2020年5月6日水曜日

岩石と地層の表情:006;外川漁港東側の畳岩;大潮の時には渡れます

白い丸で囲んだ場所が「畳岩」と云われる防波堤状の砂岩の露頭です。潮が引くと、砂浜から高さ3m程の砂岩の岩体が現れます。この干上がった浜と隣東隣の浜では古銅輝石安山岩の質の良い転石が採取されます。

外川の築港作業が行われている時代に、今の利根川流域の二つの村が「畳磯」という場所で砂岩砥石の切り出しを巡って争いを起こしています。この「畳磯」が何処にあったのか?古文書には示されていないのですが(飯沼村地内)、今の飯沼観音周辺には砂岩の露頭は考えられないので、この場所を探し回り、「畳」の文字を冠する「磯」に相応しいのは此処だと考えた次第。今は磯の部分が採取されて「畳岩」。外川の街の整備時期とやや重なる時期でもあるので、、外川の街を整備する為には波止山(日和山)の砂岩は採掘された事は考えられます。波止山の名も、「防波堤」を築く為の石材を採掘したからと言う記録もありますが、別の文書では「防波堤には長崎鼻から岩石を運んだと」の記載があります。砂岩よりは安山岩の方が理に適っていると思われます。

岸から見ると、普段波の上に出ている部分も少ないので低い岩体と思われがちです。

干潮時に近づくと、意外と高く素手では上の面に上る事は出来ません。

いろいろと場所を変えて試しても、登る時は良いのですが、下りの際に足掛かりを探せないので、仕方なく、釣りに来ていた方々の折り畳みの梯子をお借りして登りました。

層理面が海側に下り傾斜ですが、釣り人が沢山います。一声掛けて人物入りで撮影させて頂きました。

岸の側を見ると、砂泥互層の部分が行儀よく並んでいます。ここが「磯」だった場所で、採掘し終わって今は砂が覆っている状態になったと思っています。

これを近づいて観察すると、ノミの跡は観察出来ませんがスパッと直角に切れています。

「畳岩」の名の由来はこの砂岩の顕著な「方丈節理」から来ているのは明らかです。上に上がって初めて納得できました。。

厚みも、砂泥互層で程好い厚みで剥し採る事が出来そうです。

転石の古銅輝石安山岩を割ってみました。気孔の観察されるものもありますが、破面は意外と緻密で新鮮です。

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