2018年11月15日木曜日

展示関連行事「勝浦市鵜原海岸の地層」観察会(2):深海底の火山岩礫の謎

観察地の“STOP 1”は三浦層群天津層の主として生痕化石等の観察で、ここでは天津層と清澄層の泥岩主体の所々スコリア混じりの地層が観察出来ます。天津層は水深 1,000~2,000 m の深海底にゆっくりと降り積もったとされています。
実は此処で直径 5~7 cm 前後の斑晶の見える火山岩礫がごく狭い範囲でだけ観察できる場所があります。その火山岩礫の画像をご案内します。同じ層準でも他の露頭ではこの様なものは見掛けないので面白い謎です。
最初の画像は観察した崖の隣の崖です。

観察対象の崖は高すぎて全体像が入りません

割れてしまった礫の断面

別の礫の外観

発泡した礫と一個博物館に収蔵して薄片を造る予定のサンプル抜け殻。貴重な露頭なので採取しないでこのまま保存しておきたい露頭です。

崖の上から太平洋を眺めると素敵でした


深海底の火山岩礫と云う事で、多分、直接は関係ないのでしょうが、東北大学の平野さんの研究を思い出しました。平野さんがプチスポット火山の調査で海底のドレッジを行われた時に、発泡した火山岩礫が確認されていますが、ここでは円摩されているので成因は異なる様です。平野さんに書いて頂いたプチスポットの解説記事が日本火山の会のウエブサイトでご覧頂けます。ドレッジの画像も含まれています。久し振りに思い出して、懐かしい!!日本火山の会>新種の火山を発見~プチスポット火山>
http://kazan-net.jp/hotvolcanology/No1petitspot.html
尚、平野さんは現在は東北大学,東北アジア研究センター,基礎研究部門,地球化学研究分野,理学部の準教授を勤めておられます。

GV 火山活動情報の概要:11月7日⇒13日;15火山

New Activity / Unrest
Mayon  | Luzon (Philippines)  | 273030 |  2462 m
11月8日と12日に小規模の噴火が在り茶褐色の噴煙が立ち昇りましたが、地震や空振は観測出来ませんでした。11日に火山性地震が発生し溶岩噴泉が発生しました。。噴火は36秒で収まり同様に茶褐色~灰色の噴煙を生じました。7-13日の間は夜間に火映が観察されました。警戒レベルは“0-5”段階の“2”。半径 6 km 以内は立入禁止。

諏訪之瀬島  | Ryukyu Islands (Japan)  | 282030 |  796 m
11月9日早朝に御嶽火口で爆発が在りました。噴煙は天候が悪く観測出来ませんでしたが、大きいサイズの軽石が南に 700 m の地点で確認されました。爆発は6月2日以来久し振りの事でした。警戒レベルは“5”段階の“2”。

Ongoing Activity
桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 |  1117 m
南岳火口からの亜硫酸ガスの噴出量は11月6日の観測では 1,1000 トンで、10月23日の観測値(1,000 tons/day)より増えていますした。9-12日の間小規模の噴火が時折見られました。警戒レベルは“5”段階の“3”。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
8日午前に地震計で噴火を記録。噴煙が火口縁の上空 200 m まで上昇。12-13日には噴煙は高度 1.8 km に達していました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  |  1103 m
2-9日の間、噴煙が 3.7 km に達する噴火が続きました。航空カラーコードは「オレンジ」

Fuego  | Guatemala  | 342090 |  3763 m
8-12日の間、毎時7-18回の噴火が発生していました。噴煙は火口縁の上空 1.1 km まで上昇し、周辺の 8-12 km から降灰の報告が在りました。噴火の際は白熱岩塊が 150-300 m 上空まで吹き飛ばされ、岩屑雪崩を引き起こし様々な方角で植生エリアまで下りました。溶岩流は南南西に 1.2 km まで進みましたが12日には著しくその勢いを減じました。

Kadovar  | Papua New Guinea  | 251002 | Elevation 365 m
9日に高度 1.8 km まで噴煙が上昇しました。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 |  813 m
9日夕刻に4回の45-55秒間継続する短い噴火が発生した事が地震観測から判明しました。噴煙は火口縁の上空 300-500 m に達しました。10日の噴火では噴煙は 500 m 上昇。12日の10回の噴火は38-117秒間継続し噴煙は 200-700 m 上昇。13日は44-175秒継続の噴火が4回発生し噴煙は 800 m 上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 |  2910 m
2-8日の間の溶岩ドームの成長速度は前の週より急増し日量で 3,500 立方メートルに達し、7日には画像診断でその全容積は273,000 立方メートルに達しました。山頂付近では噴気が 100 m 程度上昇しています。警戒レベルは“1-4”段階の“2”。

