2018年10月27日土曜日

川越の次は新河岸川沿いに

今日は博物館に行く予定だったのに、フト考えを変えて、川越市の新河岸に出掛けてみた。川越に伊豆の凝灰岩質石材が多いのならその途中の河岸のある街に残っていないかと考えた次第。
狙いは当たって、新河岸の旧廻船問屋「伊勢安」の齊藤家を始め、河岸の守り神の日枝神社や厳島神社のみならず、砂氷川神社や、扇河岸の厳島神社や、新砂田の春日神社でも石垣には大量の角礫混じりの緑色凝灰岩が使われていた。
絵面的には余り美しくないがご覧頂ければ幸い。

新河岸川の旧河岸の有った付近

廻船問屋の旧「伊勢安」の齊藤家の一段高く石積みされた部分には、刷毛目の美しい伊豆の凝灰岩質石材が使われていた。

玄関に昇る石段の部分が別の石材で組まれている。色合いと摩滅し易い場所での使い方から「小室石」かと思ったが、雰囲気が違う。あとで家人にご教示頂いた処、元々金庫蔵に使われていた石材を此処に持ってきたとの事。

石材の側面には小さな、黒曜石化したレンズ構造が観察されるので白河石であろう。

流石、井戸の囲い石にも、伊豆の凝灰岩質石材が使われている。

角礫を含む緑色凝灰岩は現在の間知石に比べてやや小振りで高さが 18-22 cm 程度。礫は淘汰を受けていない。

河岸の傍の日枝神社は高い基壇の上に建立されている。角は安山岩だが、それ以外は補修された画像範囲外を除くと全て角礫を含む緑色凝灰岩の石積みです。

神社の傍に観音堂が建立されているからなのだろうか、根府川石に線刻で一対の仁王像らしきものが刻まれている。画は「英一笑信俊」謹書。石工は「長蔵」と有る。弘化三丙午とあるので1846年。英一笑:42歳の作品である。

日枝神社傍の厳島神社の基壇には、先日「私を何処かにつれてって」と私を引きとめたのと同じ石材が光っていた。

扇河岸の厳島神社の鳥居は文化七年:1810年に安山岩を用いて建立されていた

2018年10月26日金曜日

Tourists pelted by rocks as volcano erupts in front of them and their Kiwi tour guide

インドネシアの“Krakatau”火山の噴火動画の御案内です。現地時間の月曜日の撮影との事で正確な噴火の撮影時刻は確認出来ませんが、幾つかのメディアで同時に取り上げ、撮影者も特定出来ているので至近の噴火のものである事は間違いない様なので1分40秒ほどの動画を御案内します。但し、このリンクアドレスが何時まで有効かは不明です。
https://www.newshub.co.nz/home/travel/2018/10/tourists-pelted-by-rocks-as-volcano-erupts-in-front-of-them-and-their-kiwi-tour-guide.html
頭に短いおふざけ(?)フイルムが入っているかもしれません。動画の幾つかの場面をキャプチャーしたものをご紹介します。
Image courtesy of photograher Geoff Mackley / Newshub





以上

第10回 金谷・石のまち シンポジューム



単一の地域でこの様なシンポジュームを続けて行く事はかなり難しい事の様に思われるが、幸いにして多くの協力者を得て、10回目を迎える。
私は、単なる聴講者だが御案内させて頂く。50名から100名程度の気楽な集まりです。
夜は希望者参加の有料の懇親会も開催されると思う。

高原山:10月25日

全山黄葉と云うには少し早かったが、急に高原山に行きたくなり黄葉を見に出掛けた。ここの黒曜石はイマイチだが紅葉は美しい。あと二週間は楽しめそうな気がする。













那須岳がやわらかに眺められた。

2018年10月25日木曜日

GVP火山活動情報の概要:10月17日 ⇒ 23日:18火山

スミソニアン博物館によるGVP火山活動の概要を御案内します。
New Activity / Unrest
Kerinci  | Indonesia  | 261170 |  3800 m
10月18-22日の間、高度 4.3 km まで噴煙が上昇し様々な方角に拡散しました。

Kuchinoerabujima 口永良部島 | Ryukyu Islands (Japan)  | 282050 |  657 m
21日に新岳火口で、ごく小規模の噴火が発生し、次いで21日夜と22日にも同様な活動が続きました。噴煙は火口縁の上空 200 m まで上昇し、22日の航空機からの観測では火山灰の噴出は確認されましたが噴火による変化は認められませんでした。警戒レベルは“1-5”段階の“3”。
Sarychev Peak  | Matua Island (Russia)  | 290240 |  1496 m
15日に熱異常が観測されましたがこの期間のその他に日には天候に阻まれて観測されませんでした。

Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 |  1117 m
ごく小規模な噴火が南岳火口で12-19日の間も継続しました。亜硫酸ガスの噴出量は、10月17日の観測では日量で 400 トンを僅かに下回る状態でした。警戒レベルは“1-5”段階の“3”
Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
18-23日の間、噴煙が高度 1.5-2.1 km まで上昇し東寄りの方角に広がりました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  |  1103 m
12-19日の間爆発により噴煙が高度 4.5 km に達し、噴煙は様々な方角に広がり一部の地域に降灰をもたらしました。航空カラーコードは「オレンジ」

