2021年2月21日日曜日

凝灰岩質石材の旅:印西市武西・武西百庚申:No.122319-07

 所在地:国土地理院地図座標:35.793232,140.111331

印旛日本医大駅から徒歩:1.2 km 駐車場有

印西市教育委員会が設置した指定文化財の説明には「武西の様に建立以来の原型をとどめている例は希少で貴重な文化財です」と書かれているが、彼らはこの文化財がこれまで文久三(1863)年以来百六十年余りこの姿を留める事が出来た理由を知らず、今後、この百庚申が風化により崩壊していくだろう事を予測だにしていない。印西市には「石造文化財」について造詣が深い方々は居られるかもしれないが、凝灰岩質石材の風化について知識が乏しい様だ。

この場所の百庚申は、ほぼ全てが文字庚申塔であり、十体に一体程度の割合で、安山岩質石材に浮き彫りにされたものが並べられている。この百庚申は、ニュータウンが造成され、周辺が公園として整備されるまでは松林に守られていたのだが、「整備事業」により、直接風雨に曝されてしまう環境におかれてしまった。石材は、伊豆半島南部の板戸辺りから須崎半島恵比須島付近から南端の石廊崎辺りで採掘されたものと思われる。様々な岩相が見られるが、基本的には発泡しやや風化した火山岩塊の隙間を細粒の緑色凝灰質が埋めている種類の石材で、仏像などの立体的な造形には向かず、殆どが礎石類として用いられている。

百庚申はこの様に土手の上に並んでいる。「整備事業」で洗浄されたらしく、石材の表面観察には程好い条件。周囲にフェンスがあり、教育委員会に依頼すれば少し待たされるが開錠して頂ける。予め、予約しておいた方が良い。
教育委員会の設置した説明。昔はこの写真の様に、松か杉等の林の中に並んでいた様だ
石材を見るとややくすんだ痘痕顔の石材。水色の様な緑色凝灰質が筋目に入っている様に見えて、それなりに美しい。
南西側から北東側を望んだ画像。白線で囲んだ庚申塔の東武に欠けが生じているのが判る。この石材の特徴が現れた風化形態と言える
正面からの姿。淘汰されていない礫岩の欠けや剥離が観察される
頭部の欠けの部分の拡大図。決して何かがぶつかって割れたのでは無い。割れ目も観察されるが、幾つかの礫の集合体だと理解されると思うが
石材の褐色系の岩塊部分と細粒に見える水色(緑色凝灰岩の退色部)の接触部を近くに寄って観察した画像。水色部分にも細かな礫が混じっているし、褐色部と密着しているとは思えない。
同質の岩塊を厚さ12 mm 程度の板状に切断し、平行な面を研磨したものを撮影したもの。細粒と見えた部分にも様々な形状・サイズの岩塊が含まれている事が判る。画面幅:50 mm
他にも数種類の石材が用いられているがこれも伊豆の緑色凝灰岩。岩石組織については後日。
燈籠の火袋に用いられた石材も伊豆の緑色凝灰岩。前の画像の石材の粗粒部
所在地は、北総鉄道千葉ニュータウン中央駅から約1.2 km 。赤丸の西側に駐車場も用意されている

0 件のコメント: