2018年7月7日土曜日

芦野石:那須野石:白河石黒目:那須芦野・石の美術館;STONE PLAZA (4)

少し時間が空いてしまったが [承前] 石の美術館の前の通りを少し北に上ると、火の見櫓と石造りの消防分団詰所が見えて来る。建設年代は前に来た時も嗅ぎまわったのだが、
ご近所の、少なくとも私よりは若そうなご婦人が「私が生まれた時には在った」と仰るので、恐らくは戦前の建築だと思うのだが、石の美術館に使われた石材とはやや異なる石材が使われているのでご紹介しておきたい。近くに「芦野石」の採掘場が在るのだから、そうそう遠くから運んで来る筈も無く、これも「芦野石」なのだろう。
道路に面した外観。

後ろの空き地から撮影した外観。これは数年前の撮影画像

石材の表面の例。場所により仕上げ方法が異なる

柱の表面は凹凸が無い仕上げ

鉄分の多寡に拠るのか、赤味が混じるものとそうでは無いものとが在る。

付随する岩片の例:この画像の幅はほぼ 11 cm 。妙に斑晶が多い岩片が含まれている。

付随する岩片には白い斜長石の斑晶が目立つものが多いのだが、斑晶が全く見えないものも多い。変成岩かもしれない

斑晶が在る物でも、基質の色が異なるものもある。真っ白なのは圧密されなかった軽石

やや判り難いかも知れないが、少し凹んだ部分は周りとは質が異なる。色白なのでやや大きな軽石が圧密されなかったものかもしれない。軟らかいのか、風化し易いのか、大体凹んでいる。石の美術館にも石材中に白い軽石があったが、向こうは凹んでいなかったので軽石と云えども強度は十分期待できるのだろう。

この様に、石材の有る部分が凹んでいるものが数少ないが存在する。凹んだ内側を良く見るとやや色白なので、前の画像同様に軽石が風化した跡だろう

建物は芦野消防団の「第二分団第五部」の詰所。このシャッターの幅を中支えなしに受けているから強度もかなりのものだと思われる。

さて、もう一回続けて、終わろうと思っているが、何時になるか判らない。やはり、この年齢で、朝から晩までの会議の連続は堪える。通勤は朝は50分間座っていくが、帰りは上野か東京駅か、何れかの常磐線に乗るのだが、座れるとは限らない!

2018年7月6日金曜日

芦野石:那須野石:白河石黒目:那須芦野・石の美術館;STONE PLAZA (3)

(承前)凝灰岩の弱点は「ポーラス」であること、即ち、隙間が多い事です。年月を経る事により日射しが当たり難い部分には次第にカビや苔が生えてきます。

左手の壁がまさに黴が生え始めて斑になり始めています。此処一二年で少し目立つようになりました。この美術館が開館したのは2001年1月の事なので、17年が経過した事に成る。この美術館設立の経緯と石材については下記の美術館内のサイトに詳しいので御案内しておきます。http://www.stone-plaza.com/information/story.html
芦野石の特徴である「圧密」の模様を少し纏めてみて見ましょう

比較的淡い青~緑色の雰囲気の部分はどちらかと云うと軟らかく隙間が多い部分で、やや灰色の部分は硬い雰囲気です

大きな圧密部分は比較的淡い色調です

小さなものは灰黒色です。

美術館の中にはこのように球形の石材や、立方体の石材が展示されているので、圧密の構造がどの様に発達しているのか観察するのに便利です

一番メインの石蔵のこれは裏側です

流紋岩質の岩片だと思われます

斑晶が観察出来ませんが、これも流紋岩でしょうか?噴出で急冷されたかもしれません。

私が購入してきた芦野石のプレートです。大きさは同じです

さて、この連載はあと2回を予定していますが定かではありません
4回目は、この近くに在る消防団の詰所の石材観察。
5回目は白河石黒目の関東近郊での観察例を予定しています・・・・

