2020年7月16日木曜日

岩石と地層の表情:078;素掘りトンネル(2/2)

房総半島の東側に、妙に沢山の断層が集まっている地域が在ります。今日は鵜原の素掘りトンネルと、漁港付近の断層露頭をご紹介します。千倉あたりからこの鵜原・勝浦付近では主に地元で消費された数種類の凝灰質石材が採掘された事が判っていますので、
時々、特急電車に揺られて主に海岸線の露頭を探して歩く事があります。素掘りトンネル中心の心算が画像を整理していたらトンネル内部の画像は一枚だけになってしまいました。
房総半島の中央部のシームレス地質図です。赤線で大きく囲んだ範囲には断層が数多く記載されています。保田と鴨川を結ぶ低地帯とその南北には断層が多いのは判りますが、さてこの付近の断層はどのように発生してきたのか?面白そうですよ!
今日の舞台はその中の小さな赤い円の範囲です。
地質観察会の時の、GPSデータの一部です。鵜原駅から徒歩で海岸に向います。西側の砂浜は一部に泥岩が露出しています。緑の丸の部分が素掘りトンネルの一つで青い丸は断層露頭の観察場所です。場所は「勝場漁港」と言います。素掘りのトンネルは他にもありますが残念ながら画像がありません。赤矢印は「毛戸浦」と言う地名で三浦層群天津層の泥岩が露出しています。生痕化石や、謎の火山礫が観察される事です。黄色矢印は石切場跡が観察される場所です
赤矢印のポイントで観察される生痕化石の例です。様々な生痕化石が見られますが、どちらかと言うとこの次の画像の方が興味が惹かれます。
天津層の中の鍵層“Am91.5”のやや上に卵からこぶし大の火山岩礫が含まれる層が在ります。この付近は、深海性の泥岩の筈なので本来ならばこのような岩塊が含まれるのは変なのです。天津層の露頭としてはこの付近だけにこの様な岩塊が含まれているのでその起源は謎に包まれています。氷河起源の氷山が運んできて溶けた際に落下したという説があります。
やっと素掘りトンネルの御登場です。このトンネルの西側は砂岩主体の清澄層に入ります。さて、この分厚い白い鍵層の名はすっかり忘れてしまいました。
トンネル西側の地層では実は結晶片岩の小さな礫が観察される事が在ります。房総半島では私の住む柏市の地下 1,500 m には三波川帯の結晶片岩が在る事がボーリング試料から判明していますが、天津層が形成された時代にはこの地層の近くに露頭が在ったのかもしれません。
黄色い矢印の石切場跡です。結構落差のある垂直の壁が残っていますが、波打ち際なので表面は風化でノミの跡はほぼ観察出来ません。勝浦の紹介の序に、明日はこの少し南の「守谷海岸」にある石切場をご案内しましょう。
「勝場断層」の露頭説明図を見て頂きましょう。これは博物館の地質観察会のテキストに掲載されたものです
断層露頭とやや広い範囲の画像です。勝場漁港の御崎の方に燃料タンクがありますが、その裏手になります。画像の左手にカメラを振ればタンクが写る筈です。
露頭の拡大図です。露頭の説明図と比較して下さい。

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