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060  |  3295 m
15-21日の間、山頂火口から火山ガスを噴出し、時折ストロンボリ式噴火が発生しています。ストロンボリ式噴火は“BN-1”火口で発生し、火口縁よりも高く噴石を吹き上げているのが観察されます。火山ガスの噴出は、火口の東側の縁に2016年8月7日に形成された“ Voragine”火口からで、火口は徐々に広く、深くなっています。“NEC”火口の活動は火山ガスの噴出と、噴火の頻度も強さも様々に変化する爆発的噴火が特徴です。噴気活動は“NSEC”火口と“SEC”火口からのものです。“NSEC”火口からのストロンボリ式噴火と火山灰の噴出は急速に衰えています。

Fuego  | Guatemala  | 342090 |  3763 m
20日に高温のラハールが流下しました。ラハールは直径 2 m に及ぶ岩塊や枝葉が付いたままの樹幹を流し下しました。ラハールの幅は 20-30 m に及び、深さも 2 m 有りました。20-23日の間は、弱い爆発が連日、毎時 8-15 回発生し、灰色の噴煙を火口縁の上空 750-850 m まで吹き上げました。降灰は9 km SW, 12 km SW, 8 km WSW, 8 km SW,や8 km NWで観測されました。溶岩噴泉は 100-200 m の高さに達し、岩屑雪崩は植生エリアに及びました。
Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 |  1325 m
19日の噴火では噴煙が火口縁の上空 400 m に達し、22日の別の噴火でも同様な高さまで噴煙が昇りました。

Kadovar  | Papua New Guinea  | 251002 | 365 m
21日に噴煙が高度 2.4 km に達しました。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 |  813 m
17-19日に噴煙が高度 1.5-2.4 km に達し様々な方角に拡散しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 |  2910 m
12-18日の間、山頂火口の溶岩ドームは前の週よりは速い連日 6,200 トンの速度で成長を続け、18日には写真観測から 201,000 立方メートルに達しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”

Piton de la Fournaise  | Reunion Island (France)  | 233020 | 2632 m
噴火活動は 17-23日の間も続き、強い火山ガスの噴出が主火口の付近と溶岩チューブの地域で観測されています。
Sabancaya  | Peru  |  354006 |  5960 m
15-21日の間は連日23回の噴火が発生しています。19日の観測では亜硫酸ガスの噴出量は連日 2,200 トンを越えています。


Santa Maria  | Guatemala  | 342030 |  3745 m
20-23日の間、溶岩ドーム複合火山帯での噴火活動で噴煙が 500-700 m 上昇しました。岩屑雪崩は溶岩ドームの東西で流れ下っています。

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  300270 |  3283 m
14-15日に熱異常が観測されましたが、他に日には天候に阻まれて観測は出来ませんでした。航空カラーコードは「オレンジ」
Turrialba  | Costa Rica  | 345070 |  3340 m
5日に頻繁にストロンボリ式噴火が発生しました。17-23日の間は突発的な火山ガスの噴出が火口縁の上空 200-500 m に達しています。

Veniaminof  | United States  | 312070 |  2507 m
10-16日の間も噴火は続いています。溶岩噴泉による温度の上昇が観測されています。18日には水蒸気の噴出もかなりの勢いで北東に 30 km まで広がりました。航空カラーコードは「オレンジ」

Bezymianny Kamen Klychevskoy
以上

2018年10月24日水曜日

こないだ拾った緑色凝灰岩

先日、FW中に在る神社境内の外れに在るガラ捨て場のコンクリート片に混じって緑色凝灰岩の、子供の握りこぶし程度の大きさの奴が、泥まみれの姿のままに「私を何処かに連れてって!」と訴えているのに気付いた。
各地を巡りながらも、なかなかサンプルに出来る様な岩塊は簡単には手に入らない。適当な大きさのものはそれなりに風化していて、薄いサンプルを切り出そうとするとばらばらになって消滅するのが殆どだ。大きなものは重いし、現場でハンマーを振るう事も出来ないので、幾つかの種類の岩石サンプルが欲しいと持っても簡単では無い。
何せ、泥だらけで本当に私が欲しいと思っている種類なのか、判らない程汚れているのに、私に呼び掛ける念は強烈だった。今日は、しつこい汚れを超音波洗浄も含めて磨き上げ、 6 mm 厚に切断し、両面を研磨したものを顕微鏡観察したのでご紹介します。勿論、私の狙い通りの石材でした。

外観は神社の奉納額の様な物の一部と考えられる。形状から額の左上の一部であろう。

断面を見る事になる。スケールのある方が表側になる。ふっくらとした額縁の曲線が心地良い。

厚さが 6 mm 程度になるよう小型切断器のバイスを調整。#1,000 と#1,500 でサット研磨したが少し手抜き過ぎたらしく後の画像で判るが少し表面が凸凹だった。この程度の厚さで切断出来ないと、とても研磨工程には進めない。

