後の現象と理解されています。以上

Bezymianny_Kamen_Klychevskoi_190427_095901



Etna_190501_1521

九重山_190501_180300_KJUUNOvsm

口永良部島_190501_181900_KERHONvsm

Nevado del Ruiz_190501_081447

Popocatepetl_190426_p0427195

Popocatepetl_190430_055758

Sabancaya_190501_081741

霧島山系新燃岳_190501_181300_KIRKKVvsm

以上

2019年5月1日水曜日

「“GVP”の週間火山活動の概要」について (2)「噴火警戒レベル」

概要の中に、警戒レベルは“1-4”段階の“3”とか“5”段階の“2”と云う表現があります。なんで同じレベル区分が使えないのか?疑問に思われる方々も多いと思われますので、国や火山の噴火史の違いによっても変化する警戒レベルの例をご紹介します。

日本の場合は基本的に「“5”段階」表示です。添付画像に気象庁の広報用リーフレットの画像の一部をご紹介します。原本は下記に有ります。内容が読めるレベルだと思われますので詳しい説明は省きます。





http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/funka/funka_2.jpg
それに、火山によってその活動様式が異なるので、実は火山別にリーフレットが発行されています。各火山の噴火警戒レベルに応じた「警戒が必要な範囲」や「とるべき防災対応」については下記から必要な火山を選択してDLして熟読下さい。
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/keikailevel.html
鳥海山のリーフレットの一部をご紹介します。



何時も噴火しているストロンボリ火山と、300年間目立った活動歴が無い富士山とでは当然警戒レベルの設定が異なる理屈は判りますよね。
火山島の「バヌアツ共和国」の例をご紹介しましょう。この国の場合は“ 0-5 ”と云う6段階に分かれています。翻訳文だけご紹介します。GVPへの投稿ではこのレベルについての記載はありません。

  大きな噴火:Very Large Eruption 5
カルデラを超えた危険、島全体および周辺の島々、さらには山腹(割目)噴火の可能性
中規模の噴火:Moderate Eruption 4
成層火山体、カルデラ、そしてすべての島への危険、非常に大きな噴火の可能性そしてまた山腹(割目)噴火の可能性
  小規模の噴火:Minor Eruption     3
カルデラ、火山丘および他の特定の地域内の危険、中等度の噴火の可能性、およびまた山腹(割目)噴火の可能性
  大きな不安:Major Unrest      2
火口縁や特定の場所の周囲の危険、著しい/大きな不安、噴火のかなりの可能性、そしてまた山腹(割目)側面噴火の可能性
火山活動への不安:Signs of Volcanic Unrest 1
不安の顕著な兆候、噴気孔付近の危険の可能性
  正常:Normal 0
活動に変化の兆候はない、限定的な危険性
*活動は急速に変化する可能性があるため、噴火は任意のレベルで発生する可能性があり、レベルは順番に移動しない可能性がありますこのシステムはバヌアツのすべての火山に適用されます。火山警戒レベルは、火山活動のレベルに基づいて、バヌアツ気象学およびジオハザード局内の国立ジオハザード天文台によって設定されています。

日本同様にGVPで噴火警戒レベルを記載するケースが多いのはインドネシアで、この場合は“1-4”段階です。これはインドネシアの言語で書かれており、“Google 翻訳”ソフトで出て来た日本語をそのまま記します。

  注意:AWAS  Level 4
火山活動は増加し続けており、それはますます明白になっているかまたは噴火しています。噴火の危険の脅威は広範囲に及ぶ可能性があり、住民の職業を脅かす可能性がある
  SIAGA  Level 3(翻訳が出ません)
火山活動は増加し続けており、それはますます明白になっているかまたは噴火しています.噴火の危険の脅威は広範囲に及ぶ可能性があるが住民の職業を脅かすことはない.
  警戒:WASPADA Level 2
火山活動は増え続けています。 いくつかの火山は噴火することができます。火口周辺の噴火の危険性の脅威
  正常:NORMAL  Level 1
火山活動は監視されているが、増加していない。危険の脅威は、火口地域の有毒ガスになる可能性があります。