Rincon de la Vieja  | Costa Rica  | 345020 | Elevation 1916 m
9日夕刻に2分間継続する噴火を観測しましたが天候が悪く噴煙高度は不明です。

Sabancaya  | Peru  |  354006 |  5960 m
5-11日の間連日5-11回の噴火が発生し、噴煙は火口縁の上空 3.7 km に達しました。亜硫酸ガス噴出量は日量で 2,500 トンでした。

Semisopochnoi  | United States  | 311060 |  1221 m
9日の夕刻に複数の噴火が有った事が空振から観測されましたが、天候が悪く衛星画像でも噴煙は確認出来ませんでした。7-13日の間天候が悪くその他の噴火が有ったかどうか不明です。航空カラーコードは「オレンジ」

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  300270 |  3283 m
2日と6日に熱異常が観測されています。9日の噴火では噴煙が高度 7 km に達しました。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 |  3340 m
6-11日の間低レベルの噴煙が続き、時折急激な噴火が発生し噴煙は火口縁の上空 500 m に達し、風下側の 32-38 km 付近まで降灰が観測されました。12日も噴煙が続きましたが目視観測は出来ませんでした。

Veniaminof  | United States  | 312070 |  2507 m
山頂の氷に閉ざされたカルデラ内の火砕丘での噴火は低レベルですが7-13日の間も継続しました。衛星画像で観測された熱異常は溶岩の流出を示していると思われます。低レベルの火山性微動が観測され、噴煙が衛星画像やウエブカメラで高度 3 km に達している事が確認されています。最近の衛星画像では溶岩流は火口から 1.2 km に達しています。
溶岩流に接する氷床の崩壊は成長を続けています。航空カラーコードは「オレンジ」
*この火山の衛星画像を“AVO”のサイトから引用して御案内します。

Image copyright DigitalGlobe 2018 NextView license 
https://www.avo.alaska.edu/images/image.php?id=135281


Kizimen_181114_045901


Stromboli_181112_0016


Telica - NICARAGUA_181113_2150J


口永良部島_181114_150256

以上

2018年11月12日月曜日

GVP 火山活動情報の概要:10月31日⇒11月6日;19火山

New Activity / Unrest
口永良部島 | Ryukyu Islands (Japan)  | 282050 |  657 m
期間中ごく小規模の噴火が新岳火口で発生し、噴煙が火口縁の上空 500-1,200 m まで上昇しました。警戒レベルは“1-5”段階の“3”です。

Sarychev Peak  | Matua Island (Russia)  | 290240 |  1496 m
10月10日以降かざんばいを噴出する噴火は発生せず。火映も15日以降は観測されていません。16-31日は天候不順で観測出来ませんでした。航空カラーコードは「イエロー」に引き下げられました。

Ongoing Activity
桜島 | Kyushu (Japan)  | 280080 |  1117 m
30日1022時の南岳噴火では噴煙が火口縁の 1 km まで上昇しました。2-5日の間に二回の爆発が発生し、激しい方の噴火の際には噴煙が噴煙が 2.6 km 上昇し、噴出物を 700 m 上昇させました。警戒レベルは“5”段階の“3”です。

Dukono  | Halmahera (Indonesia)  | 268010 |  1229 m
3-31日に噴煙が高度 2.1 km に達しました。

Ebeko  | Paramushir Island (Russia)  | 290380  |  1103 m
10月26日から31日までの間、爆発により噴煙が高度 3.7 km に達し、29-31日に掛けて降灰が報告されました。24日と29日には熱異常も観測され、航空カラーコードは「オレンジ」です。

Etna  | Sicily (Italy)  | 211060  |  3295 m
29-11月4日の間山頂火口とでの火山ガスの噴出と“Bocca Nuova, NEC, SEC, and NSEC ”でのストロンボリ式噴火が続きました。NSEC火口でのストロンボリ式噴火は休止期間が数分から数時間と変化しました。“Voragine”火口からの火山ガスの噴出量は先週よりは弱まっています。“NEC”火口のストロンボリ式噴火は時折、少量の火山灰を伴っています。

