2017年6月21日水曜日

白い凝灰岩を用いた五輪塔 (1)

白い石灰質凝灰岩を用いた板碑とほぼ同時期に、今度は群馬県の凝灰岩ではないかと言われる白色の凝灰岩が用いられた「五輪塔」について調べる事になった。五輪塔とは主に鎌倉時代に有力者の墓石として用いられた様式なのだが、房総半島に存在するものの殆どが、鎌倉石に似た南房総産出の砂岩や、銚子砂岩、或いは安山岩等の石材を用いている。
房総では現在、一寺に三基のみが存在を確認されているらしい。これがその中の代表格。

両脇にやや小ぶりの五輪塔が添えられている。



調べてみると、既に様々な方々がこれについて研究して居られて、今更、と云う気もするのだが、この素材が群馬県の天神山産とする文献が有るので、まあ兎に角、5年前に訪ねた事の有る天神山に石材調査に行く事にした。折角なので、関連した地質や、同様に天神山産の凝灰岩を用いたという五輪塔等の仏塔なども目一杯観察して来る予定。
取敢えず、この五輪塔の表面を観察した画像をご紹介。尚、私は基本的に歴史が苦手なので、歴史的な背景等はほぼ触れない事を予めお断りしておきたい。

三基の内の一基は屋根型の「火輪」部分がほぼ半分に割れている。その割れた部分の拡大

風化に拠り剥離した部分の接写

美しい薬研彫りを施された表面は、素材が細粒で緻密な凝灰岩で有る事を示唆しているが、実は細かな細工の部分では表面がやや粗いので、細粒分を塗布する様な仕上げ加工をおこなちるのかもしれない。画像は細密な加工を施したやや粗い表面の部分

風化に拠り部分的な剥離が生じた部分の粗さの違い

風化に拠り表面がやや粗い部分に稀に観察される黒い部分。画面の横幅は 20mm
続く

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