 参考用に、アメリカのUSGSのアイコンとその解説画像もご案内します。



以上

「“GVP”の週間火山活動の概要」について 「航空カラーコード」

 ここに毎週掲載している「GVP 週間火山活動情報の概要」は、「日本火山の会」と云うネット上の同好会に配信しているもので、多分 10年程度続けています。今日は、この情報のベースの部分を御案内します。
“GVP”とは、「スミソニアン博物館:Smithsonian Institution National Museum of National History 」によるプロジェクトの一つで“Global Volcanism Program”の頭文字を取ったもので、世界の活火山及びその火山活動を記録すると共に、現在発生している火山の観測情報を、一週間単位で紹介するプログラム( Weekly Volcanic Activity Report )の部分だけを、その概要を翻訳してご紹介しています。
「日本火山の会」の情報交換機能が“ML”中心の時期には、少々文章が長くとも関係なかったので、ほぼそのまま翻訳したものを配信していましたが、“FB”に配信する様になってからは、文章が長いとペナルティなのか、発信者(私)が閲覧出来る“FB”の頁数が極端に制限されてしまうので、色々と端折って御案内しています。情報は、原則として日本時間の毎週午前7時に更新されます。
“GVP”の“Home”は下記にあり、世界中の火山のリストや火山活動の資料を閲覧する事が出来ます。日々進化しているので一度ご覧下さい。このサイトの“ Who We Are ”には“The mission of GVP is to document, understand, and disseminate information about global volcanic activity.( GVPの使命は、地球規模の火山活動に関する情報を文書化し、理解し、広めることです。)”と記されています。
http://volcano.si.edu/

火山活動概要の配信の中で、火山活動の状態を現す指針として記載されている「航空カラーコード」について少し紹介します。

 基本は“WOVO :World Organization of Volcano Observatories ”で紹介されていますが、基は“ICAO:International Civil Aviation Organization;国際民間航空期間機関”が策定したもらしいのですが“ICAO”のサイト内で検索を掛けても討論資料はあるのですが原文に行きつけないので省略します。
 火山活動が活発化した場合でも、過去のアイスランドでの噴火事例の様に、航空機の運航に支障の出る様な、火山灰を含む噴煙が飛行高度に達する様な危険が想定されない限り発信されない様です。勿論、火砕流も同様に含まれません。あくまでも航空機に対する情報なのですが、参考にはなるのでそのまま紹介しています。
基本的に添付画像のに例示した様に、平常状態の「グリーン」を含めて四段階が在り、活動状態に応じて素早くレベルを変更しています。
  GREEN
Volcano is in normal, non-eruptive state. or, after a change from a higher level: Volcanic activity considered to have ceased, and volcano reverted to its normal, non-eruptive state.
火山は通常の非噴火状態です。 または、上位レベルからの変更後、火山活動は終息したと考えられ、火山は通常の非噴火状態に戻りました。
   YELLOW
Volcano is experiencing signs of elevated unrest above known background levels. or, after a change from higher level:Volcanic activity has decreased significantly but continues to be closely monitored for possible renewed increase.
火山は、知られている背景レベルより上の不安の上昇の兆候を経験しています。  または、上位レベルからの変更後、火山活動は大幅に減少しましたが、新たな増加の可能性については引き続き綿密に監視されています
   ORANGE
Volcano is exhibiting heightened unrest with increased likelihood of eruption. or,Volcanic eruption is underway with no or minor ash emission.[specify ash-plume height if possible]
火山では噴火の可能性が高まり、不安が高まっています。  または、火山噴火が進行中であり、灰の放出はほとんどまたはほとんどありません。[可能であれば火山灰を含む噴煙の(想定)到達高度を記載]
   RED
Eruption is forecast to be imminent with significant emission of ash into the atmosphere likely. or,Eruption is underway with significant emission of ash into the atmosphere.[specify ash-plume height if possible]
火山灰が大気中に大量に放出される可能性があるため、噴火は差し迫っていると予測されている。 または、火山灰が大気中に大量に放出されて噴火が進行中です。[可能であれば火山灰を含む噴煙の高さを記載]  今日はここまで、