2020年7月20日月曜日

岩石と地層の表情:083;徳次郎町の嘉登屋に用いられた石材

徳次郎に行けば既に営業はしておられないが、この「嘉登屋」の石材を見ないともったいないので御案内させて頂く。徳次郎交差点から約 300 m 日光街道を北に進むと、格子状のシャッターが閉じられた雑貨屋風の建物があり、その北隣の古い家屋が目的の建物です。
瓦には大谷石の石瓦を使い、北側の戸袋周りには圧密レンズが明瞭に観察される溶結凝灰岩が使われ、北側の建物沿いの路地を入ると、徳次郎石の緻密な石材が使われている。日光街道と平行な裏手の石蔵の石材も御覧になられる様お勧めする。
煙草屋あるいは雑貨屋とされるが、営業はかなり昔に終えたらしく正直な処は良く判らないが、かなりの大店だった事は判る。北側が元からの店舗部分。
北側の建物は二階の屋根は今風の屋根瓦になっているが、一階の屋根は大谷石を使った石瓦だが一般的に見るものより遥かに長い。これ結構重たいのです。
和釘の頭が見えているので本来はあったであろう漆喰は既に剥がれてしまっているのだろう。
店舗左手の戸袋も大谷石だが、圧密構造はそれほど明瞭では無い。しかしながら今風の大谷石とは異なり、緻密な細粒の白色凝灰岩が用いられている。
右手の戸袋の石材は圧密構造が観察しやすい。石塀と異なり戸袋の二つの面が観察出来るので片側は堆積面に平行に切られており圧密でへしゃげて広い面積の岩塊が観察され、直交する面ではレンズ状の構造が観察される
前の画像を道路側から見ると小さなレンズでは無く、帯状に半ば黒曜石化した様な黒い帯状の構造が観察される。
北側の路地を曲がるとまず凝灰岩の石塀があり、図の通用口が見える。この通用口の構造が凝った造りで興味深い。左の方は同じ構造が良く判るが、右手は図中に白の点線を置かせて頂いたがこの面で石材が組み合わされている。上は部品が三箇に分かれているが、斜めから撮影したのではっきりしないが楔状に加工して落ちない様に工夫しているらしい。
背面は二つの石蔵が並んで背面の壁は石塀と兼ねておられる様だ。これも徳次郎石なのだろうが、色調はさまざまだけれど、ミソは全く観察されない。
前の画像の左手の壁。裏手には梅や柿等の木々が植えられていて、全体を見通して石材を映し出す事が出来ない。
石材表面の仕上げの程度には様々なので、あるいは途中で補修・交換されたものもあるのかもしれない。
画像が暗かったので、画像の明るさと明瞭さを自動調整させてみた。裏面なので正面は側面程には上質の石材ではないのかもしれない。

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