Fuego  | Guatemala  | 342090 |  3763 m
10月31日から地震活動はその発生数と強さが増し始めました。噴煙は31日から11月5日の間、山頂火口から上空 1 km まで上昇しました。降灰は、風下の9 km SW,12 km SW, 8 km WSW, 8 km SW,8 km NW等の地域から報告されました。11月2日には溶岩流が南南西側に 300 m 、4日には 600 m の地点まで流れ下りました。 11月4日の爆発では衝撃波が近隣を震わせ、5日には白熱岩塊が 200 m の高さまで噴出しました。6日には更に活動の活発化が、連続した爆発の発生や噴煙が 1 km 上昇するなどの状況で確認されました。白熱岩塊の飛散は岩屑雪崩を引き起こし、溶岩流は峡谷を下り、衝撃波は地域の家屋を震わせました。

Krakatau  | Indonesia  | 262000 |  813 m
11月6日に37秒間継続する爆発が蟻、噴煙が 500 m 上昇しました。その後山頂から 600 m も噴煙が上昇しました。警戒レベルは“1-4”段階の“2”です。

Merapi  | Central Java (Indonesia)  | 263250 |  2910 m
期間中の溶岩ドームの成長は連日 2.900 立方メートルで前の週よりは遅くなっています。10月31日現在では写真による測定で 248,000立方メートルに達しています。
水蒸気の量は様々ですが山頂から 50 m 程度上昇しており、警戒レベルは“1-4”段階の“2”で、半径 3 km 以内は立ち入り禁止です。

Nevados de Chillan  | Chile  | 357070 | Elevation 3180 m
“Nicanor”火口での溶岩ドームの成長はゆっくりですが確実に継続しています。地震活動は中規模程度で長周期や火山性微動が中心で、時折噴火を示すものも含まれます。
火山ガスの噴出は限定的でしばしば火山灰を含みます。散発的な爆発では時折噴石を飛ばし火口周辺に落下し、夜間には溶岩ドームの火映現象が観測されます。
警戒レベルは「オレンジ」のままで、半径 3 km 以内は立入禁止です。

Piton de la Fournaise  | Reunion Island (France)  | 233020 | 2632 m
9月15日に始まった噴火活動は11月1日に収まりました。

Popocatepetl  | Mexico  | 341090 |  5393 m
10月31日から11月6日の間、89-192回の火山ガスの噴出を数えました。11月3ひの二回の爆発的噴火の際には噴石を吹き上げ、噴煙は火口縁の上空 1.5-1.6 km に達しました。
3日の二回の噴火の際は噴石を吹き上げ、噴煙は火口縁の上空 1.5-1.6 km に達しました。警戒レベルは「イエロー」です。

Rincon de la Vieja  | Costa Rica  | 345020 | Elevation 1916 m
11月4日に始まった噴火活動は二分間継続する噴火を三回繰り返しました。点九工が悪く噴煙高さを観測する事は出来ませんでした。翌日の噴火では噴煙は火口縁の上空 100 m まで上昇しました。

Sabancaya  | Peru  |  354006 |  5960 m
この期間中は連日平均 30 回の噴火を繰り返しています。噴煙は火口縁の上空 3.4 km まで上昇します。亜硫酸ガスの噴出量は日量で連日 2,300 トンです。

Santa Maria  | Guatemala  | 342030 |  3745 m
溶岩ドームでの岩屑雪崩が11月2日から増加しました。岩屑雪崩は南側の山腹を長い距離に亘って下り、時折噴煙が観察されます。11月2-6日の間の噴火時には噴煙が火口縁の上空 500-800 m まで上昇しています。4-5日には岩屑雪崩が南東側と北東側山腹を流下りました。

Semisopochnoi  | United States  | 311060 |  1221 m
31日に二回の小噴火が地震波と空振から観測されました。断続的な火山性微動が11月1日に観測されましたが観測用通信機器の故障が発生しました。4日までは天候が悪く目視観測は出来ませんでした。5-6日は衛星画像では火山現象を全く何も観測出来ませんでした。航空カラーコードは「オレンジ」

Sheveluch  | Central Kamchatka (Russia)  |  300270 |  3283 m
弱い熱異常が31日から11月2日の間観測されました。航空カラーコードは「オレンジ」

