2018年1月18日木曜日

GVP 火山活動情報の概要:1月10日⇒16日;12火山

今週は火山の数は少ないのですが、最近噴火し始めた火山の情報量が多いので少し端折っています。詳細をご覧になりたい方は原文を参照下さい。
http://volcano.si.edu/reports_weekly.cfm
New Activity/Unrest

Kadovar | Papua New Guinea | 251002 | Elevation 365 m
1月8日の観測では新しい二つの火口が確認され、島の集落付近は火山灰で覆われていました。12日には突然噴火が激しくなり、これまでの最大の噴出が発生し、巨大な赤熱岩塊が南側に放出されましたが、これほどの噴火はこの日は1回だけでした。山頂部と南側から火映現象が観測されました。8日には大量の亜硫酸ガスの噴出が確認されました。1月6日に報告されていた亀裂は山頂から海岸まで伸び、12日の観測では割れ目は広がり大量の水蒸気が海水面付近から生じていました。13日の航空機からの観測では、山頂部の3カ所と、南東側水際火口と南側水際火口の5カ所の新しい火口が観測され、時折、大量の水蒸気と濃い灰色の火山灰が 1km 上空まで噴出しました。南側の水際の亀裂は活動していません。
NASA Earth Observatory にこの火山の噴煙画像があります。河口からの茶色の濁水の左側が“Kadovar”、右手が“Manam”。

https://earthobservatory.nasa.gov/NaturalHazards/view.php…

Mayon | Luzon (Philippines) | 273030 | Elevation 2462 m
1月13日1621時に水蒸気爆発が起こり、火山灰を含む噴煙は 2.5 km 上昇しました。地震波形では噴火を1時間と47分間記録しました。痕跡程度の降灰が各地で観測されました。警戒レベルは、0-5段階の“2”に引き上げられました。微かな火口付近の火映が2216時に観測され、14日0849時に5分間、他にも1143時のものは15分間継続する水蒸気爆発が発生しました。14日に、13日の1621時から14日の1925時までの間に、3回の水蒸気爆発と158回の岩屑雪崩が発生した事から警戒レベルは“3”に引き上げられました。新しい溶岩ドームの成長と溶岩が南側斜面に流れ出したことを示す、夜間には明るい火映が観測されました。15日には3回の斜面崩壊が発生し岩屑雪崩と小規模の火砕流を生じました。
⇒詳細の活動報告は下記のサイトでご覧になれます。
http://www.phivolcs.dost.gov.ph/

Nevados de Chillan | Chile | 357070 | Elevation 3180 m
1月9日に実施した航空機からの観測では、新しい溶岩ドームが、2017年12月21日に観測された新しい亀裂の位置に生じています。火山ガスと水蒸気が溶岩ドームの亀裂から生じています。ドームの表面温度は480℃。警戒レベルは「イエロー」

San Miguel | El Salvador | 343100 | Elevation 2130 m
14日と15日に灰色の火山灰を含む噴煙が火口縁上空300 m に達しました。

Ongoing Activity

Agung | Bali (Indonesia) | 264020 | Elevation 2995 m
期間中の一般的な活動は、灰色の火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 500 m まで上昇しています。11日1754時の噴火では火山灰を含む噴煙が火口縁の上空 2.5 km に達しました。15日0723時の噴火では同様に 2 km まで上昇しました。11日現在、推定53,207名の避難民が233のシェルターに避難しています。警戒レベルは1-4の“4”です。

Aira 桜島 | Kyushu (Japan) | 282080 | Elevation 1117 m:省略

Kilauea | Hawaiian Islands (USA) | 332010 | Elevation 1222 m ⇒今週は2行だけでしたが省略

Klyuchevskoy | Central Kamchatka (Russia) | 300260 | Elevation 4754 m
5-6日と8-10日には衛星画像で少量の火山灰を含む噴煙が160 km の距離に達しています。6日と8日に弱い熱異常が観測されています。航空カラーコードは「オレンジ」
⇒NASA Earth Observatory に1月10日に撮影されたこの火山と9日の“Shiveluch”火山の衛星画像が掲載されています。

https://earthobservatory.nasa.gov/IOTD/view.php…

Sabancaya | Peru | 354006 | Elevation 5960 m
前の週同様に活発な活動が継続しています。8-14日の間は連日平均57回の爆発が発生しています。亜硫酸ガスの噴出量は12日の観測では日量 2,071 トンでした。

Sheveluch | Central Kamchatka (Russia) | 300270 | Elevation 3283 m
1月5-12日の間衛星画像で熱異常が観測されています。10日1035時の噴火では火山灰を含む噴煙が高度 10-11 km に達し、翌日に掛けて東に 900 km まで広がりました。航空カラーコードは10日に「レッド」に引き上げられましたが、この日遅くに「オレンジ」に戻されました。