GVP 火山活動情報の概要:6月27日⇒7月3日;21火山


GVPの火山活動情報の概要をご案内します。
 New Activity/Unrest
 Agung  | Bali (Indonesia)  | 264020 | Elevation 2997 m
報告に拠れば火山周辺の地震活動は低周波地震に限定されています。625日以来地震の数は連日25回から、28日には69回に増加しており、27日には火山性微動も発生し、2221時には噴火により火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2 km まで上昇しました。火山灰を含む火山ガスの噴出は28-29日も続き、噴煙はおよそ 2 km 上昇し、夜間には噴煙に火映が見られ、衛星画像では 1,200 ℃の高温を観測し火口底に溶岩の流出を確認しました。衛星画像による熱異常の観測では、この一連の噴火が始まった20171121日以降の最大値が29日に観測されました。
28日の火山灰を含む噴煙によりバリ島への航空便の一部がキャンセルされました。降灰が周辺の地域から報告されました。火山から南西 60 km に位置するDenpasar128 km 西の“Banyuwangi”、200 km 西の“Jember等の空港が29日に閉鎖されました。溶岩は継続して流出を続け、71日には新たに噴出した量だけで 4-5 million cubic meters 20171121日の噴火開始以来では 27-28 million cubic meters と、火口内容積の 50 % に達する容積となりました。火口内の南西側の最も低い位置と、火口中央部の溶岩の最も高い位置とではその高さの差は 85-90 m に達します。
衛星画像では熱異常は28日から72日に掛けて減少していますが現在も高いレベルを維持しています。 722104時に発生した爆発的噴火では火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 7-9 km に達し、白熱した溶岩を山腹に 2 km 以上の範囲まで噴出しました(FB にて画像紹介済)。報道に拠れば、噴出物により山腹上部の森林火災が発生し、少なくとも 700 名が避難を強いられています。30413時の噴火では火山灰を含む噴煙がおよそ2 km 上昇しました。警戒レベルは“1-4” 段階の“3”を維持し、半径 4 km 以内は立ち入り禁止です。

Great Sitkin  | Andreanof Islands (USA)  | 311120 | Elevation 1740 m
610日の短時間の噴火の後、地震活動は徐々に平常値に戻りました。27日に航空カラーコードは「グリーン」に引き下げられました。

Ibu  | Halmahera (Indonesia)  | 268030 | Elevation 1325 m
627日に火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達しました。警戒レベルは“1-4” 段階の“2”を維持し、北側の 3.5 km 以内と火口周辺の 2 km 以内は立ち入り禁止です。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 | Elevation 813 m
627日から73日の間、天候の良い状態では白い噴煙がAnak Krakatau上空 100 m まで上昇するのがしばしば観測されました。71-2日には火映が山頂部分に観測されました。警戒レベルは“1-4” 段階の“2”を維持し、火口から半径 1 km 以内は立ち入り禁止です。

Sierra Negra  | Isla Isabela (Ecuador)  | 353050 | Elevation 1124 m
噴火は626日の1340時に、火山の北側山腹の数か所の割れ目火口とカルデラ内の火口から始まりました。山腹からの溶岩流はElizabeth Bay”と“Punta Morenaの間の海岸線に達しました。火山灰を含む火山ガスの噴煙はおよそ 10.5 km まで上昇し、地震活動と音響データは徐々に活動を弱めながらも27日まで続きました。711552時に弱い地震活動が観測され引き続き少なくとも4時間に亘って火山性微動が観測されました。1600時に公園スタッフが北西側山腹から溶岩が流出しているのを観測しました。

Yasur  | Vanuatu  | 257100 | Elevation 361 m
627-28日に複数回の強い爆発的噴火が発生し、29日には間歇的に火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達した事を観測しました。警戒レベルは“0-4” 段階の“2”を維持し、火口付近に近付く事は禁止されています。

Ongoing Activity
Aira 桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 | Elevation 1117 m
629日、南岳火口で小さな噴火が発生しました。712319時の爆発では噴煙が火口縁の上空 400 m に達し、噴石が 500 m 先まで飛散しました。火口の火映が72日に観測されています。

Ambae  | Vanuatu  |  | Elevation 1496 m
71日に“Ambaes Lake Voui”火砕丘から火山灰を含む噴煙が上昇しているのが観測されました。

Bezymianny  | Central Kamchatka (Russia)  |  | Elevation 2882 m
622-29日の間衛星画像で熱異常が観測されています。
 
