2016年7月16日土曜日

大磯町大磯 マンションの白色凝灰岩の石垣 中丸石

神社の礎石や石垣に使われている凝灰岩質石材を調べる目的で、町の領域が狭いわりに神社の数が多い大磯町を選んで歩いてみた。伊豆半島と三浦半島の間で、大磯丘陵や二宮町でも石材採掘が行われていた様だし、現在行っている利根川水系の舟運に関連した地域と比較するには面白いかもしれないと思ったのだが、チェックリストに居れた2の神社の内、17個所を回った現在、殆どの神社がモルタル基礎になっていて、礎石類を観察出来なくて残念な状態。
それでも、大磯層の凝灰岩を沢山確認したので、その一部を御紹介する。

駅からほど近いあるマンションの石垣。











此の石垣は、エリザベスサンダースホームと愛宕神社の間の切通の露頭と石質が非常に似通っている。
使われている石材とその想定される産地:
細粒の成分が多いがかなり不均質の白色軽石質凝灰岩:地元産出の中丸石であろう。
伊豆の沼津方面にやや似た石材が存在する。
資料整理番号:No.143413-01,最新観察時期:2016年7月15日
地理院地図10進座標系:35.310109,139.314687

2016年7月14日木曜日

品川宿 利田(かがた)神社 伊豆青石

品川の鯨塚と言った方が判り易いかもしれない。この神社は外側から見るとモルタルか漆喰か判らないが補修されて、とても古い石材を使っているように思えない。外観だけ見て諦めて帰ろうと思ったのだが、何か気になって境内に入って驚いた。塀の内側には伊豆青石で造られた寄進者名の入った石塀が残っていたのです。



塀の外側から見ると味気ない!のだが・・・

内側には

柱の分部の風化状態は

文字の傍の表面は




使われている石材とその想定される産地:
細粒緻密な緑色(青色)凝灰岩を用いた奉献者名等を刻んだ石塀:伊豆下田から河津附近の産出と考えられる。
資料整理番号:No.131091-07,最新観察時期:2016年06月24日
地理院地図10進座標系:35.621268,139.742333

2016年7月13日水曜日

根津神社 権現坂の板塀 伊豆青石 (2)

風化しているとはいえ、凝灰岩の粒度はかなり細かい事は、文字を彫って居る事からも伺える。
これは風化面の状態


剥離が発生している部分では下図の状態。何れも1枚の基図から同じピクセル数で切り取ったもの。






参考までに文字が刻まれて残っている部分の画像も御紹介しよう。
勿論、この表面も、風化で粗くなっているのは間違いない。


使われている石材とその想定される産地:
細粒緻密な緑色(青色)凝灰岩を用いた奉献者名等を刻んだ石塀:伊豆下田から河津附近の産出と考えられる。
資料整理番号:No.131059-03,最新観察時期:2016年07月11日
地理院地図10進座標系:35.719083,139.761323

2016年7月12日火曜日

根津神社 権現坂の板塀 伊豆青石 (1)

「伊豆青石」と呼ばれる細粒緻密な緑色凝灰岩は、類似石材が大谷にも無い訳では無いが、白浜層群の白色凝灰岩層が熱水変質等をうけて緑色岩化したものと思われます。
実の処、これまで、この「伊豆青石」は発掘現場等では目にする事が有って、何方かと言うと「礎石」系の用途が中心だと考えていましたが、意外なもので神社の石塀に使われていた。細粒緻密なので厚み13cm程度で、寄進者名を刻んだものを最近続けて二か所で観察する機会が有った。
画像は根津神社南側の権現坂の景色


左奥の方まで見えないので二つに分けて見て頂くと、まず手前の伊豆青石は


奥の方は別の角度から

実は、この部分は以前は房州石(伊豆軟石かもしれないが)らしい石材で築かれていたのだが、いつの間にか花崗岩で築かれてしまった。元の状態で写真を撮りたかったのだが残念。

伊豆青石は下図の様に約45cm x 65cm x 13cmの板状になっていて、これを権現坂の傾斜に合せて、8枚から12枚程度、花崗岩の枠石に組み込んでいる。


一枚の形状は


使われている石材とその想定される産地:
細粒緻密な緑色(青色)凝灰岩を用いた奉献者名等を刻んだ石塀:伊豆下田から河津附近の産出と考えられる。
資料整理番号:No.131059-03,最新観察時期:2016年07月11日
地理院地図10進座標系:35.719083,139.761323

2016年7月10日日曜日

牛の彫像に用いられた石灰岩 続き

牛の彫像の石材が気になって、ある日、その彫像の周りに在る沢山の破片の一つをお借りして顕微鏡で観察してみました。勿論、その破片はその日の内に返却させて頂いた。先日は気付かなかったのだが、この石像は平成7年、つまり10年前に建立されている。
最初に希塩酸を滴下して、素材が石灰岩である事を確認させて頂いた。灰色の部分も、淡褐色の部分も目視的には、激しく発砲する事には変わりないので、泥岩と石灰岩が完全に互層状と言うよりは、定期的に泥質のものが混じってしまったと言った雰囲気。表面をよく見ると、結構粗い仕上げが目立つ。
出来れば何処かを平滑に研磨して観察したかったけれど、現物をお返しする前提で勝手に持ち出したので、曲面のままの観察なので、中々傾斜無しに観察する事が出来ないので写真に撮影するのは苦労しました。観察だけなら手持ちでゆっくりと動かしながらできるのですが・・・
非常に薄い貝殻片の様なものが比較的多い様です、「

中にはフズリナの断面の様なものが見えます。