Suwanosejima | Ryukyu Islands (Japan) | 282050 | Elevation 796 m
1月15日の噴火の際火山灰を含む噴煙が高度 1.8 km に達しました。

Turrialba | Costa Rica | 345070 | Elevation 3340 m
天候に阻まれて噴煙高度は観測出来ませんでしたが、1月15日0400に噴火が発生し降灰が報告されました。

今日の画像は①:Fuego, 

2018年1月16日火曜日

風化が織りなす石材模様:南浦和付近でのFW

月曜日は朝夕は厳しい冷え込みで、東浦和の公園の霜柱も4 cm 以上に伸びる状態ながら、

満開の蝋梅が早春の香りをいち早く感じる事の出来る一日だった。

 南浦和付近の二度目のFWとして、お隣の東浦和から西に向かって、埼玉スリバチ学会さんの1月6日のコースを念頭にしながら、今回は二ヶ所の「六地蔵」と二ヶ所の神社で凝灰岩質の石材を観察する事が出来ました。六地蔵はこれまであまり関心を惹かれる事が無かったのか殆ど記憶に残っていないのだが、太田窪観音堂では、改修された昔の観音堂礎石に伊豆の石灰質凝灰岩が使われていた事も有りしっかり観察させて頂いたのだが、地蔵の蓮華座の下の四角い台座部分の石材の部分が何れも伊豆の下田八幡神社裏の「幼稚園丁場」と呼んでいる石切り場で産出する石材に酷似しており、しかもその上に建つ六地蔵の御姿に比して如何にも美しい表面をしていて、一部の地蔵像と同じ石材なのに風化の状態が異なり興味を惹かれた。



もう一か所の根岸の観音堂脇の六地蔵⑤は、地蔵像の大部分はは太田窪と同じ凝灰岩だが、四角い台座は箱根溶岩(小松石)らしい事も面白い組み合わせだった。

 太田窪氷川神社では珍しく房州石の石垣と礎石に出会えた。改修で古い石材と新しい石材が混在していて、拝殿の礎石がもっとも新しく、大谷石(上)と房州石(下)の組み合わせ。

拝殿前の石垣は古いものだろうと思われるのだが、これは房州石。何故か石垣に嵌めこまれた奉納額だけは伊豆の緑色砂質凝灰岩が使われている。

房州石が江戸に出回り始めた頃に、運賃分だけでも易い房州石産地に(良く似た)「伊豆石」の注文が入っていた頃の名残だろうか?淡い桜色の「桜目」(さくらめ・おうめ)と称された岩片も観察される。常夜燈は台座から全て箱根溶岩なのだが、露わになってしまった礎石は伊豆の石灰質凝灰岩が使われている。

幟旗の竿を保管する細長い屋根掛け(覆屋)の木材も少し凝って弓型の曲線に心ひかれたが、その束石も伊豆の細粒の凝灰岩が補修時に組み込まれたコンクリート製の束石の中で強い自己主張をしている様に見えた。

 コース取りをミスって長徳寺と隣接する氷室神社と十度明神社に行き損ねたのと、神明の阿弥陀堂は直ぐ傍まで行っておきながら立ち寄れなかったので、今週中に機会が有ったら回ってみたい。利根川や江戸川周辺の田園地帯はこの時期、寒風が身に堪えるので、もう少し暖かくなるまでは、この付近の様に風を避ける事の出来る場所でFWをやりたいものだ。

2018年1月14日日曜日

博物館には様々な岩石の鑑定依頼が来る

博物館には様々な発掘の現場や、趣味としての岩石の鑑定依頼がやってくる。偶にそのような場所に居合わせて、その岩石が凝灰質だとつい口を出してしまう事が有る。
千葉県内の有る発掘現場から産地の鑑定を依頼された凝灰質砂岩の例

肝心な部分がボケたがスケールが入った外観図が他に無かったので、これは画像の横幅が8cm.ボケてしまった中心部の表面画像を下に。

発掘品なので、加工は一切できないので、ルーペで色彩が鮮やかな部分を探していると赤い小さな岩片が所々に目立つのと、粒子がやや大きめの石英粒子に富んでいるのが判る。しかも、構成粒子の外側を白い鉱物が取り囲んでいる。



鑑定は、類似の鉱物や岩片の性状や、粒度等を参考に手持ちの画像と比較していくのが一般的。私の手元の画像では下の二枚が比較的似ている。



これは黒滝層の中の石灰質に富む部分で「高宕石」と云う勝っては採掘されて仏像や神社等の階段石に良く使われていた石材。
但し、試料の方は全般的に高宕石よりも粗粒で、特に石英粒子がやや大きくて量が多い、
九十九里に近い山武市の成東石にも似るが、これも細粒なので一致しない。
含まれている赤味を帯びた火山岩片の類似が有るので、黒滝層かそれより多少古い石灰質で固められた凝灰質砂岩が、我々の知らない何処かに在るらしい。
データベースを積み上げるのも中々大変な作業です。