Cleveland  | Chuginadak Island (USA)  | 311240 | Elevation 1730 m
地震や空振の観測では特段の異常は観測されていません。629日から72日の間、火口の南西側山腹の溶岩流と思われる地表面の温度異常が観測されています。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 | Elevation 1229 m
627日から73日の間、火山灰を含む噴煙が高度 3 km に達した事が観測されています。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  | Elevation 1103 m
626-27日に火山灰を吹くむ噴煙が高度3 km に達した事が報告されました。

Fuego  | Guatemala  | 342090 | Elevation 3763 m
627-29日と71-3日の間、毎時間 2-7 回程度の弱い噴火が発生し、火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 650 m まで上昇している事が観測されました。岩屑雪崩が南、南西、及び西側山腹を流れ下りました。63日の火砕流では113名の死亡が確認され、いまだに197名が行方不明となって居り、12,823名が避難しています。

Kilauea  | Hawaiian Islands (USA)  | 332010 | Elevation 1222 m
噴火はこの期間も継続しています。溶岩噴泉とスパッターは割れ目火口“8”に集中しており、溶岩流を流し続け海岸線を広げています。630日から73日に掛けて割れ目火口“22”から少量の溶岩が流れ出しました。山頂の火口縁の内側への崩落はマグマの引き戻しに対応しています。火口周辺の陥没に伴うクラックから水蒸気の噴煙が立ち昇っています。火口壁の崩落に伴う爆発はほぼ連日発生しており、少量の火山灰を含む噴煙がほぼ 1.5 km 程度上昇します。
割れ目火口“8”からの溶岩噴泉は火砕丘よりも 55 m 程度高く吹き上がり、ペレーの毛髪やその他の火山ガラスがLeilani Estatesに降り積もっています。溶岩噴泉は高速で流れる溶岩流を北東方向に流し、 Kapoho Crater火口付近で南東に流れを変え、海に流れ込んでいます。溶岩流は時折流路の外に溢れ出します。溶岩流は流路の南側で流れ込みますが1 km 程度の領域に亘ってlazeの噴煙を生じています。629日の熱画像に拠れば、溶岩流はオーシャンエントリーの手前 0.8 km 付近で表面に殻をまとい始め、その殻の下を流れています。

Kirishimayama  | Kyushu (Japan)  | | Elevation 1700 m
6271434時に新燃岳から火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.2 km まで上昇しました。5月初めからの地殻の変位は徐々に収まっており傾斜計のデータに変化はありません。加えて亜硫酸ガスの放出量は3月中旬には日量で 1,000トン程度でしたが、61日には日量で 80 トンに低下しています。628日には警戒レベルが“1-5” 段階の“2”に引き下げられました。

Klyuchevskoy  | Central Kamchatka (Russia)  | 300260 | Elevation 4754 m
火山活動は沈静化し、615日以降は火山灰を伴う噴煙は発生していません。火山ガスと水上kの噴煙は続いています。航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。

Mayon  | Luzon (Philippines)  |  | Elevation 2462 m
630日に白い噴煙が火口縁の上空 750 m まで上昇しました。71日にも白い噴煙が山腹を下りました。1234時に発生した短時間の噴火の際には灰色の噴煙が生じました。夜間には火口部の火映が観測されています。警戒レベルは“0-5” 段階の“2”であり、南南西と東北東の 7 km の“EDZ”領域と半径 6 km の“PDZ”領域は立ち入り禁止です。

Pacaya  | Guatemala  |  | Elevation 2569 m
628-29日と71-3日にストロンボリ式噴火が発生し、噴石を火口縁の上空 30 m まで噴出しました。白色の噴煙が生じました。

Reventador  | Ecuador  |  | Elevation 3562 m
721116時に噴火が観測され火山b内を含む噴煙が火口縁の上空 3 km まで上昇しました。

Sabancaya  | Peru  | 354006 | Elevation 5960 m
625日から71日の間は連日24回の爆発が観測されていました。ハイブリット地震が頻繁に生じますがマグニチュードは小さい値です。火山灰を含む噴煙は火口縁の上空 2.5 km に達しています。621日の観測では亜硫酸ガスの放出量は日量で 3,000トンでした。半径 12 km 以内は立ち入り禁止。
 
Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  | 300270 | Elevation 3283 m
623-29日の間衛星画像で熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」
以上
参考用に、“Stromboli”火山、“Popocatepetl”火山、“Kizimen”火山のライブカメラ画像を御案内します。
“Stromboli”火山、

