2020年7月7日火曜日

岩石と地層の表情:070;多胡碑は多胡石;牛伏砂岩で出来ている

群馬の石材に触れたので千葉県内で眼鏡橋の補修に使われた「多胡石」にも触れておきたい。「多胡石」と言うものが有る事は、たまたま巡検でこの石材産地に近い場所に宿泊した時にその宿の装飾に使われていたので、面白い石材が在るものだな!程度には知っていたのだが、千葉県内では現在は砂岩を採掘できないので南房総に現存する眼鏡橋の補修時に一部に「多胡石」を使用した事はその橋の事を調べるまではほぼ知らなかった。
「上野三碑」については最近立派な案内サイトが出来ているので興味がある方は下記をどうぞ。多胡石の石切場を観察に行く前に先ず最初にこの石碑を拝見する事にした。
https://www.city.takasaki.gunma.jp/info/sanpi/01.html
多胡石は長石や石英が多い「花崗岩質:アルコース質」砂岩。良く見ると雲母も結構多い砂岩です。
多胡石の特徴はその不定形の茶褐色の鉄錆模様に在ると思っていたのだが、多胡碑に使われていた石材にはその特徴的な鉄錆模様は観察出来なかった。尤も、文字を彫る様な岩石なのだから、粗粒ではどうしようもなく、やや細粒の目の詰まった石材だからこそ石碑に使えるのだと思う。まずは文字の彫られた正面画像。
文字の一部を望遠レンズで撮影したものです。ガラス迄越しなので旨くピントが合わないし、薄暗いので少々の明暗を調整して言いますが、「多胡」等の文字も読めると思います。文字は「丸底」で彫られているらしい。
文字の無い面の表面の模様です。実際は長手方向が上下方向になります。幅は石碑の幅より少し狭くしています。淡い模様は堆積時~途中の褶曲などを反映しているのでしょう。
もう少し拡大しています。加工の工具痕を見たくて撮影したものです。
ガラス越しでは痒い処に手が届かないので、公園内にある小さな灯篭に目を付けました。火袋部分と塔身(棹)の部分を観察しています。
火袋の日月の模様です、長手方向が上下方向になります。これならスケールを置くことが出来ます。
目一杯接写をして見ると、長石や石英ばかりでは無く、チョットマーキングしたように雲母も含まれています。
「多胡碑記」碑には根府川石が使われていました。右側に淡いながら斜めの根府川石の特徴ともいえる冷却節理が観察されます。文字は当時の高名な書家が隷書体でかかれたものだそうで、建碑されたのは大正時代です

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