Turrialba  | Costa Rica  | 345070 |  3340 m
噴煙は連日火口縁の上空 500 m まで上昇しています。加えて地震活動は、火山性微動、長周期微動等が観測されています。火山灰の噴出も11月6日まで観測されています。11月2日には早朝に70分間継続した長い噴火活動があり、噴煙が 500 m 上昇し、その後も幾つかの2-3分程度の短い噴火が観測されました。その後も活発な地震活動が続き、5日には噴煙が 600 m 上昇しました。

Veniaminof  | United States  | 312070 |  2507 m
氷で満たされたカルデラ火口内の火砕丘出の噴火は11月6日現在も継続しています。衛星画像では、溶岩流を示す地表面温度の上昇も確認されています。
35 km 南東に在るウエブカメラでは、時折噴煙が上がり、火砕丘の火映も観察されます。5日の航空機パイロット等の報告では、噴煙は高度 4.3 km に達しました。
航空カラーコードは「オレンジ」
以上
その他のライブカメラの画像
300250_Bezymianny_2882m

313020_Iliamna_3763m

351020_Nevado del Ruiz_5321m

313030_Redoubt_3108m

211020_Italy_Vesuvius_1281m

以上

「房総丘陵はすごい」展示関連行事「勝浦市鵜原海岸の地層」観察会

昨日11日は好天に恵まれた散策日和。30名ほどの皆様の御参加頂き、拡大解釈版「房総丘陵」の勝浦市鵜原海岸で地質の観察会が開催されました。この付近は、三浦層群清澄層と云う泥岩+スコリア+火山灰層の互層で、一部が地産地消の石材が採掘されていた場所であり、観察会ではその石切り場跡や断層、ダービダイト層等を観察したものです。私はこの地域の地産地消の凝灰岩~泥岩の石材と、伊豆から運ばれて来た凝灰岩質石材の御案内を務めさせて頂きました。
「黒滝不整合」の露頭も付近にありますが、潮の満ち干のタイミングが悪いのでその観察は今回組み入れていません(大潮の引き潮時に干上がった岩礁から眺めると不整合が良く判ります)。でも鵜原の岬では泥岩の上に砂岩が乗っている様子を観察出来ます。
観察したダービダイトの中に、「結晶片岩」の小さな礫が含まれている場所が在りましたのでご紹介します。チャートなども観察されるので、現世で類似地層の露頭が観察されるのは秩父辺りが思い浮かびますが、遠いですね。私の住む柏市の自衛隊の飛行場が在る「藤ヶ谷」地区でのボーリングでは、地下 1,500 m 付近に、三波川帯の存在が確認されている様です。清澄層の堆積した頃には、現「藤ヶ谷」付近の三波川帯が地上に露頭を見せていたのでしょうか?それでも、剥がれやすい結晶片岩(風化前は硬い部分もあるのだろうが)礫がどれだけの距離を運ばれるのか興味深い事です。
「房総丘陵はすごい」展示は年末まで開催されます!!遠いでしょうがおいでになりませんか?

観察地はこの様な海に開いた断崖の下にあります。垂直に切り立った断崖には石切りの跡が多数含まれています。

泥岩の中の軽石層の例です。清澄層の鍵層は詳しく調べられています。

こんな岬の上の芝草の上で昼食です。この風景の中にも石切り場が在りますが、全て集落から比較的近い場所に存在するので、伊豆の凝灰岩質石材の様に、遠方まで送り出す石材では無く、地産地消型の石材産業だった事が判ります。

泥岩といってもかなりしっかりした地層なので、リアス式地形の岬を抜けるこのような素掘りトンネルが沢山あります。側壁に現われているこの白い地層も鍵層です。

ダービダイトの砂勝層表面に観察される結晶片岩の礫です。超接写です。周辺の砂粒が綺麗ですね。

近くのゴミを取り除こうとしたら、指先が触ってしまって表面が剥がれてしまいました。赤で囲んだのが破片の一部。中央が本体です、画像の下の淡い目盛は 1 mm 単位です。。

スケールを置いていませんが周辺の状態です。チャートなども観察されるので、現世で類似地層の露頭が観察されるのは秩父辺りが思い浮かびますが、遠いですね。私の住む柏市の自衛隊の飛行場が在る「藤ヶ谷」地区でのボーリングでは、地下 1,500 m 付近に、三波川帯の存在が確認されている様です。清澄層の堆積した頃には現「藤ヶ谷」付近の三波川帯が地上に露頭を見せていたのでしょうか?それでも、剥がれやすい結晶片岩(風化前は硬い部分もあるのだろうが)礫がどれだけの距離を運ばれるのか興味深い事です。