2020年11月11日水曜日

飯岡石の百庚申:旭市

地質系の露頭情報は、比較的緯度経度を表示して正確な場所を表示して下さる事が多いのですが、石仏等の民俗学系の所在情報は、普段は地名表示や「ナントか街道路傍」みたいな表記が殆どで、その場所を訪ねてみようにも、なんとも手掛かりにならない事が多々ある様な気がします。

旭市に、飯岡石を用いた庚申塚でも「百庚申」が有るらしいと聞きつけて、探していたのですが、やっとGoogle で此処らしいと云う場所を訪ねてみたのですが、残念ながらそこには小さな庚申塚は有ったのですが百庚申と云えるような風景は見つかりませんでした。我が家からこの付近までは車でも3時間余り、電車では最寄り駅まで二時間はかかってしまう場所なので草々何度も行くことは出来ません。でも、先日、二度目にして、目標とした地点の僅かに東側でその百庚申を見付けたのでご案内します。 

地図はカシミールにGPS の軌跡を載せたものです。最初の調査時が南北に走る左側の線で、南側から近づきポイント(旗印)に到達し周辺を探したのですが以前にご紹介した小さな庚申塚だけしか見つかりませんでした。
今回は北の国道方面から入り、東側から前回と同じポイント付近を目指して、その南側の防風林の内側の空き地を目指していたのですが、なんと、手前で見つけました。防風林の一部が民家側に凹み、そこに百庚申があったのです。ほんの少しの違い(直線距離で 140 m )でしたが、本当に前を通らなければ見つからない状態でした。
やっと見つけた百庚申です。写真を拡大してナンバリングして見ると、右半分に45基、左半分に47基が見えました。飯岡石以外の石塔が8基ありましたので丁度百庚申です。飯岡石には「青面金剛」と彫りこんだものと無地の様に見えるものが有ります。



この場所の飯岡石は比較的小さなものばかりでしたが、飯岡漁港に近い「花蔵院墓地」の公道に面した庚申塚にはこんな大きなものも含まれています。
飯岡石は石垣や、建物の基礎あるいは、庚申塔や、板碑(下総型板碑)等にも使われています。この地図は、これまでに確認した飯岡石の利用分布です。水色で囲んだのが今回ご紹介した「百庚申」の位置。海岸線の黄緑は、この飯岡石が崖の崩落で生み出された海岸線の「飯岡層」分布の大まかな範囲を示しています。
少し風が強く、防波堤には波の飛沫が打ち付けていましたが、飯岡漁港東側の「刑部岬」の防波堤に少しだけ入ってみました。釣り師の皆さんが寒さに耐えて頑張っておられました。
岬の入り口の駐車スペースの端っこに、小型の飯岡石が積まれていました。比較用に置いたGPSのサイズは大体 10 x 5 cm 程度です。