“Popocatepetl”火山、

“Kizimen”火山















2018年7月3日火曜日

芦野石:那須野石:白河石黒目:那須芦野・石の美術館;STONE PLAZA (2)

芦野石は千葉や埼玉で歴史的建造物に使われる事の多い石材の一つです。「白河石黒目」と異なるのは、圧密された軽石の形状とサイズで分類しています。勿論、広域に分布した大火砕流の溶結凝灰岩なので、地域によっては多少の異同はあり、中通の二本松付近で採掘されるものは「須賀川石」と呼ばれています。芦野石の場合は、比較的大きな軽石が圧密されているのですが、黒曜石に成る程の圧密では無いので、形状的には「やや太いまつ毛」を想像して頂ければ良いと思います。「白河石黒目」の場合は、比較的小型の軽石がキッチリ圧密されて「黒い線状」になっており、随伴する火山砕屑物が多くなります。次々回に御案内の予定です。画像はランダムに選択しており、順番に特段の意味はありません。
道路側から見た美術館の構成です。最初にこの蔵の様な建物に入り、斜め手前に向かう水上の通路から此方に向かい左手から奥に向かいます。

前回ご紹介した赤い酸化色を呈した「那須野石」と同じようにスリットを加工した「芦野石」です。

右手の石積みがエントランス。少し奥の方が見えます。水路中央部の通路の先に、画像では見えませんが小振りの石蔵が有り「茶室」として使われています。

壁の石材の例です。やや淡い緑色のように見える部分は余り圧密されなかった軽石の残骸です。軽石の気泡は、大谷石と異なり繊維状ではありません。

一部分を拡大しています。前の画像とスケールの位置は同じです。

軽石ばかりでは無く斜長石の斑晶が目立つこれは流紋岩質でしょうか、こんな岩片も良く観察されます。

石蔵からエントランスの石蔵を眺めたものです。通りの先の隣家の車庫も見えています。道路との間に塀はありません。

前の画像の中の左手の展示室内部です。

展示室のスリットを外から見た状態です。

石材表面の例です。室内の照明が見えます。この程度の圧密構造は大谷石でも観察されます

但し、大谷石の場合は粘土化しています。

2018年7月2日月曜日

芦野石:那須野石:白河石黒目:那須芦野・石の美術館;STONE PLAZA (1)

昨日は一日で一般道を 500 km ジャスト走り回って、石を見て回った。夕方ぎりぎりに芦野の石の美術館に辿り着き、また三枚の石のプレートを購入してしまった。酸化色が素敵な那須野石,淡い灰白色に縞模様の芦野石,濃い黒色の細い縞模様と異形の小岩塊が面白い白河石黒目の三枚で〆て 800円。これを切ったり磨いたりしながら写真を撮って暫く遊べそうだ。
美術館の奥の広い芦野石の石蔵の一角。グンランドピアノが置かれた小型の舞台が在る

細い間伐材を並べた様なほんの少し夫々の色の違いが面白い

実はこれは舞台上に軽石の圧密構造(ユータキシティック)が観察されるように並べたもの。ここでは大谷石のように圧密部分のガラスが粘土化していない

この石材は酸化の度合いによって様々な色合いを示す

一つの石材もこの様に細い溝を掘ってみると濃度変化や包有物の色合いの変化が面白い

美術館の中の小さな芦野石の蔵を利用した「茶室」にも、材木を用いた様な色合いのこの酸化色を呈す石材が使われている



石材の表面の凸凹に注目!石材表面の形状を拡大してみると・・・・・さてどんな加工が施されているか、お判りでしょうか? 

大きなヒント画像:凝灰岩の粉末はガラス質が主体なので、時に釉薬として使われる事があります。この画像は「焼き過ぎ煉瓦」と同じく、焼き過ぎ芦野石です。最近は燃料費の高騰で酸化色を得る為に炉で焼く様な事は行っていないようですが

今回購入した 8 cm角 x 8 mm のプレート。私はプレート表面に現われた火山砕屑物に注目して選定するので、敢てこんな模様が在る物を購入します。尚、何時も運転でお世話になっているカミサンにはこのプレート(3枚購入)の6倍の価格の小さなジェムストーンをプレゼント。