2020年5月3日日曜日

岩石と地層の表情:002;チャートの円磨された礫を含む砂岩

銚子には今でも隔月に一回程度の頻度で調査に行くけれど、2012~2015年の間は、付加体粘土と石材としての銚子砂岩の調査で数十回通っている。市内の道路を歩き回って、銚子砂岩の石垣のマッピングを続けていたある日、石垣に使われた砂岩にチャート礫が入っているものを見付けた。銚子の砂岩にも数種類があって、石材として採取していたのは、礫が混じらない細粒の犬吠砂岩が多いのだけど、黒生(くろはえ)から海鹿島(あしかじま)~南側の外川付近まで広い範囲で採掘された事が判っている。このチャート礫が混じった砂岩は黒生~海鹿島の海岸にも細粒砂岩に接して砂泥互層の顕著な場所にもあるのだが、面白い事に、点々と露頭が分断されて線状にならんでいる。点々と線状に並ぶのは房総半島では、嶺岡の蛇紋岩や玄武岩でも良くある事。房総半島の付加体地質ではお手の物です。
2013年に駐車場の造成中に、小さなブルトーザーでは動かせない砂岩の岩体が出て来て工事がストップしているという情報を得て、露頭の観察をさせて頂いた。
3~5枚目の画像がその時のもの。この露頭は消滅したのだが、その駐車場の脇の道路の反対側に、以前からひっそりと小さな露頭が顔を出していて今も残っている。チャートは板状の角礫の角が少しだけ丸みを帯びる程度の摩耗が多いが、此処のは結構円摩されたものが多い。チャートをこれだけ摩耗させるにはどれだけ激しい地殻の変動があったのか?興味深い。

市内の古い石垣は銚子砂岩が多いのだが、チャート礫が入ったものはかなり少ない。ここでは無いが、トリゴニアという二枚貝の化石が入った砂岩がある港で使われています

黒生漁港のチャート礫を含む砂岩の岩体。防波堤が繋がっているので、上に上る事が出来るが、段差が1.5~1.7mくらいあってちょっと怖い。後ろのテトラポッドは多分かなり大型サイズのものでっす。近くには、オリビンの入った玄武岩の露頭もある。

チャートも様々です

小さなブルトーザーでは手に負えなかったので観察する事が出来た露頭

ハンマーの上にも沢山円摩されたチャート礫が見えます。全体は砂岩です。

10円銅貨の左下の断面は、しっかりチャートでしょ!

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