2019年12月5日木曜日

そうだ、「佐島石」だ!


先日、雨の日に横浜市金沢区の六浦で観察した総延長が100mを超える立派な「房州石」主体の石塀を観察したのだが、雨でどうにも観察しにくい部分があったので、再度、天気の良い日に裁縫してみた。古い石塀を新しく「房州石」を導入して再仕上げをしているのだが、古い石塀の材質が伊豆軟石のようではあるのだがなんとも腑に落ちないでいた。
20142015年ごろに、三浦半島と房総半島の露頭や建築物を散々歩き回って観察した心算だったが、もう既に記憶が薄れてしまっていたようだ。
 
六浦の邸宅の石塀の一部:最上段から上は明らかに「房州石」なのだが、古い石材の種類が今一つ腑に落ちなかった。砂勝ちの細粒均質の石材があるかと思えば、かなり粗い、スコリアや凝灰質の固まりの部分が有るのに、石工は区別せずに積んでいる。
 
一部を拡大して見た図:細粒と粗粒が一つの切り石の中で混在している。堆積岩だからありうるのだが、細粒と粗粒の境界がはっきりしない。
 
細粒の切り石と粗粒の切り石が混在して積まれている。上のやや黒いのは「房州石」
 
切石の一つの細粒部と粗粒部の境界付近。境目がはっきりしない。
 
そこで思い出したのが三浦半島でも西岸に多い「佐島石」。こんな立派な石蔵が今でも存在する
 
静かな海で堆積したものが静かに(?)隆起したので、様々な種類の堆積物が、ミルフィーユの様に薄く重なっているので、ちょっとした「うねり」や「曲がり」があると、その一枚の層が剥がれてしまうし、底生動物がはい回るとこのように筋状の這い回り跡が残されてしまう。
 
この様に一枚の切り石の中に粗いものから細かいものまで混在するし、石工もそんな事を気にせずに組んでしまうようだ。
 
横須賀市秋谷に現存する石蔵の入り口上部の構造に観察される堆積構造。