2020年6月10日水曜日

岩石と地層の表情:042; 佐島石の擁壁・石塀・石蔵のお店


最初の地図は昨日と同じ。道路は国道134号線。北側の緑のマークが県立立石駐車場のある交差点「立石」。バス停から北東側の「立石不動院・瀧不動」に向かう細い道の角の個人宅の石塀に佐島石が使われている。南に下りながらゆっくりと坂を上っていくと秋谷駐在所の向かいの駐車スペースだろうか?その擁壁が同様に佐島石で所謂「ブラフ積み」に組まれている。更に南下し、大きなマンションが見えてくる辺りに「釣具屋」さんがあり、その向かいの急階段を下ると佐島石の擁壁。国道に戻り、マンションに近付くと蕎麦屋が見える。
この蕎麦屋は、玄関廻りこそ大谷石で補修されているが佐島石を使った石蔵を店舗として使って居られる。
この近くに前田川が流れており、川沿いに上流に進むとやがて河床を歩ける「前田川園地」があります。河床を進むと黒い岩石が河床に現れます。実は断面は深い群青色なのですが、持ち帰ると真っ黒になってしまいます。酸素に当てなければ良いと思って水に漬けた状態で博物館に運びましたが、水中の酸素と結合してやはり黒くなりました。房総半島の鴨川に同じ地質があります。

「立石」バス停前の「不動尊」に向う角の個人宅の石塀には佐島石が使われている。石塀は更に右手に続く。
石塀に使われた佐島石の表面拡大例。右端のスケールは 17 cm。正直言って生痕化石が無い佐島石は美観系の石材とは言えない
石材の中の白いものは「石灰藻」の破片。これが全体の強度を高めている事がある。といっても、特別珍しい事では無く、立石辺りの磯に行けばいくらでも観察出来る類です。
石屋がやってはいけない代表的な失敗例。細粒に見えても花崗岩に細かな文字を彫ってはいけない。昭和四年に不動尊関係の落成記念碑として掘られたが既に文字が読めない。
佐島石の擁壁の例。結構な段数を積み上げているその一部を写している。
駐在所向かいの擁壁に、佐島石が「ブラフ積」で組まれている。スケールは同じく 17 cm 。切石二本を壁面に平行に積むと一本を木口で積むことにより、全体の強度を上げている。
横浜辺りでは「ブラフ積み」は由緒は不詳だが「房州石のお家芸」の様な紹介の仕方をしている事がある。でも、「ブラフ積み」の分布図等が有って、我々には非常に嬉しい事なのです。参考用に「山手地区のブラフ積擁壁」図のサイトアドレス。凝灰岩質石材の主要文献備忘録をエクセルで造ったので簡単に探し出せるのが嬉しい。
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/machizukuri-kankyo/toshiseibi/toshin/kannaikangai/yamate/yamate.files/0003_20180928.pdf
釣具屋の向かい(海岸側)への階段を下った路地の佐島石の石組。もっと広い面積の石積みも在るが変わり積みの部分をご案内
大型マンション前の現蕎麦屋の横の石組
和釘の傍に淡い生痕化石が観察される。もっとはっきりしたものを後日ご紹介したい。

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