2020年6月8日月曜日

岩石と地層の表情:041; 美しかった佐島石の石蔵が消滅

三浦半島には古くから池子石や金田石、佐島石が産出し半島南部では石垣や石蔵に数多く用いられていたがいたが、鷹取石等の開発に押されて消滅に至っている。横須賀市秋谷に二棟の佐島石を用いた石蔵があったのだが、その内の佐島石としての美しさでは一二を競うと思われた石蔵が消滅してしまっている。一棟は一部に大谷石を組み込んで補修されながらも現在は蕎麦屋として現存している。今日はその消滅した石蔵の壁面をご紹介し、次回は近くの横須賀警察署秋谷駐在所向かいのブラフ積みの石垣や、釣具店の向かいの路地の先に在る石垣石や坂を下ったバス停傍の石塀を御案内します。
地図は三浦半島の南部西岸の秋谷地区、前田川園地や立岩に近い位置でバス停で二区間の距離に相当する。道路は国道134号線。北側の緑のマークが県立立石駐車場のある交差点「立石」。バス停から北東側の「立石不動院・瀧不動」に向かう細い道の角の個人宅の石塀に佐島石が使われている。南に下りながらゆっくりと坂を上っていくと秋谷駐在所の向かいの駐車スペースだろうか?その擁壁が同様に佐島石で所謂「ブラフ積み」に組まれている。
更に南下し、大きなマンションが見えてくる辺りに「釣具屋」さんがあり、その向かいの急階段を下ると佐島石の擁壁。国道に戻り、マンションに近付くと蕎麦屋が見える。
この蕎麦屋は、玄関廻りこそ大谷石で補修されているが佐島石を使った石蔵を店舗として使って居られる。私がこの付近を良く歩いていた頃は自然食レストランだったので、残念ながら入った事は無い。
今は無い石蔵の全景。道路側は灰色のモルタルで補修されていたので、坂を下ってくるとほぼ気付かずに通り過ぎてしまう状態だった。足元付近とかに多少の傷みが見られたが比較的状態の良い石蔵であったので残念でならない。
入口上の石組。強度を持たせる為に楔型形状で、丁度眼鏡橋のアーチを組む手法を用いて石組みされている。開口部の荷重を受けるのに他種石材を用いずに同一石材で組み上げる手法だけでは無く、やや茶褐色の鉄錆色の筋目模様を表にすることで良いアクセントになっている。
楔型の部分の拡大図。
壁面の石材の模様。静かな浅い海に堆積した地層らしく、褶曲等は見た事が無いた。多少の凹凸のある堆積で表面を均すとその凹凸がスコリアや泥質の斑となって現れる。
スコリアの分布を見ると、何らかの擾乱を受けた雰囲気は見受けられる。普段の石材表面はほとんど底生生物の這い回った生痕化石がアクセントになっている。
拡大して見ていくと、やはり少しは傷んでいるのが判る。
佐島石の石蔵は三浦市役所の近くや、三崎口からほど近い「三戸」付近にはまだまだ美しいものが現存しているが、長く残って欲しい石材です。

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