2015年10月29日木曜日

稲田石と真壁石 (4) 最高裁判所



 最高裁判所の建物は稲田石を用いていると言う。私はこの建物が好きである。圧倒的な質感賀デザインとあいまって「最高裁判所」らしい「権威」を消長している様にも思うがまあそれは別の話。この写真を撮りに行った時は丁度耐震強化工事中だったので正面の画像は撮れなかった。
尚、表面の仕上げ状況は下記を参考にして下さい。“〒”マークは普通の郵便局のものとサイズは同じだと思う。

2015年10月28日水曜日

階段石の重量を半分にする工夫

先日、千葉県君津市内のある神社に調査で立ち寄った。階段の数が241段ありました。
拝殿の前に下の画像の階段石が積んであったので初めて判ったのだが、ここの階段石は立方体の石材を積み上げた階段では無く、全ての階段に対してそうなのか、確認は出来ないがL字形に成形する事によって重量を立方体の状態より軽減する工夫をしている事が判った。画像から計測するとほぼの半分に抑えているらしい。

 同じ加工をした石材が、その神社から直線距離で4km(今の処最遠は11.5km)離れた石丁場で見付かった。運ぶ途中で落下して角が欠けてしまっている。ここの石材は背負子で運び出したものと考えていたのだが、「落下して角が欠けた」と言う事は、あるいは鋸山や売津の様に大八車の様な「車力」で運んでいたのかもしれない。今まで調査した君津市内の平場以外の神社の階段の殆どがこの石材を使っているから、神社の需要だけでもかなりの数に登ってしまう。裏側を盗む細工は石材が欠けるリスクが大きいと思えるのに、やはりこの固さが、階段石としてもすり減らない事とあいまって、しかも鶴嘴:ツルハシの様なもので採掘出来るぎりぎりの硬さとあいまって需要が拡がったのだろう。
 

2015年10月27日火曜日

貝殻細片を含む砂岩質石材について

8月10日から26日に掛けてこのブログにUPした、伊豆産と思われた貝殻化石を大量に含む砂岩質石材についての記事を一時的に削除しています。
君津市内の神社仏閣の階段や外構に貝殻の細片が目立つ石材が多数使われています。「目立つ」と言っても、注意しなければ(慣れなければ)それとは気付かない程度なのですが比較的黒~濃い暗めの紫色の様な色調の中で風化により淡い灰色に変色した貝殻の小さな破片は、指さしてここにあるでしょ!とでも言わない限り、気付かない程度のものです。

たまたま、これは伊豆産とハッキリわかる、同様に貝殻細片を大量に含む礎石と共に、青色系統のグリーンタフと、やや硬いその石材は階段石や外構に君津市内の小さな、宮司さんも居られないような「村社」や「郷社」で見付かりました。貝殻片が多い地層は、その石灰分の含まれ方でかなり固さに差が出るので、伊豆の白浜層群でもこんなに固い石材が採掘されていたのだ!と感心していたのですが、調べていく内に、舟運の期待出来ないような山奥まで同じ石材が確認されるので、やや強度に掛ける白浜層群の石材より遥かに使用分布が多い事が気になり始めました。

君津市内には、高宕山が有りその近くの「石射太郎」山では、明治から大正にかけて黒滝層の砂岩が採掘されていた事が判っています。ここでの石材採掘の記録は殆どありませんが、石材を採掘した跡の断崖が普段は木々に遮られて見る事が出来ませんが、高く聳えています。
伝承で、この山で採掘された石材が東粟倉の愛宕神社の250段もの階段に使われているとされて居るので昨日この階段と、石射太郎山に岩質の調査に行って来ました。

愛宕神社の階段に使われた石材と、石射太郎山の採掘された石材には、外観形状や貝殻化石片の混入状況にかなり類似点を見る事が出来ました。幾つか難点もあり、暫くの間調査を継続し、後日この頁を復活できるように致しますのでご案内します。

画像は、今回の調査で見付けた変な化石です。弱酸でさっと表面の風化層を除去しています。

2016/6/16:追記:この化石はどうやら「コケムシ」のものだそうです。少し調べてみましたが理解できそうな相手ではないので解説は致しませんが多種多様な生物遺骸が石灰質の岩石を構成する事が判ります。貝殻細片などの生物遺骸を含む石灰質凝灰質砂岩の内、房総半島黒滝層に産出するものは「高宕石」のラベルにまとめています。まだ少数ですが順次画像を増やします。

2015年10月26日月曜日

稲田石と真壁石 (3) 旧中野組石材殿の採石場跡

旧中野組石材工業殿の施設は現在は(株)想石殿が運営して居られます。

この画像は2009年に撮影した花崗岩の切り出し風景です。現在はここには機材は在りません。

旧採掘場を見下ろす崖の上では、ストーンフェスティバル出典作品が展示されています。岩の表面仕上げにより質感や色が変化してみえるので興味深い場所です。2009年に見学した時はここで三々五々、昼食を摂りました。
黒い影は野帳の短辺で95mmです。


この様な泥岩との接触部に惹かれるのです!


2015年10月25日日曜日

稲田石と真壁石 (2) 旧タカタ殿採石場とストックヤード

2009年9月。産総研・地質標本館行事の筑波山と稲田石の観察会に参加。当時の中野組さんの採掘跡を見下ろす展示広場で食事を摂った後、工場を見学させて頂いた。その後で当時の石の百年館を見学後、(株)タカタさんの「西沢採取所」に入らせて頂きました。「岩石採取標識」には採取する岩石の種類と期間の項目に「花崗岩 601,900トン」。採取の方法及び採掘をする土地の面積として「階段採掘法 採取場面積:76,923平方メートル、採取面積:19,588平方メートル」と記載されていました。
尚、御理解頂けると思いますが、我々岩石屋は美しい石材そのものについても興味が有るのですが、どうしても、石材中の不均一や晶洞や、シュリーレン、岩石の「目」やその他諸々の普通では無い事に特に興味が有るので写真はどうしてもその様な事に集中しがちです。石材屋さんとは異なる視点で、このブログが成り立っている事を御理解下さい。石材は非常に美しいものです。
また、少し古いものを削除し再編成したものもありますので御了承下さい。




石材のストックヤードの中でも、不良品のいわば放棄された中にルーフペンダントの泥岩が観られます。この石材もかなり巨大なものです。
 採掘していない場所でやや表面の色調が異なる部分がありましたので近寄って調べてみると断層があらわになって居ました。以下の画像はその状況を示す画像です。撮影した場所は4枚目の画像の中の白いトラックの左手の壁です。