小豆色の小さな塊の左側に、粒子が粗い部分が縦に通っている。これがこの手の緑色凝灰岩の特徴で、私は分類に「砂礫サイズの粒状凝灰質や火山岩片を含み、粒径差により顕著なラミナを示す緑色凝灰岩。少量の小豆色火山岩片を含む。」と規定している。

この種の伊豆の緑色凝灰岩の中でも、今回採取した凝灰岩は千葉や埼玉では現存率が二番目に高いものですが、その判別用に使っているのが小豆色の火山岩片が含まれている事。その小豆色の粒を拡大するとこの様に白い長石の結晶が見えます。画像の横幅は 4 mm です。

今回の緑色凝灰岩は白い斑点が目立ったので、常備薬の希塩酸を少したらすと、盛大にでは有りませんが小さな泡がごく限られた狭い範囲から出て来るので、石灰質はかなり含まれている様です。でも、中にはこの図の様に斜長石がガサガサになったものも観察されるので、白いからと云って石灰質とは限らない様です。この図は、画面の横幅が 2 mm です。

典型的な「緑色」要素ですね。火山灰の変質したものです。濃淡の模様が小さく曲がっているので、火山ガラスが粘土化して緑泥石が出来ているのでしょうか?画面の横幅は 4 mm です

これも火山灰由来なのでしょう。中に沢山長石(大部分は斜長石だと思うけど)が含まれています。画面の横幅は 4 mm です

大きな(長編が 4 mm 以上の)火山灰の塊です。固結度が低いので、研磨の際の砥粒との摩擦でこの様に脱落して隙間になります。研磨が雑だったのでまだ表面の粗度が粗く、研磨の砥粒が食い込んで残っています。この画面の横幅は 4 mm です

細粒の部分の顕微鏡画像です。細粒の部分と粗粒の部分では粒の大きさが全く違いますね。この粒子サイズの違いで堆積時の「ラミナ」が造られています。

最後の画像は、別の緑色凝灰岩です。これは中に含まれている「礫」の形状が角張っています。これはかなり硬く、石垣を積む際の四角錐の形状の「間知石」の端材です。表面の一部を研磨しています。同じ様な緑色凝灰岩でも実に多種多様です。

2018年10月22日月曜日

埼玉スリバチ学会 SS50th FW の復習 14,327歩と437枚撮影

20日のFWでは、24,106歩で228枚の撮影だった。今日はコースを端折って凝灰岩が観察できる場所だけに絞り、幾つかコースを外れて歩いて良いものに巡り合えた。特に、伊豆の美しい刷毛目の凝灰岩の塀が僅かに残っているのを見つける事も出来たし、緑色凝灰岩に大量の破砕された化石が含まれているのも発見。20日に続けて今日22日も嬉しいFWを楽しむ事が出来た。埼玉スリバチ学会の皆様、お世話になりました。今日の画像の一部をご紹介。

的場の八幡神社で燈籠に使われていた最も標準的な凝灰岩の一つ。粒が粗く、小豆色の砂礫が混じっている。凝灰質の団子が多い。画像の横幅は 4 cm

同じ種類の凝灰岩だがやや白っぽいのは粒子の周りを「石灰質」の薄い膜でコーティングしたような状態の為。六軒町の六塚稲荷神社で:スケール無

同じく六塚稲荷神社の基壇笠石に使われていた伊豆の凝灰岩。実は含まれている岩塊はやや発泡していて弱いので凹んでしまい、間を埋めた細粒の緑色凝灰岩が残る。

妙昌寺内の教ヶ嶋弁才天の浄財箱の礎石に使われた伊豆大仁付近に産出した「小室石」は、二段の石積みの下側は雨に濡れるのか、石灰質が少し溶けて、中に入っていた砂粒等が抜けてしまったので空洞になって居る。気泡では無いので空洞が丸くない。

妙養寺の山門も鳥居が原形の様な興味深い形状だったが、その中に入って直ぐ左手のこの御仏は細粒の滑らかな緑色凝灰岩を使っていた

高沢橋袂の六塚稲荷の石垣はどうやら明治四十二年に改修されたらしい事が、残された奉納石に刻まれていたが赤く塗られた木製の玉垣の束石の幾つかに大量の化石の破片が含まれていた。私の経験(軟らかい凝灰岩では)では少々珍しい方です。画像の幅は 6 cm

前画像の束石の全体像。白い部分は化石の細片です。石灰質の凝灰岩とは少し含まれるか石の種類が異なる雰囲気

雪塚稲荷神社の前に陶路子(とろっこ と読むらしい)と云う店が有る。表通りは「陶舗やまわ」なので老舗なのかもしれない。雪塚神社側から見て左手の隣家との境にこの伊豆の石材が使われていた。もう殆ど残っていない雰囲気だったが貴重。

雪塚神社の基壇に使われた伊豆の凝灰岩。実はこれは三枚目の六軒町の六塚神社で神域の基壇笠石に使われていた凹みのある石材と同じものなのです。茶色が弱い部分

今日も良く歩いた。川越の中心部のGPSの軌跡。成程、西武線で柏に帰ろうとすると凄まじい遠回りだと良く判りました。